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[スクランブル]じわり迫る米国リスク
減益決算・高水準の債務 懸念
19日の日経平均株価は4日ぶりに反発した。中国株の上昇が好感されたが、売買は低調で再び上昇に向かう兆しは乏しい。米利上げを契機にした緩和マネーの逆回転はいつまで続くのか。気がかりなのは中国・人民元相場や原油安だけではない。投資家はにわかにもう一つのリスクを意識し始めた。世界経済の最後のとりで、米国の変調だ。
「海外勢が久しぶりに買い越した」(外資系証券幹部)。日経平均が100円近く上げた19日の市場ではこんな声が聞かれた。ただ日中は売り買いが交錯する場面が多く、オイルマネーの断続的な換金売りへの警戒も残る。
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年明けの世界的な株安を招いたのは、中国や中東といった新興国だった。ここにきて、もっとも安定しているはずの米国にも不安の芽が出始めている。
「これだけの貨物輸送の落ち込みは景気後退期以外では経験したことがない」。先週、昨年10〜12月期の減収減益を発表した米鉄道大手CSX。マイケル・ワード最高経営責任者(CEO)は決算の説明会で石炭を中心に輸送量が急減する状況を嘆いた。発表翌日の株価は6%安と下げた。
米主要500社の純利益は昨年10〜12月期が前年同期より約5%減と、減益幅が拡大する見通しだ。輸出企業へのドル高の逆風だけでない。内需も盤石とはいえなくなっている。
昨年12月の米小売売上高は前月比0.1%のマイナスだった。頼みの綱だった個人消費の陰りで、JPモルガンは10〜12月の国内総生産(GDP)成長率予測を0.1%と従来(1.0%)から下方修正した。
年初からの米国株を見ると、小型株を中心に構成する「ラッセル2000」や主要金融株を組み込んだ「KBW銀行株指数」の下げがきつい。いずれも米景気に反応しやすく、その失速リスクを株価が織り込んでいるとも受け取れる。
長期サイクルでも見過ごせないデータがある。ドイツ証券がまとめた米企業債務(借入金と社債の合計)の対名目GDP比率だ。昨年9月に45%を超え、00年のIT(情報技術)バブルや08年の金融危機の水準まで上昇した。投信を経由した個人マネーの流入や銀行の積極的な融資で、低格付け企業まで借金を目いっぱい積み上げたためだ。
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08年の危機から今年で8年。そろそろ反動が懸念される局面でもある。ドイツ証券の村木正雄グローバル金融ストラテジストは「年末にかけて低格付け企業の破綻が相次げば、株式相場のさらなる調整を招くだろう」と警鐘を鳴らす。
昨年12月、9年半ぶりに利上げをした米連邦準備理事会(FRB)はお膝元のリスクにどう対処するのか。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘氏は「利上げ継続にこだわれば投資家の不安が増幅される」と警戒する。
米国が変調をきたせば、円高・ドル安を招いて日本株の一段の下押し要因にもなりかねない。この不安の連鎖を止められるものは何か。市場では「FRBが再び利下げを迫られる」といった極端なシナリオまで語られ始めた。
(川上穣)
[日経新聞1月20日朝刊P.16]
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〈FT特約〉米の製造業、成長減速 景気後退の引き金引くか
もし通貨がどこでモノを造るかを決める一端でも担っているなら、ドルが上昇し続けていることは米国の製造業にとって悪いニュースだ。ドルの上昇が中国の人民元に対して特に急激なことを考慮すると、とりわけ悪い。中国本土は世界の工場となっているからだ。
米国の製造業が依然として堅調とほど遠い状態であることは問題だ。英マークイット社の12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)の新規受注数は実質的に停滞した。米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は2カ月連続で50を下回った。2009年以降で初めてだ。
こんなふうになるはずではなかった。
シェール革命による米国のエネルギー価格の下落は、国内外企業の業務の移転を促すはずだった。多くのエネルギー集約型企業は米国に新たな工場を建設すると期待されていた。技術革新はオールドエコノミー企業でさえ製造拡大や米国への移転に駆り立てただろう。最後に、量的緩和が製造業の設備投資拡大を後押しするはずだった。
いずれも実際には起こらなかった。エネルギー価格は急落し、米国の競争優位性を阻害した。世界的に生産設備が過剰となり、製造企業は新たな施設の建設を行う自信をほぼ失った。
量的緩和と低金利で、最高経営責任者らが自社の事業への投資より自社株の買い戻しを行うのに拍車がかかった。低金利融資も消費者の借り入れを促し、過度な借り入れを行う者もいた。サブプライム自動車ローンの債務不履行が増加していることから、車販売は減速する可能性がある。
米国の製造業はまだ成長の領域にある。だが、もっと微妙な所を見ると、経済(の病)は治癒していないことが分かる。雇用の伸びは金融危機前と比べるとはるかに緩やかで、昨年とくらべてもまだ遅い。インフレ圧力の兆しもほとんどない。
これらが意味するのは、デフレ圧力が高まっていることと、製造業から始まる景気後退の可能性が高まっていることだ。これで米連邦準備理事会(FRB)がさらに利上げする見込みはより低くなる。今年はメーンストリート(実体経済)にとってもウォール街にとっても厳しい年になりそうだ。
(19日付)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞1月20日朝刊P.6]
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