http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/296.html
Tweet |
「貨幣数量式理論では説明できない」(EJ第3962号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/413060162.html
2015年01月28日 Electronic Journal
スウェーデン国立銀行のステファン・イングブス総裁は、次の
貨幣数量式が頭にあり、1931年の大恐慌のさい、消費者物価
指数年率2%プラスマイナス1%のインフレ目標を導入し、国を
危機から救ったのです。マネーと物価の関係についてよくわかっ
ていた中央銀行総裁だったからできたことです。
―――――――――――――――――――――――――――――
M(貨幣ストック)×V(流通速度)
=P(価格)×Y(取引量)
―――――――――――――――――――――――――――――
この式は何を意味しているのでしょうか。式を次のように書き
直して考えてみます。
―――――――――――――――――――――――――――――
V=(P×Y)÷M
―――――――――――――――――――――――――――――
これは、あるGDPを生み出すのに、貨幣が何回転しているか
を示しています。経済危機が起きると、経済活動が不活発になり
Vは小さくなります。
取引は、貨幣が仲介しています。たとえば、Pが100円の商
品を10個(Y)取引すると、取引額(PY)は1000円とな
ります。ここに貨幣が500円玉1枚(M)しかなかったとする
と、この500円が2回(V)使われると、うまく取引できるこ
とになります。
フィッシャーの交換方程式(MV=PY)は、「500円玉1
枚×2回=100円×10個」となり、「ある期間中に取引に使
われる貨幣流通量」と「財貨の取引額」とが等しいことを表して
います。
この同じ貨幣数量式について、経済学者の野口悠紀雄氏は同じ
式を示して次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
マネーストック×流通速度=物価水準×取引量
「流通速度」とは、「一定期間内において、貨幣が取引のため
に用いられた回数」と解釈することができる。この逆数を「マー
シャルのk」と呼ぶこともある。マネーストックが増えれば、物
価水準の上昇か、取引量の増加(あるいは両方)が起きるという
ものだ。しかし、実際はそうならなかった。
──野口悠紀元雄著/日本経済新聞出版社
『金融政策の死/金利で見る世界と日本の経済』
―――――――――――――――――――――――――――――
野口氏が「実際はそうならなかった」といっているのは、次の
ような理由からです。右辺の代理変数として「名目GDP」をと
ります。そうすると、式は次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
マネーストック×流通速度=名目GDP
―――――――――――――――――――――――――――――
日本のリーマンショック前の名目GDPは500兆円〜510
兆円の範囲です。しかし、リーマンショックによって、470兆
円程度にまで落ち込み、2013年7〜9月期までは、年換算で
480兆円未満の状態が続いたのです。
ところがM2(マネーストック)は、2008年8月の737
兆円から2014年8月の875兆円まで、伸び率約2%で上昇
しているのです。つまり、この場合、式の「流通速度」が低下し
てしまっているのです。
これによって、野口教授は、貨幣数量説が経済分析に使えるの
は、流通速度が一定である場合だけであって、変化してしまった
のでは使えない。したがって、貨幣数量説に依拠して量的緩和措
置を支持する人はいないといいます。
ワルラスの法則にしても、この貨幣数量理論にしても、中央銀
行が金融緩和をすることによってなぜ景気を押し上げるのか、今
ひとつわからないのです。経済学の理論はどうもまわりくどくて
曖昧なことが多く、スッキリとしないのです。とくにリフレ派の
経済学というのは、反対意見の持つ学者が多く、双方の意見を聞
いていると、明確な結論を出せなくなってしまいます。
ここで、根本的な疑問にメスを入れることにします。日銀によ
る金融緩和によって市中に多くのマネーが流れるのであれば、そ
れは間違いなく景気に影響することはわかります。
日銀は戦後の一定時期に「日銀窓口指導」をやっていたことが
あります。これは、昨年のテーマ「新自由主義の正体」のところ
で詳しく述べています。要するに、日銀の窓口指導とは、各金融
機関に貸出先を確保させたうえで資金を提供する方式で、これな
ら確実に資金は市中に流通します。景気に影響するのは当たり前
のことです。つまり、マネタリーベースはそのままマネーストッ
クにつながることになるわけです。
日銀が金融緩和でいくらマネタリーベースを増やしても、それ
は日銀当座預金に資金が積み上がるものの、金融機関がそれを引
き出して企業などへの貸出に回さなければ、お金は日銀当座預金
に積み上がるだけで、市中には流れないのです。それを防ぐひと
つの提言として、高橋洋一氏は次のようにも述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
私は「日銀が量的緩和をしないならば、政府が政府通貨を発行
してもいい」という政策提言を行なった。これに対して、不謹慎
な話だと批判をいただいた。もちろん、今の制度で政府にも通貨
の発行権はあるから、現行法の枠内でも可能な話だ。シニョレッ
ジ(通貨発行益)によって、量的緩和をすれば、必ず物価が上が
ることを言いたかっただけだ。政府通貨なら、シニョレッジがそ
のまま財政収入になって、物価を押し上げることを想像するのは
容易だからだ。長い目でみれば、政府通貨も日銀券も同じ経済効
果になるので、政府通貨の発行も日銀券が増刷される量的緩和も
効果は同じはずだ。 http://bit.ly/1Bimhsr
―――――――――――――――――――――――――――――
─── [検証!アベノミクス/44]
≪画像および関連情報≫
●マネタリーベースを増やせば物価は上がるか
―――――――――――――――――――――――――――
2014年7月2日に日銀は6月のマネタリーベースを発表
した。マネタリーベースとは日本銀行が供給する通貨のこと
であり、市中に出回っているお金である流通現金(日銀券発
行高と貨幣流通高)と日銀当座預金の合計値となる。現在の
日銀の金融政策の目標値としているのが、このマネタリーベ
ースである。たとえば金融政策決定会合の公表文を確認する
と、昨年4月の量的・質的緩和以前は「無担保コールレート
(オーバーナイト物)を、0〜0・1%程度で推移するよう
促す」となっていた部分が、量的・質的緩和以降は「マネタ
リーベースが、年間約60〜70兆円に相当するペースで増
加するよう金融市場調節を行う」に変更されている。そのマ
ネタリーベースが6月末に243兆4305億円となり、5
か月連続で過去最高を更新した。これはもちろん日銀が金融
政策の目標に向けて、大量の国債買入などにより資金供給を
行っていることが主因である。また6月は国債の償還月にあ
たることや、四半期に一度の貸出増加を支援するための資金
供給があったことも増加要因となった。今更ではあるが、で
は日銀は何のためにマネタリーベースを増加させているので
あろうか。それはむろん、消費者物価の前年比上昇率2%の
「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、で
きるだけ早期に実現するためである。
http://bit.ly/1Eoaqzh
―――――――――――――――――――――――――――
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。