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プロに聞く日経平均1700円下落でやるべき資産防衛術〈週刊朝日〉
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/613.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 20 日 08:51:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

             資産防衛の術を、投資のプロたちに聞いた(※イメージ)


プロに聞く日経平均1700円下落でやるべき資産防衛術〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160120-00000000-sasahi-bus_all
週刊朝日 2016年1月29日号より抜粋


「日本株はもうだめなのか──」。日経平均株価の今年に入ってからの下げ幅は1700円を超え、下落率は約9%にもなった。年の瀬に遠く響くは除夜の鐘でなく、安倍相場を弔う仏壇鈴の音色だったか。資産防衛の術を、投資のプロたちに聞いた。

 相場が波乱になっても、高配当銘柄は株価も比較的下げにくいという。家電量販店の「ヤマダ電機」は、配当金にプラスして自社で使える商品券がもらえて、年利換算すると実質配当利回りは5.6%にもなる。昨年12月30日の終値は523円。年明けに大きく下げることもなく、15日は576円で終えている。

 NISA(少額投資非課税制度)口座を使って長期間投資するのに適しているもう一つの金融商品は「投資信託」だ。

 投資信託には日本株や外国株、債券の値動きに連動するタイプなどがある。一つの資産に集中して投資すると、ショックのときに大きなダメージを受ける。

「一本の投資信託のなかで『株式と債券』『国内と海外』など、値動きの異なる複数の資産に分けて運用して、リスクを抑える『バランス型』の投資信託がベスト」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏。

「信託報酬などの手数料が低いETF(上場投資信託)が人気ですが、毎月の積み立ては原則できません。手数料は少し高めですが、毎月1万円から積み立てられて、運用はプロに任せられる投資信託のほうが、時間の節約にもなります」

 深野氏がすすめる投資信託は、下落率はリーマンショックのときでも3%程度にとどまり、値動きが安定している「クルーズコントロール」「トレンド・アロケーション・オープン」など。

「NISA口座から買える上、証券会社を通さないで直接、運用会社から購入する直販型の投資信託は販売手数料がないのが魅力です。『ひふみ投信』『ザ・2020ビジョン』は運用成績も右肩上がりで信託報酬も割安です」(深野氏)

 びとうファイナンシャルサービスの代表で、資産運用アドバイザーの尾藤峰男氏も、信託報酬の安い投資信託をすすめる。

「信託報酬は年率何%換算で日々かかる管理費用のようなものです。5〜10年程度の中長期で投資するのなら、コストが安い投資信託を組み合わせて運用する方法もあります」

 例えば、ニッセイアセットマネジメントが運用する「日経225インデックスファンド」「外国株式インデックスファンド」、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS新興国株式インデックス」など、株式と債券、海外と国内と値動きの異なる投資信託を組み合わせて「バランス型」にする方法だ。

 元本は絶対に保証してほしいという人にも、増やせる投資はある。

「メガバンクの金利をはるかにしのぐ、地方銀行のインターネット支店、信用金庫の定期預金があります」(深野氏)

 預入金額100万円未満のスーパー定期で金利を比較してみよう。

 メガバンクは年0.025%のところ、準大手銀行のSBJ銀行は0.35%。地銀のインターネット専用支店、トマト銀行の「ももたろう支店」と、香川銀行「セルフうどん支店」、高知銀行「よさこいおきゃく支店」はいずれも0.3%。尼崎信用金庫の「ウル虎支店」は0.4%にもなる。

 口座開設はその地域に住む人に限定されるが、プロ野球やJリーグの開幕に合わせて、応援定期などを発売する地銀もある。利率も高めでグッズがもらえることもあるので楽しめる。

 もちろん投資する資金は生活費ではなく、余剰資金にしよう。株、投資信託などの金融商品選びは、くれぐれも自己責任で。

 

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コメント
 
1. 2016年1月20日 12:56:50 : x24QFTiskE : wQLsHMGg5KM[2]
このあたりのプロはもうすぐ日経平均23000円とか言ってなかったか。

2. 2016年1月20日 16:06:15 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[209]
日経平均が昨年来安値、マクロ不安で日銀追加緩和時の水準まで下がる
2016/01/20 13:02 JST
    (ブルームバーグ):20日午後の東京株式相場は下げ幅を広げ、日経平均株価が昨年来安値を更新した。国際原油市況が下げ止まらない上、減速方向の中国経済や国際通貨基金(IMF)は世界の成長率予想を引き下げ、マクロ景気の先行き不安が広がっている。鉱業や石油など資源関連、海運や鉄鋼、機械、不動産株など幅広く売られ、東証1部33業種は全て安い。
午後0時48分現在のTOPIXは前日比36.54ポイント(2.6%)安の1353.87、日経平均株価は484円60銭(2.8%)安の1万6563円77銭。日経平均の下げ幅は一時500円を超え、昨年1月16日の日中安値1万6592円を更新。2014年10月31日以来、およそ1年3カ月ぶりの安値水準を付けた。一昨年10月末は、日本銀行が異次元金融緩和の追加策を発動した日だ。
19日のニューヨーク原油先物は前営業日比3.3%安の1バレル=28.46ドルと、終値で03年9月以来の安値を付けた。国際エネルギー機関(IEA)が月報で、世界の石油市場が供給過剰であふれ返る可能性がある、と指摘したことが売り材料。アジア時間20日の時間外取引でも下落している。
IMFは19日に公表した最新の世界経済見通しで、ことしの世界成長率予想を下方修正した。資源価格の低迷や政治的こう着でブラジルが深刻なリセッションに見舞われ、原油安は中東産油国の足かせとなり、ドル高が米国の先行きに影を落としている。16年の成長率予想は3.4%、昨年10月時点は3.6%だった。17年予想も3.8%から3.6%に見直した。中国のことしの成長率見通しは6.3%で据え置き。前日に中国国家統計局が公表した15年の成長率は6.9%、1990年以来の低水準だった。
午後のアジア株は中国上海、香港、韓国、台湾、シンガーポールなど総じて安い。シカゴ24時間電子取引システム(GLOBEX)の米S&P500種株価指数先物は、基準価格に対し20ポイント以上下げている。午後のドル・円相場は朝方の1ドル=117円60銭台に対し、116円90銭台まで円が強含んだ。
東証1部33業種は鉱業や海運、不動産、石油・石炭製品、鉄鋼、建設、機械、非鉄金属などが下落率上位。売買代金上位では、創業者による株主提案で経営陣の対立が明らかになったクックパッドが急落。トヨタ自動車やソフトバンクグループ、ソニー、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ファーストリテイリング、任天堂、ダイキン工業、マツダ、三菱地所、日本郵政、日本郵船も安い。さくらインターネットは逆行高。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 竹生悠子 ytakeo2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎
更新日時: 2016/01/20 13:02 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O181VH6JTSEA01.html

円が全面高、原油安や株価大幅下落で買い圧力−対ドル116円台
2016/01/20 13:28 JST

    (ブルームバーグ):20日の東京外国為替市場では円が全面高の展開となっている。原油相場や日本株の大幅下落を背景に、リスク回避に伴う円買い圧力が掛かっている。
ドル・円相場は朝方の1ドル=117円台後半から、午後には一時116円89銭と2日ぶりの水準までドル安・円高が進行。午後1時25分現在は116円93銭前後となっている。ユーロ・円相場も1ユーロ=128円台前半から一時128円01銭まで円高に振れ、同時刻現在は128円09銭前後で取引されている。ブルームバーグのデータによると、円は主要31通貨全てに対して前日終値から上昇している。
FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、「原油がそう簡単に反転するとも思えず、目先まだもう少し下値を探ると思えば、ドル・円や株式もそう簡単には反発できないと考えるべきかもしれない」と指摘。「日経平均もせっかくきのうは反発して少し状況が変わるかと期待もできたが、結局元の木阿弥だ」と話す。  
ニューヨーク原油先物相場はアジア時間20日の時間外取引で下落。約12年ぶり安値の19日終値からさらに下げ、1バレル=27ドル台で推移している。また、東京株式相場は大幅下落し、日経平均株価は午後の取引で下げ幅が500円超まで拡大している。中国株式相場は上海総合指数が3営業日ぶりに反落している。
バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、「昨日あたりはリスク回避相場に対しても気迷いが見られたが、結局はリスク回避の環境そのものは大きく変わっておらず、ドル・円はリスクセンチメントに左右されている」と指摘。一方、「円高進行に伴い、来週28、29日の日銀の追加緩和に対する警戒も高まりつつあり、ドル・円の下値を支えている」としている。
ユーロ・ドル相場は同時刻現在、1ユーロ=1.0953ドル前後。朝方の1.0900ドル付近から一時1.0955ドルまで値を切り上げるなど、ユーロ買い・ドル売りが優勢となっている。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:山崎朝子 tyamazaki@bloomberg.net 青木 勝, 崎浜秀磨
更新日時: 2016/01/20 13:28 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O182JQ6JIJVD01.html

