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人事担当者7割が「歓迎」 出戻り社員が会社を伸ばす(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/436.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 05 日 16:26:05: igsppGRN/E9PQ
 

          広島・黒田と石井一久も出戻り組/(C)日刊ゲンダイ


人事担当者7割が「歓迎」 出戻り社員が会社を伸ばす
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/156951
2015年2月5日 日刊ゲンダイ


 人事担当者の72%が「社員の出戻りOK」――。こんな実態が明らかになった。

 人材採用支援の「エン・ジャパン」が運営する人事担当者向け中途採用支援サイト「エン 人事のミカタ」がサイト利用者392人にアンケートを実施。採用担当者に、一度退職した社員を再雇用したことがあるかを尋ねたところ、72%が「ある」と回答した。「即戦力を求めていたから」(39%)、「人となりが既に分かっているため安心だから」(38%)という理由が上位にきた。どうやら企業は一度会社を辞めた人材を高く評価しているようだ。

「他社のメシを食ってきた人は使い勝手がいいのです」とは人事コンサルタントの菅野宏三氏だ。

「戻ってきたということはその会社が待遇が良く、力を発揮できる場所である証拠。大手外資をいったん辞め、3年後に戻ってきた人を知っていますが、彼は3年間、自分で会社を経営し、ライバル企業の製品やセールス法を熟知していることもあって、元の会社に戻ったあと、とんとん拍子で出世して役員までいきました」

 菅野氏によると、20年前の経済界は「出戻り社員は会社に寄せ付けるな」という意識が強かったが、いまの人事担当者は彼らを武者修行の旅から帰ってきた実力派と評価しているそうだ。

「出戻り社員は上手に使わないともったいない。とくに会社経営を経験した人は景気の動きや経理システムの知識を身に付けているし、一度外の空気を吸っているので、辞めた会社を客観的に分析してその弱点を把握できる。社長室や経営企画室のような重要なセクションに配置し、若手向けのセミナーを開くのがいいでしょう。出戻り社員を白眼視し、嫌がらせをする会社もありますが、そういう会社は人材の大切さが分かっていない。将来性はありません」(菅野宏三氏)

 会社を伸ばすために、辞めた社員の消息を調べてみますか。


 

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コメント
 
01. 2015年2月06日 08:03:28 : jXbiWWJBCA

岸博幸の政策ウォッチ
【第1回】 2015年2月6日 岸博幸
給料だけじゃない!保育士不足を生む本当の原因
 これまで「クリエイティブ国富論」というタイトルの下で連載してきましたが、あまりクリエイティブではない経済政策批判を書くことも多く、タイトルと中身が合っていないなあと時折反省していました。加えて言えば、個人的に今年からはバラエティ的な仕事を徐々に減らし、経済政策の世界に戻ろうと考えていることもあるので、今回から「政策ウォッチ」という新しいタイトルの下で経済政策にフォーカスした形に変えさせていただきます。どうか引き続きよろしくお願い致します。

 そこで、今週は記念すべき(?)第1回にふさわしく、保育士の資格を巡る利権構造の存在を説明したいと思います。巷では保育士不足が喧伝されることが多いのですが、あまり語られることのないこの深刻な問題も影響しているのです。

保育士不足の深刻な実態


保育士不足は待遇の悪さだけが原因ではなく…
 保育の充実や待機児童の解消は、社会保障分野における重要な政策課題となっています。実際、2017年度末には保育士が7万4000人も不足すると厚労省は予測しています。

 それでは、なぜ保育士が不足するのでしょうか。最大の理由として挙げられるのは、責任が重く重労働の割には給料が安いなど待遇が悪いという点です。保育士の月給は平均21万円台と全産業平均に比べて10万円以上低いことからも、それは間違いないでしょう。

