中国株続落、上海総合指数が約1年1カ月ぶり安値−景気減速懸念で 2016/01/27 17:58 JST (ブルームバーグ):27日の中国株式相場は続落。上海総合指数が再び約1年1カ月ぶりの安値となった。中国が発表した昨年12月の工業利益が減少し、景気減速が深刻化しているとの懸念が広がった。 上海総合指数は前日比0.5%安の2735.56で終了。前日は6.4%下げていた。航空会社と電力株が下げの中心。12月の工業利益が前年同月比4.7%減少したほか、人民元の下落によって、ドル建て債務を抱える中国企業の利益が一段と下押しされる可能性があるとのアナリストの見方も嫌気された。 上海総合指数は一時4.1%安となる場面もあったが、政府系の市場救済基金の選好銘柄と見なされているペトロチャイナ(中国石油、601857 CH)が3週間ぶりの大幅高となったことを受けて、下げ幅を縮小した。CSI300指数は前日比0.4%安。工業と通信、公益株が軟調だった。 精熙投資管理の王征最高投資責任者(CIO、上海在勤)は「市場はなお底値を探る過程にあり、それがどの水準か予想は難しい」と分析。「現状を反転させるには、より強力な政府の対策が必要になるだろう」と指摘した。 香港市場では、中国本土株で構成されるハンセン中国企業株(H株)指数が前日比0.8%高で引けた。ハンセン指数は同1%高で終了。 英RBS:2015年は通期赤字となったもよう−追加費用計上 (1) 2016/01/27 17:45 JST (ブルームバーグ):英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)は27日、2015年10−12月(第4四半期)に計上する追加費用によって有形純資産価値に36億ポンド(約6100億円)の影響が生じる見込みだと明らかにした。追加費用の内訳は米国の住宅ローン担保証券(MBS)関連訴訟に絡む引当金22億ドル(約2600億円)など。これを含め、15年は通期赤字となったもよう。 RBSの発表によると、年金原資の積み立て不足による影響が16億ポンドとなるほか、支払保証保険の不適切販売をめぐる引当金を5億ポンド積み増す。ロス・マキューアン最高経営責任者(CEO)によれば、同問題での引き当てはこれが最後になる見込み。同CEOは発表文で「過去の問題を終わらせRBSをより強く安全な銀行にする決意だ」と表明した。 RBSの株価はロンドン時間午前8時6分(日本時間午後5時6分)現在、4.4%安の249.5ペンス。 原題:RBS Sees Full-Year Loss After Setting Aside Additional Charges(抜粋) http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1LADL6JIJUZ01.html
Column | 2016年 01月 27日 16:21 JST 関連トピックス: トップニュース コラム:試される「FRBプット」 James Saft [26日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が投資家に対して取っている、ある種の保険金未払いのような考え方が今週、厳格に試される。 FRBは今年中に4回の利上げを示唆しているが、市場はわずかに1度しか織り込んでおらず、FRBは27日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策発表の際、二重の意味でのプレッシャーに直面する。即ち、年初めの数週間の間に、恐らくは悪い方向で状況に変化が生じているとの認識を示す一方、選択肢の余地を残しながら中銀としての権力に引き続き敬意が払われるようにしなければならない。 損失や市場の大幅な変動に見舞われた場合、FRBが状況を和らげるために支援に動いてくれるという「Fed(FRB)プット」という考え方について、投資家は確約を得たいと考えるだろう。中国の成長鈍化や債務問題だけでなく、国際貿易の減速に対する懸念から、世界の金融市場は大きな打撃を被った。このため米国株.SPXは1月中に7%下落した。 FRBが示す予測と、市場が織り込むFRBの動き方の間の食い違いは明らかに広がっている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループによると、FRBが年内に金利を据え置くか、あるいは25ベーシスポイント(bp)の利上げを1度行う確率について、先物価格は現在70%と示唆している。1カ月前は3分の1未満の確率だった。 ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのジム・オサリバン氏は顧客向けノートで「FRB高官は恐らく最近の『金融市場や海外での動き』によって余分な不確実性が高まったことを認めたいだろう。しかし、同時に彼らは、市場における比較的緩やかなリスク回避の動きや、あるいは経済指標が発するまちまちのシグナルによって、急いで見通しを大幅に変更しなければならないとの認識を助長するのは避けたいとも考えている」と指摘した。 