 
債券が下げ幅縮小、円高・株安のリスクオフで−日銀買いオペも支え
2016/01/20 14:38 JST

    (ブルームバーグ):債券相場は午後に入り下げ幅を縮小している。朝方、あすの20年債入札に向けた売りが先行した後、円高・株安傾向でリスクオフの動きが強まったことを背景に、午後に入って値を戻す展開となっている。
20日の長期国債先物市場では、中心限月3月物は前日終値近辺で推移している。午前は前日比7銭安の149円49銭を付ける場面があったものの、午後からは株安進行とともに買いが優勢となっている。一時は3銭高の149円59銭を付けた。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値を1ベーシスポイント(bp)上回る0.22%で始まり、午後から0.215%に水準を下げている。超長期債では、新発20年物155回債利回りが1bp高い0.935%で始まった後、0.925%まで水準を下げ、新発30年物49回債利回りは1bp高い1.215%で始まった後、徐々に水準を切り下げ、1.205%に低下している。
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「午前よりも午後に入ってリスクオフが進んだので、あすの20年債入札まで待てずに、買いが入っているのではないか。益出し売りを出した後、午後に株安・円高が進んだので、何かを買う感じではないか」と指摘。一方で、「きょうは2年債など短い年限が売られている。2年債利回りは上昇しているが、マイナス金利に変わりはない。利回り曲線は平たん化の動き」と語った。
みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「昨年1月の20年債入札後に相場が大きく崩れた記憶から警戒感も強い」と指摘。一方で、「リスクオフが一巡したとはみておらず、下値を売り込む展開にはなりにくい」とも語り、きょうは日銀の国債買い入れオペも相場のサポート要因と指摘していた。
日銀によると、この日実施した今月7回目となる長期国債買い入れオペ(総額1兆2700億円程度)の結果は、残存期間1年超3年以下の応札倍率が前回から低下した。一方、3年超5年以下と5年超10年以下は上昇した。
パインブリッジの松川氏は、「10年ゾーンは甘めに決まった。もっとも売った水準からは、買われている。銘柄入れ替えの色合いが強い」と語った。
財務省はあす21日、20年利付国債の価格競争入札を実施する。前回の155回債のリオープン発行となり、表面利率は1.0%に据え置かれる見込み。発行額は前回債と同額の1兆2000億円程度となる。
パインブリッジの松川氏は、「超長期債は海外金利との連動性が高く、米10年債利回りがどうなるかが焦点。米10年債利回りが2%を割り込み低下する状況なのかを見極めたい。今後もリスクオフが続けば、米金利は低下する状況だと思う。米10年債利回りが2%を割れば、ドル・円は116円台に突っ込んでいく可能性が高い。来週の日銀金融政策決定会合にプレッシャーがかかるだろう。20年債も、今の水準であれば買っても良いと思う」と述べた。
一方、来週28、29日開催の日銀決定会合について、みずほ証の辻氏は、「基本的に現状維持を予想している。追加緩和策が限られる中で、できるだけカードを温存したいはずだ」と見込んでいる。
この日の東京株式相場は大幅反落。日経平均株価は一時500円超下落し、1万7000円台を割り込んでいる。為替市場で円は全面高の展開。ドル・円相場は朝方の1ドル=117円台後半から、午後には一時116円82銭と2日ぶりの水準までドル安・円高が進行した。
19日の米国債相場は世界的な株価上昇に伴う安全資産への逃避需要の後退を背景に、10年物利回りは前営業日比2bp上昇の2.056%程度で引けた。米国株相場では、S&P500種株価指数は0.1%高の1881.33、ダウ工業株30種平均は0.2%高の16016.02ドルで終了した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の時間外取引でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物中心限月の2月限は1バレル=27.55ドルと、2003年9月以来の安値を更新している。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 青木 勝
更新日時: 2016/01/20 14:38 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O16SDX6KLVR901.html


FX Forum | 2016年 01月 20日 14:06
コラム:人民元大幅切り下げ、日本への影響は=河野龍太郎氏

BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 20日] - 中国人民元への通貨アタックの様相が強まっている。中国当局が通貨防衛に成功する可能性がないわけではないが、目先、小康を得ても、米中経済ファンダメンタルズの違いを考慮すると、将来も大幅切り下げ、あるいはフロート制への移行に伴う大幅減価の可能性は排除できないだろう。中国景気が足踏みを続ける限り、懸念は常にくすぶる。

むろん、通貨アタックには自己実現的予想の側面も強いから、どのような帰結になるかは一概には言えない。1992―93年の欧州通貨危機の際に、英ポンドは通貨防衛に失敗した。一方、仏フランについては、通貨アタックは収束したが、当時、変動レンジを大幅に拡大しており、通貨防衛に成功したとは言い難い。

一時的に通貨防衛に成功し小康を得たように見えても、米国景気が比較的堅調で連邦準備理事会(FRB)が利上げを続ける一方、中国景気が低迷を続け金融緩和を継続せざるを得ない状況が続くならば最終的に通貨防衛は上手く行かなくなる可能性が高い。

つまり、今後、米国経済が想定よりも悪くなりFRBが利上げを中断するか、あるいは中国経済が想定よりも強くなり金融緩和が不要になるといった事態にならなければ、通貨アタックが再燃する可能性を拭い去ることはできないのだ。

では、仮に人民元が大幅切り下げを余儀なくされる場合、日本経済への影響はどうなるか。以下、頭の体操として、昨夏の水準から累計で3割の人民元切り下げが生じる場合を検討する。

本来、国内均衡の達成を考えれば、20―30%程度の人民元の対ドルでの切り下げが中国には必要となる(すでに7%程度低下しているため、追加的には15―25%程度の切下げが必要となる)。過去3年間で人民元の実質実効レートは3割上昇しているため、仮に累計で3割切り下げれば、マーケットはそれで十分と考えるだろう。

<訪日中国人の「爆買い」は収束か>

人民元の30%切り下げは、日本の貿易に占める中国の割合が20%程度(2014年で輸出は18.3%、輸入22.3%)であることを勘案すると、物価が直ちに変化しない場合、6%の実質実効円レートの上昇をもたらす。6%程度の円高にとどまるのならば、実質実効円レートが歴史的な安値水準にあることに変わりはない。

ただ、人民元の大幅切り下げは、多くの新興国にデフレショックをもたらすため、それらの国の通貨も連れ安で大幅減価する可能性が高い。その結果、円やユーロ、ドルなど先進国通貨は新興国通貨に対しても切り上がる。さらに、新興国・資源国への悪影響を懸念して国際金融市場が動揺、リスクオフの動きが広がり、円は対ドルなどでも上昇する可能性がある。この場合、円の実質実効レートは10―15%程度上昇する可能性がある。

実質実効円レートが10%上昇する場合、人民元以外の通貨に対しても、円が平均で5%程度上昇することを意味する。同レートが15%上昇する場合は、人民元以外の通貨に対し、円が10%程度上昇することを意味する。いずれも歴史的な円安の領域にはあるが、前者は実質実効円レートが13年11月の水準へ、後者は13年3月の水準へ舞い戻ることになる。後者の場合は、アベノミクスによる円安進展がかなり修正される。

まず、好調なインバウンド(訪日外国人客)消費については、無視できない影響が及ぶだろう。中国からの訪日客が相当に増えていた理由は、ビザ取得が容易になったことや円レートが相当に割安になったことなどもあるが、人民元が相当に割高になっていることもある。

それゆえ、本来なら、中国で生産された財・サービスに向かうべき中国人の所得が日本で支出されていた。人民元の割高さが解消されるなら、日本への支出の漏出も抑えられ、中国人の日本での「爆買い」も収束するだろう。

<輸出と設備投資に広がる負の影響>

インバウンド消費だけでなく、中国で稼いでいる製造業、非製造業の業績にも悪影響が及ぶ。例えば大手自動車メーカーは経常利益の1―3割程度を中国で稼ぎ出しているが、人民元が累計で3割も切り下げられると、円換算した利益水準の3―9%が一気に失われる。致命的とは言えないが、無視できる水準でもない。

さらに世界経済の回復ペースが減速する中で、ドル円レート自体もすでに1年前に比べてやや円高水準で推移している。前述したように、人民元以外の通貨に対しても円が5―10%上昇し、実質実効円レートが13年11月(10%上昇)、あるいは13年3月(15%上昇)の水準まで舞い戻るとすれば、16年度の大幅減益要因となる。円安による業績改善を背景とした株高というアベノミクスの最大の成果がかなり失われることになりかねない。

近年、中国での人件費の高騰によって、生産性の違いまで考慮すると、日中間での採算が逆転するという指摘をよく耳にするが、人民元が3割も切り下げられると、中国生産の採算性はかなり改善する。ただ、中国生産の採算悪化が問題視された際も、日本国内に生産拠点が回帰したわけではなかった。中国の人件費高騰による競争力低下に対応し、当時、日本企業が行ったのは、中国からベトナムなど他の新興国への生産拠点のシフトだった。このため、再びベトナムなどから中国に生産拠点を戻す企業が現れる可能性がある。

また、日本全体で見た場合、超円安の進展によって、14年半ばから製造業の生産拠点の海外シフトが一巡、国内生産能力は下げ止まっていた。人民元の切り下げに伴い他通貨の減価なども生じ、実質実効円レートが10―15%上昇、つまり13年3月から11月の水準に戻るとすれば、緩やかながらも生産拠点の海外シフトが再開する可能性がある。

過去3年間で、実質実効円レートは30%近く低下したが、その間、輸出数量の拡大には全くつながらなかった。しかし、少子高齢化による労働力減少の長期的トレンドが続いていることに加え、14年の年初以降、日本経済が完全雇用の領域に入ったこと、11年3月の東日本大震災の際にサプライチェーン寸断に直面した企業が、生産拠点の国際分散を進めたことなどが、円安による輸出数量の増加効果を相殺していたのであり、実質実効為替レートと輸出数量の間の関係が全くなくなったわけではない。

実質実効円レートが30%低下しても、輸出数量が全く増えなかったのだから、実質実効円レートが10―15%上昇しても輸出数量は抑制されないということにはならないだろう。さらに、人民元の大幅切り下げがもたらす新興国などへのショックで世界経済の回復ペースも一層鈍化すると見られ、そのことも日本の輸出数量を抑える要因となる。

