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経済財政諮問会議であいさつする安倍晋三首相(左から2人目)=首相官邸(斎藤良雄撮影)
パート主婦の手取りは減ってしまう!?「130万円の壁」助成策に渦巻く疑問の声
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160101-00000503-biz_san-nb
SankeiBiz 2016/1/1 18:19
政府は、パート主婦の年収が130万円を超えると社会保険料が増え、手取り額が減る「130万円の壁」への対策を打ち出した。賃上げや就労時間の延長を行った企業に対し、1事業所あたり最大600万円まで助成金を支払うという内容。2019年度までの時限措置で、約20万人が対象と想定している。ただ、「パート主婦自身の労働意欲を刺激するものとはいえない」など疑問の声が相次いでおり、アベノミクスが重視する「女性の社会進出」につながるかは、見通せない状況だ。
「短時間労働者の方々がより労働参加を進められるよう、事業者や短時間労働者には制度の周知徹底をお願いしたい」。昨年12月7日開かれた経済財政諮問会議で、安倍晋三首相はこう述べ、厚労省の対策へ期待感を示した。
そもそも、「130万円の壁」とは何なのか。
パートで働く主婦は現在年収が130万円以上になると夫の扶養から外れ、社会保険に入って健康保険料、年金などの社会保険料を自ら払わなければならなくなる。働く時間を増やしても手取りが減るケースがあるため、年収が130万円を超えないよう、就労時間を減らして労働調整する人が多いとされている。この問題を「130万円の壁」と呼んでいる。
10月からは、従業員501人以上の企業は「130万円」が「106万円」に引き下げられる予定で、新たに「106万円の壁」が出現するとされている。
こうした「壁」の問題は結果的に女性の社会進出を阻み、働き手不足の一因にもなっている。経済成長により名目国内総生産(GDP)600兆円を目指す安倍政権は、「壁」の問題を解決すべき重要課題と位置づけている。
諮問会議で塩崎恭久厚生労働相が示した対策は、中小企業の利用が多い既存の「キャリアアップ助成金」を拡充するもので、パートの賃金を上げたり労働時間を延ばしたりした企業に対し、助成金を支給する仕組み。財源は雇用特別会計の積立金を使う。
厚労省によるモデルケースは、「時給1000円、週20時間勤務」で年収104万円を得ているパート主婦を想定。この主婦が「時給1030円、週25時間勤務」に増やすと、年収が133万9000円まで増える。だが、支払い義務が生じる社会保険料19万4000円が差っ引かれ、手取り額は114万5000円に減る。新しい助成制度ではこの場合、パート主婦1人あたり22万円の助成金が支給される。
ただ、この助成金は事業所に支払われる。労働者が支払った社会保険料分がまるまる穴埋めされるわけでなく、あくまで賃上げなどをしてかさんだ事業所の負担を事後的に緩和するものだ。パート主婦自身は、年収が130万円を超えれば手取りが減る状況は変わらず、労働時間を増やす意欲が喚起されるものとはいえそうにない。
市場からの批判も強い。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「この対策は、働き手でなく、事業者向けの制度になっている。『130万円の壁』の問題では、働き手の労働意欲を高めることが最も重要。この制度はそのためのものでなく、論点がずれている」と指摘する。
この点に関し、厚労省の説明はあいまいだ。ある担当者は、年収が130万円を超えて厚生年金に加入することで、将来もらえる年金の額が増えるメリットを持ち出すが、これは「女性の社会進出」という観点では別問題で、論点のすり替えに過ぎない。
別の担当者は、「130万円の壁」でパート主婦が労働時間を減らしていることを最重視する世論について、「一つの意見にすぎない」と切り捨て、企業による賃上げが最も大事だとの認識を示した。
ある市場関係者は、この助成制度について、「企業の賃上げ支援でしかない」と指摘する。「安倍首相は景気回復のため企業の賃上げを重視しているが、厚労省はそれに乗っかっただけ。首相の方針に従えば、予算確保が有利になるといった狙いもあるのでは」と推測する。
仮に賃上げ支援策としても、助成金は1事業所あたり最大600万円で、せいぜい30〜40人程度の労働者分でしかなく、大型スーパーなどは対象外になりそうだ。政府内からも「物足りない」との声が上がっており、諮問会議では、民間議員の新浪剛史サントリーホールディングス社長が「限度額を大きくするなど検討していただけないか」と早速注文をつけた。
そもそも、2015年10月に安倍首相が「強い経済」「子育て支援」「社会保障の充実」の「新3本の矢」を掲げる「1億総活躍社会」のスローガンを打ち出した際、塩崎厚労相は子育て支援や社会保障を所管するにもかかわらず、「事前に何も知らされていなかった」(政府関係者)。厚労省はスローガン発表後、「各部署があわてて『弾出し(政策提案)』を進めざるをえなかった」(同)といい、後手後手に回らざるをえなかった。
今回打ち出した対策も、市場では「取りあえず『130万円の壁』解決の意欲をポーズとして示したにすぎない」との見方があり、厚労省が今後どこまで解決に向けた本気度を示せるのか、注目される。(山口暢彦)
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