ノースダコタ州のシェールガスの採掘を行うために融資を探しているのでない限り、米国の金融市場は特に逼迫した状況ではない。住宅ローンの金利も低く、学生ローンや自動車ローン市場では、車の使用年数が長期化していることや、今後6─7年の間に熟練労働者が増えるとことで、市場に対して楽観的な見通しを立てているようにみえる。 このため、FRBが金融市場の状況に基づき、より慎重な姿勢を強めるための証拠固めをするのは難しい。FRBには2重の使命に準じた役割として金融市場の安定を維持することが求められるが、われわれが経験してきたのは、コモディティ価格の下落とインフレ率の低下を踏まえた適切なリスクの再評価にすぎないように思える。 FRBがほぼ10年ぶりの利上げに踏み切った昨年12月にこの再評価の口火を切ったのは、彼らが昔の体制に戻るためだったというつもりはない。金利が0.25%から0.50%に上がっただけで危機に陥るような企業は多分、どのみち疑わしい存在だっただろう。 その結果、われわれが目の当たりにするのは次の2つになりそうだ。つまり、1つは国際的な状況を認めること、2つ目は期待インフレ率の低下を認めることだ。FRBは昨年9月に利上げを見送り市場を驚かせた際、国際的な状況に言及し、そのことは広く中国市場の混乱を意味すると受け止められた。 FRBが政策金利に関して警戒すべき口実として中国を引用することには、正当な理由があるとともに危険性も伴う。確かに中国の需要の落ち込みはコモディティ価格の押し下げに寄与し、新興国や鉱物・資源国経済に困難な問題を生じさせる。このことは世界と米国経済の成長にとって間違いなくマイナスだ。 それでも中国の問題は、市場の安定だけでなく国内消費主導経済への長期的な移行という双方の観点からみても、短期間には解決しそうにない。このため、FRBが「グローバル」な問題に言及しすぎると、FRBは幾分主導権を明け渡すことになる。 ダドリー米ニューヨーク連銀総裁とブラード・セントルイス地区連銀総裁はこの2週間、期待インフレ率とFRBの2%のインフレ目標の間の隔たりがさらに広がっているとの懸念を表明した。投資家が今後5年間の予想としてみている市場ベースの期待インフレ率の指標は、過去最低に非常に近い水準だ。消費者サーベイでも期待インフレ率は今年に限らず5─10年にわたり極めて低いという事実が示す通り、市場がヘッジ活動によって歪められているとの主張は根拠を失っている。 不安な材料だが、やはりインフレ率の低下は恐らく、FRBとそれ以外の我々が付き合っていかねばならない問題に過ぎないのだろう。 FRBが投資家を元気づけるために道を踏み外すという証拠はかなり強くみられるが、不透明なのはそれが本当に政策金利を管理する上で持続的で成功を導く手法なのかどうかという点だ。 「FRBプット」は、あまり酷使しすぎると弱くなる筋肉の1つのようなものかもしれない。 *筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 http://jp.reuters.com/article/column-frb-put-idJPKCN0V50LR?sp=true 東大大学院の伊藤教授:1ドル=100円は容認を、購買力向上もたらす 2016/01/27 16:47 JST
(ブルームバーグ):経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)民間議員である東京大学大学院の伊藤元重教授は、1ドル=100円程度の円高は容認すべきだとの見方を示した。購買力向上などの効果が日本経済にもたらされるとしている。 伊藤教授は「今の120円程度から仮に1ドル=100円くらいになったとしても受け入れなければならない」と述べた。長期トレンドで見た過去の過度な円高・円安を踏まえ、穏やかな円高ならば「真ん中くらいの方に徐々にいくのは悪い話ではない」と語った。 年明けの世界同時株安で為替相場は20日、一時1ドル=115円台まで円が上昇して約1年ぶりの円高水準を付けた。伊藤教授は円高のメリットとして「日本経済全体で見ると購買力が上がっていく」と述べると同時に、日本企業の海外投資の拡大を促す効果もあるとの見解を示した。 今週末の日銀金融政策決定会合での追加緩和については「今、やることに対してメリット・デメリットがある。市場が非常に荒れている時にやるのがいいのかどうか、タイミングが重要だ」と語った。金融政策だけがデフレ脱却の手段ではないともし、賃上げ企業にインセンティブを与える政策や人材育成などの人的投資を増やして将来の賃金上昇につなげる策を示した。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 上野英治郎, 中川寛之 更新日時: 2016/01/27 16:47 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1JYMB6K50XU01.html 株式の政策保有を継続、配当収入や取引強化に魅力−京都銀頭取 (2) 2016/01/27 16:33 JST