設備投資への影響については、どうか。人民元が大幅に切り下げられる場合でも、あるいは中国が割高な人民元を甘受する場合でも、同じだと思われるが、確実に言えることは、世界経済のけん引役として皆が期待していた中国をはじめとする新興国は、もはや高い成長が望めないと多くの企業が認識するようになった点である。

つまり、中国をはじめとする新興国、あるいは世界経済に対する成長期待が大きく低下した。これは日本企業のみならず、各国のグローバル企業にも当てはまる問題だと思われる。内外での設備投資の拡大ペースは、成長期待の低下とともに、鈍化すると見られる。日本では15年度に大企業・製造業で高い伸びの設備投資が計画されたが、結局、下方修正せざるを得ないだろう。世界経済の先行きに不透明感が強まっていくことから、16年度は最悪の場合、更新投資さえままならない状況になるかもしれない。

<日銀追加緩和と消費増税再延期を招くか>

物価への影響については、名目実効円レートが10%上昇すると、日本の消費者物価指数(CPI)はおおむね0.3ポイント押し下げられる関係がある。前述した通り、人民元の30%切り下げ自体は名目実効円レートを6%上昇させ、その場合、日本のCPIは0.2ポイント弱低下する。

ただ、他通貨に対しても円が平均で5―10%上昇する場合、名目実効円レートは10―15%程度上昇する。この結果、CPIは0.3―0.4ポイントの大幅低下となる。

さらに、外需低迷によって需給ギャップも悪化するため、CPIの押し下げ効果はさらに大きくなるリスクがある。新型コアインフレ(エネルギーを除くCPIコア)も1%を大きく割り込むことになるため、日銀も動かざるを得ないだろう。中国が大幅な人民元の切り下げに踏み切る場合、新型コアインフレが1%を大きく割り込むだけでなく、国際金融市場が大きく動揺し、実体面でも日本経済に悪影響が及ぶため、日銀は追加緩和に踏み切る可能性が高い。現状より円安に誘導する意図はないものの、大幅な円高を回避することについては政府からも強く支持されるだろう。

ただ、人民元が割高になったのは、FRBの利上げ継続観測でドル高が進んだことだけでなく、日銀や欧州中銀(ECB)がアグレッシブな金融緩和を続けたことも影響している。むろん、世界で2番目の大国である中国がドルにペッグしているというのが最大の問題だが、人民元問題にはアベノミクスによる円安政策も大きく関係している。それゆえ、人民元の大幅切り下げに対抗し、日銀が追加緩和を行うことは、必要な通貨調整を阻害することになり、通貨切り下げ競争の様相を再び強めることにもなりかねない。

将来的には、規模の大きくなった新興国は固定的な為替レート制を放棄し、一方で基軸通貨国や国際通貨を保有する準基軸通貨国は、他国に大きな影響をもたらすアグレッシブな金融緩和に対して自制的になるべきである。

2度目の消費増税についてはどうか。人民元の大幅切り下げでアベノミクスの最大の成果である円安と株高が大きく修正された場合、来年4月に予定されている8%から10%への消費増税は早々に先送りが決定されるだろう。人民元大幅切り下げの日本経済へのインパクトは大きく、多くの人がその変更に異議を唱えることもないと思われる。

現段階での試算では、人民元の30%切り下げが実施された場合、16年度の成長率は0.7―0.9ポイント押し下げられる。このうち0.3ポイントは、消費増税の先送りで駆け込み需要がなくなる影響であり、人民元の大幅切り下げがもたらす日本の成長率へのインパクトは0.4―0.6ポイントだ。新興国を中心に諸外国の成長率も低下するが、貿易乗数が働き、日本経済の落ち込みがより大きくなるリスクもある。

人民元の大幅切り下げの遠因の1つが、アベノミクスによる円安政策であるとするなら、人民元の大幅引き下げを理由に消費増税を再度先送りすることには、とても複雑な思いがしてならない。

また、円安や株高が大きく修正されることになると、近年の税収増も一気に失われることになり、昨年6月に策定された財政健全化プランは途端に瓦解する。潜在成長率が回復しているわけではなく、税収増は景気循環によるものであるため、それは必然である。次こそは、循環的な景気回復による税収増が永続しないことを前提に、財政健全化プランを策定すべきだ。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexform-ryutarokono-idJPKCN0UX0XV

 


Business | 2016年 01月 20日 14:49
焦点:新興国の資金流出は道半ば、ダボス会議に暗い影

[ダボス(スイス) 19日 ロイター] - 新興国はかつての活況が消え去り、成長と投資が共に落ち込んで出血がゆっくりと続く悪循環にはまり込んだようだ。既に過去1年半に1兆ドル以上もの資金が逃げ出したが、流出はまだ道半ばにも達していない可能性がある。

新興国経済は金融危機を経験し、この10年間にいくつかの通貨や債務の大きな変動が市場全体に波及する事態に何回も見舞われてきた。しかしダボス会議に参加する各界指導者は、今回の危機を払しょくするのは容易ではないと不安を感じている。

懸念の元になっているのは米国の金融引き締めとドル高で、これに中国経済の減速、コモディティの「スーパーサイクル」の崩壊が重なった。このため新興国の状況がいずれ急激に持ち直し、最悪の事態に立ち向かう胆力を持つ投資家が利益を手にするという展開は見込めないとの不安が広まっている。

ICBCスタンダード・バンクの新興国市場責任者デービッド・シュピーゲル氏はアジア諸国、ロシア、ブラジルが1990年代末の一連の危機から立ち直った2001年を引き合いに出し、「今は新興国市場にとって世界情勢やけん引役が大きく異なっている」と指摘。「当時はグローバリゼーションの環境が整っており、新興国が最大の恩恵を受けた。今回は以前にはいくつもあった反応促進剤を欠いている」とした。

01年の最大のプラス要因は当然ながら中国。中国は世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけにその後10年間にわたって輸出と投資が奇跡的な伸びを見せ、経済規模は世界第6位から2位に躍進した。

中国経済台頭の効果は新興国にあまねく及んだが、中国の成長が鈍化すると新興国は今度は一転して打撃を被った。UBSによると、新興国の輸出の前年比での落ち込みは08─09年以来で最大だ。

WTOによると、世界経済は貿易伸びが成長の伸びを下回る状態が15年まで4年連続で続く見通し。かつて貿易は成長の2倍のペースで伸びていた。

中国経済による新興国の景気押し上げ効果は一回こっきりで、今後は消滅するばかりだとする悲観的な見方も出ている。

UBSのストラテジスト、マニク・ナライン氏は「新興国市場が02─07年の黄金時代に戻ることはなく、貿易の面では1980年代に逆戻りするリスクがある」と話す。

<資金流出>

「黄金時代」には大量の資金が新興国に流れ込み、国際金融協会(IIF)によると01─11の純流入額は計3兆ドル近くに達した。

しかし資金の流れは逆転し始めており、IIFによると昨年は5400億ドルの流出と1988年以来の純流出に転じた。IIFは16年に流出額はさらに増えると予想している。

JPモルガンも中国は14年半ばから1兆ドル近くが流出したとみている。中国の中央銀行の外貨準備は昨年、5000億ドル以上減少したという。

EPFRグローバルによると、新興国の株式と債券に投資するファンドの解約は昨年、過去最高の600億ドルに達した。

IIFのエグゼクティブディレクターのハン・トラン氏は、新興国の問題は外部要因だけではなく、内部にも生産性の落ち込みという問題を抱えていると指摘する。

トラン氏の推計によると、将来の経済成長の指針となる生産性の昨年の伸び率は新興国がわずか0.9%にとどまり、先進国の0.4%とそれほど違わなかった。

「資本や投資を引き付ける大きな要因だった新興国の生産性の面での優位性は崩れた。投資リターンは低下サイクルに入っている」とした。

<徐々に進む危機>

新興国はインドやメキシコなど明るさの見える国も一部にある。しかし中国をめぐる懸念は高まり、ブラジルとロシアは2年連続で景気後退入りし、新興国セクターの投資リターンがすぐに持ち直すことはないとの見方が多い。

モルガン・スタンレーによると、新興国の株式市場のパフォーマンスは過去5年間先進国を下回っており、企業業績も4年以上にわたり悪化している。これはMSCI株式指数の歴史上、最長だという。

スタンダード・ライフ・インベストメンツの新興市場債責任者のリチャード・ハウス氏は、ドル高が新興市場国通貨建て債の投資家を脅かしていると指摘。「このセクターはファンドの成績がおしなべて良くない。現地通貨建て債ファンドからは当面資金が流出し、人々の心理に影響を与えるだろう」とした。

メキシコ中銀のカルステンス総裁は、新興国はこうした大規模な資金流出に対処するため、08年の金融危機後に西側諸国が実施したように証券市場に協調して介入するような大胆な政策を導入する必要があると述べた。ただ、長期的な成長を押し上げるには厳しい経済改革しかないとも指摘している。

(Sujata Rao記者)
http://jp.reuters.com/article/ubs-idJPKCN0UY0CK



新興諸国の債務増加、世界経済の懸念材料に

中国中鋼集団(サイノスチール)は国有企業として初めてデフォルトの瀬戸際に追い込まれている(写真は北京の同社本部) PHOTO: MARK SCHIEFELBEIN/ASSOCIATED PRESS

By IAN TALLEY AND ANJANI TRIVEDI
2016 年 1 月 20 日 12:48 JST

 新年を迎えてからの市場の混乱を背景として、特にアジアや中南米の新興諸国で膨れあがった債務が、世界経済をリセッション(景気後退)に陥れる恐れがあるとの懸念が深まっている。

