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アップル、米国内で「税逃れ」批判集中…CEOが「恐ろしい」と異例の真っ向反論
http://biz-journal.jp/2016/01/post_13248.html
2016.01.11 文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員 Business Journal
2015年12月21日までに、米アップルのティム・クックCEO(最高経緯責任者)が、同社の税金逃れ批判に対して発言したコメントが話題を呼んでいる。
クック氏は、米CBSテレビの番組『60ミニッツ』で、アップルが米国で本来支払うべき税金を払っていないとの指摘を受け「まったくばかげた話だ」と一蹴したうえで、「アップルは支払うべき税金はすべて払っている」ことを強調している。
通常、この種の疑惑は海外で利益を出している多国籍企業にかけられるものであるが、国ごとの課税のあり方こそが大きな問題となる。米国では原則として、多国籍企業が海外で生み出した利益にも課税する。
アップルのケースでは、iPhoneをはじめとする製品が世界中で高いセールスを記録して利益を出していることから、海外で得た利益に対する税金が米国に正当に納められていないとの懸念が取りざたされている。
前述した番組の中でクック氏は、利益を米国内に持ち込むと40%の税率がかかるので、利益の国内還流は「合理的でない」と主張している。この発言は、多国籍企業の多くが利益を海外に蓄積している現状を擁護したものであるが、こうしたスキームをいち早く取り入れたのは、実はアップルであった。これは「ダブル・アイリッシュ・ダッチ・サンドイッチ」と呼ばれ、1980年代後半にアップルが初めて生み出した合法的な租税回避スキームで、現在、米国の実に多くの多国籍企業がこのスキームに倣って、自社の利益を海外に蓄積している。
具体的には、自国に本社を構える企業が、アイルランドに2つの異なる現地法人とオランダに1つの現地法人を持ち、それぞれにライセンス契約を結ぶなどして、利益を海外に蓄積する租税回避スキームである。
特にアイルランドに置く現地法人は、同国で設立登記された法人でありながら、実際のマネジメントは法人税のないバミューダで行うことで税支払の回避を可能にしている。また、資金移動に利用されるオランダの現地法人は、EU域内国への支払いでは源泉徴収が行われないため、ロイヤリティ支払いにおいて源泉非課税となる特殊会社として機能する。
前述した番組の中でクック氏が「現行の米国の税体系は旧来の工業時代につくられたもので、デジタル時代の仕様ではない。時代遅れであり、米国にとっては恐ろしい。ずっと以前に改革すべきであった」とコメントしているように、現行の税制では企業が海外で得た利益への課税には限界がある。
こうしたことは米国だけにとどまる問題ではない。グローバルレベルで検討すべき大きな問題として、欧米をはじめ世界の国々ができるだけ多く協力することで、新たなる課税のルールづくりを進めていく必要があろう。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)
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