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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第109回 供給制約とは何なのか?(週刊実話)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/165.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 20 日 21:31:05: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第109回 供給制約とは何なのか?
http://wjn.jp/article/detail/3985508/
週刊実話 2015年1月29日 特大号


 第三次安倍晋三政権が発足し、予想通り、財政については「緊縮路線」を進み始めている。
 本稿執筆時点で、我が国の長期金利は、ついに0.3%を割り込んでしまっている。もちろん、0.2%台の長期金利(新規発行10年物国債金利)など、日本史上空前の“低さ”になる。

 日本において、前代未聞の「カネ余り」「借り入れ不足」、あるいは「国債不足」が進行していることがわかる。

 長期金利の「超低迷」とは、政府の支出(消費、投資)不足であり、同時に民間の資金需要不足でもあるわけだ。

 それにもかかわらず、政府は今年度の国債発行を36〜37兆円に「抑制」し、公共事業は前年度よりわずか「100億円超」増額、総額を6兆円以下に抑える方針を固めたとの報道が流れている。

 長期金利が0.3%を下回るほどに「国内の投資」が求められている国の政府が、相も変わらず「支出抑制」という緊縮路線を継続しているわけだ。

 特に、現在の日本において公共事業、公共投資を抑制しようとしていることは問題だ。

 何しろ、直近の我が国の需要不足(需給ギャップのマイナス)は、少なくとも14兆円を超えている。デフレ脱却を謳う以上、安倍政権は追加的に年14兆円規模の補正予算を組まなければならない局面なのだ(そんな状況だが、補正予算は3.5兆円だった)。

 また、現在の日本には「東北の復興」「国民の安全保障を強化する、耐震化、防災・減災」「老朽化したインフラのメンテナンス」「将来のインフレギャップを見据えた生産性の向上」と、やらなければならない公共投資の需要が溢れかえっている。

 現在の需要を埋めるために、政府が長期的計画に基づいて公共投資を拡大すれば、若い世代が業界で働き始め、技術継承の問題をクリアできる。つまりは、日本の発展途上国化を避けられる。

 だが、政府は公共事業を抑制しようとしており、さらに問題なのは、抑制理由として経済財政諮問会議などが「供給制約」という、意味不明な用語を使っている点だ。

 供給制約とは、何なのか?

 経済財政諮問会議の議事録等を読む限り、供給制約とは「公共事業を増やし過ぎた結果、人手不足となり、公共事業を遂行できないか、もしくは民間の建設事業が進まない問題」を意味しているようだ。とはいえ、現実の日本では、そもそも「人手不足で公共事業が進まない」という話自体が“嘘”である。

 財務省がまとめた'14年度上半期の公共事業実施率は、'13年度補正予算分が1.7兆円の予算額に対して88%。'14年度予算分が、9.2兆円の予算額に対して62%。'14年度上半期は、'13年度と比べて公共事業実施率が10ポイント以上も高くなっているのだ。

 実施率が上がっている理由として、予算の成立時期が早かったことに加え、国交省が'12年4月と'13年2月の2度にわたり、公共工事設計労務単価を引き上げたことがある。給与水準を引き上げれば、普通に労働者が雇用され、人手不足は解消するのだ。

 無論、上半期終了時点における'14年度の公共事業執行率について、「まだまだ公共事業の執行率は低い」と、数字で論ずるならば、まだしも理解できる。それを供給制約といった単なる用語を持ち出し、「だから公共事業はできない」と結論付けるのは、極めて問題がある態度だ。

 そもそも、執行率が何%になれば「供給制約がない」で、執行率が何%を切れば「供給制約がある」という話になるのだろうか。

 数字で定義づけしてくれない限り、公共事業を否定するために「供給制約」という用語を持ち出す人は、「通貨の信認を下げるので、金融緩和はダメ」「日本は輸出依存国だ」「国債の信認が低下するから、消費税増税」などと、印象操作に努めていた連中と、同じ穴の狢であると断ぜざるをえない。