 しかし、保育士不足の原因はそれだけでしょうか。色々と探ってみたところ、もう一つ重要な問題があることが分かりました。

 保育士として働くには保育士の資格を取得することが必要ですが、そのためには、指定保育士養成施設(大学、短大、専門学校で計約620ヵ所)で教育を受けて卒業するか、都道府県単位で実施される保育士試験に合格するかの、どちらかが必要となります。それを経て、都道府県単位で保育士の登録を行なえば、晴れて保育士として働けるのです。

 ただ、2013年度末で累計での養成施設卒業者数が160万人、保育士試験合格者数が38万人いるのに対して、都道府県に登録されている保育士の数は124万人と、全体の約60%に止まっています。この事実から、おそらく大学や短大などを卒業した新卒学生は、保育士の資格は取得したものの、待遇などの面から保育士以外の職業を選んでいるのではないでしょうか。音楽大学を卒業した学生の多くが音楽とまったく関係ない企業に就職するのと同じです。

 そう考えると、保育士不足に対処するには、保育士試験の合格者の数を増やす必要があります。実際、2013年度の保育士試験合格者は8900人と、同じ年に養成施設を卒業して保育士資格を取得した人数(約4万人)の20%強に過ぎません。例えば子育て経験のある主婦がパートタイムなどで保育士として働けるようにすることが必要ですが、そうした人ほど学校に入り直して2年も学ぶ余裕がないことを考えると、なおさらです。

保育士資格を巡る利益相反

 その障害となるのが、保育士の資格を巡る既得権益の構造です。

 保育士試験の問題を作成しているのは一般社団法人全国保育士養成協議会(保養協)です。試験を実施するすべての都道府県が保養協に試験問題作成を依頼しているのです。その一方で、保養協の会員名簿をみると、約500の会員はすべて保育士養成施設となっています。さらに言えば、保養協の役員の大半はそれら養成施設のトップか教授です。

 ここで当然の疑問が湧いてきます。保育士資格取得の片方の手段である養成施設の集まりである保養協が、もう片方の手段である保育士試験の問題を作成していて、果たして利益相反は生じないのだろうかということです。

 保育士養成施設の側は当然ながら、少しでも多くの学生が入学して、大学なら4年間、短大や専門学校なら2年間、高い授業料を納めてくれることを目指します。しかし、もし保育士資格取得には保育士試験での合格を目指す方がコストや時間の面で合理的となれば、それらの養成施設への入学者数にはマイナスの影響が生じることになります。

 となると、日本全国の保育士試験の問題を一手に作成している保養協の側からすれば、試験問題を難しくして合格者数が多くならないようにしようというインセンティブが働いてもおかしくありません。実際、保育士試験は難しいという評判は方々から聞こえてきます。ちなみに、2013年度で受験者数が5万1000人に対して合格者数8900人ですので、合格率は17%です。養成施設の入試の倍率よりは格段に厳しいと言えるのではないでしょうか。

 もちろん、保養協が悪意ばかりで難しい問題を作っているとは思いません。保育士は子どもの命を預かる責任の重い仕事であり、保育士になるにはそれ相応の大変さが伴って然るべきです。

 それでも、一部の養成施設での実習の質の悪さが聞こえて来たり、保養協には厚労省からの天下りが3人もいることを考えると、養成施設や厚労省の既得権益を守りたいという思惑も働いてこの利益相反の構造が長い間解消されないのでは、と考えてしまいます。

地域限定保育士潰しによる
既得権益構造の温存?

 そうした状況の中でも、政府の側は保育士の数を増やす努力をしています。その典型は、国家戦略特区で自治体が“地域限定保育士”(登録した都道府県でのみ働ける保育士)という資格を創設できるようにしたことです。

 保育士試験のうち実技試験が免除され(研修受講で代替)、また受験勉強に必要なコストの一部が補助されるなど、保育士の増加に前向きに取り組む自治体にとっては朗報です。地域限定保育士の試験問題の作成を保養協に委託せず、独自に作成しようと考えている自治体があることも、保育士の資格を巡る利益相反の構造を変えるのにも有効です。

