★阿修羅♪ > 経世済民103 > 873.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
朝日新聞「驚きの敗訴」で見えたカジノビジネスの「光と闇」(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/873.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 12 月 29 日 11:04:00: igsppGRN/E9PQ
 

朝日新聞「驚きの敗訴」で見えたカジノビジネスの「光と闇」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47190
2015年12月29日(火) 北島純 現代ビジネス


■朝日が負けた理由

朝日新聞社が慰安婦報道、原発報道に誤りがあったと発表したのは昨年夏のこと。社長の退任に発展したのち、今年は新体制下で信頼回復に努めていた。そんな矢先に、また一つ、朝日新聞社は大きな痛手を負うことになった。今年12月21日、名誉毀損裁判で負けてしまったのだ。

朝日新聞社を訴え勝訴したのは、株式会社ユニバーサルエンターテインメント(UE社)。大手パチスロメーカーで、カジノビジネスに取り組んでいる企業だ。

朝日新聞が、UE社のカジノビジネスを巡って【フィリピン政府関係者に対する「接待」と不明朗な「巨額送金」が行われたのではないか】という疑惑を一面で報じたのが、今からちょうど3年前の年末、2012年12月30日だった。

その後、2013年2月までの間に断続的に掲載された合計5本の記事が名誉毀損に当たるとして、UE社は1億円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めていた。

東京地裁は、謝罪広告の掲載請求は棄却したが、5本のうち4本の記事を「摘示した事実の重要部分において真実であるとは認められず、真実であると信じる相当の理由があるとも認められない」と判断し、ウェブサイト(朝日新聞デジタル)から記事を削除させるとともに、330万円を賠償するように命じたのだ。

一部では、「まさかこの件で朝日が敗訴するとは」と驚く声も上がっている。裁判はまだ一審判決に過ぎず、控訴審で新たな法廷闘争が繰り広げられるだろう。とはいえ、この裁判は、ひとつの大きな教訓を教えてくれる。それは、カジノビジネスの抱える「闇」について、である。「日本にカジノを」という声が高まりをみせるなか、この一件をもとに、カジノビジネスの「光と闇」について考えてみたい。

■「フリーリポート」

実は、UE社のフィリピンカジノ事業を巡る「毀誉褒貶」には、前哨戦がある。それは、UE社とアメリカのカジノ業者「ウィン・リゾーツ・リミテッド」(ウィン社)との仁義なき戦いである。

2012年2月、UE社のビジネス・パートナーだったウィン社が突如、「UE社がフィリピンの娯楽賭博公社幹部を接待して、FCPA(連邦海外腐敗行為防止法)に違反したと一応みられる」といった内容の調査報告書を公表した。FCPAとは外国の公務員に対する贈賄を禁ずるアメリカの連邦法である。

報告書を書いたのは、ウィン社が雇った元FBI長官ルイス・J・フリー氏が率いる法律事務所(Freeh Sporkin & Sullivan, LLP)だ。問題となった朝日新聞の記事は、この「フリーリポート」を受けて、朝日新聞が「独自」に取材した結果に基づくものだった。

しかし、東京地裁は、朝日新聞がフリーリポートの「裏付け取材」をしたかもしれないが、接待の「賄賂性」に関する「裏付けがされたことの証拠はない」として、真実性を否定したのである。日本の裁判所がアメリカの連邦法であるFCPAの中身の判断にまで踏み込んだ例は極めて珍しい。

では、この「フリーリポート」はいかなる背景から発表されたものだったのだろうか。

UE社は、もともと現会長の岡田和生氏が一代で築き上げた会社である。岡田氏といえば、パチンコ業界では知らない人がいない立志伝中の人物。ジュークボックス修理業で貯めた資金を元手に20代でユニバーサルリース株式会社を設立し、パチンコやパチスロの製造を手がけ成功を収めた。

1998年に「アルゼ株式会社」に社名変更した後、JASDAQで株式公開を果たし、納税額25億円で高額納税者日本一に輝いたこともある。そのアルゼを2009年に再度社名変更したのが、現在のUE社だ。

岡田氏は、米国子会社(ARUZE USA, Inc.)を設立して、「究極のエンターテインメント産業」であるカジノビジネスに乗り出す。そして、カジノの本場ラスベガスで手を組んだのが、スティーブ・ウィンという人物だった。

■日米カジノ紛争

ウィン氏は、ミラージュやベラッジオといった巨大カジノホテルのプロデュースと経営で名を馳せた「やり手」だったが、当時、理想の新カジノホテル「Wynn Las Vegas」を作るにあたって資金に窮していた。それを救ったのが岡田氏である。岡田氏は2000年に2.6億ドルを出資したことを皮切りに、合計3.8億ドルもの巨額投資を行い、ウィン社の株式31.09%を取得して、取締役会メンバー(副会長)に就任する。

2005年4月にオープンしたWynn Las Vegasは、金色に輝くモダンな外見と洗練されたサービスが人気を博し、大成功を収める。さらに二人は、マカオでのカジノ運営権を落札、2006年9月にはWynn Macauをオープンさせ、ここでも成功を収めた。

問題はここからである。カジノビジネスについて、おそらく当時の日本人ビジネスマンとして最も深い経験と知識を蓄えていた岡田氏はその後、フィリピンでの自前のカジノビジネスに乗り出す。マニラ湾沿いに広がる土地を開発する「マニラベイリゾーツ」計画である。