 ちなみに、ほとんどの日本国民が理解していないだろうが、公共事業と民間の建設事業は“分野”が異なる。

 公共事業を増やしたため、民間の建設需要を満たせないということは、少なくとも全体の需給バランスを崩すほどにはあり得ないのだ。

 公共事業の87%は「土木」なのである。逆に、民間建設事業の84%は「建築」だ。そして、公共事業の元請の8割は土木、もしくは建築を「専業」としているのだ。

 下請にしても、ゼネコンとの協力関係から元請の棲み分けが及んでいるのが実態である。

 技能労働者にしても、「土木専門」と「建築専門」で棲み分けが厳然と存在している。
 つまりは、公共事業と民間建設事業で働く労働者は、“別の人”なのだ。

 公共事業を受注している企業や技能労働者の多くが「土木専門」であり、そもそも民間建設事業の中心である「建設分野」は専門ではない。

 そのため、土木中心の公共事業の需要が増えた結果、民間の建設事業が実施できなくなるなどということは、まず起きえない。

 国土交通省は、上記のデータから、「公共事業に人手が取られ、民間工事の進捗が遅れるといった事態は考えにくい」と、結論づけている。

 もちろん、公共事業に人手が取られ、民間建設事業が進まないという事例が“ゼロ”というわけではないが、その種の極論を持ち出し、
 「民間の建設事業が人手不足になるという供給制約があるため、公共事業は削減するべきだ」
 という論法は、暴論というべきである。

 この種の“暴論”を排すことができない限り、我が国のデフレ脱却は困難であるとしか言いようがない。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。

 

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コメント
 
01. 2015年1月20日 22:48:58 : 1CxqMMHurU
現状で緊縮財政を組むのは間違い。 国債発行を倍にしても足らないぐらいだろうと思うが、さて何に使うかが問題かな。 国防予算をGDP比2%にしてみては、如何だろうか。 インフレ効果は絶対保証つきだと思うけど。

02. 2015年1月20日 22:50:42 : jXbiWWJBCA

三橋貴明の「経済記事にはもうだまされない!」

第289回 供給制約とは何なのか?(1/3)
2015/01/13 (火) 12:51
第三次安倍政権が発足し、予想通り、財政については「緊縮路線」を進み始めている。本稿執筆時点で、我が国の長期金利は、ついに0.3%を割り込んでしまいまっている。もちろん、0.2%台の長期金利(新規発行10年物国債金利)など、日本史上空前の「低さ」になる。日本において、前代未聞の「カネ余り」「借り入れ不足」、あるいは「国債不足」が進行していることが分かる。
長期金利の「超低迷」とは、政府の支出(消費、投資)不足であり、同時に民間の資金需要不足でもあるわけだ。それにも関わらず、政府は今年度の国債発行を36〜37兆円に「抑制」し、公共事業は前年度わずか「100億円超」増額。総額を6兆円以下に抑える方針を固めたとの報道が流れている。
長期金利が0.3%を下回るほどに「国内の投資」が求められている国の政府が、相も変わらず「支出抑制」という緊縮路線を継続しているわけだ。
特に、現在の日本において公共事業、公共投資を抑制しようとしていることは問題だ。何しろ、直近の我が国の需要不足(需給ギャップのマイナス)は、少なくとも14兆円を超えている。デフレ脱却を謳う以上、安倍政権は追加的に年14兆円規模の補正予算を組まなければならない局面なのだ(それにも関わらず、補正予算は3.5兆円だった)。
また、現在の日本には「東北の復興」「国民の安全保障を強化する、耐震化、防災・減災」「老朽化したインフラのメンテナンス」「将来のインフレギャップを見据えた生産性の向上」と、やらなければならない公共投資の需要が溢れかえっている。現在の需要を埋めるために、政府が長期的計画に基づいて公共投資を拡大すれば、
「将来の安全保障の強化」
 や、
「将来の生産性の向上」
 を実現できるのだ。逆に、現時点で公共投資に背を向けるということは、将来的な国民の安全や生産性の向上、経済成長に、政府は興味がないと判断されても反論できない。
さらに言えば、JR東海が2027年の東京(品川)−名古屋間の開業を目指し、14年位着工したリニア中央新幹線について、日本政府は開通前倒しや、あるいは大阪までの延伸の早期化のために、財政を支出して構わない局面である。一応、大阪まで延伸開業した場合の経済効果などを調査するための費用を、日本政府は15年度予算案に計上する方針は固めた。筆者としては、早い段階で日本政府がリニア中央新幹線への「財政支出」を決断するべきだと確信している。
リニア中央新幹線は、JR東海が自ら資金調達し、大阪まで延伸する予定になっている。JR東海が自ら資金調達し、営業キャッシュフローから借入金の返済をしていかなければならないため、「資金的制約」により、大阪まで開通するのが2045年と「遅い」わけである。無論、環境アセスメント等に時間を取られるという問題もあるが、最大の制約は資金だ。
資金がボトルネックになり、建設が遅れるならば、政府が予算を投入し、早期開通を目指すというのは合理的であろう。何しろ、現在の日本は国債金利が長期金利で0.3%を割り込んでおり、超を四つほどつけたい水準のカネ余り状態にあるのだ。
JR東海がなぜ自己資金でリニアを開通させたいのかといえば、
「政府の資金を入れると、建設に際した自由度が下がるため」
とのことである。要は、「カネを入れたのだから、口を出す」政治家が鬱陶しく、面倒事が増えるに決まっているため、自己資金(総計約8兆円)でリニアを大阪まで開通させようとしているわけだ。
というわけで、ここは政治決断で、「早期開通目標」のみを条件として、政府予算を投入し(税金ではなく、建設国債になるだろうが)、建設に際した詳細について、政治家は口をつぐむ。という「政治決断」あるいは「政治的取引」を、政府に期待したいところである。
いずれにせよ、リニア新幹線のような大規模プロジェクトを民間資金のみでやるというのも、奇妙な話だ。何しろ、リニア新幹線の事業は、日本国家の行く末に決定的な影響を与える可能性があるのだ。日本国の、特に生産性を決定づけてしまうようなプロジェクトを、一民間企業任せにしていいとは思えない。
ところで、JR東海は「資金的制約」から、大阪までの開通を2045年としている。「資金的制約」とは定義が明白で、要は営業キャッシュフローから借入金を返済していくことを考慮し、建設期間を2045年までとしているのだ。
昨今、公共投資、公共事業を否定する人たちが使うフレーズの一つに、「供給制約」というものがある。これは、実に曖昧な言葉だ。


