04. 2015年1月21日 15:47:31
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日銀が政策維持、15年度物価見通しは引き下げ:識者はこうみる 2015年 01月 21日 13:44 JST [東京 21日 ロイター] - 日銀は21日の金融政策決定会合で、2015年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の前年比見通しを1.0%とし、従来の1.7%から大幅に引き下げた。しかし、金融政策はマネタリーベース(資金供給量)を年間80兆円増やすとする従来政策の維持を決めた。市場関係者のコメントは以下の通り。 <三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニアマーケットエコノミスト 六車治美氏> 日銀は貸出支援制度の期間を1年間延長して金額の上限を引き上げたが、これまでのような思い切った決定はされなかった。超過準備の付利引き下げといった追加策も意識していた市場にとっては、予想の下限。金先や為替の動きをみると、やや失望感を誘う内容だ。 展望リポートの中間評価では、2015年度のコアCPI見通しが中央値でプラス1.0%と従来から引き下げられた。一方、15年度の実質GDP見通しが中央値でプラス2.1%と、従来から大幅な上方修正となっている。早ければ4月の会合で、追加緩和に踏み切らざるを得ないという思惑が市場に残るかもしれない。 <SMBCフレンド証券 シニアストラテジスト 松野利彦氏> 日銀が付利を引き下げるか下げないかといった期待がはげ落ちた。材料出尽くし感に加え、円高も進み売りが広がっている。コアCPIは14年度の見通しでプラス0.9%、15年度の見通しでプラス1.0%となったが、足元の原油安もあり、日銀の目標達成が難しくなった印象がある。CPIの部分についてはこれからマーケットに消化されていくとみているが、原油相場次第で、追加緩和期待が出る可能性がある。そうなれば日本株にはポジティブに作用するだろう。目先のところでは1万7000円どころが下値のメドとなるとみている。 <FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏> 日銀決定会合の結果は、予想の範囲内で、緩和的なものだった。 ドルが118円を割り込んだのは意外感があるが、一部海外筋の間では過剰な緩和期待があり、その反動として、円の買い戻しが出ているのだろう。 今後については、明日の欧州中央銀行(ECB)の結果を確認するまでは、全般に動きづらい。ドル/円では118.80円以上がかなり重く、116円後半は底堅い。当面は116―119円のレンジ内での値動きとなりそうだ。 <第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏> 15年度物価見通しを1%ぎりぎりまで下げてきたことから、2%達成断念、ないしきわめて困難と認めたものだ。この理由を原油価格のせいにしており、16年度は1バレル=70ドルまで回復するので物価も上がるとの数字を示している。 しかし、これまでは現実の物価が期待インフレ率を主導するとしてきたのだから、原油が下がって期待も低下するはずなのに、追加緩和をしなかった。ここは論理が矛盾しているおり、前回10月緩和とも整合性が取れない。うがった見方をすれば、サプライズを狙っているのではないかとも見える。 黒田総裁は、長期金利が既往最低まで低下している中で、追加緩和の必要性はないとでも説明するかもしれないし、貸出支援制度拡充で「緩和は強化している」との印象を出したいのかもしれない。あるいは、今回は中銀としてのロジックを外して総合判断で政策を決めたと説明するかもしれない。いずれにしても、説得力はあまりない。 これまでの黒田総裁の「狭い世界」では説明がつかなくなっており、教条的に物価だけにとらわれない政策にはみ出したのなら、かえってよかったかもしれない。 <ニッセイ基礎研 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏> 原油価格が下落して2%の物価上昇を2年で達成するこが無理になっているにもかかわらず、追加緩和をしなかったのは、政策をわかりにくくしている。黒田総裁が「わかりやすさ」を掲げてきただけに、最大の問題だ。 