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ECBが量的緩和を導入した意味  久保田博幸
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/265.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 26 日 18:02:05: igsppGRN/E9PQ
 

ECBが量的緩和を導入した意味
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20150126-00042549/
2015年1月26日 9時48分 久保田博幸 | 金融アナリスト


1月22日のECB理事会では、FRBやイングランド銀行、日銀と同様の国債買い入れ型の量的緩和策の実施を決定した。ECBの指揮によりユーロ圏の各国中銀が2015年3月から国債を含めて毎月600億ユーロの資産を買い入れ、それを2016年の9月まで続け、買い入れ総額は1兆ユーロを超す見通し。

毎月の買入額を決めて国債等を買い入れる形式はFRBと同様である。イングランド銀行は買い入れる全体の額をターゲットとしており、日銀はマネタリーベースの規模そのものをターゲットとして、国債については日銀の保有残高や買い入れる国債の平均残存年数も示していた。毎月の国債買入はそこから逆算し、償還分などを含めて決められる。

ECBの買い取りの対象はユーロ圏の政府債のほか、欧州連合関連の国際機関が発行するユーロ建て債券となる。これまでに実施した資産担保証券(ABS)などの買い取りも続ける。対象となるユーロ圏の国債にはギリシャの国債は含まれていないが、財政再建の公約を守る点などを条件に、今後対象に加えることも示唆している。これは25日のギリシャの選挙も睨んだものと言えよう。

ドラギ総裁は会見で「2%に近い中期的な物価上昇率の目標」に改めて触れており、達成が見通せるまで必要なら量的緩和を続ける考えを示唆した。つまり、「2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、量的・質的金融緩和を継続する」とした日銀のコピーともいえる。

なぜこのタイミングでのECBの量的緩和の導入となったのか。元々、ドラギ総裁はFRBのような国債買入による量的緩和導入を熱望していた。しかし、ドイツなどの反対により実現がかなわず、そのため利下げという形式での追加緩和を実施せざるをえなかった(今回もドイツ、オランダ、オーストリア、エストニアなどの反対はあったが、原油安によるCPIの前年比マイナスなどを理由に政治的な根回しも完了し押し切った格好か)。そのECBの利下げにより政策金利の下限がマイナスとなっている。

2014年6月のECB理事会で政策金利は0.1%引き下げられ、リファイナンス金利が0.25%から0.15%となった。コリドーとよばれる政策金利の上限と下限については、上限金利が0.4%%に引き下げられ、注目された下限金利であるところの中銀預金金利(預金ファシリティ金利)はマイナス0.1%となった。ECBの発表した声明文によると、マイナス金利は預金ファシリティ金利だけでなく「超過準備」や政府預金などを含めてユーロシステム内にある同様の預金に関して適用されるとある。

この超過準備などの金利がマイナスとなっているということは、民間金融機関が保有する国債を中央銀行に売却し、その資金を置く場所の金利がマイナスとなっているということになる。そうなれば当然そこに残したくはない。他の運用先がさらなるマイナスでない限り、金利がプラスの運用先にある程度流れることが予想される。

日銀はこの超過準備の金利をプラス0.1%にしているため、民間金融機関が国債売却で得た資金は日銀の当座預金に残り、それによりマネタリーベースが増加していく仕組みとなっている。ECBはここをマイナスのまま量的緩和に踏み切った。これはマネタリーベースの規模を大きくさせにくくするのではなかろうか。ただし、今回のECBの量的緩和であげたターゲットは買い入れる国債などの資産の規模であり、日銀のようなマネタリーベースとはなっていない。

日銀はマネタリーベースを思い切って大きくすれば、インフレ期待が強まり、それで2%の物価目標が達成できるとした。その意味では超過準備の0.1%の付利を残した意味はある。しかし、ECBはマイナスのままとしたのは、ECBの量的緩和の目的が、国債買入により通貨ユーロの下落を誘い、それによって物価の下落を食い止めるというものであったのかもしれない。

通貨高を止めようとしたスイス中央銀行がこのECBの量的緩和を睨んで、スイスフランの上限を撤廃し、スイスフランは急騰した。無制限介入ですら通貨安を招くことは難しい。

日銀とECBは結果として、国債利回りの低下を促すような格好となったが、国債の利回りも市場で決定されるものである。しかも、その金利はマイナスという異常な状況に入り込んでおり、金利低下による影響については限定的とみられる。

日銀がどれだけ国債を買い入れようと物価は上がらず、原油価格の動向に左右されてしまうことを日銀は認めてしまった。イングランド銀行とFRBは大規模な国債買入からは手を引いたが、日銀は大胆な国債買入を継続させ、そこにECBも加わった。これが何を招くのか。中央銀行の買入による国債バブルという、かつてない状況は結果として何を引き起こすのか。相場である以上、いずれ想像できない格好でその反動がくるであろうことも予想される。そのリスクをECBはさらに高めさせたともいえるのではなかろうか。

 