 
リニア新幹線に限らず、現在の日本は土木・建設のプロジェクトを拡大しなければならない時期である。それにも関わらず、政府は公共事業を抑制しようとしており、さらに問題なのは、抑制理由として経済財政諮問会議などが「供給制約」という、意味不明な用語を使っている点である。供給制約とは、一体全体、何なのか?
経済財政諮問会議の議事録等を読む限り、供給制約とは「公共事業を増やし過ぎた結果、人手不足となり、公共事業を遂行できないか、もしくは民間の建設事業が進まない問題」を意味しているようだ。とはいえ、現実の日本では、そもそも「人手不足で公共事業が進まない」という話自体が「嘘」である。

『2014年12月3日 日刊建設工業新聞「4〜9月の公共事業執行状況/実施率、10ポイント超上昇/財務省」
http://www.decn.co.jp/?p=20112
 年度前半の経済効果の発揮を狙った14年度上期の公共事業の執行状況がまとまり、政府が掲げた執行目標をクリアした。前年度同期と比べても実施率は大きく上回っている。本年度予算の成立が3月20日と前年度よりも2カ月近く早かったことや、国土交通省が各種メニューを盛り込んで展開した円滑な施工確保対策などが奏功。経済成長率が2四半期連続で落ち込む中で、公共事業の早期執行が景気を下支えした格好だ。
財務省がまとめた9月末時点の実施率は、13年度補正予算分が1・7兆円の予算額に対して88%、14年度予算分が9・2兆円の予算額に対して62%。政府は上期の執行目標として13年度補正予算分9割程度、14年度当初予算分6割以上を掲げていた。13年度同期は、12年度補正予算分が3・5兆円に対して76%、13年度当初分が9兆円に対して49%となっており、本年度はいずれも10ポイント以上上回る高い実施率となった。
高い実施率を達成した背景には、予算成立時期が早かったことに加え、国交省が昨年4月と今年2月の2度にわたって公共工事設計労務単価を引き上げたこともあるようだ。加えて、東日本大震災の被災地では、地域の事情を考慮して積算で間接工事費の割り増しを行う復興係数の適用も効果を上げた。全国的にも、円滑な施工確保に向けた各種メニューの適用が浸透した。(後略)』