フィリピン経済特区庁(PEZA)による経済特区認定を受けるとともにカジノ事業の暫定ライセンスも取得し、着々と準備が進められていった。

■朝日対UE社の背後にあるもの

そんななか、岡田氏はマカオでのカジノビジネスに関する「不審な支出」に直面する。岡田氏が公表したウィン社取締役辞任時の表明書やUE社の訴訟資料等によると、マカオ大学開発基金へ1億3500万米ドルもの巨額寄付を行うことを、ウィン社取締役会でウィン氏が提案した、という。

なぜ大学開発のための巨額な寄付が必要なのか――。

疑問に思い、帳簿等の閲覧を請求した岡田氏。ところが、それが拒否されたうえに、岡田氏はウィン社の副会長を解任されてしまう。ウィン社がFBI元長官のフリー氏にデューデリジェンス(事案の精査)を依頼したのは、まさにその時期であった。

そして、岡田氏が念願のマニラベイリゾーツプロジェクトの着工式に臨んだ半月後、前述のフリーリポートが公表された。「UE社がフィリピンの娯楽賭博公社幹部を接待していたと一応みられる」という発表は世界中に衝撃を与え、同時に、岡田氏はウィン社を去ることになったのである。

つまり、今回の朝日新聞対UE社の訴訟の背景には、フィリピン政府カジノ規制当局の関係者、つまり「外国公務員に対する贈賄」があったのかなかったのかという疑念だけではなく、カジノを巡る日米の企業間紛争も複雑に絡み合っているのだ。

上記で見てきたように、その紛争の出発点は、そもそもマカオにおけるカジノビジネスに絡んで支出されようとした「巨額寄付金」であったと言える。だが、この巨額の「寄付」がいかなる性質のものであったかという点は、今なお明らかにされておらず、その意味で「闇」に眠っているのだ。

では、日本企業によるカジノビジネスの先駆的な試みに「闇」が付きまとったのは、なぜだろうか。

■カジノとテロリスト

カジノは、「金」を賭けて「金」を得るエンターテインメントである。「運」が良ければ100万円が簡単に1000万円に化ける。その圧倒的な直接性と興奮惹起性ゆえに、カジノ(賭場)は古来より時の権力によって厳しく規制されることが多かった。

そのため、公権力によるビジネスへの介入の度合いが他の遊興と比較にならないほど高い。したがって、公権力に対する「賄賂」あるいは組織的犯罪集団の「庇護」が発達する余地が大きい。

そうならないようにするために、現代では、カジノビジネスほど高度のコンプライアンス(法令遵守)が求められるものはないと言えるぐらいである。

例えば、ラスベガスではネバダ州ゲーミング委員会(NGC)が厳しくカジノビジネスを監督しており、カジノ事業者はライセンスの取得と保持にあたって「誠実性」などの高度な要求を充たさなくてならない。

ビジネス・パートナーの「背中を刺す」のに、外国公務員への「贈賄」を理由とする調査報告書を使うという狙いがあるならば、それはまさにカジノビジネス特有の現象と言えるだろう。

さらに、現代では、カジノビジネスは不正な資金洗浄(マネーロンダリング)の温床になりやすいとして、国際的に厳しい監視の目が向けられるようになっている。

実際、政府間協議機関であるFATF(金融行動タスクフォース)の勧告でも、カジノは「擬似金融機関」と見なされており、マネーロンダリングとテロ資金対策のために、免許制の導入、個人の本人認証、当局への報告義務等の厳しい要件が課せられている。

特に、IS等のテロ対策として、テロリスト集団の「資金源」を断つことの重要性が近年、強く認識されるようになってきており、テロ資金を洗浄する格好の舞台となりうる大型カジノは、かつてないほど高度のコンプライアンスが求められるようになってきている。

■カジノビジネスの大きな落とし穴

まさに、これがカジノビジネスの大きな落とし穴になる。カジノビジネスに従事するのであれば、たとえ「賄賂」ではないのは当然としても、説明がつかないような「利益供与」を行ったとしたら、いや不明朗な「利益供与を行ったと疑われた」だけで、ビジネスは暗転しかねないのだ。

中国・習近平政権による徹底した汚職撲滅運動によって、収賄で財産を蓄えた公務員の客足が遠のき、マカオのカジノ売り上げが激減したのは記憶に新しい。また、日本でも都知事の交代を一つの契機にして、いままで盛んだった「カジノ熱」が冷え込んでいる現状がある。

このような中、従来のように「景気回復のために統合型リゾート(IR)を誘致しよう」といった日本のビジネスプランはいささか心もとない。カジノのような許認可が山のように生じるビジネスで、「利益供与」にかかわるコンプライアンスを確保することは容易ではないからだ。

朝日新聞対UE社の訴訟からは、こうしたカジノビジネスの難しさが透けて見える。華やかなエンターテインメントとしての魅力の脇には「闇」がすぐそこに広がっている。そのような闇に足を絡め取られないようにする為に、カジノビジネス特有のコンプライアンス対策を練り上げることが必要であろう。

北島純 一般社団法人経営倫理実践研究センター(BERC)主任研究員。東京大学法学部卒業。内閣官房長官、自民党経理局長等の秘書を経て、2013年からBERCで「外国公務員贈賄罪研究会」を担当。著作に『解説 外国公務員贈賄罪』、「中国における贈収賄罪の構造と日本企業のリスク対策」(中央経済社)など

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2015年12月29日 13:08:04 : 7qvR5NNHws : 0Q2Pd0P19UY[20]
こいつは、アホだな!

こんな小さなことどうでもよい。

それより、田布施一味のすり替え、日本乗っ取り、
田布施一味の末端配下の安倍が総理大臣であることのほうが、
重大な問題である。

こんな
どうでもよい糞記事など投稿するな!


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民103掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民103掲示板  
次へ