 更に言えば、保育士試験はこれまでずっと年1回しか行なわれてこなかったのですが、厚労省は年2回に増やすことを決めました。今後は、地域限定ではない一般の保育士試験の受験勉強に要するコストも、地域限定の場合のように一部ではなく全額が補助されるようです。

 こうした動きからは、保育士の数の増加に向けて様々な取り組みが行なわれ出していて、良い流れになってきたように見えるかもしれません。しかし、その内情を仔細にみると、やはり既得権益を温存したいというインセンティブが働いているように感じられます。

 あまり知られていませんが、だいぶ前から、保育士試験が年1回では保育士の数が増えないから試験の回数を増やすべきという議論が、規制改革会議などの場で行なわれていました。一方で、その度に厚労省(とおそらくその背後で保養協)の強い反対で実現していませんでした。

 しかし、国家戦略特区で地域限定保育士の資格の創設が決まると、途端に保育士試験の年2回実施が決まったのです。保育士の数を増やすことが至上命令になったとはいえ、受験勉強に必要なコストへの補助でも差がつけられていることも考えると、この動きは地域限定保育士潰しと見ることもできます。地域限定保育士を導入する自治体が増えず、一般の保育士試験が主流のままだったら、おそらく保養協が試験問題作成を一手に担い続け、利益相反の構造を解消しなくて済むからです。

 加えて言えば、もしこれまでの保育士試験が上述のような背景により必要以上に難しくなっていたとしたら、その受験勉強のコストを国費で補助するというのもおかしな話です。まずこれまでの保育士試験の内容が適正であったか、利益相反により必要以上に難しくなっていなかったかを検証した上で、それでも必要であれば国費で補助するのが筋だからです。

 このように見てくると、保育士養成施設により構成される保養協が保育士試験問題を一手に作るという、利益相反と既得権益の構造を変えない限り、過度の財政負担なしに保育士の数を実効性ある形で増やしていくのは難しいように感じられます。

 厚労省には期待できませんから、官邸は、もちろん保育士の給料の増加など待遇の改善に取り組むと同時に、この利益相反と既得権益の構造も変えるべく努力すべきではないでしょうか。ちなみに、保育の問題の背後には当然族議員もいますが、今の自民党の大幹部の一人もそこに名を連ねています。それでもこの問題に取り組んでこそ、官邸の改革に向けた本気度が世に伝わるのではないでしょうか。
http://diamond.jp/articles/-/66361?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=dol
 


