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ダボス会議で持論を展開する日銀・黒田総裁/(C)AP
「物価上昇2%」に固執 日銀黒田総裁の“暴走”が止まらない
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/156733
2015年1月27日 日刊ゲンダイ
財務省は26日、2014年の貿易収支(速報)が12兆7813億円の赤字となったと公表した。赤字は4年連続で、金額は過去最悪だ。
「円安により、原油などの資源・エネルギー価格が上昇し、赤字幅が拡大した。円安を加速させた金融緩和“黒田バズーカ”が元凶です」(市場関係者)
黒田総裁は「物価上昇率2%」を達成するため、なりふり構わぬ緩和策に打って出ている。
「株価を上げる効果はあっても、国債を年間80兆円購入するなど、海外勢から見たら財政ファイナンスと判断されかねない。危ない橋を渡っている」(株式評論家の倉多慎之助氏)
そんな警告も黒田総裁には届かない。金融政策決定会合後の会見(今月21日)では、物価上昇率2%の実現に関し、「(15年度から)若干はみ出る部分はある」としながらも、当初目標の「2年程度(15年度中)」にこだわりを見せた。
ダボス会議に出席するため訪れたスイスでは24日、海外メディアに対し、「(金融緩和の)選択肢はたくさんある。技術的に限界があるとは思わない」と言ってのけた。
「黒田総裁は物価上昇率2%を達成するためなら、躊躇なく追加緩和に踏み切るでしょう」(第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏)
追加緩和で円安はさらに加速し、貿易赤字はますます拡大していくことになる。
「物価はある程度上昇したのだし、もはや2%にこだわる必要はない。『2年程度』という期間を引っ込め、もっと柔軟になったほうがいいのではないか。これ以上、円安が進むと、経常収支は赤字に転落する危険が高まります」(ニッセイ基礎研究所専務理事の櫨浩一氏)
国全体の収支を表す経常収支(貿易収支、サービス収支、投資収支など)が赤字転落したら、世界の金融市場は「双子の赤字」(財政赤字と経常赤字)と騒ぎ出す。日本は1980年に原油価格の上昇で経常収支が赤字(ドルベース)に陥って以降、年間での赤字はないが、13年下期、14年上期と連続で赤字だった。
「円安進行と原油価格の反発が重なったら、年間での赤字転落は十分にあり得る事態」(市場関係者)だ。
双子の赤字は国力の低下を意味するので、海外ハゲタカ勢は間違いなく「日本売り」を仕掛けてくる。その引き金を、4月にも予想される追加金融緩和“黒田バズーカ3”が引きかねないと、市場は懸念している。
「2年程度で2%上昇という約束に固執するのなら、進退を考えたほうがいい」(金融関係者)
金融市場は“黒田暴走”を警戒し始めている。
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