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【米国現地レポート】止まらない原油安で2月下旬にも米株式市場が下落に突入か 米利上げ9月説浮上
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150117-00000006-zuuonline-nb
ZUU online 2015/1/17 18:21
原油価格の暴落が止まらず、指標となる米国産標準油種(WTI)の先物価格は週明け13日のニューヨーク原油先物相場で5年9か月ぶりの安値となる、1バレル当たり44ドル台まで値下がりした。同日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均はこれを嫌気し、前週末比96.53ドル安の1万7640.84ドルに続落して取引を終えた。日本の日経平均もつられて大幅反落で始まった。
これらの株安は、米ゴールドマン・サックスや仏ソシエテジェネラルが、原油安がさらに進むとの予測を発表したことが引き金になっている。ダウ平均の構成銘柄のうち、エネルギー企業のシェブロンとエクソンモービルの下落率は約2%に達し、相場全体の足を引っ張った。
こうしたなか、ゴールドマン・サックスのチーフ債券ストラテジスト、デイビッド・コスティン氏は12日、経済専門局CNBCの番組に出演し、「史上最高値を更新し続けていた米株価は、2月下旬に後退局面に突入する」と予測した。同氏は、「ファンドのマネージャーは、強気すぎる」との見解を表明し、「(今週から続々発表される)米企業の収益率は精彩を欠いたものになる可能性が大きく、2015年全体の市場の上げ幅は限られたものになる」と述べた。
米投資会社S&P キャピタルIQ による2014年10月‐12月期のS&P 500企業全体の業績予測は、7月‐9月期比で11.4%上昇と予想されていたものが、原油安のため4.6%上昇に引き下げられ、2014年通期予測も前年比11.5%上昇から、7.4%上昇に修正されている。
前述のコスティン氏の発言で最も注目されるのは、「米利上げは(市場の大方の予想である6月ではなく)9月になり、利上げ後は市場が下げていくだろう」とした部分だ。これに対し、アトランタ連銀のデニス・ロックハート総裁は12日、「利上げは夏ごろが望ましい」と言明し、ハト派とされるサンフランシスコ連銀のジョン・ウィリアムズ総裁も同日、「6月利上げの推測は妥当だ」と述べるなど、後ずれを始めた市場の弱気な利上げ予測と米連邦準備理事会(FRB)の強気さのギャップが浮き彫りになりつつある。
■エネルギー企業の耐久力は?
こうしたなか、逆オイルショックで最も打撃を受けているのが、エネルギー関連企業だ。ゴールドマン・サックスは、原油安が「ニューノーマル」になり、エネルギー企業の合併ラッシュが本年中に起こる可能性を示唆し、注目されている。
ゴールドマン・サックスは、1月‐3月期のWTI原油価格予測を、1バレル当たり70ドルから41ドルに引き下げ、2015年通年では、以前の1バレル当たり73.75ドルから47.15ドルへ修正した。エネルギー企業は、こうした傾向に対し、どれくらいの耐久力があるのか。
エネルギー業界分析のウッドマッケンジーのアナリスト、ロバート・プラマー氏は12日のCNBCの番組で、「まず採算レベルが1バレル当たり40ドル前後の米国内の小規模油井が生産を停止し、次に1バレル当たり30ドル台で採算割れするカナダのオイルサンド油田が操業を停止する可能性がある。一方、老朽化した英国の北海油田は1バレル当たり50ドルが採算ラインなので、永久停止に追い込まれるかも知れない」と述べた。ただし、「カナダのオイルサンド油田や英国の北海油については、いったん採掘を停止すると再開が難しいため、赤字でも事業を継続するのではないか」と付け加えた。
米投資会社RBCキャピタルマーケットのチーフ市場ストラテジスト、ジョナサン・ゴラブ氏は、「原油安で、エネルギー企業の収益の20%が吹き飛ぶ」とするが、他の専門家は1バレル当たり40ドル台ならエネルギー企業は十分採算が取れると指摘する。これらのアナリストによると、8日に破綻したテキサス州のシェール開発企業WBHエナジーのように1バレル当たり45ドル前後で生産停止になるのは、日産40万バレル分、世界の原油供給の0.4%に過ぎないという。エネルギー企業の体力は、予想以上に強そうだ。
(在米ジャーナリスト 岩田太郎)
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