02. 2015年2月06日 09:16:56 : jXbiWWJBCA

高度プロフェッショナル労働制は必要 ホワイトカラーエグゼンプションが始まる
2015年2月6日(金)  中村 壽伸


 ホワイトカラー・エグゼンプションが今国会で法律化される見通しで、2016年4月に施行される可能性が高まってきました。
 ネット上での論争を見ると、ほぼ「実施反対」の意見一色で占められています。例えば、対象になるにはハードルの高い条件が課せられるとはいえ、さらに長時間労働になるのではないか、残業代を支払わなくても良いとのお墨付きを得て一部の企業でブラック化が進むのではないか、際限のない労働時間によって健康を害する人が増えてしまうのではないかといったものです。
 このような意見を言う人たちの心情は良く分かります。ただでさえ日本企業は長時間労働が常態化していますし、給与も思うように上がらず、むしろ下がり続けています。平成26年9月発表の国税庁「民間給与実態統計調査」によるとサラリーマンの平均年収は平成9年の467万円から平成24年の408万円へ15年間で59万円も減っているのです。
 しかし、これまでの政府方針や労働政策審議会の案を見た限りでは、私はこういった危惧は当てはまらないと思っています。もちろん、この制度を歪曲して解釈し悪用しようとする企業が出てくるかも知れませんが、そのような企業は制度がどうであれ、いつでもブラックなのです。
 厚生労働省が通常国会で成立を目指す内容は当初の着想とかけ離れた内容になっていて、とても労働時間管理を改革したとは言えませんが、この内容のすべてがダメだとは言いません。ホワイトカラー・エグゼンプションが本格的な実質のある制度にならない一方で、健康維持策への配慮が手厚くなる点は結構なことだと思います。あくまで今回のホワイトカラー・エグゼンプションは言葉だけ、形だけの導入であって、これまでの労基法運用とほとんど変わらないのが実態だと見ています。
「高度プロフェッショナル労働制」という名称に
 ホワイトカラー・エグゼンプションの性格が特定高度専門職・成果型であることを踏まえて「高度プロフェッショナル労働制」と名付けられることになりました。過去に示されてきた政府方針と1月16日に発表された労働政策審議会の制度案を整理すると適用対象者は次のように定義することができます。
• (1)職務の範囲が明確な高度プロフェッショナルに該当する職種は「金融ディーラー」「アナリスト」「金融商品の開発」「研究開発」「コンサルタント」であること(今後の検討で増える可能性がある)
• (2)「職務記述書」を作って職務範囲を明確にすること
• (3)この制度の適用を「希望する人」であること
• (4)年収1075万円以上であること
 この条件に当てはまる人には
• (5)労働時間管理の対象から外すので、時間外労働手当、深夜労働手当、休日労働手当が支給されない
• (6)労働時間と成果に関係がないので、成果で報酬を算出する
• (7)健康維持策として「年104日の休日」「終業から次の始業まで一定のインターバル時間を置く」「働く時間に上限を設ける」のいずれかを労使で選ぶ
 ということになります。
年収条件は高すぎる
 年収条件は1075万円以上で決着しそうです。この年収条件は技術系課長職の年収上位4分の1の水準であると説明されていますが、極めて厳しいものです。年収1000万円以上の人は3.8%しかいません(国税庁、同上)。日本人26〜27人に1人しか該当者がいないのです。
 また民間企業の課長クラスの平均年収は、最も高い45〜49歳で909万円でしかありません(厚生労働省、平成25年賃金構造基本統計調査)。課長といえば管理職として労働時間管理の対象になりませんし、中間管理職として働き盛りの人たちですが、それでも平均が1000万円には届かないのです。
 部長クラスになるとさすがに1000万円に乗ってきますが、最も高い50〜54歳の部長平均年収でも1047万円(厚生労働省、同上)ですので、ホワイトカラー・エグゼンプション該当基準の1075万円はいったいどんな人を想定しているのだろうと考え込んでしまうくらい、高い水準なのです。
 サラリーマンの平均給与は男子で502万円(国税庁、同上)が実態です。従ってホワイトカラー・エグゼンプションは、サラリーマン平均の2倍を超える人が該当することになるのです。従って、一般サラリーマンが残業代ゼロになることを心配する必要はありません。それよりも、いかに高収入を得てホワイトカラー・エグゼンプション該当者になれるかを考える方が、前向きで、“豊かな”生き方につながるのではないでしょうか。
部長級平均年収(単位は千円)
年齢区分 所定内給与12ヶ月分 賞与 年収
45〜49歳 7,796.4 2,270.4 10,066.8
