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ホンダ、異変事態で社長退陣論も 「水増し」でも販売不振深刻、異例の相次ぐ下方修正
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150205-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 2月5日(木)6時1分配信
「苦し紛れの言い訳ばかりが目立ち、業績回復のための展望はみられなかった」――。上場企業の2014年4〜12月期決算の発表がピークを迎えた1月30日、大手自動車メーカーの本田技研工業(ホンダ)は同期連結決算を発表したが、東京・青山の本社ビルで開かれた決算説明会に出席していた国内外メディアの記者たちからは、こんな感想が漏れた。
ホンダの同期売上高は9兆2930億円と前年同期に比べて6.3%増加したが、本業のもうけを示す営業利益は5397億円と同7.7%の減少となった。しかも、通期業績見通しについては、売上高は前期比8.9%増の12兆9000億円を見込むものの、営業利益は同4.0%減の7200億円、純利益も同5.1%減の5450億円と減益となる。これまでの予想より営業利益で500億円、純利益では200億円それぞれ下方修正した。
昨年10月の段階での増益予想から一転してホンダが減益となるのは、東日本大震災やタイで発生した洪水による生産拠点の一時的な操業休止などのアクシデントが重なった12年3月期以来3年ぶりだ。岩村哲夫副社長は減益の理由について「主に日本、中国における厳しい市場環境による販売台数の減少や、北米を中心とした品質関連費用が増加しているため」と説明した。
中国では反日感情から相変わらず日本車に対する買い控えが影響しているとみられるが、これはホンダに限ったことではなく、トヨタ自動車や日産自動車などの日本勢も苦戦している。一方、国内市場は消費増税後の反動減から新車販売は伸び悩んではいるが、それでも14年の総台数は軽自動車が好調で、前年比3.5%増の556万2887台と3年連続で500万台を突破した。だが、ホンダの国内四輪事業は、売れ筋の軽自動車の割合が5割以上も占めているにもかかわらず、販売の不振が際立つ。
●販売計画目標、達成困難な情勢に
14年度期首に岩村副社長は「今期は国内販売2割増の103万台という数字にチャレンジしたい」と強気の計画を示し、「6車種のニューモデルを一気に投入する」とも宣言していた。さらに消費増税前の駆け込み特需に伴う反動減が気掛かりな昨年4月以降も、「消費増税の影響は軽微」などと息巻いていた。
しかし、主力車種である新型「フィット ハイブリッド」などの度重なるリコール(回収・無償修理)に加えて、米国で火の手が上がり国内にも飛び火したタカタ製欠陥エアバッグの品質問題も追い打ちをかけた。そのあおりを受けて、予定していた新型車の投入時期が大幅に遅れている上、既存車種の販売にも急ブレーキがかかる。ユーザーの購入が決まらないのに販売店が独自にナンバーの登録だけを陸運局に提出して手続きを済ませる、いわゆる「未使用車」で水増しする応急的な措置を講じても、当初の計画目標の達成が極めて難しい情勢となった。
このため、昨年10月末には目標を10万台下げて93万台に修正。さらに、3カ月後の今回の決算説明会でも約10万台少ない82万5000台に引き下げた。同じ車種が発売後わずか1年足らずの間に5回もリコールを届け出たことも前代未聞だが、年首の販売計画を年度の後半に2度も見直すというのも異例である。国内の大手自動車メーカーはトヨタをはじめ、マツダや富士重工業なども円安の追い風を受けて最高益を見込んでいるほか、利幅の少ない軽自動車が主力のダイハツ工業でも減益予想はしているものの、通期の販売台数や業績見通しは変更していない。
●社内外で広がる経営陣批判
朝令暮改の発想は創業者の本田宗一郎氏以来の伝統でいかにもホンダらしいが、その発想がまかり通るのは社内で自由に話し合う「ワイガヤ」会議での話。年4回の決算説明会で経営環境が様変わりしたことなどを理由にこれまで公表した数値目標をその都度修正するようでは、地に足の着いた経営戦略は打ち出せない。すでに、国内での販売が鈍化したことから生産設備に余剰が出て、国内生産の調整を余儀なくされている。国内販売の最前線でも、リコール車の修理とともに「未使用車」の在庫処分に追われている。
曖昧なビジョンと経営方針の度重なる変更は、企業を疲弊させかねない。ホンダでは、研究開発部門の子会社である本田技術研究所のトップを経験した技術畑出身の伊東孝紳氏が社長に就任し、事務系出身の副社長クラスに経営のやりくりは任せている。現在の経営陣についてホンダ関係者からは、千載一遇の円安のメリットも享受できない経営判断の甘さを指摘する声や、人心一新を期待する声も少なくない。ただ、社内では若手を中心に有能な人材は多くみられるが、しがらみを捨て危機感と緊張感を持ってマネジメントに取り組む後継者が存在するのかどうかは見通せない。
欧米では業種を問わず、経営のプロが企業を渡り歩くことは珍しくない。最近は資生堂やサントリーホールディングスなどの日本企業でも、経営のかじ取りを、生え抜きではなく、いきなり外部のプロに任せる動きがみられるようになってきた。この際、ホンダもグローバルな視点に立って経営体質を強化するためには、経験豊富で凄腕の「プロ経営者」を思い切って登用することも得策かもしれない。
松原高雄/ジャーナリスト
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