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ギリシャ選挙、ダボス会議、貿易統計など
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52683332.html
2015年01月26日 在野のアナリスト
イスラム国について、政府が『ISIL』で呼称を統一するようですので、当ブログもISILとします。しかしこの報道で、相変わらず違和感があるのは『ヨルダンが板ばさみ』とか『ヨルダンが苦境』という表現です。ヨルダンは日本からの見返りとして、十分な補償があるならそうするでしょうし、ないなら自国のパイロットを優先するだけです。親日国ですから、無碍な扱いはしませんが、ヨルダンが困ることは一切ありません。ただし日本の現地対策本部が置かれていることで、余計な仕事が増えたこと、については困ったと感じているのかもしれません。
むしろ困ったのは日本です。直接交渉が拒否されたようなものですから。問題は、仮にヨルダンに補償金を払い、女性死刑囚が釈放された場合、その補償金の一部がヨルダンからISILに渡るケースです。つまり、これまでの要求金額より上積みする必要が出てきたのかもしれません。
もう一つ、米英が日本の対応を支持している、と好感するむきもありますが、米英にとっては日本がテロとの戦いに前のめりになることが好ましいのです。自衛隊派遣は期待していなくとも、支援金が絞りとれる。これはクソコラ画像を送りつける行為も同じ。これを『表現の自由』などと囃したて、好感するのは、それでISILの怒りを買い、日本でテロが起きれば否応なく、日本もテロとの戦いに巻きこまれます。そうした裏の思惑にも思い至らず、ただ評価された、とだけを好感してはいけません。直接交渉すらできず、テロの標的になることは、より他の国や国際社会の助けが必要となる、極めて危険な状況におかれるのと、同義でもあるのですから。
ギリシャ選挙の結果、急進左派が過半数を獲得する勢いです。反緊縮派であり、財政再建路線の転換を訴えますが、EUからの離脱は否定しています。ただ財政出動の動きをEUは認めないでしょうし、それでさらに財政が悪化したら、どんなペナルティがあるかも分からない。短期では不透明感が薄れて材料出尽くしですが、今後も息が長く、市場の懸念材料として残ります。
週末には世界経済フォーラム、ダボス会議が開かれていましたが、ドラギECB総裁は出席せず、比較的コンパクトな開催となりました。しかしその中で重要なのは、どれほど金融緩和をしても成長しない、縮小へと向かいつつある世界経済に対して、悲観的な人が増えている、ということです。金融緩和の効果を信じられた昨年とは様変わりし、地政学リスクの高まりや暴走しだした市場、米国頼みの片足立ち、など不安材料には事欠かない事態に、表情も暗かったと伝わります。
そんな中、日本では12月の貿易統計がでてきました。輸出が前年同月比12.9%増ですが、ほぼ円安が10%以上ですので、整合的です。ただし数量ベースで3.9%増となり、市場はこれを好感しました。しかし原油安で自動車が伸びた北米、中国を初めとするアジアへの半導体が伸びたのであり、一時的要因にみえます。国内生産回帰の流れも、輸入するより内製する方が得、という判断によるもので、それを輸出する計画にまで至っていない。それは円安の継続性に疑義があるためです。
しかし、輸入の数量が前年同月比1.8%減。これは内需の低迷を示しており、小麦、大豆、牛肉などの必需品の多い米国からの輸入は、円安以上に増えており、逆に完成品の多い欧州からの輸入は減少しています。今後、ユーロ安に向かうとこれがまた変化するかもしれませんが、その一つの傾向として、欧州からの液化天然ガスの輸入がはじまり、代わってアジアからの石油製品の輸入が減った。円安により、新たな動向が垣間見られる貿易統計になっていますが、そこにダボス会議でも示された、世界経済の悲観論がどう関係してくるか。そこには金融緩和の正当性も関わりますし、日本と同じように反緊縮派の政権にとって代わったギリシャの動向も関わってきます。世界経済は正念場、今年の政治リスクも織り込まざるを得なくなっている、といえるのでしょうね。
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