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トヨタ自動車本社(「Wikipedia」より/Koh-etsu)
トヨタ、なぜ意外なあの事業に巨額投資&開発本格化?章男社長、異例発言に透ける豹変
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13418.html
2016.01.22 文=編集部 Business Journal
世界販売台数首位の座をめぐるトヨタ自動車と独フォルクスワーゲン(VW)の争いは、トヨタが4年連続で世界一になることで決着した。
VWが1月8日発表した2015年のグループ世界販売台数は、前年比2.0%減の993万600台。一方、トヨタが昨年末に発表した15年のグループ販売台数(ダイハツ工業と日野自動車を含む)の見通しは、前年比1%減の1009万8000台。4年ぶりの前年割れを見込むが、VWを上回るのは確実。VWが前年実績を下回るのは02年以来、実に13年ぶりのことだ。
VWは14年に1014万台と初めて1000万台を超えた。15年1〜6月はトヨタを2万台上回り、上半期で初の首位に立った。15年は年間でも首位に立つとみられていた。ところが、9月に米国で排ガス不正問題が発覚。ディーゼル車の一部車種を販売停止にしたことが響き、好調だった米国などで11月以降、販売不振に陥った。
一方、トヨタはタイなどの東南アジアや中近東で販売が減ったものの、米国や中国など主要市場で好調だった。社長の豊田章男氏はこれまで、販売目標については公に言及することは少なく、数字による経営と一線を画してきた。これに対してVWは、ひたすら数字を追い求めた。この企業姿勢の違いが明暗を分けた。
■トヨタ株価低迷
年明けの世界株式市場は全面安の展開となっている。中国経済の減速懸念や原油安に加え、サウジアラビアとイランの国交断絶、北朝鮮の水爆実験など悪材料が重なった。1月8日の東京株式市場の日経平均株価の終値は前日比69円38銭安の1万7697円96銭と、大発会以降、5日連続で下落した。日経平均が年明けから5日続落するのは、1949年5月16日に東京証券取引所で取引が再開されて以来初めてのことだ。1月12日も479円安の1万7218.96円と崩落した。
過去最高益を更新する見込みのトヨタの株価も下落した。1月12日まで連続で6営業日下げ続けた。昨年来の高値の8783円(15年3月24日)に比べて23%安くなった。株価が1株当たり利益の何倍かを示す予想PER(株価収益率)は9.44倍で、東証1部平均(15.45倍)を大きく下回っている。
トヨタの15年9月中間決算の売上高は前年同期比8.9%増の14兆914億円、営業利益は同17.1%増の1兆5834億円。ともに上半期で過去最高だった。にもかかわらずトヨタの株価は低迷。昨年は日経平均株価が年間で9%高くなり、4年連続で上昇した。しかし、トヨタは前年比1%安(年初は7507円、年末は7488円)にとどまり、4年ぶりに年間でマイナスになった。3月に上場来の高値(8783円)をマークしたが、年後半は失速した。
株価低迷の最大の要因は為替の円高懸念だ。トヨタの対ドル円レートは通期(16年3月期)の平均で1ドル=118円と想定している。しかし、1月11日には1ドル=116円台まで上昇し、4カ月半ぶりの円高の水準となっている。
16年3月期通期の売上高予想は、当初見込みより3000億円少ない27兆5000億円(前年比1.0%増)に下方修正した。だが、営業利益は2兆8000億円(同1.8%増)を据え置いた。16年3月期は円安効果で1150億円の営業利益の押し上げを見込んでいたが、これが下振れしそうなのだ。加えて、17年3月期は円安の業績への寄与が見込みにくい。
■人工知能
豊田氏は1月12日付日本経済新聞と英紙The Financial Timesの共同インタビューで、次のように語っている。
