01. 2015年1月30日 21:01:28
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焦点:乱高下始めた円金利、安易な「日銀トレード」に警鐘の声 2015年 01月 30日 14:59 JST [東京 30日 ロイター] - 日銀の量的・質的金融緩和(QQE)による国債大量購入で低下基調を続けてきた円金利市場で、にわかに金利の乱高下現象が起きている。新発国債購入直後に日銀に売却して利ザヤを稼ぐ「日銀トレード」の裏をかいた一部参加者の「奇襲」が原因とみられるが、この先の市場環境激変時に、同じような乱高下が起きかねないと警戒する声が浮上している。<意表突かれた「日銀トレード」前提の参加者> 「この低金利では、多くの投資家はリスクとリターンが合致しないのではないか」──。1月20日の取引で瞬間的に0.2%を割り込んだ10年最長期国債利回り(長期金利)の水準について、生保の関係者が分析する。 リスクに合わない水準にもかかわらず、金利が低下を続けた背景について、ある国内証券の債券担当者は「10年債が0.3%を割り込んだあたりから、投資家の買いが極端に細った。年明けの相場は、まるで業者主導のディーリング相場だった」と振り返る。 ディーリング相場に拍車を掛けたのは、いわゆる「日銀トレード」だ。国債入札で落札した新発債をできるだけ低い利回り(高い価格)で日銀の買い入れオペを利用して売却することで利益を得る取引だ。国債買い入れスキームが円滑に機能するためには、売却時に利益が生じる金利低下が必要になる。 22日午後に突如襲った相場急落。無難な結果だった20年債入札後に、超長期ゾーンにまとまった売りが持ち込まれたのをきっかけに、長期金利は一時0.325%に急上昇した。「低ボラテリティ相場で、ディーリング収益の低迷に悩む一部投資銀行が、売りを仕掛けたのではないか」(国内金融機関)との観測がある。 翌日23日の日銀買い入れで、いわゆる「日銀トレード」を目論んでいた業者にとって、思わぬ相場急落に意表を突かれた。 超長期を対象にした日銀買い入れは23日分が終了すれば、最短で2月2日まで間隔が空くとの読みも、仕掛け的な売りを誘ったもようだ。日銀トレードを逆手に取った取引に「十分にヘッジ(損失回避)をせずに入札に臨んだ業者は、損失を抱えたのではないか」と国内証券の関係者が話す。 イールドカーブ上、割安となった20年債に1.1%水準で国内勢の買いが観測され、超長期ゾーンはいったん落ち着きを取り戻しつつある。 しかし、売りのほこ先は割高な中長期ゾーンに波及。日銀が30日に実施した中長期ゾーンを対象にした3本の国債買い入れでは、応札額が軒並み1兆円を超えた。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券・債券ストラテジストの稲留克俊氏は「国債の保有リスクを減らすために、日銀への売り圧力が強まったのではないか」とみている。 <脳裏かすめる13年春の金利急上昇> 日銀買い入れで需給が引き締まり、金利低下を促すという国債市場の好循環もいったん影を潜めた。生保関係者は、不安定な相場展開について「投資家不在ともいえる中で行われてきた安易な『日銀トレード』への警鐘だ」と苦言を呈す。 日銀が2013年4月にQQEを導入した直後、長期金利は当時の過去最低0.315%から、わずか2カ月足らずで一気に1%に水準を切り上げた。金利急上昇によって、大きな損失を被った残像が今でも投資家の脳裏をかすめる。 東海東京証券・チーフ債券ストラテジストの佐野一彦氏は「日銀による大量の国債買い入れや欧州経済危機再燃、グローバル・リセッションのリスクなどによって、基本的に利回り低下は続く」との見方をしている。 一方で、市場流動性の著しい低下や日銀の出口政策の行方などを背景にしたボラティリティ拡大に警戒が必要とみている。 金融政策がもたらす相場のゆがみは円金利に限ったことではない。各国の中央銀行が供給した潤沢な流動性によって、リスク資産は実態以上に買われている面もある。