マーケットでは16年度でも2%の達成は難しいとみており、2年での達成の旗を降ろした方がいいだろう。自ら掲げた目標に縛られて、矛盾を抱え込んでいる。貸出支援制度の拡充にしても、効果がないとわかっていながら、他の資産の買入が副作用や市場規模の点で手がないために、追い詰められての選択に見える。 日銀が政策維持、15年度物価見通しは1.0%に大幅下方修正 2015年 01月 21日 14:26 JST [東京 21日 ロイター] - 日銀は21日の金融政策決定会合で金融政策の維持を賛成多数で決定した。2015年度の物価見通しを1.0%に大きく引き下げる一方、16年度を2.2%に小幅上方修正し、2015年度を中心とする期間の物価2%到達というシナリオを維持した格好だ。 一方、今年3月に期限が到来する貸出増加と成長基盤強化を支援するための2つの融資制度をそれぞれ1年間延長するとともに、制度の拡充を全員一致で決めた。 <15・16年度の成長率を上方修正> 会合では昨年10月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の定例見直しを行った。日銀が物価2%の到達時期のメドとみている15年度の消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)の前年比上昇率について、昨秋以降の原油価格急落を反映し、これまでのプラス1.7%からプラス1.0%に下方修正。一方、同年度の実質国内総生産(GDP)見通しをこれまでのプラス1.5%からプラス2.1%に引き上げた。原油安や円安の進行による景気刺激効果や政府の経済対策、10月に予定されていた消費税再増税の延期などを織り込んだためとみられる。 14年度については、成長率をプラス0.5%からマイナス0.5%に大幅下方修正。消費増税の影響を除いたコアCPIをプラス1.2%からプラス0.9%に引き下げた。17年4月からの消費税再増税の駆け込み需要が発生する16年度の成長率はプラス 1.2%からプラス1.6%に上方修正。同年度のコアCPIはプラス2.1%からプラス2.2%に小幅上方修正した。 今回の見直しにあたり、変動の激しい原油価格(ドバイ)について「政策委員は1バレル55ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて70ドル程度に緩やかに上昇していく」と想定した、という。 <景気判断維持、物価「当面プラス幅縮小」> 日銀では、15年度の物価見通しを引き下げたものの、原油価格下落による物価下押し要因がはく落する年度後半以降、円安進行や景気回復に伴う需給ギャップ改善などと相まって物価は急ピッチで上昇すると見込んでいる。賃上げ機運の盛り上がりなどでインフレ期待も維持されているとみており、 物価は「15年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」とのシナリオを維持した格好で、金融政策運営の現状維持を賛成多数で決定した。木内登英審議委員は、前回に続いて昨年10月末の追加緩和前の金融政策に戻すべきと主張して反対した。 景気判断は「基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる」との認識を維持。生産の判断を「下げ止まっている」に引き上げた。一方、原油安を受けて伸びの鈍化が著しい消費者物価の前年比上昇率は「0%台後半となっている」とし、「エネルギー価格の下落を反映して、当面プラス幅を縮小するとみられる」に判断を引き下げた。 <融資制度、非取引先金融機関の活用も可能に> 会合では貸出増加と成長基盤強化を支援するための2つの貸出支援制度の1年間の受付期間延長と拡充も決めた。両制度は、一定の条件を満たした金融機関に対し、年0.1%の低利で4年間の長期資金を供給する仕組み。 貸出増加支援は、貸出残高を増やした金融機関に対して資金を供給。成長基盤強化は、研究開発や環境・エネルギーなどを手がける企業に融資をした金融機関に貸し付ける。 今回の措置では、両制度とも日銀の非取引先金融機関でも制度が活用できるよう、それぞれの系統中央機関を通じて利用可能な枠組みを導入。成長基盤強化支援について、対象金融機関ごとの上限をこれまでの1兆円から2兆円へ、総枠を7兆円から10兆円にそれぞれ引き上げる。 