50〜54歳 7,777.2 2,697.4 10,474.6
55〜59歳 8,022.0 2,167.6 10,189.6
課長級平均年収(単位は千円)
年齢区分 所定内給与12ヶ月分 賞与 年収
40〜44歳 6,139.2 2,156.4 8,295.6
45〜49歳 6,637.2 2,459.5 9,096.7
50〜54歳 5,5916.0 1,938.2 7,854.2
厚生労働省ホームページから
「平成25年賃金構造基本統計調査」
今さらの感があるホワイトカラー・エグゼンプション
 高額な月例給与を受け取りながら自己裁量で仕事をし、労働時間管理を受けない場合は残業手当が支給されなくても合法との司法判断が既に出ています。
 モルガン・スタンレー・ジャパン社は外資系投資銀行ですが、専門職社員として採用したA氏の残業手当支給請求が裁判で棄却されています。(平成17年10月19日東京地裁判決)A氏がトレーダーとして採用された基本給は183万円/月でしたが、高額な基本給には残業手当が含まれるとされたのです。
 今回のホワイトカラー・エグゼンプションの報酬基準1075万円以上という数字はA氏には及びませんが、部長の平均年収額を凌ぐ水準ですので、残業手当を支給しなくて良いとする基準は至極当然と思います。むしろ私は若手課長の平均年収の800万円以上を報酬条件にすべきだったと考えています。それでもサラリーマンの上位8.0%に入るのですから。
指定の5職種に限るべきではない
 ホワイトカラー・エグゼンプションに該当する職種は金融ディーラー、アナリスト、金融商品開発者、研究開発者、コンサルタントの高度プロフェッショナルを想定しています。これらの職種は現在の労働基準法で定める「専門業務型裁量労働制」の指定職種とあまり変わりません。
 裁量労働制は「労働時間の設計を本人に任せる」制度で、労働時間はあらかじめ算定しておいた時間数とみなしますので一定の労働時間管理がなされるのですが、ホワイトカラー・エグゼンプションは「労働時間管理の法的規制が適用されない」ことが前者との違いです。こうしてホワイトカラー・エグゼンプションは「高度プロフェッショナル労働制」の名のもとに裁量労働制とは別途に定められることになりました。
 企業には独自に基準を設けた専門職(スペシャリスト)がいます。人によっては高報酬が支払われて、管理職級に地位が高い社員として扱われていますので、私は一定の報酬基準を満たした専門職もホワイトカラー・エグゼンプションの適用対象にして良かったのではないかと考えています。残業代支払いの対象にならなくても、他の社員がどれほど残業をしても追いつかないくらいの高報酬が支払われる専門職なら立派なホワイトカラー・エグゼンプションではないかと思うからです。
 そういう意味ではこの際、報酬条件に合致する営業職も指定職種にすべきだったと思います。営業職は「事業場外みなし労働時間制」が適用される働き方の代表的な職種ですが、これは労働時間の把握が困難である場合、実際の労働時間に関わらず所定労働時間働いたものとみなす管理方法です。このため際限のない長時間労働の温床になりがちです。
 そこで新たに一部の営業職については企画業務型裁量労働制の適用対象にすることが検討されています。営業社員も裁量労働ということになれば本人の自由裁量性はそのままに一定の労働時間働いたことにするので、時間外労働手当を毎月定額で支給することを企業に課すことができる特徴があります。
 しかし際限のない長時間労働に歯止めをかけにくい状況には変わりありません。報酬基準に合致する営業社員はホワイトカラー・エグゼンプションの対象にすべきと思いますが、当面は裁量労働制でも致し方ないと思います。しかしその適用者の条件はまだ見えてきません。ここがどのように設定されるかに注目し、これまで通り事業場外みなし労働時間制で行くのが良いか、企画業務型裁量労働制の適用を受けるべきなのか、メリット、デメリットを冷静に比較・分析する必要があるでしょう。
残業ゼロより、自由、やりがい、高収入にこだわろう
 これからの日本はいやでも貧富の差が広がっていくでしょう。日本が豊かな国だという実感は、分厚い中間層が形成されていたから得られたものです。その中間層がこれまでのように分厚いままでいられるかどうかは分からなくなっています。戦後の日本企業は物作りに励み、現場に多くの雇用を生み出しました。ところが高額で上質な製品「作り」が必ずしも付加価値を生まなくなってしまったのです。買い集めた部品を組み合わせれば、誰でもすぐにその国の国民性や文化に合うものを売ることができるので「作る」ことそのものに付加価値が発生しないのです。