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策正常化(利上げ)を進めれば、リスクマネーの流れに大きな変化が生じかねない。「すでに原油価格が急落しているが、今年は各アセットともボラティリティが高まる1年になるのではないか」(国内金融機関)との声もある。 (星裕康 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L30CQ20150130 来週の外為市場は原油動向に注目、一段安なら円買いも 2015年 01月 30日 16:38 JST [東京 30日 ロイター] - 日米欧の中銀による金融政策関連イベントが終わった来週の市場では、不安定要素として原油価格の動向が注目される。週末には米雇用統計を控えるが、結果が事前予想から大幅にかい離しない限りは、材料視されにくいと見られている。
予想レンジはドル/円が116.50─119.50円、ユーロ/ドルが1.100─1.150ドル。 <原油価格が不安定要素> 29日午前のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物取引で、米国産標準油種WTIの中心限月3月物は一時1バレル=43.84ドルと、前日に続いて2009年3月中旬以来5年11カ月ぶりの安値を更新した。 「グローバルな低金利が続く中、米国だけが利上げに向けて準備中だが、それがドル高に直接結びつくか否かは原油価格次第」だとFXプライムbyGMOの常務取締役、上田眞理人氏は言う。 原油が一段安となれば、リスク回避が台頭してドルも円も共に買われ、ドル/円の上昇幅より、ユーロ/ドルの下落幅が際立つ流れになる。この結果、クロス円での円買いが進む構図となり、特にユーロ/円、豪ドル/円などのクロス円では、下落リスクが高まるだろうと同氏は予想する。 <ユーロはじり安か> 欧州中央銀行(ECB)が22日に決定した総額1.1兆ユーロ程度の債券買入れ、すなわち量的緩和(QE)は事前予想を大きく上回る規模もさることながら、オープンエンドの資産買入策となった。 ユーロ/ドルは26日に1.1098ドルまで下落し、11年4カ月ぶり安値をつけた。 「今回のQEは、金融政策という観点に限れば、現時点で必要十分な政策対応と考えられ、ユーロは対ドル、対円で下落傾向をたどるとみている。短期的に対ドルでパリティを割るとは見ていないが、1.1ドルは下回る余地はあるだろう」とSMBC日興証券の米国担当シニアエコノミスト、丸山義正氏は予想する。 <ギリシャの新政権> 25日に行われたギリシャ総選挙では急進左派連合(SYRIZA)が第1党になり、149議席を確保した。 ギリシャへの現在の支援措置は2月28日に期限切れとなるが、ギリシャでの新政権樹立から1カ月ほどでトロイカとの交渉を合意にこぎつけるのは困難とみられる。 「トロイカも交渉期間を確保するため、半年程度の支援措置の延長を認める見込みで、信用補完のための予備的な融資枠の設定にも応じると考えられる」と丸山氏は言う。 ギリシャを巡る今後のシナリオとして、トロイカ側が、債務返済条件の限定的な緩和などの「小幅な妥協」による、ギリシャのユーロ圏残留がメーンシナリオだと同氏はみている。 <米雇用統計> 6日に予定される1月の米雇用統計では、平均時給が反発するかが焦点とみられる。前月分では非農業部門雇用者数が予想以上に増加し、失業率が低下したにもかかわらず、平均時給(前月比)が予想外のマイナスとなったことを受けて、利上げ期待の後退からドルが下落した。 米1月の非農業部門雇用者数は市場予想が23万人増(前月25.2万人増)、同失業率が5.6%で前月と変わらず。平均時給が0.3%増(前月0.2%減)。 (為替マーケットチーム) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L30IT20150130
1月ユーロ圏CPIは前年比-0.6%、過去最大の下落率 2015年 01月 30日 19:34 JST [ブリュッセル 30日 ロイター] - 欧州連合(EU)統計局が発表した1月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は、前年比で0.6%低下した。
