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疑惑まみれのドコモ光サービス、通信業界が総務省へ異例の申し入れ 利用者に不利益の恐れ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150118-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 1月17日(土)23時36分配信
NTTドコモは、NTT東西が提供する光ファイバー回線(家庭用固定ネット回線)の卸を受け、固定ブロードバンドサービス「ドコモ光」を2月にもサービスインさせる見込み。このドコモ光は自社の携帯電話とセットでの契約による“セット割”も提供するとしている。
サービスインを前に、通信業界には大きな波紋が広がっている。これまで、NTTグループ内のセット販売は市場の寡占状態を招くとして規制されてきたが、これが緩和されることに対して、業界が競争環境の後退と利用者利益の損失を招くとして強く反発。特に、NTTがドコモにとって有利な取り決めを秘密裏に行い契約者を囲い込み、シェアを安泰にすることにより、将来的には料金の値上げなど契約者にとってさまざまな不利益が生じると懸念されているのだ。
●秘密裏に決められた「ドコモ光」が通信業界を壊す
NTTのこうした動きに対して、KDDI、ソフトバンクモバイル、ワイモバイルをはじめとする国内の通信会社は、NTTが行う光ファイバー回線の卸売とドコモ光の営業活動が健全な競争状態を妨げることのないよう、NTTグループ内の取引の透明性を確保するよう申し入れた。1月14日には、自民党の情報通信戦略調査会が、光ファイバー回線の卸売について透明性確保のため届出制とし、第三者機関がその内容を検証して結果を公表するべきとの提言を総務省に行った。これを受けて総務省は、NTTの卸売について必要なガイドラインを1月20日までに策定し、30日以上のパブリックコメント募集期間を経て、2月下旬のガイドライン施行を目指している。
このガイドラインのポイントとなるのは、自民党情報通信戦略調査会が、NTTのサービス卸開始に対して、NTTグループのみを優遇した連携が発生し、他社にとって不利な競争状態が発生することに懸念を示している点だ。提言では、NTTがドコモのみを対象とした安価な卸料金や割引を設定したり、過剰なキャッシュバックなどの営業活動によって地方で通信サービスを提供している地元ケーブルテレビ事業者などとの競争を阻害するような結果を生じさせた場合には、電気通信事業法における業務改善命令の対象とするよう、総務省に要望している。当然、ドコモ光はこうした意見を基に策定・施行されるガイドラインに則ったサービス設計を行う必要があり、一部の報道では「2月としているサービス開始を延期するのではないか」という見方もある。
しかし、こうした動きの中でも、ドコモ陣営は強気の姿勢を崩さない。ドコモ報道部は朝日新聞の取材に対して「2月開始の方針は変えていない」としており、ガイドラインの施行を予定している2月下旬よりも前に、サービスの詳細を発表し、契約者の募集や営業活動を“見切り発車”する可能性があるのだ。ガイドライン施行よりも先行してサービスを発表、契約者の募集を開始させてしまうことによって、総務省が策定したガイドラインの内容がパブリックコメントによって修正された際にドコモ光のサービス内容を大きく変更したり、または“見切り発車”が既成事実化することでガイドラインに対するパブリックコメントが有名無実化してしまうことも考えられる。いずれにしても、消費者にとって不透明感が拭えない船出となるのは確実なのだ。
ただ気になるのは、そもそもなぜガイドラインの策定・施行時期に合わせてドコモ光がサービスの提供を開始できるのかという点だ。そこには、NTT、ドコモ、総務省の出来レースが存在しているのではないかという疑問が浮かび上がってくる。
一般的に、サービスの卸業務というのは公平・公正な競争状態を担保するために業界内でさまざまなルールが決められ、そのルールに則って事業者間で取引開始に向けた種々の契約の取り決めが行われるものであり、その調整には時間を要するものだ。しかし、ドコモ光のサービス提供のタイミングをみると、サービスを卸すNTTが、数ある通信事業者の中で同じNTTグループ内にいるドコモとの取引条件の整備を他社より優先して秘密裏に進めてきたからにほかならないのではないか。NTTがドコモを優遇して、業界内でドコモが有利な状況で営業活動ができるように仕込んでいると疑われても仕方がないだろう。NTTが昨年5月に行ったサービス卸に関する説明会には全国から100社以上の通信事業者の参加があったものの、参加者からは価格設定に対して不満が噴出しており、ドコモ光のサービス内容次第では全国の通信事業者が再び反発することも考えられる。
また、NTTと総務省は非常に近い関係にあることから、今回のガイドライン策定についても、ドコモ光のサービス提供開始を妨げない内容にした出来レースだと考えることもできる。ガイドライン案に寄せられるパブリックコメントが、ガイドラインの決定にどの程度の影響を与えるかは注意深く見ていく必要があるだろう。もしもドコモ光の登場によって健全な競争状態が破壊されることになれば、携帯電話業界の成長は止まり、サービス品質の低下や商品力の低下といった衰退は免れない。
●ドコモ光に潜む、もうひとつの懸念材料
ドコモ光に対する懸念はこれだけではない。契約者にとっても業界にとっても不利になる条件が、もうひとつあるのだ。
固定回線の契約者の中には、IP電話を利用している人もいると思うが、日経BP社が運営するIT系ニュースサイト「ITpro」の記事によると、NTTは同社提供の固定回線を使用している契約者に対して、現在の契約IDと電話番号を引き継ぎながら契約形態だけをドコモ光に変更する「転用」を認めたという。これは、固定回線におけるナンバーポータビリティともいえるもので、現在「フレッツ光」(光でんわ)を使用している契約者は、解約料や工事費が発生しないかたちで固定回線とドコモのセット割を利用することができる。
しかし、この転用という制度には大きな落とし穴がある。それは、同一番号が引き継げる転用はフレッツ光からドコモ光に契約変更する際の1回のみという制約があるというのだ。表向きの目的は、キャッシュバックなどの特典を目的としたユーザーが、転用を繰り返さないように歯止めをかけることだと受け取れるが、その実情は契約者をNTTグループ内に囲い込む思惑がはっきりしており、健全な競争を大きく妨げるものだといえる。そして、契約者にとっては一度ドコモ光に契約を変更すると、さらに良いサービス事業者に変更しようとした際に違約金が発生したり、電話番号の変更を余儀なくされたりといった不利益が考えられ、この転用もNTTとドコモが優位に契約者を獲得できる、「提供者の都合だけを考えた施策」ということができるだろう。
このようにドコモ光は、ガイドラインの施行も待たず、業界内でのコンセンサスを得ることもなく、NTTグループが契約者の囲い込みと他社からの顧客獲得を優位に進めたいという身勝手な事情で“見切り発車”しようとしている。今後、さまざまな懸念点に対する業界の強い反発は必至の様相であり、それを受けてサービスの内容変更や条件の見直し、撤廃などが行われると、契約者はそれによる不利益を被る可能性は高く、ドコモ光をめぐる状況はさらに混沌の度合いを増す恐れも考えられる。サービスの確実性が担保されるまでの間は、状況を静観するのが賢明だといえるのではないだろうか。
編集部
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