http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/771.html
Tweet |
シャープの本社(「Wikipedia」より/Otsu4)
「抜け殻」シャープに、一体どんな存在意義があるのか?そこまでして潰さない意味は?
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13468.html
2016.01.26 文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表 Business Journal
1月22日、シャープが官民ファンドの産業革新機構から3000億円程度の出資を受け、不振の液晶事業を分社化しジャパンディスプレイ(JDI)と経営統合させる方向が固まったと報じられた。さらに革新機構はみずほ銀行など主要取引銀行に1500億円の債務を株式化するなど金融支援も再要請するとされる。
革新機構はシャープの過半数の株式取得を目指しているため、同社は実質的に国の支配下で再建を進めることになる。
■そこまでしてシャープを潰さないのはなぜか?
「債務の株式化」というと高尚な財務テクニックのように聞こえるが、これは銀行に対して債権放棄をお願いしていることに等しい。要は「借金をチャラにしてください」ということだ。シャープは2015年6月にも同様の手法により主力2行から2000億円の支援を受けている。
官民の資金をそれほどまでにつぎ込んででもシャープを存続させる理由は、なんなのだろうか。
そのひとつは、おそらく雇用の維持だろう。日本は解雇が非常にしにくい法制度になっていることからもわかるように、雇用の維持を重視する国だ。ビジネススクールで教官を務める友人が、学生(大半が社会人)に「企業の目的は何か?」と問いかけたところ、とある大企業の部長が「雇用の維持」と言って譲らなかったそうだ。それほどまでに、日本では雇用維持を企業の重要な役割と考える向きは強い。
シャープには連結グループ全体で約5万人の従業員がいる。これだけの人数が一気に職を失えば、確かに影響は少なくないだろう。影響は同社一社にとどまらない可能性も多分にある。これほどの規模になれば、取引先企業は中小を含めて非常に多数に上るので、連鎖倒産が起こる可能性が高い。そうなれば、周辺企業からも多くの失業者が発生する。日本経済全体にも影響を及ぼしかねない。まさに、「Too big to fail(大きすぎて潰せない)」だ。
■顧客に価値を提供できなければ存在意義はない
しかし、である。
再建計画では、液晶事業を切り離すことになっている。さらに、白物家電などの事業も他社との再編を模索するようだ。そうなると、シャープには一体何が残るのだろうか。
当面残る事業は、テレビ、DVDプレイヤー、スマートフォンなどのデジタル機器、POS機器やFA機器などの産業用機器、半導体等の電子デバイスなどだ。しかし、一世を風靡した液晶テレビもスマートフォンも、今や韓国や中国に完全に押されている。それ以外についてもどれも他社製で代替可能で、「シャープ製でなければダメ」という製品が見当たらない。まったく強みが見えないのだ。
雇用維持の必要性は理解できるが、それで残ったシャープが抜け殻のようでは、一体どんな存在意義があるのだろうか。
「働く」とは「傍(はた)を楽にすること」と言った人がいる。周りの人の仕事や生活を楽にし、楽しくさせることが「働く」の意味ということだ。すなわち、顧客になんらかの価値を提供できなければ働いていることにはならず、企業としての存在意義はないということだ。
先のビジネススクールで教える友人は、本当は経営学者ピーター・ドラッカーの言葉を引用して、「企業の目的はただひとつ。顧客を創造することだ」と言いたかったらしい。それを「雇用の維持」と言って譲らない部長さんのおかげで、言えずじまいだったそうだ。
シャープは、深刻な業績不振に陥ってからのここ数年、人員削減や給与カットに加えて、デット・エクイティ・スワップや大幅な資本減少などの財務テクニックも相次いで行っている。しかし、シャープが本当にやらなければならないことはそんな財務テクニックではなく、かつてのような「目の付けどころがシャープ」な製品を創り出し、顧客を創造することである。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民104掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。