市場予想は0.5%の低下だった。昨年12月は0.2%の低下。 1月の0.6%低下は、2009年7月に並ぶ過去最大の物価下落率。ユーロ圏は2009年6━10月にもインフレ率がマイナスとなっている。 物価下落は、燃料価格の急落が背景。エネルギー価格は8.9%低下、未加工食品が0.9%低下だった。サービス価格は1.0%上昇。 変動の大きいエネルギーと未加工食品を除いたコア指数は0.6%上昇。前月までの3カ月間は0.7%上昇だった。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L310N20150130 スイスショックの「意外な余波」=高島修氏 2015年 01月 30日 18:24 JST 高島修 シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 30日] - 目まぐるしく変転する為替相場ではすでに旧聞に属する話題といっていいが、今回はその実像が正しく理解されていないスイスフランショック問題を取り上げたい。日銀金融政策との比較をめぐって誤解があるほか、為替市場への意外な余波が今後予想されるからだ。 周知の通り、スイス国立銀行(中銀、SNB)は1月15日、2011年9月から1ユーロ=1.2スイスフランとしてきたフランの上限レートを撤廃(事実上のユーロペッグ制を解除)すると発表した。対ユーロ相場は一時0.85台へと急騰し、現在も1.0台前半で推移中。対米ドルでは1.02台から一時0.74台へ高騰し、現在は0.9台までは値を戻した。発表直後、スイスフランの上昇率は一時3―4割に達した。 通貨の歴史を振り返ると、通貨ペッグ制が売り崩された例は枚挙にいとまがない。最近の例で言えば、2002年のアルゼンチンのカレンシーボード制崩壊がある(対米ドル下落率は半年ほどで7割超)。 また、1997年のアジア通貨危機ではタイバーツなどが米ドルペッグ制度を放棄(バーツの対米ドル下落率は半年ほどで5割超)。92年欧州通貨危機の時は英ポンドやイタリアリラが欧州為替レートメカニズム(ERM)離脱を余儀なくされた(英ポンドの対独マルク下落率は半年ほどで約15%)。71年のニクソンショック(金ドル交換停止)とスミソニアン合意も、45年ブレトンウッズ体制以降の米ドルの金平価を切り下げるものだった(平価切り下げ率7.89%)。 一方、通貨切り上げ方向でのペッグ制崩壊は、アルゼンチンと同じカレンシーボード制を持つ香港が現在まで通貨制度を維持していることに象徴的なように、極めて稀である。近年で言うと、2005年7月の人民元切り上げが例示できるぐらいであろうか(対米ドルの切り上げ率は約2%)。 こう考えると、1月のSNBのユーロペッグ解除、一日で3割を超えたスイスフラン暴騰は、現代の通貨史の中でも歴史的な出来事である。オプション市場では、期間1週間のユーロスイスのボラティリティが40%台に達し、スイス株式市場の下落率が一時15%に及んだのもやむないことだろう。 <根拠なき日銀とSNBの同列比較> そのような「暴挙」にSNBが訴えたのはなぜだろうか。欧州中銀(ECB)の量的緩和導入やギリシャ総選挙を前にSNBが経済規模比で8割を超える外貨準備膨張に耐えられなくなったとの見方が市場では有力だ。 ただ、今思えば、昨年11月の金保有に関する国民投票が行われることになった際に、今回のペッグ放棄のリスクを予期すべきであったと思う。その時に筆者がそのリスクを的確に指摘できたわけではないが、今となってみれば、それほどまでにSNBの外準膨張政策に対するスイス国民の不安が強まっていたことのあらわれだったからだ。 日銀が主に日本国債という、自国政府が発行した自国通貨建て資産を主体にバランスシートを膨張させているのに対して、SNBは主にユーロ建て資産など海外資産の保有が増加し、しかもユーロ圏は構造問題から景気不振や政治・外交的混乱が続いている。その結果、SNBの緩和策にもかかわらず、ユーロ安フラン高の抜本的な解決が展望できず、底なし沼の様相を呈していた。