 その危険性が高まりつつある証拠はたくさんある。格付け各社は社債の格下げを加速している。資金調達コストは上昇している。投資家は好況期に妙味を求めたリスク資産から資金を撤退させている。世界の大手金融機関が構成する業界団体、国際金融協会(IIF)によると、昨年は新興諸国から正味で推計5000億ドルの資金が流出した。

 新興諸国は数年にわたり世界経済を力づけてきたが、成長の鈍化と融資条件の厳格化の板挟みにあい、低利時代に育まれた借金を抱えた民間部門の健全性が脅かされている。

 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は1月の講演で、「新興開発途上諸国はいま、新たな現実に直面している」と指摘し、「新たに一連の世界的リスク回避が生じれば、国際商品(コモディティー)相場はさらに下落し、(中略)為替レートの低下につながる可能性がある」と警戒感を示した。

 中国は、新興諸国全体を合計した国内総生産(GDP)の3分の1と全債務の半分を占め、世界の金融市場を揺るがす懸念の震源地となっている。中国経済が予想外に急減速したため、世界中が動揺した。19日に発表された2015年の経済成長率は6.9%と25年ぶりの低い伸びとなった。

 過剰設備と高水準の債務負担を抱える同国の工業部門では、すでにほころびが広がり始めている。中国中鋼集団(サイノスチール)は国有企業としては初めてデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追い込まれている。同社は12月に3回目の債務支払い延期を行った。事業環境が厳しく資金繰りが苦しいとして、中国の民間企業は昨年末、相次いで債券利払いに応じられなかった。

 債務問題は中国以外の国々でも浮上し始めている。

 インドネシアの携帯販売会社トリコムセルは、国内の販売店網拡大を急いだため、12年から15年にかけて債務が倍増した。だが、インドネシアの経済成長が6年ぶりの水準に低下し、通貨ルピア安で購買力が失われたため、同社の収入は落ち込んだ。同社は10月、シンガポールドル建て債およそ1億5000万ドル相当の支払いが不能だと発表し、4億6000万ドルの債務についてデフォルトに陥った。同社に出資するソフトバンク・グループは、19.9%の持ち株について減損処理し、394億9000万円の特別損失を計上する見通しを発表した。

 インドネシア企業の債務は10年から14年にかけて41%も増加した。世界的には、新興国企業の債務が08年以降で30%増え、新興国全体のGDP対比で88%に達している。中国の企業債務はGDP比130%で、米国では70%だ。

 IMFは19日、16年の世界成長見通しを0.2ポイント引き下げ3.4%とした。15年の3.1%から小幅な改善を見込んでいるが、中国経済の混乱と新興諸国に及ぶ金融上の悪影響が世界の成長を脅かす恐れがあると警告を発した。

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Business | 2016年 01月 20日 15:08
中国の成長鈍化、海外企業にも悪影響=在中米国商工会議所

[北京 20日 ロイター] - 在中国の米商工会議所が20日に公表した2015年の年次景況感調査によると、中国経済の成長鈍化による悪影響が及んでいる外国企業が増えていることが分かった。外国企業が歓迎されていないと感じているとの回答は77%に達したという。

約500社を対象とした今回の調査によると、概して採算が取れていると答えた企業数は64%と、5年ぶりの低水準に減少。15年の売上が前年比で横ばいか、マイナスになったと答えた率は45%に上った。前年は39%だった。

中国の今年の国内総生産(GDP)成長率が6.25%を下回るとの回答は48%。35%の回答者が成長率は6.25―6.75%になると予想した。

中国では海外技術の利用が国家安全保障に関する法律で制限されており、政府は外資系企業を対象とした調査を実施している。このため、景況感は規制や保護主義的な懸念による影響を受けている。調査では、「規制に一貫した解釈がなく、法律が不明確」である点が最大の経営課題だと指摘された。

商工会議所のジェームズ・ジマーマン会頭は「中国政府は法治主義に基づくと強調してきたが、われわれ会議所のメンバーは、規制や訴訟手続が公正さや適切な監督を欠くと引き続き訴えている」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/china-business-idJPKCN0UY0EW

Business | 2016年 01月 20日 15:02 JST

アングル:アジア企業統治に変化、社会的責任投資の急増で

[シンガポール 19日 ロイター] - 「社会的責任投資」が過去10年間で世界的に急増したことで、閉鎖的な経営スタイルで悪名高かったアジア企業も、コーポレートガバナンス(企業統治)の問題に積極的に取り組む姿勢へと変化し始めている。

利益の伸びが鈍化し、中国の経済成長が失速しているため、アジアの企業幹部は「環境、社会、統治(ESG)」原則に則って投資するファンドの要請に、以前よりも耳を傾けるようになった。

国連の責任投資原則(PRI)に署名した世界の投資家の運用資産は現在59兆ドルと、2006年の4兆ドルから急増した。この急増ぶりは、社会的責任投資が長い目で見れば高いリターンをもたらす証拠が増えていることを反映している。

アジア企業の取締役会は少数株主の権利や環境などの問題に無関心な傾向が強かったが、今では企業統治を強化し、すべての株主を満足させることに留意するようになった。

ESG基準企業のベンチマークであるダウ・ジョーンズ・サステナビリティ新興国市場指数.DJSEMUNにおいて、アジア企業は今や半分超を占めている。昨年この指数に加わった企業は13社で、うち7社はアジア企業だった。

PRIに署名したアジアの投資家、資産運用会社の数は2006年の7社から70社に増えた。

日本とマレーシアは2014年に独自の社会的責任投資の指数を導入。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がJPX日経インデックス400.JPXNK400をベンチマークに採用したことは、こうした投資の重要性が高まっていることを浮き彫りにした。

こうした流れを後押ししているのが、企業の責任ある行動が収益改善に結び付くことを示すデータだ。

例えばアラベスク・アセット・マネジメントとオックスフォード大が200本以上の学術論文を分析したところ、80─90%の研究で持続性基準が良好なら企業のコストは下がり、業績と株価は上がるという結果が示されていた。

もっとも、ESGが実を結ぶまでの時間軸は長いため、企業の姿勢が変化するペースはまだ遅い。国連のPRIに署名したのは世界で1454社に上るが、アジア企業はその5%に満たない。

年金基金オーストラリアンスーパーの投資管理責任者、アンドルー・グレイ氏は「アジアは個々の企業、システム全体のいずれも問題が山積で、ガバナンスの枠組みがあまり発展していない」と指摘した。

(Nichola Saminather and Viparat Jantraprap記者)
http://jp.reuters.com/article/esg-idJPKCN0UY0CA



バンカメ決算、米銀が利上げ切望する理由示す

バンク・オブ・アメリカの15年通年の利益は「この10年近くで最も高かった」が、それでもROEは6.26%にとどまった PHOTO: DANIEL ACKER/BLOOMBERG NEWS

By JOHN CARNEY
2016 年 1 月 20 日 09:27 JST

 金利が正常だったら決算目標を達成していたという米国銀行の言い訳は、米書店大手のバーンズ&ノーブル(B&N)が米ネット通販大手のアマゾン・ドット・コムがなければ書籍販売量は格段に伸びたはずというのと似ている。

 ただ、その言い訳はより良い業績を望む投資家を納得させるものではないだろう。しかし19日にバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が10-12月期決算を発表した後の会見でポール・ドノフリオ最高財務責任者(CFO)が展開したのはそういう主張だったように思われる。

 ドノフリオCFOはまず、過去6年間の金融業界は「通常とかけ離れた市場環境」の下に置かれていたと指摘、金利が高かったらバンカメは「全く違ってみえるであろう」と述べた。

 金利は高くなる可能性もあったかもしれないし、高くなるべきだったとの見方もあるだろう。

バンカメとM・スタンレーのPBR(株価純資産倍率)の推移

 しかしバンカメとその株価にとって不幸なことに、そうはならなかった。その代わりに、米連邦準備制度理事会(FRB)が先月ついに短期金利引き上げに踏み切ったのをよそに、依然として超低金利が継続している。この環境ではバンカメなどの米銀は、どう頑張ってもぱっとしない決算をひねり出すのがやっとだった。

 ただ、資産ベースで米国第2位の同銀が低金利と世界経済からの逆風に対して、単に受け身のビジネスをしていたというわけではない。14年の10-12月期比では経費を2%削減した。この結果、同行の利益は収入の減少にもかかわらずアナリスト予想より増加した。

 ブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)はまた、15年通年の利益は「この10年近くで最も高かった」と述べた。

 しかし、残念なことにそのレベルでは通年の株主資本利益率(ROE)は6.26%でしかない。前年からは改善しているものの、同行の資本コストをかなり下回っている。

 もしこの10年で最良の利益でも資本コストをカバーできなければ、投資家はより強力な変革を要求するはずだ。

 これとは対照的に、米大手銀のモルガン・スタンレーは業績向上のためにより果敢な計画を立てている。同日の10-12月期決算の発表の席上、17年末までにROEを15年の7%から9?11%へ引き上げることを目指すとした。

 同行はこの目標達成を、報酬および報酬以外の経費を10億ドル(約1200億円)以上削減、ウェルスマネジメント事業の利益率向上、債券トレーディングの一段の縮小によって進めるとしている

 両行とも既に債券トレーディングを縮小している。しかし、モルガン・スタンレーは今後さらに果敢に縮小できると考えているようだ。その理由の一端は、同行が米国以外の債券トレーディングで大きなシェアを占めているからだ。これらの債券は最近大した収入を生み出していないため、この削減により収入や利益に悪影響を及ぼすことなく大きな資金を自由にできるようになる可能性がある。