また、被災地金融機関を支援するための資金供給オペの1年延長も決めた。 *一部表記を修正しました。 (伊藤純夫 竹本能文) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KU09P20150121 JBpress>ニュース・経営>エコノミストの眼 [エコノミストの眼] ブラックスワンはいない、 世界的リフレ策強化で株高へ オイル、ロシア、ギリシャ、スイスがノイズである可能性 2015年01月21日(Wed) 武者 陵司 リスク回避に傾いた年初の市場、危機モードの高まりの背景 年明けのマーケットは昨年同様波乱含みである。日経平均株価は12月高値からいきなり7%の急落となり、人々を不安にしている。原油価格暴落ロシア通貨急落、ギリシャ総選挙、スイス中銀の突然の政策変更(為替上限の撤廃)と、相次ぎ非連続の動きが勃発し、不確実性の高まりからリスク回避モードが強まったのである。 しかし後述するように、これらの突然のイベントは、みな経済的合理性に基づく展開であり、破局をもたらすブラックスワン現象とは考え難い。 不安の根本原因はデフレの亡霊が再三、市場に徘徊していることである。昨年高値では1バレルあたり115ドルあったWTIが、1月前半には45ドルと半分以下に下落した。同時に主要国の長期金利が引き続き急激に低下し、日独は史上最低となっている(日本:0.1%台、ドイツ:0.4%台、米国:1.7%台)。これらが放置されれば、デフレの危機が現実のものとなるかもしれない。しかし原油安も金利低下も将来のビジネスコストや生活コストを引き下げることにより、成長を促進するポジティブな要因でもある。市場の動揺は適切な政策対応を求めていると考えられる。 再度年頭にお決まりの悲観仮説が登場した。その代表者ボンド・キングと称されるカリスマのビル・グロス氏は、変わらぬ信用循環論を根拠に、中央銀行の無理を重ねた信用拡大、QEもその賞味期限が切れ、値上がりを続けた資産価格はそろそろピーク、と主張している。しかし信用循環が転換する理由は乏しい。景気後退のリスクを冒して金融引き締めを迫られている国などない。原油価格下落、ギリシャのイベント、スイス中銀の政策変更のすべては、需要創造政策の促進に結び付き、さらなる成長とデフレ回避に帰結し、株高要因となるだろう。 問題は過剰貯蓄と需要不足、リフレ策の強化で解決へ
ギリシャに焦点が当たったことで、再度2010年のギリシャショックの記憶がよみがえり、危機再発と身構える人々が出てきた。しかし現在とギリシャ危機の2010年とは根本的に情 勢は異なっている。当時の問題はギリシャをはじめとした南欧諸国の過剰消費と過剰債務、 にあった。しかし今のギリシャ・南欧諸国は消費抑制により過剰債務は一掃されている。図表2に見るように10%前後にあった南欧諸国の対外経常赤字(対GDP比)は、ほぼゼロないしはプラスに浮上している。また財政収支もプライマリー財政バランスで見れば、ギリシャを含めて南欧諸国は全て黒字になっている。それは金利上昇と財政赤字削減により、国民の生活水準が劇的に引き下げられたからである。ただ景気後退の結果、南欧諸国の失業が上昇してしまっている。 拡大画像表示 拡大画像表示 現在のユーロ圏全体の問題は過剰貯蓄と需要不足にある。図表6に見るように、2010年以前の南欧諸国は大幅な赤字を計上していたものの、ドイツが大幅な黒字を出していたためユーロ圏全体では経常収支は均衡していた。しかし南欧諸国の経常赤字が一掃されたのにドイツの経常黒字は減少するどころかさらに高まり、ユーロ圏全体では大幅な貯蓄余剰に陥っている。この余剰貯蓄が著しい金利の低下を引き起しているのである。 2010年の正しい対応は南欧諸国の消費抑制と債務返済であり、その後に起こったことは景気後退であった。それに対して現在の問題は正反対の過剰貯蓄と需要不足なのであるから、正しい対応は需要創造による過剰貯蓄の解消、つまり成長を促進するリフレ政策の導入ということになる。
