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若者を食い物にする労働マルチ 甘い言葉で誘い、違法な低賃金・長時間労働(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/309.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 29 日 09:32:05: igsppGRN/E9PQ
 

若者を食い物にする労働マルチ 甘い言葉で誘い、違法な低賃金・長時間労働
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150129-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 1月29日(木)6時1分配信


 「労働マルチ」という言葉をご存じだろうか。最近はインターネット上などで目にすることも多くなったが、そもそも「マルチ」という言葉自体が法的に定義されていないため、いわゆるネットワークビジネスのような「マルチ商法」との違いがわからないという声も多い。そこで、今回はこの労働マルチの仕組みとその違法性について考察していきたい。

 そもそも、マルチ商法とはなんだろうか。警視庁のウェブサイトによると「商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法」と説明されている。

 商品として扱われるのは、化粧品、健康食品、健康器具などさまざまだ。そして、自分が勧誘した会員が商品を購入すると、その金額の数%が還元される仕組みになっている。

 「あなたが多くの人に商品の良さを伝えて、その人たちが商品を購入すればするほど、あなたの元には不労所得が入ってきます」

 こんな甘言につられて入会し、多くの商品を仕入れたり、友人を勧誘したりするようになる。しかし、思ったほど商品販売も会員勧誘もできず、結果的に借金や人間関係の破綻に悩まされるケースが多い。そのため、この商法は「特定商取引に関する法律」により「連鎖販売取引」として厳しく規制されている。

●労働マルチとはなにか?

 以上がマルチ商法の定義だが、今回のテーマである「労働マルチ」とはどういったものだろうか? 
こちらも明確な定義はないのだが、被害者や関係者の声を総合すると、以下のようになる。

 「『がんばれば高収入・好待遇が得られる』と説明されて、果物や雑貨の訪問販売に従事させられ、低収入で長時間労働を強いられるが、結果的に上層者に搾取されてしまう労働」

 具体的には、どのような流れで労働マルチが発生するのだろうか。まず労働マルチ企業は、求人情報誌やウェブサイトを通じて、以下のような求人広告を出すケースが多い。

 「セールスマーケティング、商品プロモーションのお仕事です」(未経験者歓迎!)
 ■正社員:月給20万円(税別)+交通費
 ■アルバイト:日給1万円(税別)
 ■委託業務:完全出来高制(売上金額の20〜40%支給)

 これを見た求職者は「未経験でもマーケティングやプロモーションに携わることができて、月給20万円なら魅力的」と考えて応募する。そして、あっさりと面接まで進み、そこで面接官にスケールの大きな話を展開される。

 「未経験でも、がんばれば月給50万円、100万円稼ぐのも夢じゃない」
 「海外研修もあって楽しいぞ」

 こんな話に興味を抱いた求職者は、次のステップである「職場見学会」に申し込む。実際に、職場で先輩たちの仕事ぶりを見学するのだ。そこで、笑顔満開のリーダーに迎えられた求職者は、このように畳み掛けられるだろう。

 「この仕事には夢があふれている」
 「がんばって独立すれば、自由が手に入る」
 「君もリッチになりたいだろう?」

 そして、進んだ最終面接の席では、面接官から次のような選択を迫られる。

 「地味な固定給の仕事と華やかな完全歩合の仕事、どちらがいいですか?」

 その場で即決を迫られた求職者は、より稼げる可能性のある「華やかな完全歩合」のほうを選んでしまうのだ。それが、過酷な労働マルチの入口とも知らずに。

●自覚のないまま続く労働マルチ

 労働マルチの主な仕事内容は、雑貨や食品、青果の訪問販売である。雑貨にもいろいろあり、菓子やカー用品をはじめ、飲食店のクーポンやウォーターサーバーを扱う業者まで存在する。一般的な1日の流れは、以下のようなものだ。

 朝7時くらいに出勤し、チームミーティングを行う。前日の活動報告やリーダーからの講話などがあった後、その日販売する商品を受け取って営業活動開始となる。

 カートに商品を詰めて、担当エリアをローラー作戦でしらみつぶしに回って販売していく。1日中販売した後、17〜18時頃にオフィスに戻る。販売分の売り上げを精算し、ミーティングを経て、だいたい21時頃に業務終了となる。

