02. 2015年2月02日 16:57:40
: nJF6kGWndY
中高年男も、もっと女子力を身に付けた方が良いだろうなhttp://www.sankeibiz.jp/econome/print/150201/ecc1502011712003-c.htm なぜ「女子力の高い男」が急増したのか 「若者の消費離れ」は誤解 2015.2.1 17:12 「男性は消費しない」は典型的な誤解 いまどきの男性はなよなよしている--。確かに若い男性の「女子化」は流行語の常連です。「新語・流行語大賞」では、2009年には「草食男子」、10年には「イクメン」がトップテンに選ばれ、13年にも「日傘男子」が候補語になりました。 私は博報堂ブランドデザイン若者研究所、通称「若者研」で2002年から、大学生を中心とした若者の消費行動を研究しています。 これまでに直接会って話した若者の数は1万人超。その経験でも、この数年、手作りの弁当に凝ったり、部屋に花を飾ったり、化粧ポーチを持ち歩いたりする「女子力の高い男子」が増えている実感があります。 私はこうした男性を「女子力男子」と名付け、その消費行動を調べました。81人のリアルな姿は拙著『女子力男子』で詳しく紹介しています。 こうした「なよなよした男性」に対して、オジさん世代は「元気がない」という印象を持つようです。しかし私の印象は正反対です。 若年女性は、「男女雇用機会均等法」が施行された1986年前後の変化が最も大きく(※1)、最近では専業主婦志向を強めるなど徐々に保守化しているように感じます。 これは女性の労働率は大幅に上がった一方、男女の賃金格差は依然として大きく、非正規雇用率も高いという厳しい現状を反映したものでしょう。 これに対し、若年男性はこの数年、「女子力」を身につけるという方向で急激に変化しています。ここには市場としても大きな魅力があります。典型的な誤解のひとつは「若者の消費離れ」というイメージです。 その契機は、私見では、2007年8月の日経MJの特集記事「巣ごもる20代」です。記事は「車は不要。モノはそれほど欲しくない。お酒もあまり飲まない」という書き出しで始まり、「堅実・小規模な暮らしを好む若者たちの『ミニマムライフ』が浮き彫りになった」としています。 ※1:たとえば1990年に流行語大賞で新語部門・銅賞を受賞した「オヤジギャル」がその典型例。中尊寺ゆつこのマンガ『スイートスポット』からきた言葉で、バブル全盛期、オヤジの領域だった居酒屋、競馬場、パチンコ店などに堂々と出没する女性が現れた。 ところが事実は異なります。1980年から2013年の1カ月の消費支出を年代別にみてみると、30〜50代はこの約30年で3万円以上も減る一方で、20代の減り幅は約1万5000円です。つまり若者はほかの年代にくらべて、消費をしなくなって「いない」層なのです。 では何が減っているのか。それは車、バイク、タバコ、酒、パチンコなどの「男性型商品」への支出です。 実は若い男性ほど「酒」より「菓子」に消費が移っています。総務省の「家計調査」によると、34歳以下の単身男性の支出額は2003年まで「酒類」が「菓子類」を上回っていました。ところが04年に支出額が逆転すると、その差は年々広がり、13年の支出額は「酒類」が1万4182円に対して、「菓子類」が2万8319円と差はほぼ倍です。 博報堂生活総合研究所の調査「生活定点2014」でも、20代の男性で「お酒を飲まない」と答えた割合は直近の14年で26.0%です。20代男性の4分の1がお酒をまったく飲まないということになります。98年では14.3%ですから、酒離れはかなり進んでいます。 飲み方にも変化があります。いまどきの若者にとって男女の割り勘は珍しくありません。マクロミルが11年の新成人を対象に行ったアンケートによると、「飲食費の支払いは、年齢や性別に関係なく『割り勘』がよい」という意見に対して、「そう思う」派は、女性が62.4%、男性が55.2%。また「デートの支払いは男性が多く出すものである」に対しても、全体の半数が「そう思わない」派でした。 