Business | 2016年 01月 20日 17:12 JST 日銀、16年度コアCPIゼロ%後半の試算 焦点は物価の基調[東京 20日 ロイター] - 日銀は、原油価格の急落を受け物価見通しの修正作業を進め、2016年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の見通しについて、前年比プラス1.4%から同ゼロ%台後半へと大幅に引き下げる試算が浮上している。ただ、追加緩和するかどうかは、原油などエネルギーの影響を除いた「物価の基調」の動向で判断。さまざまな情報を総合判断し、基調に変化が生じる可能性について、突っ込んだ議論を展開する見通しだ。 昨年10月末に公表された日銀「展望リポート」は、金融政策を決める9人の委員の見通しの中央値として、16年度コアCPIは前年比1.4%上昇するとしていた。 同時に、原油などエネルギー価格が前年比で0.2%ポイント指数を下押しするとの試算も公表。エネルギーの影響を除いた基調的な物価は、同1.6%上昇する可能性が高いと読み込める構成になっていた。 その際の前提は、欧米先物市場を参考にする形で原油価格(ドバイ産)が1バレル50ドルから、18年3月に向けて65ドルに上昇すると想定していた。 しかし、原油価格はその後急落を続け、19日のドバイ産原油は25ドルを割り込み、24ドル台まで下落した。 今月29日に公表する展望リポートでは、想定原油価格を15ドル程度下方修正、足元35ドル、18年3月で50ドルとの前提に置き換える公算が大きい。 この結果、原油価格の前年比がプラスに転じる時期は、従来の16年夏から16年末にずれ込み、電力やガス料金などエネルギー全体が指数をプラスに押し上げる時期も、16年度後半から16年度末ないし17年度初めにずれ込む見通しだ。 関係筋によると、16年度の物価に対するエネルギーの押し下げも、従来のマイナス0.2%からマイナス0.7─0.8%程度に大幅に拡大する可能性があるとの試算が、日銀内ではじき出されている。 仮に日本経済の緩やかな拡大が続き、物価の基調的な動きが大きく下振れなければ、16年度のコアCPIは前年比プラス0.7─0.9%程度になるとの試算が出ているもようだ。 これは日本経済研究センターが集計している民間エコノミスト予想の集計値(ESPフォーキャスト)の同プラス0.8%に近い水準となる。 また、基調に変化がなければ、17年度のコアCPI見通しは、従来見通しの前年比1.8%から大きく動かさないとの意見も出ている。 その場合、日銀が現在「2016年度後半ごろ」としている目標の2%の到達時期も、後ずれは避けられない。もっとも。追加緩和の是非は、需給ギャップやインフレ期待で判断する「物価の基調」の改善が持続できるかどうかが焦点となる。 原油安を受け足元の物価低迷が長期化していることにより、最近公表された企業や家計のアンケート調査などからは、短めの期間を中心にインフレ期待の下振れを示唆するデータが目立ってきた。 一方、需給ギャップについては、世界経済の不透明感の強まりという下振れ要因がある一方、雇用情勢は引き締まり傾向が続くとともに、原油安自体は経済の中長期的な支援材料となる。 日銀が物価の基調的な動きに近いとみているエネルギーを除いたコアCPI(日銀版コアコアCPI)は、15年11月まで同プラス1.2%となり、この先も短期的には改善が見込まれている。 ただ、世界経済のさらなる減速や、最近の金融・資本市場の不安定化を受け、企業の中には来年度の賃上げや価格設定行動に対し、より慎重に対応しようという動きも見られるようになってきた。 こうした点も踏まえ、日銀は次回会合で物価の基調の先行きについて、慎重に点検する見通しだ。 (竹本能文 伊藤純夫 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/boj-cpi-idJPKCN0UY0MX FX Forum | 2016年 01月 20日 17:07 JST コラム:円指数上昇が問う黒田日銀の防衛ライン=高島修氏 シティグループ証券 チーフFXストラテジスト [東京 20日] - アベノミクスと黒田日銀の緩和政策は約3年前の船出以来、最大の正念場を迎えている。今月末の金融政策決定会合で日銀が行動に踏み切るか否かは決定的に重要だ。 今のところ、エコノミストや市場の間では、追加緩和見送りとの予想が大勢のようだが、その場合、ドル円は115円台を割り込み、110円を試す展開となってもおかしくない。円高がそこまで進めば、デフレ克服というアベノミクスの挑戦が失敗に終わったことを確定的にするだろう。 逆に言うならば、安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁はそうした事態に陥らないように、断固として行動すべき時を迎えた。今月末の決定会合で日銀が追加緩和に動く場合には、ドル円は116円前後のサポート帯でなんとか底入れに転じることができるだろう。 この場合、原油価格や中国市場の動向次第では、世界的なリスク選好の回復に支えられて、比較的短期間に120円台を回復。アベノミクスはデフレ克服という挑戦を今後も続けることが可能となろう。 <名目実効円相場の下げ止まりは自然の流れ> 最近、筆者が特に注目しているのは、米ドルのみならず、ユーロや豪ドル、中国人民元などに対する総合的な日本円の動きを示す通貨インデックスの動きである。 例えば、日銀が公表している円の名目実効相場(日次ベース)は東日本大震災が起こり、日本の国際収支の悪化が顕著となった2011年に大天井をつけ、12年から長期下落局面に入った(長期円安トレンドが始まった)。