それもスイス国民の不安を煽ることにつながったものと思われる。これが今回のSNBショックの底流に横たわる根源的な問題なのだろう。 逆に、自国資産でバランスシート膨張政策をとる日銀の場合、SNBが経験したような社会的・政治的逆風には直面しにくいはずだ。昨年末、国内総生産(GDP)比6割ほどだった日銀のバランスシート残高は来年中に9割に達することが予想される。市場では、早速、SNBと同じ基準(GDP8割)をもって、日銀の資産買い入れが難しくなるという指摘も聞かれる。 現に、この数カ月ほぼ一貫して金利低下基調を辿ってきた円債市場は今月半ばから不安定化し、突然、金利が上昇するような場面が目につくようになった。だが、SNBと日銀を同じ基準で比較し、何らかの相場展望を得ようとするのは、SNBと日銀が買い入れる資産の質の違いを考慮しない、全く根拠のない考察だろう。 だから、円債ロング、円ショートが妥当な投資戦略だと言いたいわけではないが、現段階で、過度に現在の日銀の政策に対して懐疑的になる必要はないと思う。むしろ、筆者の考えでは、財務省出身の黒田総裁率いる日銀は2017年に延期された消費再増税を強く意識した金融政策を行う公算が高い。その頃には、日銀のバランスシート残高がGDP比100%を超えることになるかもしれないが、2018年頃までは緩和策は長期化し、その間にさらなる緩和強化策が打ち出される可能性さえあるかもしれない。 注意しなければならないのは、SNBが直面したように、日銀の金融緩和策に対して、国民的な不満が高まることである。SNBが果敢な為替介入政策と金融緩和策を行ったにもかかわらず、ユーロの構造問題からユーロ安スイスフラン高トレンドを抜本的に是正することができなかったのとは対照的に、日銀の量的質的緩和は当初予想された以上に円安と株高を招くなど、現在までのところ、市場における効果は目に見えて顕在化している。 原油安もあって、日銀が2%のインフレ目標の達成時期を事実上、2016年度に先送りするような現状では、非現実的な想定ではあるが、将来、輸入インフレ圧力の高まりなどを受けて、物価高が国民生活を明確に窮乏化させるようなことになった場合に、そうした国民的な議論が高まり始めるリスクが浮上するのかもしれない。いずれにせよ、SNBとは異なって、バランスシート膨張そのものが、日銀が現在の政策を続けるにあたっての制約要件となることはなかろう。 <ユーロ以外の通貨への影響は> ところで、SNBのユーロペッグ制放棄は、為替市場に意外な変化をもたらすかもしれない。SNBのスイスフラン売り、ユーロ買いが減少することで、1)スイスフランは本来のファンダメンタルズバリューに向けた価格正常化の動きを受けて小高く推移し、2)一方でSNB介入という需給面でのサポートを失ったユーロ相場は従来以上に値崩れしやすくなるというのが基本的な考え方だ。 だが、やや複雑なことに、これまでSNBは為替介入で購入したユーロを外貨準備多様化のために売って、米ドルや英ポンドなどを購入していたと言われる。そこには円や加ドル、豪ドル、NZドルなども含まれていたと見られている。今後、SNBの為替介入が止まるということは、外貨準備多様化に伴うユーロ売り米ドル買いなどが減少するということだ。 もちろん、市場規模の大きいユーロドルやドル円、英ポンドなどでその影響が目立って顕在化することはないと思う。だが、市場規模がより小さい加ドルや豪ドル、NZドルなどでは、その影響は目立ちやすくなるかもしれない。 昨年12月半ば以降、原油など資源価格の下落が続く中でも、ECBの量的緩和策に対する思惑を背景にユーロ相場は対豪ドルで急速に下落してきた。だが、1月下旬に下げ止まったあと、このところは急速に値を戻し始めた。このユーロ高・豪ドル安は、米ドル買いの主な対象がユーロ売りから豪ドルなど資源国通貨売りに変化し始めた前兆のようにも見える。SNBの為替介入と外貨準備多様化が減少することの影響が出てきているのかもしれない。 *高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0L30CR20150130 |