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ドラギバズーカの効果は? photo Getty Images
黒田バズーカより効果はあるか? 「ドラギバズーカ」発動後の為替相場を読む
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2015年01月25日(日) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
1月22日、欧州中央銀行(ECB)は、事前の予想通り今年3月から量的緩和(QE)を実施することを決定した。規模は600億ユーロ/月、期限は取り敢えず2016年9月まで、ただし消費者物価指数が2%の水準に届かない場合は延長されることになった。
今回の量的緩和策で、ECBが購入対象とするものは主に投資適格級の域内のユーロ建て国債等となる。一定の条件が付けられるものの、懸念されているギリシャなどの国債も買い入れられる見込みだ。
ECB内部には反対意見もあったが、QEの内容はほぼ予想通りだった。買入れ金額が当初の予想(月額500億ユーロ)を上回った点は評価に値する。だが、原油価格の下落、構造改革への取り組みが進んでいないこともあり、QEがデフレリスクを払拭できるかは不透明だ。
■QEだけで景気は回復しない
QEの決定を受けてユーロは対ドルで11年ぶりの安値にまで下落した。通貨安は、輸入物価を押し上げるため物価上昇の要因となる。また、輸出企業の業績回復を通した波及効果も期待されるだろう。
ただ、QEは、それ以外の需要を喚起する取り組みと同時に進められるべきだ。QEだけで、目論見通りの効果が出るとは考えにくい。
すでに、ECBはLTRO(長期リファイナンスオペ)や資産担保証券の購入など、積極的に流動性を供給してきた。にもかかわらず、物価は低迷している。これは、QEと併せて、需要喚起のための“構造改革”が不可欠であることを示唆する。
現時点でユーロ圏の内需回復につながる改革は提示されていない。流動性の供給にもかかわらず物価が低迷していることを踏まえると、QEの効果が表れるまでには時間がかかるだろう。その間に追加的に物価が下落するリスクもある。
足許では各国が緩和的な金融政策を志向しつつある。もし、ECBよりも日銀の緩和策が強力だと市場が考えれば、ユーロは対円で上昇するかもしれない。構造改革が進まない場合、物価目標達成のために想定以上の緩和を続けなければならない可能性もある。
■迷路に迷い込んだECB
QEの発動後、ユーロ圏に加盟している各国中央銀行のバランスシートの棄損リスクは高まるだろう。それは、中長期的なユーロ安、周辺国の金融システムへのストレスを高め、域内外の経済を不安定化させるリスクを孕んでいる。
その背景には、ユーロ加盟国の中銀が買い入れた国債のリスクの80%を負担し、20%をECBが負担するQEの仕組みにある。ギリシャの国債も買い入れられる可能性があり、各国の中銀が買入れ資産の下方リスクに耐えられなくなる展開は排除しきれない。
それはリスクオフにつながる可能性がある。市場の混乱が消費を一段と抑制させるなら、ECBは追加緩和を打ち出すだろう。それは追加的にユーロ安圧力を高め、ECBは出口の見えない緩和に向かうことになるかもしれない。
新興国の景気低迷、原油価格の下落もありデフレ圧力は高まりやすい。それはECBによる追加緩和の期待を高めるだろう。ECB版のQE1、QE2、QE3…という具合に、QEが続けられる可能性もある。以上より、当面、ユーロは軟調に推移しやすいだろう。
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