01. 2015年1月28日 23:25:10
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高値更新のフィリピン株、今年も好調持続かBy CHAO DENG 原文(英語) 2015 年 1 月 28 日 19:44 JST フィリピン株は今年も好調持続か Agence France-Presse/Getty Images 2008年の世界金融危機以降、世界で最高のパフォーマンスを見せている株式市場の一つがフィリピン株式市場だ。国内経済の急成長や原油価格の下落がプラスに作用するとの見方から、上昇基調が続いている。 主要株価指数のフィリピン総合指数はこの6年間毎年上昇して4倍となり、時価総額は2190億ドル(約25兆8400億円)に達している。今年に入ってからは5.5%上昇し、27日は終値ベースの過去最高値を更新した。インドとインドネシアの株式市場も過去最高値圏で推移している。 世界銀行によると、主な要因は若年人口の増加と、支出が多い中間層の形成で、フィリピンは過去3年間、年6%以上の経済成長を遂げている。世銀のエコノミストは、フィリピンの経済成長率は今年加速し、世界経済の先行きが暗い中で魅力が高まると予想している。 また、海外で働くフィリピン人労働者による本国への送金が消費を支えるとみられている。また、アキノ大統領が汚職撲滅やインフラ整備に取り組んでいることが、海外からの投資を呼び込んでいる。 商品(コモディティー)価格の下落は、ロシアやブラジル、マレーシアなどの新興国の輸出業者の業績を圧迫し、こうした国々に打撃を与えている。しかし、石油の純輸入国であるフィリピンにとっては、アジアの近隣諸国の多くと同様にプラス要因となる。エコノミストらは、交通費や家計費の減少で消費者は他の分野にもっとお金を回せるようになると予想している。 バンクオブアメリカ・メリルリンチは、フィリピンは原油安によって最大の恩恵を受けるとみられる国の一つだと指摘。原油価格が10%下落するごとに、フィリピンの経済成長率は0.3ポイント押し上げられると推定している。 世界で354億ユーロ(約4兆7000億円)を運用するベアリングス・アセット・マネジメントのマルチアセット・ファンドマネジャー、キエム・ドー氏は、フィリピンの「マクロ経済環境は良好だ」と述べた。 ベアリングスのファンドは、株価指数算出会社MSCIのアジア株ベンチマークより多くのフィリピン株を組み入れている。具体的には、ショッピングモールの運営会社や住宅関連企業など消費者に焦点を合わせた銘柄の比率を高めている。 世銀は、今年のフィリピンの経済成長率予想を14年の推定値(6%)を上回る6.5%としている。これは、近隣諸国のタイの3.5%、インドネシアの5.2%、ベトナムの5.6%をしのぐ水準だ。 HSBCホールディングスによると、最近の株価上昇でフィリピン株は割高になっている。2015年予想PER(株価収益率)は19倍超と、5年間の平均の16.4倍を上回る。アジア株(日本を除く)の平均PERは11.7倍だ。 しかしファンドマネジャーらは、フィリピン政府はタイなどの近隣諸国よりも安定していると指摘するなど、今のところ、こうしたプレミアムは許容範囲にあると考えているようだ。 世界で1440億ドルを運用するアメリカン・センチュリー・インベストメントのシニアポートフォリオマネジャー、パトリシア・リベイロ氏は「足元の株価水準が当社の経済成長予想にかなったものなら、PERが高くても問題ない」と語った。同社はフィリピンの食品大手ユニバーサル・ロビーナに投資している。 他にも明るい材料がある。フィリピン政府は今月、過去最低の利率で国債を発行し、20億ドルを調達した。これは、同国の債務返済能力に対する信頼が高いことを示している。先月、フィリピンペソ相場は比較的安定していたが、経常赤字を抱える隣国インドネシアではルピア相場が米ドルに対して下落した。 HSBCで日本以外のアジア株戦略の責任者を務めるヘラルド・ファン・デル・リンデ氏は、フィリピンは「インドネシアなどのように、激しい為替変動によるネガティブリスクがない」と述べた。投資家は、フィリピンの企業業績は大きく伸びる(15年の伸び率予想は12.8%)と信じている。アジアで企業の増益率加速が見込まれるのはインドと韓国だけだという。 リンデ氏によると、足元の株価水準から、フィリピン株には国内の利上げによって予想される影響は織り込み済みとの見方が大勢だ。利上げ観測はすでに昨年下半期に広がっていた。 またここ数週間、投資家は好調な新興国市場に再び目を向けている。米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利上げが予想されていることで米国市場に資金が戻っているが、日本とユーロ圏は大量の国債購入を予定しているため、多くの低リスクの投資商品の利回りは最低水準で推移している。このため、フィリピン株など潜在リターンが高い高リスク分野に資金が向かうとみられる。 2014年終盤にFRBの利上げに対する懸念が世界の株式市場を揺るがしたが、フィリピン総合指数は昨年1年間で23%上昇した。国際金融協会によると、昨年のフィリピン株への純流入額は13億ドルに達し、1月に入ってからも買いの勢いは続いている。 http://jp.wsj.com/articles/SB12431244049710433766304580427141688705582 |