問題は大幅な経常収支の黒字による巨額の貯蓄余剰を積み上げているドイツが、財政緊縮と金融緩和に対する後ろ向きの姿勢によって、リフレ政策に背を向けていることである。その結果ユーロ圏全体が、日本が陥ったようなデフレに陥るリスクを高めている。つまり現在の金融市場の不安の最大の根源は、需要不足という現実に向き合っていない欧州の対応にあり、欧州情勢がドイツの姿勢の軟化によって改善することがポイントなのである。 したがって、ギリシャの総選挙や財政面でのグリップの緩和、ECBのさらなる量的金融緩和などの方向が見えてきた段階で、市場の不安は大きく沈静化されていく可能性が強いと考えることができる。 スイスにも求められるグローバルリフレ政策 スイスフラン問題も問題の本質は同じである。スイスは強力な産業競争力により巨額の経常黒字を積み上げてきた(図表7)。かつて大幅な円高を余儀なくされた日本の経常黒字がピーク時でも対GDP比4%であったのに比べて、スイスは14%もの巨額の黒字が続いたのであるから、大幅な通貨高と過剰貯蓄による金利低下を招くのは当然であった。為替介入による通貨高の抑制は、市場の合理性に反することであり、為替上限を維持できなくなったのは自然の道理であった。スイスの過剰貯蓄は維持不能のレベルまで高まっていたということであり、スイス中銀の新たな対応、フラン高の容認とマイナス金利の強化は、いずれも過剰貯蓄を減らすことになり、それは世界的にリフレ効果をもたらす。ボールは過剰貯蓄国の手にあり、スイス、ドイツ、中国などの大幅黒字国はリフレを推進する義務を負っているのである。 必至のリフレ策強化
デフレの懸念は確かにあるが、デフレに陥るか否かは政策次第である。新産業革命により生産性が急速に上昇して、労働力と資本の余剰が著しく高まっている。労働力と資本の余剰を一手に吸収し続けてきた中国の成長に急速にブレーキがかかり、輸入減少により再度中国の貿易黒字が急拡大している。この間の原油価格の下落も、ここ1年間中国の原油の輸入の伸びが止まったことが最大の需要要因である。 したがって、世界の主要国経済政策が、このような需要不足に向き合う対応になっていれば、今マーケットはそれほど不安におびえる必要はない。その中心である米国は量的金融緩和を継続し、年内に利上げをするにしても、それを十分に忍耐強く遂行することができるということで、市場の需要創造に対する期待に水を差すような動きをしないだろう。日本も第3次安倍内閣発足により、この懸念は解消されている。ECBによる量的金融緩和をきっかけにユーロ圏がリフレ政策に踏み出せば、事態は大きく改善されるだろう。 市場の関心は景気実態回帰へ、原油価格下落のプラス要因を評価へ このようなマーケットの動きを別にして中期的に考えれば原油価格の下落は、先進国経済にとっては極めてポジティブである。NY連銀は40ドルの原油価格の下落が、1.3兆ドルの購買力を産油国から消費国(先進国)に移転する、と言っている。仮にこの1.3兆ドルの原油価格下落の効果を計算すると、先進国のGDPを年間で0.4%も押し上げる効果を持っていると考えられる。日本は、その中でも大きな受益国になると考えられる。 過剰反応で売られた日本株、買い戻し圧力甚大 日本政府は年頭にあたり2014年度の経済見通しを▲0.5%、2015年度を1.5%と修正した。2014年度のマイナス成長は消費税増税により8兆円(対GDP比1.6%)の購買力が消費者から奪われたためである。 しかし2015年度は消費税増税のマイナスがなくなるうえ、原油価格下落が家計の購買力を大幅に高める。年間26兆円の化石燃料輸入が4割価格低下すれば、10兆円、対GDP比2%のメリットが発生する。2015年度は2014年度に比べて特殊要因が合計18兆円(対GDP比3.5%)改善されるのであるから、景況感は明るさを増すだろう。企業部門に蓄えられている円安メリットが、賃金引上げ、投資の増加、配当の増加などとなって実体経済を潤すことも期待できる。 また長期国債利回りが限りなくゼロに近づいた今、金融機関や機関投資家は、預貸利鞘や債券運用益が全く期待できなくなり、いやがおうにも株式運用に押し出されざるを得なくなっている。年初の株安を心配するには及ばないどころか、ここから株価の飛躍が始まるのではないか。 (*)本記事は、武者リサーチのレポート「ストラテジーブレティン」より「第133号(2015年1月20日)」を転載したものです。
(*)投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、必ずご自身の判断でなさるようにお願いします。本記事の情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42719
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