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円安進行で恐怖の貧しさ到来 物価や住宅高騰、輸入食品ばかり、外資乗っ取りで財産流出
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150119-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 1月19日(月)6時0分配信
私事だが毎年、年末はアメリカで過ごすことにしている。年末休暇で買い物を楽しんだり、ちょっと贅沢に食事を楽しんだりというのが筆者のささやかな愉しみなのだが、今回の滞在では少し勝手が違った。ささやかな贅沢のつもりが、計算をしてみると結構な贅沢な支払いになっているのだ。
今回滞在時の為替レートは1ドル=120円。1年前は1ドル=100円前後、3年前なら1ドル=80円ぐらいの水準だったのだから、割高なのはある意味当然だ。同じ買い物でも3年前と比較すれば1.5倍の価格になる。体感的には1ドル=80円というのは何を買っても激安感覚だったのに対して、1ドル=120円となるとその逆で「安いかな?」と思った商品も為替レートや税金を加味してよくよく計算してみると、それほど安くはないというケースが当たり前になってくる。
さて先月、雑誌の取材で為替レートが1ドル=160円になったらどのようなことが起きるのかというインタビューを受けた。今回のコラムでは、そのインタビューでは紹介できなかった1ドル=160円のより深い恐怖の世界をご案内したい。
筆者は、今年のどこかで1ドル=160円の水準に突入する可能性はかなり高いと考えている。理由は日本銀行の黒田バズーカだ。日銀が異次元金融緩和の方針を打ち出したことが、短期的には株高という日本にとって良い方向に動いたのだが、いつまでも良い作用だけが起きるとは誰も思っていないはずだ。いざこの金融緩和が円の信認を揺るがすと市場が見たら、一気に異次元の円安に為替レートが振れてもおかしくはない。
これから先、さらに円安が進んだとして、今よりも約30%円安になれば1ドル=160円の世界に入るのだから、1ドル=160円の世界は比較的現実感のある未来予測である。
●結構な恐怖の世界
ではその1ドル=160円の世界を、どのように捉えるべきなのか?
実は日本人にとって結構な恐怖の世界がそこに待っている。さまざまな物資を輸入に頼っている日本にとっては、1ドル=160円の世界は、それだけで3年前と比べて輸入物価が倍になる世界である。ここまでの円安の影響で、今年に入ってカップ麺やカレールー、トイレットペーパーや冷凍食品など生活に身近な商品の値上げが次々と予定されているが、1ドル=160円になれば、その値上げがさらに3段階ぐらい進むことになる。
しかしこの値上げは1ドル=160円の恐怖のほんの一部分にすぎない。日本人にとって本当につらいのは、円安によって日本の財産が海外の富裕層に激安で買われてしまうことにある。
ここで理解しておくべきことは、異次元金融緩和が引き起こす円安は、ドル以外の通貨も含めての円安だということだ。だからこの円安でアメリカ人だけではなく、中国やアジア諸国の富裕層にとっても日本は激安国家になってしまう。「半額ニッポン」の到来である。
東京の銀座や新宿など繁華街の百貨店で買い物をする海外の富裕層にとって、3年前の1ドル=80円の時期と比べればすべての買い物が1ドル=160円では半額になる。資生堂の化粧品も、グリコのチョコレートも、パナソニックの家電商品もすべてが外国人にとっては激安な買い物の対象になる。
事がこのような海外旅行客の買い物で済めばまだよいのだが、実際はもっと広範囲に海外富裕層の激安ショッピングの波紋は広がるだろう。
わかりやすく言えば、本物の高級食材は海外勢に買い占められるようになるだろう。まぐろや高級牛肉の本当においしいところ、手間暇かけて栽培したブランド果実、蔵元の抱える在庫の中で一番おいしい日本酒の樽、そういった最上級の商品は隣国への輸出品としてカネの力で押さえられてしまう。その影響で、日本の富裕層は普通の国産品で我慢をすることになり、庶民が口にできるのは輸入食材が中心という玉突き現象も起きるだろう。
