http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/114.html
Tweet |
東京・渋谷のスクランブル交差点。2050年の日本は世界で尊敬を集める立派な大国になっているだろうか?(写真はイメージ)
2050年の日本は超一流の大国か、没落の三流国か 「バラ色のシナリオ」実現にはいくつもの改革が必要
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45659
2015.12.30 古森 義久 JBpress
2050年の日本は、総人口が1億5000万、経済成長率が4.5%、高度技術と医療などで世界に冠たる「21世紀の新型超大国」になっている。日本語と英語のバイリンガル国家であり、安全保障面でも役割を拡大して、米国だけでなくインドやオーストラリアとも同盟関係を結んでいる――。
日本の35年後をこんなふうに予測した書が11月に米国で発行された。
日本が、世界が羨み尊敬する立派な大国になるとするバラ色のシナリオである。書籍の筆者がかつて日本叩きで有名だった専門家であるという点も含めて、意外性のある内容に米国で関心が集まりつつある。
■かつて「日本異質論」を唱えたプレストウィッツ氏
米国大手紙のワシントン・ポストは12月18日の書評欄でクライド・プレストウィッツ氏の著書『日本復興』を詳しく紹介した。2015年11月に出版された同書は「いかに日本は自国を再興するのか、そしてなぜそれが米国や世界にとって重要なのか」という副題がついていた。
著者のプレストウィッツ氏はワシントンのシンクタンク「経済戦略研究所」の創設者で、現在も所長を務める。1980年代のレーガン政権では商務長官顧問として、自動車や半導体に関する日本との一連の貿易交渉の実務責任者となり、その強硬な交渉ぶりから「タフネゴシエーター」と呼ばれた。
また、日本の国家のあり方が、自由な市場経済の形をとりながら実際には官民が一体となった異端のシステムだと主張して、「日本異質論者」とも評された。米国の日本に対する見方を大きく変えようとした点で「修正主義者(リビジョニスト」とも呼ばれた。当時、カリフォルニア大学のチャルマーズ・ジョンソン教授や雑誌『アトランティック』編集者のジェームズ・ファローズ氏らとともに「リビジョニスト4人組」と称されたこともあった。
退官後は自ら開設した経済戦略研究所を拠点に、日米関係や日本についての研究や著述、ロビー活動などを続けてきた。著書の『日米逆転』『ならず者国家アメリカ』などは日米両国で話題を呼んだ。
■「21世紀の新型超大国」になっている2050年の日本
そのプレストウィッツ氏の最新書『日本復興』は、まず2015年時点で、経済の停滞、出生率の低下、財政赤字の増大、中韓両国からの攻勢などで日本の衰退が著しいことを報告する。このまま日本の指導層が無策のままであれば、日本は経済大国の地位はおろか、主要国としての影響力も失ってしまうと警告する。
だが、適切な政策さえとれば、日本は世界で傑出した「21世紀の新型超大国」になると明言していた。そうして勢いを取り戻した2050年の日本の姿を同書は次のように描いていた。
・出生率が2.3%、平均寿命は95歳となり、総人口は1億5000万を越える。アルツハイマー病や認知症が劇的に減り、健康な高齢者が大幅に増える。
・経済は毎年4.5%以上の成長率を保ち、GDP(国内総生産)は米国に追いつき、世界一になりつつある。中国のGDPの2倍近い規模となる。
・電子機器、電気通信機器、情報技術(IT)、ソフトウエアなどで世界をリードする。ロボットや航空機の製造でも他国を引き離す。
・医学と医薬品、医療機具の発展で世界トップの地位を保つ。とくに医療は全世界から高所得の患者を引きつけるようになる。
・女性の社会での活躍が目覚ましく、大企業の役員の半数近くを占めるようになる。同時に教育や技能の水準が高い移民の受け入れで、企業の経営陣も外国人が増す。
・英語の利用が飛躍的に広がり、英語教育の徹底と相乗して、日本語と英語のバイリンガルに近い国となる。
・日本のビジネススクールや医科大学が国際的な人気を集め、海外からの留学生や研修生が飛躍的に増加する。
さらに『日本復興』は、2050年の日本の安全保障についても以下のように大胆に予測していた。
・日本はまず憲法解釈によって憲法9条の規制を緩和し、「普通の国」として軍事力を整備し、強化していく。
・やがて日本は憲法を改正し、防衛費はGDPの3%の水準を保ちながら、核兵器や弾道ミサイルも保有するようになる。それを進める大きな要因となったのが、中国の日本に対する軍事的な恫喝である。
・米国とだけ結んでいた同盟関係をインドやオーストラリア、フィリピン、インドネシア、韓国との集団同盟へと広げていく。背景には米国の力の衰退がある。
プレストウィッツ氏の以上の予測に従うと、2050年の日本はあらゆる面で世界各国から畏敬され、協力相手になることを求められる枢要の存在になる。まさに「21世紀の新型超大国」として君臨しているというわけだ。
■クリアしなければならないいくつもの前提条件
ただし重要なのは、日本がそのシナリオを実現するために満たさなければならない前提条件がいくつもあるということだ。
例えば、政府規制の緩和や撤廃に始まり、大企業と中小企業の格差の撤廃、農協制度の廃止、政府の技術革新政策の大変革、雇用システムの改革などである。この種の根本的な変革を実現しない限り、2050年の夢は実現しない、ということだ。
ワシントン・ポストの書評は、未来予測の若手専門家アリ・ワイン氏によるものだった。ワイン氏は本書の読み方は少なくとも2つあると指摘する。
1つは、同書の予測にどの程度の根拠があるのかを考える点だという。この点についてワイン氏は、「読者の多くはおそらく日本が2050年に大成功しているという予測は受け入れないだろう」と総括していた。
第2の読み方は、この書を日本への勇気づけ、つまり激励のように受け取ることだという。プレストウィッツ氏は日本が現在のままだと衰退の一途をたどるという危機認識から日本への励ましとしてこの本を書いたのだろうというわけだ。
しかしその指摘については、かつて「日本叩き」で知られた筆者が今なぜあえて日本の衰退をそこまで心配するのか、という疑問が生じる。
『日本復興』の最後の部分には、その疑問への答えとなる文章が次のように記していた。
「日本が本書で描いたような、経済的に強大で、軍事的にも力強く、民主的な国家として国際的な役割を果たすことは、米国の利益にも大いに合致するのだ」
つまり、プレストウィッツ氏によると、日本がこのまま衰退していけば米国も困る、ということなのだろう。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民104掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。