 つまり、モルガン・スタンレーの資本は、その利益と比べると債券部門に依然過剰配分されているということだ。

 そして利益の伸びが疑わしい時には、利益向上に向かう道を選ぶべきだろう。

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IMF、世界経済見通しを3.4%に下方修正
By IAN TALLEY
2016 年 1 月 20 日 07:59 JST

 【ワシントン】国際通貨基金(IMF)は19日、世界経済見通しを再度引き下げ、中国の景気減速や新興国への影響波及が世界の経済成長を抑える恐れがあると警告した。

 深刻化する主要発展途上国の景気低迷や予想を下回る米国の経済成長を受け、IMFは2016年の世界成長見通しを0.2ポイント引き下げ、3.4%とした。2015年(3.1%)からわずかに改善するとの見立てだ。

 IMFのチーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は「(2016年は)複数の大きな課題に直面する一年となるだろう」とし、「世界経済の重要な変遷をうまくかじ取りしなければ、経済成長は頓挫する可能性がある」と指摘した。

 国・地域別でみると、ブラジルの2016年の成長見通しを前回予測から2.5ポイント引き下げ、マイナス3.5%としたほか、ロシアの16年の予想を0.4ポイント下方修正してマイナス1%とした。

 米国については、ドル高が輸出の重荷となっていることを受け、前回の見通しよりも0.2ポイント低い2.6%と予想した。15年の2.5%に比べやや上向くとみる。

 ユーロ圏と日本は、多額の債務や需要低迷でなかなか成長に弾みがつかないとして、それぞれ1.7%、1%と予想した。

 中国の見通しは16年が6.3%、17年が6%で、いずれも前回予想を据え置いた。15年の成長率は6.9%だった。IMFが見込む成長率は中国政府の予想よりも低いが、IMFは当局が金融・財政政策によって成長を加速し、混乱をきたした金融部門を徐々に沈静化するとみる。

 オブストフェルド氏は、中国経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は直近6カ月で大きく変わっていないとし、むしろ中国経済の先行きをめぐる不透明感が市場を不安定にしているとの見方を示した。「(投資家は)中国で解釈しにくいことが起きると、小さなことでも非常に神経質になる」と述べた。

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ECBの政策判断、中国不安で難しさ増す

By TODD BUELL AND PAUL HANNON
2016 年 1 月 20 日 15:06 JST

 【フランクフルト】欧州中央銀行(ECB)の政策担当者らは、南欧を経済的に問題のある地域とみなすことに慣れている。ギリシャなど南欧諸国の景気低迷がユーロ圏の経済成長の足を引っ張った経緯があるためだ。

 だが、中国市場の混乱が世界中の株式市場や投資家心理を圧迫しているため、21日のECB理事会では東方のはるか先に注目しそうだ。

 市況が安定しない中、エネルギー価格も世界的に低迷しているため、ECBはインフレ目標の達成がますます難しくなっている。そのため、名実ともにハト派のドラギECB総裁が年内に追加緩和に踏み切る可能性がある。

 欧州の経済規模を考えると対中貿易の規模は少額にとどまるが、中国経済の拡大に伴い同国の貿易相手としての重要性は増している。欧州の中国向け輸出は2014年に全体の9.7%を占め、米国向けに次ぐ2位となった。輸入先としては中国が全体の18%を占めた。


EUの対中貿易額【緑色:輸入、水色:輸出、単位:10億ユーロ】

 中国との貿易関係が特に深いのがドイツで、欧州全体の中国向け輸出の46%をドイツの輸出が占める。ただ、輸出額は750億ユーロ(約9兆6000億円)で、3兆ユーロというドイツ国内総生産(GDP)のごく一部を生み出しているにすぎない。

 専門家らは今年の欧州では緩やかな経済成長が続くと予想している。これに対しドラギ総裁は、ユーロ圏と中国の直接的なつながりは限定的だが、中国における信頼感低下が欧州に打撃を及ぼしかねないと示唆している。

 ドラギ総裁は昨年10月22日の記者会見で、「非常に大きな経済で非常に大きな予想外の出来事が起きれば、世界中の信頼感は損なわれるかもしれない。そうなれば、それにどう対処するかを検討しなければならないだろう」と述べた。

 市場はドラギ総裁が21日の記者会見で語る内容をしっかり聞き届けるだろう。

 ECBにはユーロを減価させることでユーロ圏経済を支える独自の手段がある。一つは、昨年12月以降マイナス0.3%で据え置いている預金金利の追加引き下げだ。また、2015年初頭に導入した大規模な資産買い入れの月間購入額の引き上げか、12月に6カ月延長した買い入れ期限の再延長も可能だろう。

 専門家の間では、ECBは12月に追加緩和に踏み切ったばかりなので、さらなる緩和策を講じる用意はできていないとの見方が多い。しかし、ECBは3月の追加緩和も辞さない構えを示したいと考えるかもしれない。

 ECBの任務は、中国経済の減速などが原因で国際商品(コモディティー)が下落しているため、いっそう複雑になっている。

 世界経済の成長不安は深刻だが、コモディティー価格の下落はユーロ圏経済の支援材料となる。消費者がその節約分を域内で生み出された財やサービスに振り向けるためだ。企業もコスト削減と利ざや拡大という恩恵を受ける。だが同時に、ECBの2%弱というインフレ目標は達成が遠のく。

 政策当局はインフレが年明けごろに上向き始めると期待していたが、原油価格が再び下落したためいらだちを強めている。

 国際通貨基金(IMF)の見通しでは、ユーロ圏は引き続きデフレに陥る恐れがある。デフレ下では、消費者物価の下落がGDPを押し下げ、それが物価をさらに押し下げるという悪循環に陥る。

 IMFのチーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は19日、ECB理事会内で追加緩和に反対意見があるとしても、ECBがデフレリスクに対応すると確信していると指摘。「政策は総じて、ますます現実味を帯びるデフレ圧力に積極的に対応するものになるとみている」と述べた。

 ユーロ圏の昨年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.2%上昇となった。バークレイズのエコノミストらは現在、物価が2月に再び下げ始め、7月にかけて前年同月比でマイナスの状態が続くと予想している。また、2016年通年の消費者物価上昇率は0.1%にとどまり、昨年12月のECBエコノミストらの予想値(1%)を大きく下回るとみている。

 ABNアムロのニック・コーニス氏は「今や(追加緩和に動く)可能性は高い」としつつも、ECBは3月まで待つだろうと述べた。

 他の専門家は、状況が変わらなければ、それほど早い時期に追加緩和はないとの見方だ。

 INGのエコノミスト、カルステン・ブジェスキ氏は「ユーロ圏に対する対外リスクは明らかに高まっている。直近の市場の混乱、くすぶる中国経済への不安、原油安の逆効果などが背景にあり、最近ではFRBが12月に利上げを早まったのではないかとの懸念も浮上している」と述べた。

 同氏はECBが1月は追加緩和を温存するとみる。ユーロ圏の経済状況が悪化して、コアインフレ率が急低下したり、ユーロ圏で不当にも金融状況の引き締まりが進んだりしない限り、3月に追加緩和に踏み切る可能性は高くないと言う。

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http://si.wsj.net/public/resources/images/OJ-AF071_ECBCHI_16U_20160119101505.jpg

Business | 2016年 01月 20日 12:18
米国債の保有継続を推奨━ジャナスのグロス氏=CNBC

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 著名債券投資家ビル・グロス氏は19日、CNBCで、最近の市場の混乱を受け、投資家は米国債の保有を続けるべきだとの考えを示した。

債券ファンド「ジャナス・グローバル・アンコンストレインド・ボンド・ファンド」(JUCAX.O)を運用するグロス氏は、「わたしだったら米国債のような優良な国債の保有を続ける」と述べた。

同氏はまた、特別控除や連邦政府の補助金がある課税地方債「ビルドアメリカ債」も投資家は検討すべきだと指摘。

「純資産額に対して10─15%ディスカウントとなっているクローズド・エンド型ファンドは多い。1ドルを80─95セント程度で購入できるということだ」とし、「こうしたクローズド・エンド型ファンドの中には比較的優良な地方債を扱うものもある」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/investment-janus-glbl-uncons-bd-cnbc-idJPKCN0UY08Y

Business | 2016年 01月 20日 11:56
米財政赤字、2016年度は7年ぶり増加に=議会予算局

[ワシントン 19日 ロイター] - 米議会予算局(CBO)は19日、2016年度(15年10月─16年9月)の財政赤字額が7年ぶりに増加し、5440億ドルに達すると発表した。

減税措置の恒久化が主因で、対国内総生産(GDP)では2.9%に達する見込み。前年度の赤字は4390億ドルだった。財政赤字は2009年に約1兆4000億ドルを記録し、ピークに達していた。

CBOは、8月時点で示した赤字見通しを1300億ドル上方修正した。

また、ベビーブーム世代の引退増加に伴うコスト拡大や経済見通し引き下げにより、赤字は2026年度までに1兆3700億ドル(対GDP比4.9%)に拡大する見通し。

2016─25年度に債務が8兆5000億ドル膨らむと予想。8月の予想値から1兆5000億ドル引き上げた。

GDP成長予想は、ことしが2.7%、17年が2.5%、18─20年が平均で2.0%。
http://jp.reuters.com/article/usa-fiscal-idJPKCN0UX2B6


Business | 2016年 01月 20日 11:28
借換債発行、17年度104.8兆円に減額も=財務省試算で政府筋

[東京 20日 ロイター] - 過去の借金借り換えに必要な「借換債」の発行が2017年度に104.8兆円程度と、16年度当初計画の109.1兆円から4.3兆円程度の減額となる可能性があることが20日、わかった。

財務省が仮計算した国債整理基金の資金繰り状況では、17年度の借換債収入は104兆8600億円だった。借換債収入の額は、そのものが借換債の発行額になるわけではないが、年度ごとの発行目安となるものだ。

