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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 景気悪化の原因は分配の誤り
http://wjn.jp/article/detail/0366079/
週刊実話 2015年2月5日 特大号
政府経済見通しで、今年度の経済成長率がマイナス0.5%となることが明らかになった。リーマン・ショック直後の'09年度以来、5年ぶりのマイナス成長だ。これを受けて評論家たちの間では、「アベノミクスは失敗だった」という意見と「アベノミクスは道半ばで再び成長軌道を取り戻せる」という意見が対立している。
しかし、今年度のマイナス成長の原因は、アベノミクスではなく消費税率を8%に引き上げたことにある。消費税引き上げで実質所得が落ち込んだから、消費が不振になり景気が失速したのだ。実際、政府経済見通しをみても、今年度の消費者物価上昇率は3.2%で、賃金の伸び率をはるかに上回っている。今年度に入ってからの名目賃金の伸び率は、わずか0.6%に過ぎないから、実質賃金はマイナス2.6%。その結果、政府経済見通しでは、実質民間最終消費が前年比でマイナス2.7%となっている。実に単純で、実質賃金が下がった分だけ実質消費がマイナスになっているのだ。
ただ、冷静に考えてみると、消費税増税で庶民の所得を奪われても、それが誰かの所得に移転していれば、その人たちが消費や投資をするから、経済のパイが縮小することなどないはずだ。それでは、消費税増税のお金はどこに行ったのか。
まず、今年度の消費税増税に伴う国税の増収は、4兆5000億円。一方、今年度から復興特別法人税が前倒し廃止になったため、法人税が1兆円減収となっている。つまり消費増税の2割以上が法人減税に使われたことになる。また、今年度の当初予算は国債の利払いを除いた実質支出で、平年よりも1兆8000億円も増加ペースが高かった。昨年冬の国家公務員のボーナスは前年比21%の大幅増だった。これらに代表される大盤振る舞いが予算増の原因だ。そして政府は、さらに3兆1180億円の補正予算を決めた。つまり、大盤振る舞いは、総額5兆円と、消費税増税による増収を上回る金額に達しているのだ。
法人税減税や景気対策の恩恵を受ける勝ち組企業は、すでに300兆円以上の内部留保を貯め込んでいて、いくら所得が増えたからといっても、お金を使わない。だから景気が失速してしまったのだ。
この状況は来年度以降も続くだろう。政府がさらなる法人税の引き下げを決めたからだ。現在34.62%となっている法人税の実効税率は、来年度から2年かけて3.29%ポイント引き下げられ、31.33%となる。
実効税率1%の引き下げは、約4700億円の税収減になるため、3.29%の引き下げで、1兆5500億円の税収減となる。政府は、外形標準課税の拡大や研究開発投資減税の縮小によって1兆2000億円の税収に目処をつけているが、残りの3500億円の財源は確保できていないので、国の借金が増えることになる。
法人税の引き下げは、日本の国際競争力を確保するために不可欠だともいわれるが、アメリカの法人税の実効税率は40.75%。それより9.42%も低い水準まで法人税率を下げるのは、企業の強欲としか考えられない。企業は消費者相手にビジネスをしているのだから、自分たちの所得だけを増やすことが天に唾することなのだと、なぜ気付かないのだろうか。
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