12年は団塊の世代(1947年から49年に生まれた日本のベビーブーマー)の公的年金の受給が始まり、人口動態面から貯蓄取り崩し圧力(経常収支の悪化要因)が強まった年である。 こうした中で、13年以降はアベノミクスと黒田日銀による金融緩和を背景にさらなる円安が進行した。ただ、その根底には、通常1年程度のタイムラグを置いて円相場に影響する傾向がある日本の国際収支の悪化(震災や人口動態による構造問題)が存在したと考えられる。13年後半には、14年4月に予定されていた消費増税を前にした駆け込み需要の発生とそれに伴う輸入増が国際収支の悪化に拍車をかけたが、増税以降は駆け込み需要の剥落と景気低迷を受けて貿易赤字はピークアウトした。 過去1年ほどは原油安も収支改善に貢献している。15年に入って、11年以降の名目実効円相場の下落に歯止めがかかったのは、国際収支と円相場の1年程度のタイムラグを考慮すると自然な変化だったと言える。 <なぜ黒田日銀総裁は円安を止めたのか> 興味深いのは、名目実効円相場が15年6月に底入れしたのが、日銀の黒田総裁が「これ以上の実質円安はありそうにない」と発言したタイミングにピタリと一致することだ。 その時、市場ではこの発言は単なる失言との声も多かったが、黒田総裁は財務省で財務官(通貨政策のトップ)を務めた経験がある。その発言が失言か、意図的かは別として、黒田総裁の本音を反映している公算が大きいと考え、我々はこの発言を深刻に受け止めた。 当時、為替相場が円安気味で推移していたことから、それに注目したメディアやエコノミストは少なかったが、この黒田発言が行われる直前の昨年春は、円安をめぐる国際環境が大きく変化した時だった。 例えば、昨年4月に、為替報告書(通常年2回公表)を発表した米財務省はドル高に危機感を示した上で、日本の経済政策が日銀の金融緩和と円安に過度に依存していることに警鐘を鳴らした。また、昨年5月前後に日本を含む加盟国の年次経済調査を終えた国際通貨基金(IMF)は、米財務省に歩調を合わせるかのごとく、円が過小評価(割安)になりつつある中、ドルが過大評価(割高)になってきており、それが米経済のリスク要因の1つであるとの認識を示した。 昨年6月の黒田総裁の円安けん制発言はこうした中で出てきたものだった。当時、筆者のところには、ヘッジファンドをはじめとした海外投資家からも、この発言が意図的なものなのか否かの問い合せが数多く寄せられたが、それに対して筆者は、意図的なものか否かはともかく、この発言が必然的なものであると答えたものだった。 市場やエコノミストの間では、昨年7月や10月の決定会合で日銀が追加緩和に踏み切るとの見方も根強かったが、昨年、筆者がほぼ一貫してその可能性に否定的だった理由の1つは、この黒田発言やその背景となっている円安をめぐる国際環境の変化を重視していたからだ。実際、日銀はこれまで追加緩和措置を見送っており、今や、その時のドル円の水準だった125円は海外投資家の間では「黒田ライン」と呼ばれるようになった。 <円指数上昇で高まる日銀追加緩和の可能性> こうした中、昨年後半には、名目実効円相場は過去3年、レジスタンスとなってきた52週線を回復。長期円安トレンドは完全に変調をきたすことになった。 また、最近では年初来の人民元急落や、それに伴う世界的な市場の混乱と円高を受けて、名目実効円相場は急上昇し、今や14年10月に日銀が量的質的緩和・第2弾を発表した時の水準を超えて円高が進行し始めている(日銀公表の円の名目実効為替レートは14年10月31日が91.11、16年1月18日が97.15。数値が大きいほど円高、小さいほど円安)。 14年10月末当時の水準には過去3年間の平均コストに相当する156週線も位置する。このまま円高が進行していけば、アベノミクスと黒田日銀による金融緩和を背景とした長期円安トレンドが抜本的に揺らぐことになる。デフレ克服は夢と消え、株式相場の苦戦もより明確になろう。 今年7月に参議院選挙、来年4月には消費再増税を控える中、これ以上の円高と株安を日本政府と中央銀行が黙認するだろうか。否、筆者はここにはより強い「黒田ライン」があるのではないかと、にらんでいる。今月末の決定会合で日銀が動く可能性は現在、市場が考えている以上に膨らんできているのではなかろうか。シティグループのエコノミストはその可能性を30―40%と置いている。 もちろん、日銀が今月末に行動し、首尾よくドル円が底入れに転じると仮定しても、円安が持続的なものになるか否かは、世界的な金融経済環境に依存する。特に日本株がほぼ一貫して高い相関を示す米株動向は重要であり、その米株は中国市場や原油・資源相場が安定化に向かわない限り、力強さを欠くだろう。 テクニカル分析的にも強いレジスタンスに転じてきている120―121円程度を超えるドル高円安進行には、日銀の追加緩和のみならず、世界的な投資環境の改善が必要になってくる。 *高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) *本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。 http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-osamutakashima-idJPKCN0UY0II 主要通貨の騰落率:日本円、対ドルで上昇一位 2016/01/20 17:00 JST (ブルームバーグ):基準通貨ドルに対する主要15通貨の騰落率は東京時間20日午後5時現在、日本円が上昇率1.03% で一位を記録した。一方、下落率の一位はニュージーランドドルで2.11%だった。各通貨の騰落率は以下の通り。
