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“黒田バズーカ「2」”から3カ月、「物価2%」に漂い始めた暗雲…“第3弾”発射はあるか
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150130-00000512-biz_san-nb
SankeiBiz 2015/1/30 14:12
日銀がサプライズの追加金融緩和を決めてから、31日で3カ月が経過する。「黒田バズーカ2」の不意打ちを食らった金融市場は大きく反応したが、日銀は今月に入って物価上昇率見通しを引き下げ、目標とする「27年度を中心とする期間に2%」の雲行きは怪しくなってきた。想定以上の原油安が続く中、市場からはもう一段の追加緩和を催促する声が後を絶たない。(米沢文)
「足元の物価上昇率は0%台後半で道半ば。2%を早期に実現するよう最大限の努力をしている」
29日の衆院予算委。日銀の黒田東彦総裁は原油安による物価の伸び悩みを認めながらも、2%の目標達成に向けた決意を強調した。安倍晋三首相も「金融緩和は確実な成果があがっている」と援護射撃した。
日銀が追加緩和に踏み切ってから、市場の景色は一変した。円相場は追加緩和発表前の1ドル=109円台前半から、12月8日には121円台後半まで下落し、約7年4カ月ぶりの円安水準となった。日経平均株価は同じ日に1万7935円64銭まで駆け上がった。
円安と株高は、輸出企業を中心に収益改善をもたらし、今春闘でも賃上げに向けた環境は整いつつある。また、訪日外国人は昨年1300万人を突破し、過去最高を更新。小売や観光も恩恵を受け始めた。
一方、急速な円安には副作用もある。原材料を輸入している企業や海外での生産が多い企業にとっては負担増となり、帝国データバンクの企業意識調査では、円安について「デメリットが大きい」との回答が46.2%を占めたのに対し、「メリットの方が大きい」との回答は7.2%にとどまった。
また、長期金利は今月20日に過去最低の0.195%をつけた。国際協力銀行の渡辺博史総裁が29日の会見で「リバウンドするときは注意しないといけない」と述べるなど、この先、金利が跳ね上がるリスクを警戒する関係者は多い。
低金利は家計にとっても一長一短だ。住宅ローン金利の低下で借り入れ負担が軽くなる一方、保険会社が運用難で一部保険商品の保険料を値上げしたためだ。
黒田総裁にとって、最も悩ましい問題が原油安の進行だ。日銀は今月21日、平成27年度の消費者物価の上昇率見通しを従来の1.7%から1.0%に引き下げた。原油価格次第で、一時的にマイナスに振れる可能性を指摘する声もある。
原油安について、黒田総裁は21日「やや長い目で見れば物価上昇要因になる」と強調したが、上昇率2%を実現する時期については「平成27年度の前後に若干はみ出る分はある」と述べ、28年度にずれ込む可能性に初めて言及した。
これに対し、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「日銀が描く一発逆転シナリオには無理がある」と指摘する。その上で、今年10月に物価上昇率2%の達成時期を後ろにずらすとともに、さらなる追加緩和に追い込まれると予想する。
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