(ブルームバーグ):京都銀行の土井伸宏頭取はブルームバーグとのインタビューで取引先の事業会社との持ち合い株(政策保有株)を売却しない方針を明らかにした。政府は企業統治(コーポレートガバナンス)強化の観点から売却を促しているが、配当収入の利益寄与や取引強化につながるメリットは大きいと述べた。 土井頭取(59)は京セラや任天堂、日本電産などの政策保有株について「創業当初からベンチャーとして投融資で支援してきた結果で、一般的な安定株主としての持ち合いは少ない」と指摘。「同じ京都の会社同士でトップとはすぐに会えるし、お互いに言いたいことは言う」とガバナンス面でも有効との認識を示した。 安倍晋三政権は株主と企業との対話によるガバナンス強化策を打ち出し、東京証券取引所は昨年6月に企業統治指針を導入して持ち合う場合はその理由を開示するよう義務付けた。こうした中、三菱UFJなどメガバンクは目標を掲げて政策保有株の売却を進めているが、京都銀は政策保有のメリットを重視する姿勢を鮮明にした。 土井頭取は、取引先などの株式保有は「低金利下で配当が大きな収益源になっている」と述べた。同行の15年3月末決算資料によれば、株式配当利回りは3.39%で貸出金利回り1.23%を上回った。その上で「保有株を売ってそれ以上の収益を得られる運用先もない」と語った。長期国債金利は21日に0.190%と過去最低を記録した。 ただ、投資家から集めた資金でどれだけ利益を稼いだかを示す株主資本利益率(ROE)は、ブルームバーグのデータによるとTOPIX銀行株指数の採用銘柄平均の6.37%に対し、京都銀は3.54%だった。 京都銀の15年3月末の有価証券運用残高(簿価)は2兆6836億円で、うち株式は1795億円。時価に基づく評価益(含み益)の合計は4815億円で、うち株式が大半の4248億円を占める。土井頭取によれば、株式含み益がゼロになるのは「日経平均株価で5000円の水準」という。 土井頭取は、企業の株を保有するもう一つのメリットとして「取引先の従業員の住宅ローンなど個人取引がある」などと述べた。大株主の金融機関として企業内で職域セールスを呼び掛けてもらえるなど、取引先の株を「保有する意義がある」と指摘した。 ブルームバーグのデータによると、京都銀は京セラ株を1443万株(発行済み株式の3.82%)、任天堂株を588万株(4.15%)、日本電産株を1239万株(4.16%)を保有している。 クレディ・スイス証券の三浦毅司アナリストは、京都銀の株式保有について「有価証券運用の手段が本当に限られている中で 、コストが安く利回りの高い株をここまで積み上げてきた実績はプラス」と評価。一方で、保有先企業の株価変動が同行の業績や財務に影響を及ばしやすい点を指摘した。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 河元伸吾 skawamoto2@bloomberg.net;東京 Gareth Allan gallan11@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Marcus Wright mwright115@bloomberg.net 平野和, 持田譲二 更新日時: 2016/01/27 16:33 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O0ZIN76K50Y001.html
ドル・円は118円台前半、FOMCと日銀会合での対応見極めへ 2016/01/27 16:15 JST
(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=118円台前半で推移した。米連邦公開市場委員会(FOMC)とあすから開かれる日本銀行の金融政策決定会合を見極めようとの姿勢が広がり、上下とも動きづらい展開となった。 午後4時10分現在のドル・円相場は118円37銭前後。朝方の118円台半ばから正午にかけて118円ちょうど付近まで弱含んだが、その後下げ渋った。 三井住友銀行市場営業部為替トレーディンググループの呉田真二グループ長は、「注目はやはり日銀の決定会合」で、市場の雰囲気は追加緩和見送りだが、「個人的には追加緩和を実施する可能性は十分にあるとみている」と指摘。FOMCについては、「直近の海外情勢や市場状況を受けて、多少ハト派的な声明が見込まれるが、すでに織り込み済みで、市場への影響は限定的」と予想した。 26日は中国株の大幅下落や原油安を背景に117円台後半までリスク回避の円買いが進んだが、海外時間には米国株や原油相場の反発に伴い、一時118円62銭まで円売りが進んでいた。 26日から始まったFOMCでは、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は0.25−0.50%に据え置かれると見込まれている。