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トヨタ、特許無償提供の衝撃 世界中から無視され不発か、FCV本格普及のリーダーか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150118-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 1月18日(日)6時0分配信
トヨタ自動車が燃料電池車(FCV)関連の特許を公開し、無償提供すると発表した。米ラスベガスで開かれた「2015 International Consumer Electronics Show(CES)」開幕前日、5日の記者発表会で米国トヨタ自動車販売社のボブ・カーター上級副社長が、「1月5日が自動車業界にとってターニング・ポイントになる」とぶち上げたのである。具体的には、FCVに関してトヨタが取得した5680余件の特許を公開、無償提供するという。
「燃料電池スタック(約1970件)・高圧水素タンク(約290件)・燃料電池システム制御(約3350件)といった、FCVの開発・生産の根幹となる燃料電池システム関連の特許に関しては、2020年末までを想定しての特許実施権を無償とし、水素ステーション関連の特許(約70件)に関しては、期間を限定することなく無償とする」(トヨタのプレスリリースより)
トヨタは昨年12月に、FCVとしては世界初となるセダン型量産車「ミライ」を発売した。定価は720万円強だが、補助金を使えば520万円ほどで入手できるという。すでに1000台ほど受注したと報じられている。
ガソリン自動車、あるいは「プリウス」に代表されるハイブリッド車(HV)の次にくる次世代自動車としては、FCVと電気自動車(EV)があるわけだが、FCVでトヨタは先行し、開発技術的には独走状態といった様相である。一見するとトヨタにとって好ましい状況にも見えるが、FCVの本格的な普及にはまだ遠い状況といえる。トヨタ自身も、当面製造できるFCVの台数は年間数百〜数千台としている。これだけのロットでは、FCVに燃料を供給する水素ステーションの普及を促すクリティカル・マス(最小数量)に到達しない。そこで、「ぜひ他の自動車メーカーにもFCV製造を手がけてほしい」という目的で、特許開放という施策を打ち出した。
これから本当の勝負が始まる。つまり、EV連合に対してFCV連合を組成できるかが、次代の趨勢を決する。今回の発表に対して日産自動車や本田技研工業(ホンダ)の経営陣は「評価する」というコメントを発表しているが、すぐにトヨタとの連携に乗り出してくるかはわからない。メーカーとしてのプライドもあるし、トヨタにイニシアティブを握られたかたちでのFCV陣営入りに対しての抵抗もあるだろう。
●トヨタに求められる次の一手
そして何より、欧州勢をどう取り込めるか。およそ世界の規格づくりの主導権を握っているのは欧州勢である。クラス意識が強く、アジア人に対して優越感を持っている欧州の産業界が、極東日本のトヨタに次世代自動車の主導権を渡すには大きな抵抗を感じるだろう。かといって、日本の自動車メーカーだけで結束しても、また新たなガラパゴス産業を形成してしまうだけになる。
思い起こされるのが、1970年代に起こった「ビデオ戦争」である。ソニーが開発したベータと、日本ビクターが開発したVHSが、家電メーカーを2分しての規格戦争を繰り広げた。技術的には必ずしも優位ではなかったVHSが勝利したのには「ミスターVHS」といわれた日本ビクターの高野鎮雄事業部長(当時)の存在があった。高野氏が松下幸之助を説得して松下電器産業(現パナソニック)を自陣に組み入れることに成功した。
今のトヨタに、欧州の自動車メーカーを説得しきれるような「ミスターFCV」はいるのだろうか。特許を公開しただけでは、世界中の自動車関連企業が賛同してくれるはずはない。恐らく特許の無償公開だけでは陣営づくりは進まない、と筆者は見ている。たとえトヨタがOEM供給(相手先ブランド名製造)をしようにも、現時点では同社の製造キャパシティは圧倒的に小さい。といって、まさかトヨタが他社に補助金をばらまくわけにもいかないだろう。
例えば、アライアンスを組んでくれる自動車メーカーの販売エリアにおける水素ステーション開設支援というのが、トヨタがすべき提案なのではないか。水素ステーションを1カ所新たに開設するには5億円ほどかかるとされている。純利益2兆円のトヨタなら、4000ステーションも設置できる。もちろん、トヨタ自身が開設するのではなく、それぞれの国で有力な水素ステーション会社へ出資したり、融資などを行うかたちで展開するのがいい。
FCVの全面的な普及のためには、アライアンスづくり、そしてインフラづくりまでトヨタが戦略を策定・実施していく必要があるだろう。モノをつくらせれば世界屈指であるこの偉大な三河の田舎企業が、世界的な合従連衡を仕切っていく洗練した外交を発揮することができるのか。けだし見物である。
山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役
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