 販売金額は商材やエリアにもよるが、経験者の話によると、1日当たり数千〜1万円程度というレベルだ。そこから商品代等を差し引き、日給は3000円も残れば御の字というのが実態である。もちろん、販売できなければ日給はゼロになる。

 そういった条件にもかかわらず、その仕事を続けられるのは、「いつかは月収100万円!」と信じて努力するからであろう。

 マルチ商法の場合は、「その商品のユーザーとなり、さらには拡販してくれる売り子を自分の配下に多くそろえる」ことがミッションとなる。「自らがネットワークビジネスに参画している」という意識を持って関与しているケースがほとんどだろう。

 一方、労働マルチの場合は「自分がマルチに加担している」「マルチの片棒を担いでいる」という自覚がない、あるいは気づいていないというケースも多いようだ。

 なぜなら、労働マルチの企業側は、当然ながら「うちは労働マルチをやっています」とは言わないからである。あたかも普通の会社であるかのように存在しており、求職者も普通の会社という認識で入ってくる。入社後も、粛々と個人向けの物販をこなしていくのみで、理不尽なパワハラがあるわけでもないため、仮に疑問を抱くことがあるとしても、「長い時間働いているわりには給料が少ないかな…」と感じる程度かもしれない。

 しかし、「長時間働いても稼げない」という状況は、確実に働いている人の心身を蝕んでいく。さらにその裏側では、努力して獲得した売上金の多くが上層部に吸い上げられていくのだ。その点が、マルチの名が冠されるゆえんである。

 そんな、いつまでたっても報われない労働に貴重な時間を費やすわけにはいかない。では、どのようにすれば労働マルチを見抜くことができるのだろうか。

●労働マルチの特徴と見抜き方

 労働マルチを行っている企業は「厳密には法律違反に当たるグレーゾーンの部分を巧妙に隠して、対外的には良い印象をアピールして求人している」という点でブラック企業と共通している。したがって、特徴や見抜き方については、ブラック企業のそれと同じだ。特徴的なのは、以下のような点である。

(1)会社概要や職務内容の説明に「あいまいな横文字」が多用されている

 労働マルチ業界の代表的な企業である「N社」のウェブサイトを見てみると、同社の事業や業務内容について、以下のように説明されている。

 ・セールスマーケティングのプロが、商品やサービスを毎日10万人のお客様へ直接販売
 ・アカウントマネージャーがクライアント向けキャンペーン、販売戦略を企画
 ・国際感覚にあふれたスタッフと一緒に、商材を探したり、サービスの企画を直接お客様へ提供する仕事

 横文字が多用されていて一見華やかだが、実際は以下のようなことを格好よく言い換えているにすぎない。

 ・当社と契約している販売員が、あなたの会社の商品やサービスを「飛び込み販売」します
 ・リーダーが販売員に対して、当日回るルートを指示します
 ・雑貨類の飛び込み・新規開拓・訪問販売の仕事です

 実際は「青果の訪問販売」「カートに載せた雑貨を通行人に売り歩く」といった仕事だが、それを正直に喧伝しても多くの求職者が集まる見込みは薄い。だから「マーケティング」「商品プロモーションの仕事」などと言い換えて、クリエイティブな仕事に見せているのである。

 ちなみに、なぜ労働マルチが「プロモーションの仕事」と謳えるのかというと、

 「自社ブランドでは売れないような、知名度がない会社や商品力がない会社の商品を、気合で無理やり売る」=「販売促進」=「プロモーション」

という定義になっているからだ。あいまいな横文字でクリエイティブな印象を抱かせ、実際は不人気かつ過酷な仕事に就かせる。まさに、ブラック企業のやり口そのものである。

(2)採用基準が通常の会社と比べて明らかに緩い

 労働マルチを行っている企業の採用情報には「不問」というキーワードがあふれているのが特徴だ。例えば、

 「業界経験不問 未経験者歓迎」
 「学歴不問」
 「職歴不問」
 「年齢不問」
 「金髪OK」

 このようなキーワードが複数並んでいたら、逆に警戒すべきだろう。通常、人材の採用は慎重に経験や人柄を見極めて選考していくものである。それがここまで幅広く門戸を開いているということは、「常に募集・採用し続ける必要がある」、すなわち「業務内容や職場環境に問題があり、離職者が多いため」である、という可能性を考慮したほうがいいからだ。