============================== ============================= 変化率 変化率 上昇通貨: % 下落通貨: % ============================== ============================= 日本円 1.03 韓国ウォン -0.65 ユーロ 0.63 イギリスポンド -1.03 デンマーククローネ 0.62 オーストラリアドル -1.08 スイスフラン 0.56 南アフリカランド -1.12 スウェーデンクロナ 0.30 カナダドル -1.25 ノルウェークローネ -0.07 メキシコペソ -1.65 台湾ドル -0.19 ニュージーランドドル -2.11 シンガポールドル -0.32 ============================== ============================= 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 Isaac Aquino iaquino1@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: Marco Babic mbabic@bloomberg.net 更新日時: 2016/01/20 17:00 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O18RKV6N9EDG01.html Business | 2016年 01月 20日 16:44 JST 日銀と政府で連携し、世界全体をしっかり注視=株安で菅官房長官 [東京 20日 ロイター] - 菅義偉官房長官は20日午後の会見で、株価が大きく下落し、昨年来安値を更新したことについて、日銀と政府で連携しながら、世界経済を注視して対応していく考えを示した。 菅官房長官は「世界経済全体は緩やかな回復にあり、先行きも緩やかな回復が続く」との見方を示した上で、「原油価格下落の背景となっている新興国経済の減速には十分留意していく必要がある」と述べた。さらに、リスクが大きくなった場合の対応について「市場の動きに右往左往すべきでない。G7など国際社会と連携しながら、内外の情勢を注視しつつ、補正予算を実行に移すことを大事にしていきたい」と語った。また、「日銀の黒田総裁は、物価の基調に変化があり、物価安定目標の2%達成に必要なら、ちゅうちょなく追加緩和を含めて対応すると述べている」と指摘した。 一方、明日発売の一部週刊誌で甘利明経済再生担当相が口利きの見返りに現金を受け取ったと伝えられていることについて「一般論として、政治資金の取り扱いについて疑問を持たれることがあれば、政治家自ら説明していく必要がある」との考えを示した。 (石田仁志) http://jp.reuters.com/article/suga-idJPKCN0UY0L1 香港ドル安は予想外の「株買い」の好機−ベアリング・アセット 2016/01/20 16:03 JST (ブルームバーグ):資産運用会社ベアリング・アセット・マネジメントはバリュエーション(株価評価)がここ10年余りで最低となった香港株に注目しており、香港ドルの落ち込みで予想外の株買いの好機が訪れたと考えている。 米ドルとのペッグ(連動)制を採用している香港ドルは先週、2日間で1992年以来となる大幅な下げを記録。中国経済をめぐる懸念で投資家は香港から資金を引き揚げている。香港株の指標であるハンセン指数は約3年ぶり安値に落ち込み、バリュエーションが世界の株価指数との比較で新型肺炎(重症急性呼吸器症候群、SARS)のまん延に見舞われた2003年以来の低水準となった。香港ドル下落はセンチメントが過度のマイナスに傾いていることを示しており、現時点での株買いが賢明な判断だったことが後で判明するだろうと、ベアリング・アセットはみている。 同社のマルチアセット戦略責任者キエム・ドゥ氏(香港在勤)は「08年や10、11年の時と同じだ。当時も香港ドルがそうした水準に落ち込んでいた」と指摘。「その間は極めて不安定だったが、その後利益を出せた。長期的な視野を持つ必要がある」と述べた。 10年5月に香港ドルが1年半ぶり安値に落ち込んだ後、ハンセン指数は1週間以内に底を打ち、その後31%上昇して同年11月にピークに達した。11年には香港ドルが底値を付けた2カ月後の10月にハンセン指数が底入れし、12年2月までに33%上昇した。 今回のドゥ氏の強気姿勢とは対照的に、京華山一国際は香港資産からの資本流出が収まる可能性はほとんどないとみており、第一上海証券のライナス・イップ氏は弱い経済環境が株価を押し下げると予想している。 原題:Hong Kong Dollar’s Rout Sends a Surprising Message: Buy Equities(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:香港 西沢加奈 knishizawa5@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net Tom Redmond 更新日時: 2016/01/20 16:03 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O18MJX6K50XS01.html
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