 代わって着想やデザインが重要であることは多くの人が実感しているところです。つまり付加価値が特定の一握りの人に集中するようになったために、中間層が必要なくなったのです。従って、今後はホワイトカラー・エグゼンプションのような高い専門性を発揮する人と、低賃金の外国企業ができる仕事で外国並みの賃金に甘んじなければならない人とに2極化することが避けられないのです。ホワイトカラー・エグゼンプションはこのような状況下でも勝ち抜ける企業となるために不可欠な存在なのです。
残業を減らし成果で報酬を算定する環境へ
 今後は専門性の薄い仕事は減り、残業も少なくなっていくでしょう。今度の労基法改正案では、月の残業時間が60時間を上回る部分の割増率が25%から50%に引き上げられることになりそうです。既に大企業では50%になっていましたが、中小企業について猶予する措置が無くなりそうなのです。そうなると、企業は成果を上げられる人に仕事と報酬を重点的に投入する一方で、そうでない人の採用を控え昇給を抑えることにならざるを得なくなります。残業割増率が50%になるのに伴い、法定休日出勤の割増率35%が見直されようとしています。このように、残業を減らして、成果で報酬を算定せざるを得ない環境に変わりつつあります。
 ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されることによって、時間に縛られず自由な時間を使って働くことができます。これは高度プロフェッショナル型の仕事をする人にとって大きなメリットです。
 自由であれば学ぶチャンスも作りやすくなります。大学院に通って学び直そうという人が増えていますが、仕事で成果を上げながら修士や博士の学位を取るなど、ますます専門性を高めようとする人とそうでない人の格差は開いていくことになるでしょう。自由であることのメリットは、やらされ感から解放されるだけでなく、自分を高めることと仕事の両立ができるということなのです。
日本企業は労働生産性向上を急ぐ必要がある 
 日本企業は世界でトップクラスの実力と考えている人はまだ多いと思います。何しろ中国には抜かれましたが、いまだ世界第3位の経済大国だからです。
OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性(単位、購買力平価換算USドル)
順位 国名 労働生産性
1 ノルウェー 86.6
2 ルクセンブルク 79.7
3 アイルランド 71.2
4 アメリカ 64.1
5 ベルギー 61.9
6 オランダ 60.2
7 デンマーク 59.5
8 フランス 59.5
9 ドイツ 58.3
10 スイス 55.1
11 スウェーデン 54.7
12 オーストリア 53.7
13 オーストラリア 53.3
14 カナダ 51.8
15 スペイン 50.0
16 フィンランド 49.0
17 イギリス 48.5
18 イタリア 46.7
19 アイスランド 41.7
20 日本 40.1
24 ギリシャ 34.5
29 韓国 28.9
 しかし、実態は既に幻想になりつつあります。実は日本のGDPは1990年に世界のGDPの14.4%を占めていましたが、2013年にはわずか6.6%にまで低下してしまっています(IMF、世界の名目GDP「USドル」ランキング)。日本全体がいかに成長力を落としてしまったかが分かります。
 加えて、OECD加盟諸国の中で、日本の時間当たり労働生産性は何と20位です。スペインの15位、イタリアの18位より下です。日本の労働生産性は4位のアメリカの62.5%しかありません。1位のノルウェーと比べると46.3%で半分もないのです。1979年には1位でしたが、現在のGDP第3位は低労働生産性を長時間労働で補って叩き出したものなのです。
 とにかく何とかして日本企業の労働生産性を向上させなければなりません。忙しく働いている実感だけはありますが、効率の悪い働き方は法律改正のショック療法を用いてでも改善しなければならないのです。
 労働生産性の向上には、より成果を上げられるやり方への工夫が必要ですし、それには先行馬となる優れた専門職が必要です。そこはホワイトカラー・エグゼンプションが高度プロフェッショナルとして真に期待されるところです。
中村壽伸(なかむら・ひさのぶ)
日本経営システム研究所社長。学習院大学法学部卒業。銀行勤務を経て現職。企業の事業戦略と経営計画が実現できる人事・組織戦略の専門家。業種を問わず中堅・中小企業から上場企業まで幅広い企業をコンサルティングする。主な著書に『経営者は昇進・昇格人材をどのように見分けているのか』(日本生産性本部)ほか多数。専門誌への論文掲載も多い。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150130/276930/?ST=print 
 


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