声明はワシントン時間27日午後2時(日本時間28日午前4時)に発表される。 上田ハーローマーケット企画部の小野直人氏は、注目は声明文だが、「金利正常化は始まったばかりで、大きな方向性は引き締めスタンスであること変わりはなく、3月の追加利上げに含みを残す形が基本路線となりそう」と予想。年初からの金融市場の混乱や足元の米経済情勢の変化について、「どのように声明文に反映させて市場を落ち着かせられるかがポイントになる」と指摘している。 FOMCに続き、28、29日には日銀の金融政策決定会合が開かれる。ブルームバーグが22日−27日に行った調査によると、エコノミスト42人のうち、1月会合で追加緩和を予想したのは6人(14%)。3月会合は7人(17%)、4月会合が最多の14人(33%)で、7月が2人(5%)、追加緩和なしが13人(31%)だった。 あおぞら銀行市場商品部部長の諸我晃氏は、「物価見通しもおそらく下げるだろうし、追加緩和をしてもおかしくない状態にはなるが、インフレは原油の影響も大きいし、今後の賃金動向なども含めて今回は様子を見る可能性が高い」と予想。「記者会見などで今後の追加緩和について何らかの言及がなされるかどうかがポイントになってくる」と語った。 27日の東京株式相場は大幅反発し、日経平均株価は一時500円を超える上げとなった。一方、中国株式市場では上海総合指数が続落。昨年12月の中国工業利益が前年同月比4.7%減となり、景気減速の深刻化に伴い資本流出に拍車が掛かるとの懸念が広がった。 ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.08ドル台半ばから後半でもみ合う展開で、同時刻現在は1.0861ドル前後。ユーロ・円相場は27日早朝にかけて1ユーロ=128円73銭と今月14日以来のユーロ高・円安水準を付けた後、128円台前半まで弱含んだが、その後下げ渋る展開となっている。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net 青木 勝, 山中英典 更新日時: 2016/01/27 16:15 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1L0TF6JIJV201.html
News | 2016年 01月 27日 14:44 JST 関連トピックス: トップニュース アングル:原油安で生き残るのは誰か、決算がヒントに [ニューヨーク 26日 ロイター] - 原油価格の急落で、このままでは多くの米石油会社が破綻するのではないかと懸念されている。こうした中で発表が始まった第4・四半期決算は、今後原油価格が落ち着きを取り戻す時期までどの企業が存続していられるかを投資家が判断する重要な手掛かりになるだろう。 エネルギーセクターの第4・四半期1株利益は、前年同期比で74%減少する見通し。 ただし当時は原油価格が1バレル=40ドル超で推移していたが、足元では30ドル前後まで下がっており、ほとんどの独立系石油生産会社にとっては立ち行かない水準となった。ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズは最近、採算割れしないために必要な原油価格が60ドルを超える企業としてミッドステーツ・ペトロリアム(MPO.N)やサンチェス・エナジー(SN.N)といった具体名を示している。 原油価格の回復は2017年以降との見方が多く、それまで何とか事業を続けていくには、余剰キャッシュを確保し、コスト面で優位に立ち、相当規模の債務を管理運営していく才覚が石油会社には不可欠だ。 <経営効率> 調査会社KLRグループによると、大半の石油開発・生産会社は現在、1ドル相当の原油採掘費用が1ドルを超えている。調査対象47社のうち、1ドルを費やして1.10ドル相当以上の原油を採掘できるのはわずか4社だけ。1ドル当たりの費用で0.70ドル相当しか手に入れられないというのが中央値だ。 フェデレーテッド・インベスターズのポートフォリオマネジャー、マット・カウフラー氏は「投資家は相対的な発見・採掘コストに目を向けて、どこが事業コストの面で競争力が最も高く、嵐を切り抜けられるかを検討している」と述べた。 例えばハリバートン(HAL.N)が25日発表した四半期利益は市場予想を上回った。採掘活動の縮小がもたらす悪影響が、思い切ったコスト削減の取り組みで打ち消された格好だ。 今は実質的にすべての石油会社が減産に動いているが、売り上げが生産より速いスピードで減少していればそれは明らかに危険な兆候と言える。 キーバンク・キャピタル・マーケッツの株式調査アナリスト、ロビン・シューメーカー氏は「それは恐らく、市場シェアを失いつつあることを意味する」と指摘した。 <債務問題> 石油企業の信用力を判断する上では、アナリストは利払い・税・償却前利益(EBITDA)に対する債務の比率に着目するだろう。 一部の指標では良好な経営状況が示されている企業でさえ、債務問題に直面している。 