若年男性はライフスタイルが変化した結果、「男性型商品」から離れているだけであって、決して消費自体が減っているわけではありません。その矛先として「女性型商品」への関心を高めているだけなのです。いわば男性向け市場の「進化」です。 スイーツには「いいね」、「嵐」みたいに仲良し この市場は依然として過小評価されています。昨年、ある大手企業の幹部から新商品の相談を受けました。私は「女子力男子」の市場について解説したのですが、「でも女性向けの商品を使っているわけですよね。まあせいぜい『男でも使えます』などと包装にひとこと足せばいいのでは」という反応でした。これも典型的な誤解です。 大事なポイントは「女子力男子」は、現状に満足しているわけではなく、女子向けの商品を仕方無く買っているだけなのです。「女子力男子」の多くは化粧水などの基礎化粧品を愛用していますが、悩みや不満を抱えています。男性向けは「刺激や香りがキツい」、一方で女性向けは「男が使っても違和感がないか、わからない」。彼らに向けた商品作りをすれば、新市場が拓けるはずです。 こうした「男子の女子化」の背景にあるのは、経済的要因による男女の役割の変化です。 日本経済が成長期を終え、成熟期に入ったことで、時代の空気全体が柔らかになりました。男性型の「競争社会」から女性型の「協調社会」になったとも言えます。女子力男子が急増した「ゆとり世代」は1987年生まれより下の世代。この世代の男子は、同性にも異性にも虚勢を張ることが少なくなっています。 世代は少し上になりますが、象徴的な事例が男性アイドルグループ「嵐」です。メンバーの櫻井翔さん(82年生まれ)は「放課後にクラスの黒板の横でバカなことばかりやっている男子を、遠目で女の子が笑って見ている感じ」と表現しています。彼らの今っぽい男子同士の自然体での仲の良さが、男女を問わず広く受け入れられる理由でしょう。 さらにソーシャルメディアの普及も理由のひとつに挙げられます。若者にとってのソーシャルメディアとは、何かを議論する男性的な場ではなく、押しボタンの「いいね!」が象徴するように、皆で共感しあう女性的な場です。 「いいね!」が集まりやすいのは、観光地やファッション、スイーツなどの写真。そうした女子のやりとりが目に入れば、流行に対する関心や知識も増え、「俺もやってみよう」と写真を載せる男子も出てきます。つまりソーシャルメディアが普及するほど、「女子化」が進むのです。 同じ現象はアジアの若年男性にも広がっており、経済発展や都市化の進展と密接な関係があります。 私の実感では、「女子力男子」の多い都市は、第1陣が東京、それに次ぐ第2陣がシンガポール、台北、香港、第3陣が上海、ソウル、クアラルンプール、第4陣がバンコク、第5陣がジャカルタ、マニラなどです(※2)。第5陣はまだ従来のマッチョ志向の男子が主流の段階で、女子にもか弱い印象がありますが、確実に「女子力男子」は増えつつあります。 ※2:『女子力男子』では、第五陣として、ジャカルタ(インドネシア)、ホーチミン(ベトナム)、マニラ(フィリピン)、プノンペン(カンボジア)、ヤンゴン(ミャンマー)があげられている。 いまアジアで最も「女子力男子」が多い日本で、そこに向けた商品開発を進めれば、やがて成長しはじめる「アジアの女子力男子」という巨大市場を狙えるはずです。 私の仕事は、経済成長を知らない世代の変化を分析することです。若者研究はこれまで先行世代が参考になりました。バブル世代を分析するには、団塊世代を参考にすればよかった。 ところが日本経済が成長期から成熟期に変化した90年代から、過去のマーケティングは通用しなくなりました。そうした若者の消費行動の変化を、私は「さとり世代」や「マイルドヤンキー」といった概念で分析してきました。「女子力男子」は、一連の野太い流れをとらえたキーワードです。すぐに勢いを失う流行ではないのです。 (マーケッター 原田曜平=答える人 神田桂一=構成) 「口説かれたい」日本女子、「口説けない」日本男子 男はいまだ、デートで女におごるべきか 男性に向く仕事、女性に向く仕事はあるか |