「自動車は単なる移動手段ではなく、運転する人に一種のフリーダム(自由)を与えるものだ。どんな速度で走り、どこで曲がり、どこで追い抜くか。自動車である以上は、そうした決定権がドライバーにあってしかるべきだ。その上で人工知能(AI)などが人の技量を補って交通事故を未然に防ぎ、より安全で快適な走行を実現できれば、クルマの魅力は一段と高まる」(同紙より)
この発言から、豊田氏の関心と方向性が見えてくる。AI技術の開発だ。米ラスベガスで世界最大の家電見本市、CESが1月8日(現地時間)に開幕した。現地からの報道によると、今年のCESのメインテーマは家電とクルマの融合だという。家電見本市であるにもかかわらず、トヨタなど世界の有力自動車メーカーが8社も出展した。
トヨタが力を入れているのが自動運転技術だ。自動車に搭載したセンサーで収集する大量のデータをリアルタイムで処理し、運転制御に活用する。これを実現するためには高度なAI技術が不可欠となる。そこでトヨタは昨年12月30日、東大発ベンチャー企業のプリファード・ネットワークス(PFN)の第三者割当増資を引き受けた。出資額は10億円で、出資比率は3%。PFNは機械などが自分で学習するAI技術に強みを持つ。
さらに、16年1月、米シリコンバレーにAI技術開発のための「トヨタ・リサーチ・インスティテュート・インク」(TRI)を開設した。日本で開発していてはグローバルな技術革新で遅れるという、トヨタの危機感が見て取れる。200人の陣容で、AIの先端研究と商品開発を行う。20年までの5年間で1200億円を投じる計画だ。
社長の豊田氏は研究所の設立発表会(15年11月6日)で、次のように語った。
「人工知能とビッグデータを自動車以外の産業基盤の要素技術として活用できるのではないか」(15年12月21日付日本経済新聞電子版より)
トップの力強いメッセージからは、トヨタのイノベーションの方向性がはっきりと定まっているようにみえる。
豊田家では、業祖・豊田佐吉氏が「一人一業」を説いた。代々の盟主は、それぞれ新しい事業を興せということだ。豊田式自動織機の発明者として教科書にも登場する佐吉氏は、長男の喜一郎氏に自動車づくりの道を歩ませた。喜一郎氏は長男の章一郎氏に住宅産業への進出を勧めた。
そして豊田家四代目の御曹司である章男氏も「一人一業」に挑むことになる。それがAI技術を活用した新領域への進出というわけだ。
■章男社長の豹変
章男氏は15年12月21日、20年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の副会長を辞任した。公式エンブレムが白紙に戻ったことを受けて発足した改革チームを率いてきた。後任には、パナソニック社長の津賀一宏氏が就任した。
「私は財布ではありません」
「トヨタ自動車と聞くと、すぐお金の話題が出る」
15年4月16日、サッカーJ1名古屋グランパスの会長に就任した章男氏は会見で、選手の補強について聞かれて、こう明言した。サポーターの間で高まっていた大型補強の期待を一蹴した。サッカーだけでなく東京オリンピックへの対応も、この発言の延長線にあるとみていいだろう。
その章男氏はこれまで財界活動に消極的だったが、「最近では『次の経団連会長は自分がやるしかない』と発言するようになった」(財界筋)。
経団連の五輪の窓口となるスポーツ推進委員会の委員長に就任し、五輪支援の協議会会長を務めている。経済・産業界の寄付のとりまとめ役として動かなければならない。その一方で、組織委副会長のポストに留まれば、寄付を要請する側に回ることになる。利益の相反が起こりかねないため、組織委副会長を辞任したとみられている。
「組織委員会を改革するためにトヨタはチームを送り込んだが、改革が遅々として進まないことに章男氏は嫌気が差した」(関係筋)
榊原定征・経団連会長を「安倍首相の言いなり」と揶揄する声も多いなか、「豊田章男経団連会長待望論」が日に日に高まっている。今年の章男氏の動きが注目される。
(文=編集部)
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