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庶民の財布は厳しいまま…(※イメージ)
アベノミクス開始3年 専門家「リーマンショック時と変わらない」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160114-00000001-sasahi-bus_all
週刊朝日 2016年1月22日号
年明け早々、百貨店の初売りでは福袋が完売し、景気のいいニュースが聞こえてきた。だが、庶民の財布は厳しいままだ。大企業の業績は上向きだが、中小零細企業は低迷、所得の格差は広がるばかり。アベノミクスの効果はあったのか。3年前と比べて経済指標を徹底検証する。
2016年年明け。百貨店の初売りに長蛇の列ができ、福袋や高額品が飛ぶように売れた。日本中が好景気に沸いたと思いきや、そうでもない。名古屋近郊のあるシャッター通り商店街で洋品店を営む店主(64)は、資金繰りがうまくいかず、新年を祝うどころではなかったという。
「売り上げは減少の一途。慢性赤字で借入金の返済もままならない。店の家賃も従業員の給料も払えない、と頭を抱えていました」
こう語るのは、事業再生コンサルタントの吉田猫次郎氏。吉田氏のもとには、今こうした中小企業の事業主からの相談が相次いでいるという。
「従業員数5人未満の小規模事業者は特に厳しい。仕入れ原価や人件費が高騰し、利益が出ない構造になっています。中小零細企業の状態は、アベノミクス以降もリーマンショック時と変わらない」(吉田氏)
第2次安倍政権が12年12月26日に発足してから、丸3年が過ぎた。
昨年暮れ、都内で開催された日本経済団体連合会審議員会での挨拶で、安倍晋三首相は「アベノミクス“3本の矢”によって、日本経済は完全に復活を遂げることができた」と豪語した。
<名目GDP(国内総生産)は28兆円増え、500兆円を超えました。雇用は110万人以上増えました。有効求人倍率は23年ぶりの高い水準になっています。そして、今年も過去最高の企業収益を更新しています。賃上げは17年間で最高。経団連の調査では、冬のボーナスは過去最高となっています。日本経済は、デフレ脱却まであと一息というところまで来ました──>
初売りなど景気のいい場面が報道されると、「景気回復した」と錯覚を起こしてしまいがちだが、「アベノミクスの実態は、一部の富裕層しか恩恵を受けない構造になっている」と言うのは、エコノミストの中原圭介氏。
「アベノミクスはデフレからの脱却、富の拡大が目的でしたが、今後もインフレ経済にするのは難しいでしょう。円安や株高で潤ったのは大手企業や富裕層だけ。全体として実質賃金の低下を招き、格差を拡大させた。庶民の生活水準の悪化を考えれば、アベノミクスは完全に失敗だったことがわかります」
安倍政権は失敗を認めるどころか、「アベノミクスは第2ステージに移る」と言い、昨年9月、“新3本の矢”を打ち出した。
「経済失政をごまかそうとしたとしか考えられません。今までの3年間を検証し、日本をどのように立て直すのか。安倍政権は経済政策を根本から考え直す時期に来ている」(中原氏)
参議院選挙がある今年、安倍政権が行ってきた経済政策を見極める必要がある。
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