財務省がまとめた14年度上半期の公共事業実施率は、13年度補正予算分が1・7兆円の予算額に対して88%。14年度予算分が、9・2兆円の予算額に対して62%。14年度上半期は、13年度と比べて公共事業実施率が10ポイント以上も高くなっているのだ。
実施率が上がっている理由として、予算の成立時期が早かったことに加え、国交省が12年4月と13年2月の2度にわたり、公共工事設計労務単価を引き上げたことがある。給与水準を引き上げれば、普通に労働者が雇用され、人手不足は解消するのだ。
無論、上半期期終了時点における14年度の公共事業執行率について、「まだまだ公共事業の執行率は低い」と、数字で論ずるならば、まだしも理解できる。とはいえ、供給制約といった単なる用語を持ち出し、「だから公共事業はできない」と結論付けるのは、極めて問題がある態度だ。
と言うより、果たして執行率が何%になれば「供給制約がない」で、執行率が何%を切れば「供給制約がある」という話になるのだろうか。数字で定義づけしてくれない限り、公共事業を否定するために「供給制約」という用語を持ち出す人は、
「通貨の信認を下げるので、金融緩和はダメ」
「日本は輸出依存国」
「国債の信認が低下するから、消費税増税」
 と、印象操作に努めていた連中と、同じ穴の狢であると断ぜざるを得ない。
 別に、いかなる意見を持とうが個人の自由だが、政策について語るならば、せめて用語ではなく、データで語るべきである。
ちなみに、ほとんどの日本国民が理解していないだろうが、公共事業と民間の建設事業は「分野」が異なる。公共事業を増やしたため、民間の建設需要を満たせないということは、少なくとも全体の需給バランスを崩すほどにはあり得ないのだ。 
何しろ、公共事業の87%は「土木」なのである。逆に、民間建設事業の84%は「建築」だ。そして、公共事業の元請の八割は土木、もしくは建築を「専業」としているのだ。下請にしても、ゼネコンとの協力関係から元請の棲み分けが及んでいるのが実態である。
技能労働者にしても、「土木専門」と「建築専門」で棲み分けが厳然と存在している。つまりは、公共事業と民間建設事業で働く労働者は、「別の人」なのだ。


 
公共事業を受注している企業や技能労働者の多くが「土木専門」であり、そもそも民間建設事業の中心である「建設分野」は専門ではない。そのため、土木中心の公共事業の需要が増えた結果、民間の建設事業が実施できなくなるなどということは、まず起きえない。

【図 建設投資における公共・民間、土木・建築別構成(単位:兆円)】
20150113.png
出典:国土交通省「建設投資見通し」(平成25年度)

国土交通省は、上記のデータから、「公共事業に人手が取られ、民間工事の進捗が遅れるといった事態は考えにくい」と、結論づけている。もちろん、公共事業に人手が採られ、民間建設事業が進まないという事例が「ゼロ」というわけではないが、その種の極論を持ち出し、
「民間の建設事業が人手不足になるという供給制約があるため、公共事業は削減するべきだ」
という論法は、暴論というべきである。この種の「暴論」を排すことができない限り、我が国のデフレ脱却は困難であるとしか言いようがない。
話は「1 or 0」ではないので(頭の悪い人はすぐに「極論」を言うので、注意して欲しい)。マンション建設のように、利益率の薄い工事が敬遠されるといった状況はあるようだ。
それにしても、
「供給制約があるから、公共事業は増やせない」
 というのは、乱暴な議論である。そもそも供給制約の定義が不明だ。加えて、14年度上半期は、補正も通常予算も13年度より10ポイント以上上回る高い実施率となっている現実を踏まえていないことは明らかである。
 長期金利の「異様な低迷」を見る限り、我が国は政府の国債発行と支出が不足しているのは確実だ。そして、現在の日本政府が長期的計画に基づいて公共投資を拡大すれば、若い世代が業界で働き始め、技術継承の問題をクリアできる。つまりは、日本の発展途上国化を避けられるのだ。
 嬉しいことに、2014年1−11月の建設就業者(503万人)を見ると、15−29歳の若年者の占める割合が11%に「増加」した。(13年度は10.2%)建設産業が一丸となって進めている「魅力ある建設業」への取り組みが効果を発揮しているのに加え、国交省が12年4月と13年2月の2度にわたって公共工事設計労務単価を引き上げた点も大きいのだろう。
 いずれにせよ、我が国にとって、現在は長期的にも短期的にも公共事業、公共投資を拡大しなければならない局面なのである。それにも関わらず、「供給制約」といった定義不明な言葉で正しい政策が妨げられるのでは、情けないとしか言いようがない。