(3)射幸心を煽るキーワードを並べる

 さらに労働マルチの企業は、若手の社員たちが楽しそうにスポーツをやっていたり、海辺でバーベキューに興じたりしている写真を並べ、

 「月収100万円/年収1000万円も可能」
 「海外研修あり」
 「自由な時間に働ける」
 「夢」
 「成長」
 「感謝」

というふうに、「自由で好待遇」を連想させるようなワードをちりばめている。求人広告を見た人の多くは「経験がなくても稼げそうだ」「クリエイティブで面白そう」と引き寄せられていくだろう。

 そして、一度入ってしまったが最後、報われない長時間労働を強いられ、稼ぎは一部の幹部社員だけがせしめてしまうというマルチの構図にはめられてしまうのだ。

●労働マルチの法的な問題点とは

 ここまで見てきて、「報われない長時間労働というが、それは本人に説明の上で納得して入っているのだから、違法ではないのではないか」と考える人もいるかもしれない。では、ここで労働マルチの法的な問題点について言及しておこう。

 まず、労働マルチが批判されるべき点は、

 「違法行為、もしくはグレーゾーンの行為を意図的に行いながら、対外的にはそれを隠して『やりがい』や『高収入』をエサに若者をおびき寄せ、搾取的労働を強いている」

というものである。具体的には、以下が違法行為、もしくはグレーゾーンの行為といえる。

 ・虚偽の求人広告(正社員やアルバイトも選択肢として提示されるが、いずれも選ぶと不採用になり、業務委託を選んだ人だけが採用される)
 ・業務委託契約を悪用した労働力とやりがいの搾取(業務委託契約を謳いながら、実質的には業務委託ではない)
 ・1日10時間を超える長時間労働
 ・実質的に最低賃金以下の労働
 ・社会保険未加入(求人広告では「社会保険完備」となっていても、業務委託契約のため適用されない)
 ・違法な労働条件をあたかも合法のように喧伝し、さらに本人自らその労働条件を選ぶように誘導する
 ・「今は新人だから稼げないだけ」「力がつけば年収2000万円になる」などと過度に射幸心をあおる
 ・組織に対してマイナスの言動は「ネガティブ」と受け取られて評価が下がる(評価が下がると昇進できないため、次第に会社に不都合なことは明らかにしなくなり、洗脳状態になる)
 ・恐怖を与えて行動を縛る(特に社会経験の浅い人は「世間ではこれが当たり前」という思い込みで深みにはまることが多い)

●労働マルチに業務委託が多い理由

 上記の「業務委託契約を謳いながら、実質的には業務委託ではない」という部分について、少し専門的になるが以下に解説する。

 そもそも、なぜ労働マルチの企業は販売員を正社員やアルバイトとして採用せず、「業務委託」という契約を結びたがるのだろうか。その理由は明確で、「企業側の負担や持ち出しがゼロになるから」である。

 正社員やアルバイト契約の場合、従業員は「労働者」として扱われ、最低賃金以上の給料を支払う必要が出てくる。さらに各種社会保険の対象になるなど、企業側にとっては本人に支払う給料以外の諸々の負担が発生することになる。
しかし、業務委託であればその必要がなく、完全出来高払いが可能になる。搾取する側にとっては、これほど好都合な契約はないのだ。

 しかし、人員募集において最初から「業務委託契約」の選択肢しかない場合、リスクを感じて応募は集まりにくい。そのため、条件のいい正社員やアルバイトの「見せかけの求人」を掲げて人を集めた上で「実際に採用するのは業務委託だけ」というカラクリを用いるのだ。