もっとも、その後は3年連続で110兆円台の発行が続く公算が大きい。

同省の仮計算によると、18年度の借換債収入は111兆7400億円、19年度は110兆6500億円、20年度は113兆1200億円となっており、国債発行の大半を占める借換債の増発圧力が、国の財政状況を悪化させる姿は変わらない。
http://jp.reuters.com/article/japan-idJPKCN0UY06J


Business | 2016年 01月 20日 11:23
国の税収、17年度に過去最大62.6兆円=財務省試算で政府筋
[東京 20日 ロイター] - 国の税収が2017年度に62.6兆円と過去最大に上る見通しであることが20日、わかった。財務省が、年率3%の高成長を実現した場合の試算として、16年度予算審議にあわせ国会に提出する。

財務省が、16年度予算案が後年度にどう影響するか試算したところ、名目成長率が3%で推移すれば税収は17年度に過去最大となる。その後も増加を続け、21年度には71.7兆円となる見通しだ。

税収増に伴い、国の支出を補う新規国債の発行も17年度には33.7兆円と、09年度の33.2兆円以来8年ぶりの低水準となる姿を描く。

もっとも、18年度以降の国債発行は反転増加し、安倍晋三政権が財政健全化の中間年度と位置づける同年度は34.5兆円、税収が70兆円の大台に乗せる21年度には37.2兆円に膨らむ。

税収増にかかわらず借金が増えるのは過去に発行した国債の利払いや高齢化に伴う社会保障費がかさむためで、政府が掲げる財政目標達成には、経済成長とともに歳出削減への取り組みが欠かせない。
http://jp.reuters.com/article/tax-idJPKCN0UY069



International | 2016年 01月 20日 11:20
米原油先物28ドル割り込む、2003年9月以来初めて=アジア時間取引

[シンガポール 20日 ロイター] - 20日アジア時間序盤の取引で、供給過剰懸念を受けて原油先物が下げている。米原油先物は1バレル=28ドルを一時下回った。同水準を割り込むのは2003年9月以来、初めて。

米原油先物CLc1は一時1バレル=27.92ドルに下落。0200GMT(日本時間午前11時00分)時点では28.12ドルで推移している。

北海ブレント先物LCOc1は28.65ドル前後で推移。前日は0.7%上昇していた。
http://jp.reuters.com/article/global-oil-idJPKCN0UY063


米通貨監督庁:中国4大銀の一角、中国銀行に資金洗浄対策で改善命令
2016/01/20 14:02 JST
    (ブルームバーグ):米通貨監督庁(OCC)は中国の4大銀行の一角、中国銀行に対し、米国でのマネーロンダリング(資金洗浄)対策に不備があるとし、改善を命じた。
ブルームバーグが入手した命令のコピーで分かった。中国銀行の米国事業にどのような違反があったかは詳細を示しておらず、罰金も科さない。
中国銀行は顧客の疑わしい行為の発見・報告をめぐる指針を修正するとともに、通貨取引の追跡の改善、金融犯罪阻止に向けた体制強化などに同意した。
OCCのブライアン・ハバード報道官は中国銀行に対する執行を確認したものの、違反行為や今後考えられる措置の有無についてはコメントを控えた。
原題:Bank of China Targeted by U.S. Over Money-Laundering Controls(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Jesse Hamilton jhamilton33@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jesse Westbrook jwestbrook1@bloomberg.net David M. Levitt, Tom Schoenberg
更新日時: 2016/01/20 14:02 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O18IJ06JTSJ801.html


香港H株:下落、石油銘柄安い−通貨安で資本流出懸念強まる
2016/01/20 14:08 JST

    (ブルームバーグ):香港に上場している中国株の指標、ハンセン中国企業株(H株)指数は20日、下落。石油株を中心に値下がりしている。香港ドル安で資本流出をめぐる懸念が広がった。
H株指数は午前の取引終了時点で、前日比4.9%安の7968.30。ペトロチャイナ(中国石油、857 HK)が11年ぶり安値を付けた。原油相場が一段安となったほか、中国海洋石油(CNOOC、 883 HK)がここ10年余りで初めて生産を削減すると発表した。CNOOCは6%安。中国石油化工(SINOPEC、386 HK)も安い。
香港ドルは2007年以来の低水準近くで推移。中国の景気鈍化で香港の資産への需要が抑制されると懸念された。ハンセン指数は3.8%下げて約3年半ぶり安値に落ち込んでいる。
中国本土市場ではCSI300指数が1.6%安となっている。
原題:Chinese Stocks Slide in Hong Kong as Weak Currency Spurs Outflow(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先: Hong Kong Kyoungwha Kim kkim19@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Allen Wan awan3@bloomberg.net Chan Tien Hin
更新日時: 2016/01/20 14:08 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O18IX06K50Y601.html


香港ドルのフォワード、99年以来の安値−ペッグ制終了観測強まる
2016/01/20 13:19 JST
    (ブルームバーグ):香港ドルのフォワードが20日、1999年以来の安値水準を付けた。中国の景気減速と人民元下落が資本流出を招き、32年続いている香港ドルと米ドルのペッグ(連動)制が終了するとの観測が強まった。
香港ドルの12カ月物フォワードは、一時0.3%安の1米ドル=7.8904香港ドルとなった。ペッグ制の下での現行の香港ドル許容変動幅は7.75−7.85香港ドル。フォワードがこの下限を下回る水準に下落している。
原題:Hong Kong Dollar Forwards Sink to Weakest Since ’99 on Peg Bets(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:香港 Saijel Kishan skishan@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Regan jregan19@bloomberg.net
更新日時: 2016/01/20 13:19 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O18GXY6JTSEL01.html

信用拡大による景気浮揚効果縮小−中国指導部に突き付けられた難題
2016/01/20 14:04 JST

    (ブルームバーグ):中国の景気減速が昨年末時点でも続いていたことを示唆した国内総生産(GDP)統計は、経済改革推進と高成長確保に等しく強い決意を示す共産党指導部に対する警告をはらんでいる。
黄信号が点滅し、政策担当者が打ち出す景気刺激策がますます力を失いつつある。中国政府が19日公表した数値をブルームバーグが集計したところによれば、昨年は信用拡大1ドル(約117円)につきGDPが27セント相当押し上げられたにすぎず、2009年以来で最もわずかな効果にとどまった。11年には信用拡大1ドルでGDPが59セント相当押し上げられていた。
信用拡大による景気浮揚効果の低下は、中国当局が重工業の過剰な生産能力圧縮に動く状況で、さらなる成長鈍化を容認するかどうかという難題を習近平国家主席や李克強首相に突き付けており、指導部が取り組む金融業界改革の重要性も同時に浮き彫りにしている。
米財務省の元中国専門家で、現在はロサンゼルスの資金運用会社TCWグループのアナリストを務めるデービッド・ロービンガー氏は「非効率な国有企業に投資を誘導する優遇縮小が求められるだろう。これは常に困難な問題だ。負け組の企業が強大なのに対し、勝ち組に属する企業は小さく、まだ存在すらしていない可能性があるからだ」と述べた。
原題:China Is Getting Less and Less Bang for Its Credit Buck (1)(抜粋)
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更新日時: 2016/01/20 14:04 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O18E5L6JTSED01.html


Column | 2016年 01月 20日 11:19
コラム:予想通りの中国GDP、市場の「鎮静薬」にならず

Peter Thal Larsen

[香港 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国政府が19日発表した昨年の国内総生産(GDP)成長率は6.9%で予想とぴったり一致した。中国に端を発した世界的な金融市場の動揺がこの先どうなっていくか、まったく分からないのとは対照的な、予測可能性の高さだ。だからといって、人民元安やかつてないほど高水準に膨れ上がっている中国の債務問題に投資家が抱く懸念が和らぐわけではない。

GDP統計は、中国経済がじわじわとだが制御可能な形の減速軌道にあるという政府の主張を裏付けている。製造業や投資といったかつての成長のけん引役の勢いは衰えているものの、消費が上向いて穴を埋めつつある。昨年のGDP成長率に対する個人消費の寄与度は3分の2に達した。

しかし多くの人々にとって、GDPの数字は政府統計を安易に信じるべきでないという理由がまた1つ増えた、ということにすぎない。他の指標はより深刻な減速を示唆している。例えば発電量は1968年以降で初めて、年間でマイナスを記録した。

もっとも中国の統計をめぐる疑念はもう何年も前からくすぶり続けており、今年になって何か変化があったわけではない。むしろ年明けからの世界的な株安のきっかけとなった可能性がより大きいのは人民元安であり、一段の元安への不安感だ。

中国当局は人民元の通貨バスケットに対する相場は引き続き安定していると主張している。しかし、それは中国人投資家がより多くの資金を国外に移そうとしている動きと矛盾する。オックスフォード・エコノミクスによると、人民元がさらに下落すれば、他の新興国通貨の値下がりと相まって、ユーロ圏や日本の経済成長に打撃を与えるとみられている。

中国当局の金融システム安定化能力への投資家の不安は日増しに高まっている。現在、中国の政策担当者が増大する債務問題と格闘している最中だけにこれは重大な意味を持つ。デレバレッジングが話題に上っているにもかかわらず、BNPパリバによると、与信残高は昨年、12%強増加しており、名目GDP成長率よりずっと高い。

中国の金融システムは国家統制色が強く、比較的閉鎖的な分、収拾がつかないような債務のメルトダウンは避けられる余地が大きいはずだ。しかし、上海と深センの株価を押し上げる取り組みは、実体経済への悪影響はほとんどなかったものの、不首尾に終わり、金融当局の信認に傷がついた。こうした信認低下は、たとえ安心感を得られる経済統計が出てきても取り戻せるようなものではないと思われる。