 

第290回 国富と資産効果(1/3)
2015/01/20 (火) 12:51
11月の名目賃金・実質賃金の確報値が発表された。
予想通り、マイナス幅は縮小したものの、相変わらず実質賃金の低迷が継続していることが分かる。厚生労働省の毎月勤労統計調査(事務所規模5人以上)の確報値は、現金給与総額が前年同月比0.1%増の27万7152円で、物価変動の影響を加味した実質賃金指数は前年同月比2.7%減の84.1だったのだ。実質賃金は、これで17カ月連続の減少である。
 筆者は現金給与総額(名目)はともかく、「決まって支給する給与」は名目値も0もしくは−0.1%に落ち込んでしまうのでは、と予想していた。とはいえ、「きまって支給する給与」の名目値も。対前年比0.1%の増加であった。
 実質賃金の方は、現金給与総額も「きまって支給する給与」も、共に対前年比−2.7%である。現金給与総額の速報値から縮小幅が縮小したのは、確報値ではボーナス等が反映されるためだ。
 さて、1月17日。95年の阪神淡路大震災から、20年という節目を迎えた。
 阪神淡路大震災で亡くなった方の死因の九割は、木造住宅の倒壊による圧死である。ところが、現在の日本には、未だ耐震化が不十分な住宅が、約1千万棟も存在するのだ。しかも、よりにもよって太平洋ベルト地帯に集中している。
 太平洋ベルト地帯は、地震そのものの脅威に加え、「津波」に対しても備えなければならない。そのためには、日本国民は投資の「資産効果」について注目する必要があると考えるのだ。
 公共事業、公共投資は、予算を執行する時点で「所得効果(フロー効果)」が発生する。すなわち、国民の所得が創出され、GDPの「公的固定資本形成」が増えることになるわけだ。
 とはいえ、公共投資の効果はフロー効果だけでは終わらない。公共投資で新幹線などのインフラが整備されると、国民の生産性を高め、「将来の所得」を生み出す基盤となる。さらに、防潮堤などは将来の国民の生命や財産を守る。くわえて、防潮堤などで「安心して投資できる環境」を構築することで、「インフラ」に守られた地域住民が所得を稼ぎやすくなるわけだ。
将来の効果を、今、インフラを整備することで得ることが期待できるわけである。これを、公共投資の資産効果(ストック効果)と呼ぶ。
日本は世界屈指の自然災害大国である。それにも関わらず、我が国は公共事業を15兆円から6兆円に、公共投資を44兆円から21兆円に減らしてしまった。 
 結果、世界屈指の自然災害大国において「土木・建設企業の供給能力が激減する」という、最悪の結果を招いてしまう。土木・建設の供給能力を回復させるためにも、現在の日本は「長期の計画、公共事業・公共予算の安定的な増加」という道を取らざるを得ないのだ。安定的に仕事がある環境が生まれて、初めて土木・建築業者は本格的に設備投資、人材投資に乗り出すだろう。
 まさに、そのために準備されたのが「国土強靭化基本計画」になる。
 ところが、先日、閣議決定された公共事業関連予算は、前年度から25億8700万円増の5兆9710億8200万円。「誤差」レベルしか増えていない。
 なぜ、こんな事態になってしまったのか。もちろん、政府がプライマリーバランスの黒字化という、デフレの国にとっては最悪の目標設定を継続しているためだ。
 実質賃金の低下が止まらない以上、我が国の国民経済は「需要牽引型」の物価上昇、所得上昇の段階には至っていない。それにも関わらず、政府はプライマリーバランス目標に囚われたままだ。結果、「政府支出」により所得を生みだし、実質賃金をプラスの方向に持っていける公共事業を増やさない。同じく「政府支出」により所得を生み出す、介護報酬は2%強の縮小。

http://www.gci-klug.jp/mitsuhashi/2015/01/20/023112.php
  


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