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コメント
 
01. 2015年1月26日 18:12:09 : nJF6kGWndY

>日銀がどれだけ国債を買い入れようと物価は上がらず、原油価格の動向に左右されてしまうことを日銀は認めてしまった。

そして、市場は次の手を期待し始め、黒田は、期待を刺激するわけだなw

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIR9SU6TTDSB01.html
黒田総裁は追加緩和の選択肢は「たくさんある」と言明。「どの国にも、グローバルにも、短期国債、長期国債、社債、

ABS(資産担保証券)など非常に多くの金融資産がある。もし緩和が必要であれば技術的に限界があるとは思わない」

と語った。日銀はより創造的にならければならないのか、との質問に対しては「そう思う」と答えた。


02. 2015年1月26日 22:56:56 : jXbiWWJBCA

欧州危機再発の懸念、そのリスクを探る 金融アナリスト・久保田博幸
THE PAGE 2015/1/26 19:00

[写真]1月22日、ECBは量的緩和策の導入を決定した。写真はドラギ総裁(REX FEATURES/アフロ)
[拡大]
 2015年の世界経済の行方を見る上で、欧州の動向が大きなポイントになる可能性があります。1月22日のECB政策理事会では量的緩和策の導入を決定しましたが、これは欧州でのデフレの懸念の強まりに対するものでした。ECBの指揮下で、ユーロ圏の各国中銀が3月から、国債を含めて毎月600億ユーロの資産を買い取り、それを来年の9月まで続け、買い取り総額は1兆ユーロを超す見通しです。今回のECBの量的緩和の背景には、原油価格の下落などにより、ユーロ圏の消費者物価指数が前年割れとなったことや、ユーロ圏の景気指標の悪化があります。

 このECBの動きを事前に察知して、1月15日にスイス国立銀行は、スイス・フランの上昇を食い止めるために設定した対ユーロの為替レートの上限を撤廃しました。これは市場ではサプライズとなり、スイス・フランは急騰し、スイスの10年債利回りはマイナスとなりました。すでにドイツやフランス、イタリア、スペインなどユーロ圏の長期金利は軒並み過去最低を記録しています。この背景にはECBの量的緩和への期待もありましたが、ユーロ圏の物価の低迷も大きな要因となっていました。

 欧州のリスクとしてまず意識すべきは、このデフレへの警戒とユーロ圏の景気の低迷です。ECBの量的緩和により通貨ユーロが思惑通りに下落したとしても、物価が上昇する保証はありません。原油価格の低迷が続けば、ECBに対してさらなる追加緩和を市場が要求してくる可能性もあります。今後の原油価格の動向を見る上では、低価格戦略を仕掛けているとされるサウジアラビアの動向も要注意ですが、アブドラ国王が死去したことで、これまでの戦略が継続されるのかどうかも注目されています。いまのところこれまでの戦略が継続されるとの見方が強いようです。

 また、欧州のリスクを見る上で最も注意すべきはギリシャの動向です。ギリシャ議会は昨年12月29日に大統領を選出できなかったため、1月25日に総選挙が行われました。その結果、野党であった急進左派連合がサマラス首相率いる新民主主義党(ND)を破り勝利しました。緊縮財政に反対する急進左派連合が第1党となり、ギリシャのユーロ圏からの離脱の懸念が出てくることも予想されていましたが、ここにきて急進左派連合はギリシャのユーロ離脱には慎重な姿勢を見せています。今後はあらたなギリシャの政権がドイツなどと妥協点を探ることになります。

 ECBは今回の量的緩和において、ギリシャが救済に伴うEUによる監視プログラムの下にとどまっていれば、7月以降にECBはギリシャ国債を購入できるとしました。ギリシャの政権が変わり、引き続きギリシャがユーロ諸国からの支援を得られるのかも注目材料となります。ギリシャがユーロ圏離脱のリスクを取る可能性は、以前に比べればそれほど高くはないものの、夏には救済資金が底をつき、何かしらのきっかけで離脱懸念が強まると、第二のギリシャ・ショックが発生する可能性はあります。

 ユーロ安を意識したECBの量的緩和が実施されたなかでのユーロ危機の再来となれば、ユーロが急落する可能性も出てきます。外為市場では、ユーロと日本がそれぞれ中央銀行の金融政策で結果として通貨安政策をとっていることで、どちらの通貨が売られやすくなるのかも要注目です。

 過去最低を記録しているユーロ圏の長期金利は今後さらに低下する可能性がありますが、これはいわゆる国債バブルとも言える状況です。もし何らかの原因により、この国債バブルが崩壊した際には、金融市場で大きなショックが走る懸念があります。欧州の国々の長期金利の低下により、日本の長期金利の低下が促されている面もあり、欧州の長期金利低下の流れに変化が生じた際には、日本国債の動向にも影響が出ることが予想されます。
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本当に日本に工場は戻ってくるのか? ── 製造業国内回帰の動き
最終更新日:2015/1/26 19:00
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150126-00000010-wordleaf-nb&p=1


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