●背景となるニュース

*19日発表された中国の2015年GDP成長率は6.9%で予想通りだった。ただ25年ぶりの低い伸びになった。昨年第4・四半期GDP成長率は前年比6.8%。

*12月の鉱工業生産と小売売上高は予想に届かなかった。生産は前年比5.9%増で、小売売上高は11.1%増に鈍化。消費を成長エンジンとして当てにしていた人々を失望させた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/china-markets-breakingviews-idJPKCN0UY053

Business | 2016年 01月 20日 10:35
CEOの世界経済見通しが悪化=PwC調査

[ダボス(スイス) 19日 ロイター] - 会計監査大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が19日に公表した調査によると、企業の最高経営責任者(CEO)の世界経済見通しは1年前よりも悪化した。

調査は、83カ国1400人のCEOを対象に、2015年の第4・四半期に実施された。20日からスイスで始まる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を前に結果が公表された。

今後1年で世界経済の状況が改善すると見込んでいるCEOは27%と、前年同期の37%から低下した。

今後1年で自社の売上を伸ばすことに「非常に自信がある」と回答したCEOは35%にとどまり、前年同期の39%から低下、2010年以来の低水準となった。

PwCのデニス・ナリー会長は「他国経済が厳しい状況に直面していた時に世界第2位の経済国である中国は非常に堅調な成長を維持していたが、中国経済は今や明らかに減速している」と指摘。「為替や株式市場めぐり大きな懸念があるが、それが自国経済を変える中国の能力にどのように影響するか不明だ」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/davos-meeting-confidence-idJPKCN0UY04K


Top News | 2016年 01月 20日 10:26
アングル:広がる貧富の格差、ダボス会議は世界の分断防げるか

[ダボス(スイス) 18日 ロイター] - 今週20日から23日まで、スイスのダボスで世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催されるが、政治家やビジネスリーダーたちは、ますます分断された世界に直面している。

超富裕層の陰で貧困層はさらなる苦境に追い込まれ、欧米や中東では過去数十年で最も深い政治的亀裂が走っている。

国際非政府組織(NGO)オックスファムが18日発表した格差に関する報告書によると、世界資産保有額ランキングの上位62人(うち男性53人)の総資産は、下位50%(36億人)の総資産に匹敵する。また、世界の上位1%を占めるスーパーリッチ層は、他の99%よりも多くの富を持っているという。

意義深いのは、貧富の格差が予想よりも早いペースで拡大していることだ。上位1%が残りの99%の富を上回るというのは、オックスファムの1年前の予想よりも1年早い。

不平等の拡大や、市民と政治的指導者の間の信頼感ギャップの拡大は、スイスのアルプス山地で開催されるダボス会議に集う世界のエリート層にとって大きな課題となっている。

こうした分断は、「持てる者と持たざる者」をはるかに超えたところでも広がっている。中東では、イスラム教シーア派とスンニ派の隔たりが危機的状況にあり、内戦やイスラム過激派の残虐行為で混沌とするこの地域で、イランとサウジアラビアは影響力を拡大しようと張り合っている。

中東の紛争は欧州にも波及。第2次世界大戦以降で最悪となる難民危機の対応をめぐり、深いイデオロギー的亀裂が生じている。また、英国が欧州連合(EU)を離脱する可能性は、60年にわたり推し進めてきた「1つの欧州」の将来について疑問を投げかけている。

一方、米著名実業家のドナルド・トランプ氏が大統領選の共和党候補指名争いでトップに立っていることは、米国内の大きな政治的分裂を露呈しており、世界的な混乱が広がるなかで米同盟諸国の不安をかき立てている。

ダボス会議にはバイデン米副大統領、ケリー米国務長官、キャメロン英首相、カナダのトルドー首相、イスラエルのネタニヤフ首相、そしてイランとサウジ両国の外相が参加。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁のほか、レオナルド・ディカプリオやケビン・スペイシーら映画スターも出席を予定している。

<ポピュリズム>

PR会社のエデルマンによる年次調査では、所得不平等や将来への異なる期待などから、多くの国で上流層と一般大衆の間で信頼感にかつてないほど大きなギャップが見られた。このギャップは米国が最も大きく、英国、フランス、インドが後に続く。

同社のリチャード・エデルマン社長兼最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「こうしたことの結果が、トランプ氏や(仏極右政党・国民戦線の党首)ルペン氏によって体現されているようなポピュリズムだ」と指摘する。

また、第4次産業革命と称され、ダボス会議の焦点の一つでもある技術革新の新たな波も、社会的混乱に拍車をかける恐れがある。従来の仕事の多くがロボットに取って代わられる可能性があるからだ。

オックスファムの報告書は、世界的な不平等が過去1世紀以上見られなかった水準に到達していることを示唆している。

同報告書によると、世界の資産保有額の上位62人の資産は過去5年間で44%増加した一方、下位50%のそれは1兆ドル以上減少。「所得と富は少しでも下へと伝わるどころか、警戒すべき速さで上へと吸い上げられている」と指摘している。

また、タックスヘイブン(租税回避地)の問題も指摘しており、個人資産の推計7.6兆ドルが現在オフショアで保有されているとしている。この額は英独の経済規模を合わせたよりも大きい。

「これは大きな警鐘だ。不平等は経済の健全性にとって最大の脅威の一つであり、対処する必要がある」と、140カ国5000万人の鉱山、エネルギー、製造部門で働く労働者を組織するインダストリオール・グローバルユニオンのユルキ・ライナ書記長は語った。

オバマ米大統領も12日の一般教書演説でこの問題に言及し、テクノロジーの変化で世界は生まれ変わると指摘。「機会も不平等も広がる可能性がある。それを好むと好まざるとにかかわらず、そうした変化のスピードは加速する一方だろう」と述べた。

また大統領は、「グローバル経済のなかで企業はどこにでも拠点を構えられるし、より厳しい競争にさらされる。その結果、労働者はますます賃上げを期待できなくなり、企業はコミュニティーへの忠誠心を失っている。そして、さらに多くの富と所得が最上位に集中している」と語った。

(Ben Hirschler記者、Noah Barkin記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
http://jp.reuters.com/article/angle-world-divided-davos-idJPKCN0UY03O

Business | 2016年 01月 20日 07:54
ドル下落、原油一段安でリスク回避の動き強まる=NY市場

[ニューヨーク 19日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。下がり続ける原油価格と減速する世界経済への懸念でドルは避難通貨のスイスフランや円に対して売られ、序盤の上昇分を吐き出した。ポンドはイングランド銀行(中央銀行、BOE)総裁の発言で急落した。

ニューヨーク原油先物は序盤の上げから転じて3%安で引け、米株式市場も、中国株の続騰や欧州株の反発、また原油価格が1バレル=30ドルを回復したことには影響されず、日中下落に転じた。

ドル/円JPY=は序盤の上昇分をほぼ削り、終盤は0.2%高の117.55円。ドル/スイスフランCHF=は終盤0.2%安の1.0031スイスフランだった。

メルク・ハード・カレンシー・ファンドの社長兼ポートフォリオ・マネジャー、アクセル・メルク氏は「原油が再び下落し始めた。市場全体の注目も最近原油に集まっており、市場を動かす主要材料だ」と述べた。

メルク氏は、原油価格が1バレル=30.21ドルに戻ったことについては「長続きできるものではない」とみている。イランに対する経済制裁が取り除かれ同国の原油生産が1日当たり50万バレル増えようとするなかで、石油供給過剰状態がさらに強まる見通しであることを理由に挙げた。

ドル/円 NY時間終値 117.52/117.57

18日終盤 117.29

ユーロ/ドル NY時間終値 1.0914/1.0918

18日終盤 1.0899
http://jp.reuters.com/article/ny-forex-idJPKCN0UX2S6


GPIF:マネジャーエントリー制を来年度導入、収益力向上図る (1)
2016/01/20 13:17 JST

    (ブルームバーグ):年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は来年度、委託運用機関を常時公募する「マネジャーエントリー制」を導入する。優秀な運用機関を機動的に採用するとともに、既存の委託先との競争を促すことで収益力の向上を図るのが狙いだ。
マネジャーエントリー制は、投資対象となる分野ごとに、一定の条件を満たす運用委託先の候補をあらかじめ募集・選定しておき、必要が生じた時に随時、委託先の追加や入れ替えを実施する仕組み。GPIFは運用委託先を数年ごとに見直してきたが、従来の方法では優秀な運用機関を取り逃す可能性があった。地方公務員共済連合会などはすでにマネジャーエントリー制を導入済みだ。
GPIF広報担当の森信一郎氏は、マネジャーエントリー制の導入について、「来年度中に導入するつもりで、具体的にいつかはまだ分からない。これで解約が増えるというわけでない。それは定性的な理由で、例えばファンドマネジャーがやめて運用体制が変わったから解約するときもある。一部の資産クラスで始めるということも検討中」と話した。 
昨年11月6日開催の運用委員会の議事要旨によると、GPIF側はマネジャーエントリー制について、軌道に乗り始めると選定時期の分散が図れるとした上で、広い投資範囲で運用機関を選択する方向への一歩と位置づけたい考えだ。委員側からは、優秀な運用機関が全て応募するとは限らないため積極的に良い運用機関を自ら探しに行くのも一案との意見や、マネジャーストラクチャーの基本的な考え方について評価基準も含めて審議し、あとは執行部に任せる形が役割分担として良いとの声が出ていた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net;東京 北中杏奈 akitanaka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 崎浜秀磨, 青木 勝
更新日時: 2016/01/20 13:17 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O18C996JTSEA01.html