 しかも、無理に業務委託契約を強いるのではなく、「採用時にきちんと説明し、本人の意思で業務委託契約を選んだ」と言い訳できるようなかたちにしているのが巧妙なところだ。そういう状況にしておけば、違法にはならないのである。

 ただし厳密には、業務委託契約でも「実態的には労働者性が認められる」場合、業務受託者は業務委託者の労働者と判断され、労働基準法等が適用されることになる。

 業務委託社員か労働者かの判断基準は、どのようなものだろうか。以下は、一般的な業務委託の条件である。

 ・仕事の依頼や業務従事の指示を断ることができる
 ・仕事を進める上で、具体的な内容や方法の指示はない
 ・進捗状況の報告義務や勤務時間の管理はない
 ・代わりの者に業務を行わせることができる
 ・報酬が時間・日・月を単位とする労務ではなく、業務の成果に関して支払われている
 ・会社は機械、器具の負担はしていない
 ・機械等の負担をするため、報酬は他の一般社員よりも高い
 ・報酬に生活給的な要素はない
 ・他の会社の業務を行ってもよい

 労働マルチでは「集合時間、帰社時間が決まっている」「日々、業務内容についてミーティングがある」というのが一般的だが、これは上記の「進捗状況の報告義務や勤務時間の管理はない」という部分に実質的に反するので、明らかに労働者と判断されるポイントである。

 つまり、労働マルチの企業は長時間労働、最低賃金以下の低収入、社会保険未加入を強いて、若者に対してコストとリスクを押し付けようとする「労働基準法違反企業」ということになる。

●なぜ、そんな違法企業が存続しているのか?

 そういった、明らかに違法性がある企業がなぜ生きながらえているのか、疑問に思う人も多いかもしれない。その理由には、以下のようなものがある。

 ・そもそも、労働マルチという形態自体の社会的な認知度が低い
 ・労働法に詳しくない若者をターゲットにし、ポジティブなメッセージのみを繰り返しインプットするため、被害者自身に「被害者である」という認識が乏しい
 ・被害者であることに気づいても、対処法を知らないため泣き寝入りしてしまう(あるいは、ブラック企業の対応に時間や手間をかけるよりは、早く新しい会社で仕事を始めたいと思う)

 また、こんな見方もできるだろう。

 ・諸々の事情により就職が難しい人にとっては、労働マルチでさえも雇用の拠り所となっている
 ・労働マルチ企業の取引先(仕入先)である「自社に知名度も商品力もない企業」にとっては、月々の契約金も不要で、完全出来高で商品を売りさばいてくれるありがたい存在である

 たとえ労働マルチであっても、そこに価値を見いだす人がいる限り、息の根は止まらないのだ。

●気をつけるべきポイントは?

 当然ながら、あなたの貴重な人生をブラックな労働マルチなどに費やしてはならない。彼らは、無垢な若者を巧妙に採用して洗脳していくが、次のポイントに留意しておけば、人生を無駄にすることはないだろう。

 (1)上記「労働マルチの特徴と見抜き方」を参照し、あやしい会社には入らないことはもちろん、近づかないこと
 (2)労働基準法を勉強することで「自分たちの権利は何か」「どんな会社が違法なのか」といった基本的なことを知っておくこと
 (3)「何かおかしい」と感じたら1人で抱え込まず、ハローワークや労働基準監督署などの専門機関に相談すること
 (4)違法行為や搾取行為が判明したら、すぐに退社する(「石の上にも三年」というが、労働マルチはそんなに我慢するところではない)こと

 ブラック企業を根絶やしにする最も有効な手段は、「従業員と顧客がいなくなること」だ。もし、労働マルチのような悪意に満ちた企業に入ってしまった場合、すぐに見切りをつけて辞めるべきである。ブラック企業には「近づかない」「関わらない」のが一番だ。そして、そういう姿勢の人が増えることが、ブラック企業の完全消滅につながるのである。

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト


 

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コメント
 
01. 2015年1月29日 20:18:06 : UuTDohorr6
あの塩大福屋だ。

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