日本の優良企業は今でも外資比率が高いのだが、1ドル=160円のレートともなればソニーや任天堂、シャープといった技術資産が豊かで本業が苦しい企業は、ますます外資の比率が増えていく。それよりも一段、時価総額が低い老舗の中堅上場企業は、本業の業績が悪くなった途端にアジア資本による乗っ取りのリスクが現実化するだろう。結果として、これまでわれわれが蓄積してきた技術や知的財産といった資産が海外に流出していくことになる。
●住宅が買えない
同時に日本の不動産にも海外資本の流入が起きる。都心や湾岸などの人気の不動産物件は、海外富裕層の日本での別邸として買われるようになる。それだけではなく賃料収入と将来の値上がりを見込んだ投資物件として、普通ランクの不動産物件も買い占められていくようになる。すると何が起きるかというと、不動産バブルが再来するのである。
1980年代後半に起きた不動産バブルを体験していない若い方も多いかもしれないが、要は一般庶民にとっては不動産に手が届かなくなるのだ。あの頃、六本木や銀座などの盛り場にはバブル紳士と呼ばれる人々が出現して、大量のお金をばらまいて賑やかに振る舞っていた。不動産バブルというものは、不動産をいっぱい持っている人やいっぱい手に入れられる人にとってはいいことなのだが、マイホームを一軒だけ持っているような庶民にはあまりいいことはない。
たとえ自分が住んでいるマンションの価格が3000万円だったものが5000万円に値上がりしたと言われても、だからといって売るわけにもいかない。なぜなら売って5000万円(と住宅ローンの差額)が手に入ったとしても、代わりに住む家を買おうとすればもっと高いし、同じようなレベルの賃貸マンションも簡単に見つかるわけではないからだ。
●一段階貧しい国家へと転落
もっと悲惨なのはこれから「夢のマイホーム」を買おうとする若者で、実は筆者の80年代バブル体験も同じ立場だったのだが、要は職場から遠くてほんのちっぽけな物件しか買えないし、もしそれを買わなければ来年にはもっと遠くてもっと小さな物件しか買えなくなるという恐怖が目の前にやってくるのだ。
筆者は若干結婚が遅かったため、結局バブル時代はそのような物件を買わずにやり過ごすことになったが、同世代の友人の多くは、そのような物件を多額の住宅ローンを設定して購入し、今なお給料の中から一生懸命ローンを返済し続けている。今回の円安で不動産バブルが起きるとすれば、その深刻度は前回の不動産バブルを心理的に上回るだろう。なにしろ日本国内の良い物件には、日本人は住めなくなるのだから。
日本経済を一生懸命支えている若者が購入できるのは、都心から電車で1時間以上離れた郊外の中古マンションということになる。一方で都心の優良物件と言われるマンションは80平方メートルの新築が1室2億円などという、サラリーマンでは到底手が届かない水準になる。1ドル=160円の水準が数年続けば、いずれそのような時代になる。
投資用に購入してとりあえず寝かしてあるそのような空室マンションが都心に増える一方で、住むためのマンションはどんどん都心から遠くなる。われわれの世代が80年代に体験したそのような時代が、またやってくるのだ。
そしてその頃との大きな違いは、もはや若者にバブルの頃のような安定した正社員になるという未来の選択肢が与えられないことだろう。たとえ日本企業に正社員として就職したつもりでも、気がつくと株主はアジア資本、上司も本国から派遣されてきた外国人などということになりかねない。憂さを晴らそうと居酒屋に繰り出しても、口に入るのは外国産の食材ばかりということになる。
つまり円安が進み、半額ニッポンが到来することは、われわれ国民が一段階貧しい国家へと転落するということなのである。
鈴木貴博/百年コンサルティング代表取締役
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