英中銀総裁、低金利長期化を示唆
By JASON DOUGLAS
2016 年 1 月 20 日 00:20 JST

 【ロンドン】英イングランド銀行(中央銀行)のカーニー総裁は19日、想定より低いインフレと世界経済の減速に言及し、近く政策金利を引き上げる公算は小さいことを示唆した。

 ロンドン大学クイーン・メアリー校での講演用原稿によると、カーニー総裁は予想を下回る成長と物価上昇圧力の弱さを踏まえ、英国経済は利上げの用意ができていないとの見方を明らかにした。

 英国統計局(ONS)が19日発表した統計では、2015年の平均インフレ率が1959年の統計開始以降で最低のゼロとなった。

 カーニー総裁は、昨年夏以降の前進が金融政策の引き締めを正当化できるほど十分ではなかったとの見解を示した。「世界は弱体化し、英国の成長も鈍化した」とも指摘した。

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 イングランド銀行としては、これまでの想定より「若干低い」2016年のインフレを見込むことも明らかにした。このため、今年の利上げの公算は小さい。

 カーニー総裁は今回、英国の金融政策を決定的に左右する三つの要因として、これまでのすう勢に照らして持続的な経済成長、賃金を中心としたコスト上昇圧力の高まり、変動の大きいエネルギーと食品を除いたコアインフレ率の上昇を挙げた。

 「インフレ率が目標水準へ戻る軌道にあると合理的に確信するためには、これら3分野で前進が積み重なる必要がある」という。イングランド銀行は2%のインフレ率を目標に掲げている。

 利上げに乗り出す場合でも、小幅で段階的な動きとする考えも付け加えた。さらに「金融政策は今後もカレンダーではなく経済見通し次第だ」と述べた。


ユーロの健闘が新たな問題になる理由とは
ECBはユーロ高を望まないだろう。ユーロ圏のインフレ率が「2%弱」まで回復する上で、ユーロ高は新たな逆風となるためだ(写真は10ユーロ紙幣) PHOTO: REUTERS

By
RICHARD BARLEY
2016 年 1 月 20 日 11:33 JST
 しっかり目をこらせば、年初来で上昇している銘柄を見つけることはできる。欧州株式市場ではStoxx600指数構成銘柄のうち15銘柄が上昇している。米国株式市場ではS&P500種指数のうち5銘柄の上昇率が5%を超える。欧州中央銀行(ECB)にとっては都合の悪いことに、こうした「上昇銘柄リスト」にはユーロも含まれる。
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ユーロの実効レート
 もっとも、ユーロの上昇率は小幅で、ドルに対して0.1%上昇したにすぎない。また、足元の1.09ドル前後という水準は2015年初頭の水準を大きく下回る。昨年の大半は1.10ドル?1.15ドルで推移したが、このレンジにも届かない。ところが、ECBの統計によると、19カ国の貿易相手国の通貨で構成するバスケットに対しては、ユーロは年初来で1.4%上昇している。昨年11月の安値からの上昇率は4.1%に達する。
 ECBのドラギ総裁はユーロ高を望まないだろう。昨年の平均が0%だったユーロ圏のインフレ率が「2%弱」まで回復する上で、ユーロ高は新たな逆風となるためだ。国際商品(コモディティー)相場が再び急落したことで、今年は原油安のベース効果が剥落し、総合インフレ率が上昇するとの望みは既にくじかれている。ECBはユーロを政策目標にはしていないが、ユーロ安はユーロ圏の景気回復を支えインフレを押し上げる手段となり得る。
 当然ながら、この方程式においてECBは一つの要素にすぎない。米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月、世界金融危機以来となる利上げに踏み切り、ECBとは完全に対照的な金融政策の道のりをついに歩み始めた。ユーロ安に賭ける投資家にとって、FRBが重大な要素であることに変わりはない。FRBの利上げが市場の織り込み水準を上回れば、ドルは大きく上昇し、ユーロは下落するだろう。ただ、市場で広がる混乱がこうしたシナリオを脅かしている。米国債とドイツ国債の2年債の利回り差は12月のピークから0.2%縮小した。
 ECBは12月に追加緩和を実施したが、事前に市場の期待が高まりすぎてそれに十分応えることができなかったため、市場は大きく変動した。エコノミストの間では年内の追加緩和を見込む声が早くも上がっている。先週発表された12月のECB理事会議事録によると、一部の政策担当者がユーロ圏での量的緩和を問題視していることは明らかで、思い切った追加緩和の実現に向けたハードルは高い。
 21日のECB理事会で追加緩和という花火が打ち上げられることはなさそうだ。それでも、ユーロが実効ベースで上昇を続ければ、ECBに追加緩和を求める圧力は高まるばかりだろう。
関連記事
? ECB、預金金利大幅引き下げに一定の支持=議事録
? 米株が調整局面入り、予想引き下げ相次ぐ
http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-MD920_eurohe_G_20160119061654.jpg 

日銀:春闘に失望強める、物価見通し再度の下方修正検討−関係者 (1)
2016/01/20 08:40 JST

    (ブルームバーグ):2016年の春闘に対する失望感が日本銀行の中で強まっていることが複数の関係者への取材で明らかになった。黒田東彦総裁が強い関心を寄せている春闘が期待外れの結果に終わる公算が大きい中、来週にも追加緩和が行われる可能性が出てきている。

「高水準の企業収益と労働需給のひっ迫からすると、賃金上昇はやや鈍い」と黒田総裁は国会で15日答弁した。関係者によると、こうした懸念は日銀内で共有されつつある。賃金交渉が不発に終われば2%物価目標の実現に不可欠な期待インフレ率の上昇にも黄信号がともる。日銀は29日に公表する新たな展望リポートで、物価見通しをさらに下方修正し、2%の達成時期を再度先延ばしすることを検討している。

トヨタ自動車グループの全トヨタ労働組合連合会は16日、春闘でベースアップ最低要求額として15年の半額の月3000円以上を求めることを決定した。主要製造業の産業別労働組合で構成する全日本金属産業労働組合協議会の要求も昨年の半分だ。

春闘は芳しくないとの見方とともに、日銀は次回1月28、29日の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切るとの見方が広がりつつある。JPモルガン証券は追加緩和の予想時期を従来の11月から4月に前倒した上、「今後2週間の円レート次第では1月追加緩和の可能性も残されている」との見方を18日付のリポートで示した。

JPモルガンの菅野雅明チーフエコノミストは「原油価格の低下だけでなく、円高進行」もあり、2016年度の生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)の見通しの下方修正は「不可避だ」と指摘。併せて「2%インフレ達成時期も『17年度後半ごろ』へ後ずれしよう」と予想した。

物価見通しの下方修正を検討

日銀は昨年10月の展望リポートで、16年度のコアCPIの見通しを7月時点の1.9%から1.4%へ下方修正し、「16年度前半ごろ」としていた2%達成時期を「16年度後半ごろ」に先送りした。日銀は28、29両日開く金融政策決定会合で、新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表し、物価見通しの下方修正と目標達成時期の再度の先送りを議論する。

日銀は18日、各地域における企業の雇用・賃金設定スタンスをまとめたリポートを公表した。「近年、都市部の企業を中心に定昇や賞与増額を実施する先が増加している」とする一方で、「地方の中小企業を中心に給与の増額に慎重な先も依然として相応にみられており、その中にはベースアップによる給与水準の引き上げは難しいとする先が少なくない」と指摘した。

この日会見した秋山修・福岡支店長は、九州・沖縄地域の企業の賃金設定スタンスについて「先行き不透明感がある中で、固定費負担の拡大にはかなり慎重な見方が強い」と述べた。

市場の見方

第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは15日付のリポートで「1人当たり賃金の上昇率が思いのほか鈍く、今年の春闘賃上げ率も昨年から鈍化が見込まれるなど、日銀が重要視してきた賃金インフレにも疑問が投げかけられている」と指摘。4月の追加緩和をメインシナリオとしているが「1月に追加緩和があっても不思議ではない」としている。

ゴールドマン・サックス証券の馬場直彦チーフエコノミストは16日付のリポートで、4月の追加緩和が標準シナリオとしながらも「日銀は春闘に対して非常に強い期待を抱いており、企業のインフレ期待を高めるために、春闘の議論が本格化する直前の1月末会合で、何らかの行動を起こす可能性を完全に排除しない」としている。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは15日付のリポートで「現時点では、今年の春闘の賃上げ率は昨年よりやや低くなるとみられる。日本労働組合総連合会(連合)によると定期昇給を除く平均賃上げ率は2014 年が0.38%、2015 年が0.69%だった。今年の春闘では0.6%程度が予想される」という。

据え置きか

黒田総裁は第二地方銀行協会の賀詞交換会で14日、「できることは何でもやり、2%の物価上昇は必ず実現する」と述べた。年明けからやや騒がしい状況で、世界的に金融市場の動きが大きいという状況認識を表明した上で「必要とあらば、さらに思い切った措置を取る用意もある」と述べた。
みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは20日付のリポートで、月末の政策決定会合について「今の市場環境であれば金融政策は据え置かれる公算が大きい」と指摘する。ドル・円相場が昨年8月のボトムを割り込まずに円高対策での追加緩和には材料が弱く、今年の政治日程では7月参院選が一つの山場で政治的な理由で緩和するとすればやや早いことを主な理由に挙げている。
ドル・円相場は日本時間19日午後8時ごろ1ドル=118円台前半まで円安方向に振れた後、20日8時時点では同117円台半ばの円高水準で推移している。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡徹 tfujioka1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎, 宮沢祐介
更新日時: 2016/01/20 08:40 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O16GMC6TTDS101.html


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