ハルコン・リソーシズ(HK.N)はKLRの分析では、1ドルの費用で1.10ドル超相当の原油を採掘できるものの、EBITDAのほぼ10倍に上る債務を抱え、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)から「選択的債務不履行(SD)」格付けを付与されている。 グレンミードの投資戦略ディレクター、ジェーソン・プライド氏は、現在の原油価格では石油開発・生産業界でより多くのデフォルトや破綻が起きるのは避けがたいように思われる、と話した。 (Rodrigo Campos記者) http://jp.reuters.com/article/global-oil-distress-outlook-idJPKCN0V50DX TPP経済効果うたう米通商代表部のグラフ、誤解招く恐れ ENLARGE 米通商代表部(USTR)がこのほどツイッターで公表した一連のチャートは誤解を招く恐れがある(写真はカリフォルニア州サンペドロのロサンゼルス港) PHOTO: SCOTT VARLEY/AFP/GETTY IMAGES JOSH ZUMBRUN 2016 年 1 月 26 日 15:22 JST 米通商代表部(USTR)はここ数年、環太平洋経済連携協定(TPP)の策定と締結に尽力してきた。USTRがTPPによる経済的恩恵を宣伝したいのは理解できるが、USTRがこのほどツイッターで公表した、TPPの経済効果をうたう一連のチャートは誤解を招く恐れがある。 ENLARGE ENLARGE 米国民所得(単位:十億ドル、赤:TPP発効の場合、青:TPPがない場合)※WSJがピーターソン国際経済研究所のデータに基づき作成した正しいグラフ その中の一つのチャートは2030年の米国民所得が、TPPを発効した場合は25兆8850億ドルに増えるが、TPPに参加しない場合は25兆7540億ドル止まりであることを示している。両者の差は1310億ドル(約15兆5000億円)だ。ところが、18兆1540億ドル(2015年時点の国民所得)と25兆7540億ドルの差は7兆6000億ドル(約900兆円)であるにもかかわらず、チャートの目盛り上ではこの1310億ドルと長さがほぼ等しい。数字の桁が一つ違うというのにどうしたことか。 これらの数値はどれも正しい(数値を取りまとめたのはピーターソン国際経済研究所だが、USTRがそれをどうグラフ化しようが同研究所に責任はない)。同研究所は実際、TPPが実質所得を押し上げると見積もっている。はっきり言っておくが、筆者が疑問を呈しているのはチャートの正確さについてであって、TPPへの賛否を議論しているわけではない。 だがUSTRのチャートを見ると、TPPを発効した場合の所得の伸びはTPPがない場合のほぼ2倍のような印象を受ける。事実、ピーターソン国際経済研究所は、米経済全体の規模と比較すると所得への影響はかなり少ないと推計している。正しいグラフを作成すれば、これは一目瞭然だ。 ENLARGE ENLARGE 米輸出額(単位:十億ドル、赤:TPP発効の場合、青:TPPがない場合)※WSJがピーターソン国際経済研究所のデータに基づき作成した正しいグラフ USTRが同じくツイッターで公表したTPPの輸出への影響を示すチャートも紛らわしい。国民所得のチャートと同様に、TPPを締結した場合の輸出の伸びが実際の数値よりもはるかに大きい幅で表示されているのだ。 輸出への影響は所得への影響よりもはっきり目に見えるものだが、USTRのチャートが示すような飛躍的な伸びなど到底あり得ない。 USTRは実際にピーターソン国際経済研究所のデータからグラフを作成したのではなく、目盛りをねつ造してグラフを仕立て上げた。 米労働省や商務省など省庁や政府機関の多くは、経済データの公表にあたっては正確を期し、計算手順や提示方法などに万全な注意を払っている。今回のUSTRのように政府当局が誤解されやすい情報やデータを提示すれば、政府の発表するデータはどの省庁や機関のものであれ何らかの形で改ざんされているのではないかと考える人たちの疑いを払拭(ふっしょく)することは一段と難しくなる。 USTRの広報担当、アンドリュー・ベイツ氏は「われわれは間違いに気づいた。これから修正を加えた正しいグラフをツイートする」と話した。輸出への影響を示すUSTRのチャートは25日中に修正されている。 