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夢の経済ゲーム 12 アメリカはシニョリッジで食っている
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2015-01-21 05:53:20 ひょう吉の疑問
無から有を創り出す通貨発行益のことをシニョリッジという。
この手品のような通貨発行益は、ヨーロッパでは、金匠であるゴールド=スミスたちがお客から預かった金貨を無断で他人に貸し付けて利息を取ることから始まった。
さらに金貨の預かり証が紙幣として流通するようになると、ゴールド=スミスたちはその預かり証そのものを乱発し始めた。これこそ無から有を生ずるシニョリッジである。
このシニョリッジがもたらす利益は莫大である。これさえあれば何でもできる、まさに『打ち出の小槌』である。
現在このシニョリッジの恩恵を最大に受けているのがアメリカである。
このシニョリッジの利益をめぐって、第二次大戦中の1944年のブレトン・ウッズ会議で、イギリスとアメリカとの間で攻防が繰り広げられ、アメリカが勝利して世界のシニョリッジを手にした。それがアメリカドルが世界の基軸通貨になったことの意味である。
現在アメリカが輸入だけで食っていけるのも、このシニョリッジのおかげである。アメリカはその中央銀行であるFRBがドルを印刷するだけで、世界中からあらゆるものを輸入することができる。
現在世界の基軸通貨はドルである。国家間で貿易が行われるとき、大半はこの基軸通貨ドルを用いて貿易代金の決済が行われる。その意味でドルさえあれば世界中から何でも輸入できる。つまり何でも買えるのである。
日本円ではそうはいかない。日本が輸入するためには、まず輸出してドルを稼ぎ、その貯めたドルを使って輸入代金に充てねばならない。
ところが基軸通貨国アメリカは、ドルを印刷するだけで、世界中のあらゆる国から商品を輸入できる。
アメリカが長年貿易赤字を続けながら、消費大国として存続できるのは、このドルという基軸通貨の持つシニョリッジのおかげである。
一体このシニョリッジとは何だろうか。
それは無から有を生み出す権利のことである。
紙幣はモノを買う権利が顕在化したものである。シニョリッジを持つことは、世界中の商品を買う権利を手に入れることである。しかもタダで。
しかし見方を変えれば、これは世界からの富の収奪に他ならない。働かずしてモノを手に入れるのであるから。
これを最終的に支えているものは、アメリカの軍事力である。決して経済力ではない。
となるとこれは一種の国家的暴力になりうる。
こんなおいしいものをアメリカが手放すはずがない。アメリカは基軸通貨ドルの地位を決して手放さない。そのためならどんな戦争でもやってのける。
1971年のドル=ショック(ニクソン=ショック)までは、ドルは金とリンクしていた。世界の国は金を買うためにはドルを手に入れるしかなかった。これが、金・ドル体制とも金為替本位制とも呼ばれるもので、金本位制はまだ一部残っていた。ドルだけが金と交換できる体制である。
しかしこのドル=ショックにより、アメリカはドルと金との交換を一方的に停止した。それは国際条約違反なのだが、他の国はそれに反対する力がなかった。これによって、アメリカは世界中から求められた金との交換義務を免除されたが(というよりもこれはアメリカの一方的な債務不履行宣言、つまりデフォルトなのだが)、それと同時に、ドルの価値を裏打ちする実物価値はなくなり、世界は変動為替相場制に移行した。
こんななかでドルが世界の基軸通貨足り得る理由は、各国間の貿易決済にドルが用いられるということだけである。(その中心商品が石油である。)
そのことに疑問を感じて登場したのが新通貨ユーロである。
ユーロはドルを介さず、ユーロという自分たちの通貨で貿易決済をすることを目指した。
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