関連記事 • TPP合意【特集】 • オバマ大統領、最後の一般教書演説で楽観的な展望 • TPPで米製造業雇用の伸び鈍化=シンクタンク • TPPは日本とベトナム、マレーシアに大きな恩恵 世銀報告書 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MG890_TPP_NS_20160126014313.jpg http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MG599_TPPinc_GR_20160125134745.jpg http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MG891_TPP2_NS_20160126014350.jpg http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MG602_TPPexp_GR_20160125134906.jpg [FT]イラン制裁解除が脅かすサウジの覇権 2016/1/27 14:50日本経済新聞 電子版 Financial Times 今週、イランのハッサン・ロウハニ大統領の歴訪を迎えたイタリアとフランスの政財界幹部は惜しみない歓迎ぶりだった。中東は相変わらず宗派間の混迷から抜け出せず、シリアを舞台とするイランとサウジアラビアの代理戦争が国際的な安全保障上の脅威へとエスカレートしている。しかし、イランが国際市場に復帰したことで、めったにない新興市場の「金の卵」への期待が浮上すると同時に、イランの制裁解除が、域内のライバルとの経済的競争でサウジを新たな局面に突き動かすのではないかという兆しも照らし出している。 ■イランに近づくイタリアとフランス ロウハニ大統領と同行団は、イタリアで石油のパイプラインから鉄道まで約170億ドルにのぼるあらゆる事業協力で合意している。また、フランスではエアバス社から新たな旅客機114機を購入する契約を結ぶ。イランに対する経済制裁が同国の経済をまひさせるまで、イタリアとフランスの欧州2カ国はイランと最も近い国々だった。その2国との契約は、(全てではないが)ほとんどの制裁が解除された今、今後起こり得ることの前ぶれだ。一部の地元エコノミストらは、まだ対処できていないイランの投資すべき金額は、今後5年間で毎年約1500億ドルに上ると推計する。また、より慎重な国際通貨基金(IMF)も、イランの輸入額が2016年の750億ドルから20年には1150億ドルに増えると予想している。このことに対して、サウジはどのように対応してきたのだろうか。 サウジアラムコの一部の株式を公開する構想が出てきた=ロイター サウジは、経済と福祉制度の抜本的な行政改革に着手している。似たような改革は過去に検討されたが、リスクが高すぎるとして手をつけなかった。しかし、原油安にもかかわらず原油があふれるなか、一部の燃料補助金が削減されている。そして、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子は、国営石油会社で同国の最も重要な資産である、サウジアラムコの一部の株式を公開する構想を打ち出した。 この件で世界の市場関係者は素早く資産査定を計算し始めたが、実はこれがイランから話題をそらすための真の意図だったのかもしれない。サウジ政府は、欧米諸国がサウジを見る場合、その巨額な利益に目を向けていることを熟知している。同国経済は比較的、外国人投資家には閉ざされたままだが、過小評価すべきではない。 恩顧主義の力強さに欠ける不労所得国家であっても、同国は過去に優位性のオアシスを築いてきた。1970年代にはサウジアラムコの権利を米国の所有者から買い戻し、同時期に石油化学大手のサウジ基礎産業公社(サビック)を設立している。この2社がその例だ。それも昔のことだ。原油価格の急落やイランの挑戦、また特に過激派組織「イスラム国」(IS)を信奉する反抗的な若年層に生計の手段を与える必要性などは、新たなサウジの指導者がなんらかの対策を見つけ出す必要があることを示唆している。 ■ペルシャ湾岸の大国が経済のライバル関係に サウジが機会を避ければ、近隣諸国が手に入れるだろう。アラブ首長国連邦(UAE)の港は、イランの貨物積み替えの拠点となっていき、天然ガスの豊富なカタールは、イランが莫大な埋蔵ガスを活用する手助けができる。国際的な銀行はおそらく与信リスクの懸念からイランとの取引を控えるだろうが、ドバイからベイルートに至るまで地元を知りうる銀行などには貴重な機会をもたらす。 さらに言えば、サウジは外交や軍事的領域よりもむしろ経済の領域でイランにうまく対抗できるだろう。 サウジ政府が最近、イラン政府との外交関係を断絶した際にサウジに同調したのは、従属国のバーレーンとソマリアやジブチなどを含むアフリカの角と呼ばれる一部の国々だけだった。 ペルシャ湾岸の大国たちが経済競争のライバル関係に移行するという発想は、まだ芽生えたにすぎない。だが、世界の地政学の算式にイランが含まれるようになり、国際的な注目がサウジのワッハーブ派と過激派組織との関係性に集まる中、サウジ政府の支配者は同国の強みを改めて評価し直したほうがいいのかもしれない。 By David Gardner(2016年1月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) http://www.nikkei.com/article/DGXMZO96590910X20C16A1000000/
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