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韓国産業界では企業の大リストラが猛威を振るっている(写真はソウル市内 (c) Can Stock Photo)
韓国で吹き荒れるリストラ台風 新入社員も対象? 年代不問の猛烈な人減らし
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45609
2015.12.24 玉置 直司 JBpress
「名誉退職」――。こんな言い方の企業の大リストラが韓国の産業界で猛威を振るっている。2016年の経営が苦しくなるという見込みのもとでの「先手を打った危機管理」と説明するが、度を越したリストラに批判の声も強い。
「大企業『20代希望退職』、いくら苦しくても一線を守れ」。2015年12月18日、大手紙「朝鮮日報」にこんな見出しの社説が載った。
大企業の安易なリストラを戒めた内容だった。
■新入社員も「希望退職」対象者に?
韓国ではそれほど、リストラの嵐が吹いている。中でも、最近大きな話題となったのが、財閥の有力グループ企業である斗山インフラコアの「希望退職」だった。
建設機械を主力とする同社は、中国景気の低迷や業界内の競争激化で経営環境は悪化している。
2015年に入って2月と9月に課長級以上、11月に生産職を対象に「希望退職」を実施した。830人以上をリストラしたが、これでも足りないと判断した。
12月に今年4回目の「希望退職」を実施した。「リストラは最後の手段。実施するのなら一気に」という一般的な考えとは異なり、人減らしを繰り返している。
4回目の「希望退職」は一般事務職が対象だった。
斗山インフラコアは、それほど業績が悪いのか。確かに4半期ベースでの営業利益は減っているが、黒字を維持しているのだ。にもかかわらず、これほどの人員削減だ。これだけでも、「やり過ぎ」と言われかねないのだが、今回の対象には2014年1月以降に入社した「1、2年生社員」が入っていたことから一気に批判が高まった。
いくら業績が悪化したからと言って、入社した社員にすぐ辞めて下さいというようなものだから顰蹙(ひんしゅく)を買うのも当たり前だった。
■700人以上が「希望」したが・・・
それだけではない。今年に入って実施した「希望退職」は、名称こそ「希望」だが、執拗に希望を募り、応じない場合は、さまざまな嫌がらせをしていることがメディアやネットで相次いで報じられたのだ。
出勤すると携帯電話を預けさせる、トイレに行くことも制限する、今辞めなければ割増金は出ないと繰り返し説明する、一部グループ有力役員の子供は先に他のグループ企業に異動した――。
斗山グループの朴容晩(パク・ヨンマン=1955年生)会長は、大韓商工会議所の会長を務める韓国を代表する財界人だ。相次ぐ批判に、「1、2年生は対象から除外する」ことを指示したが、「希望退職」は予定通り実施した。
嫌気が差したのか、会社の「募集努力」が功を奏したのか。
12月18日までに事務職全体の23%にあたる702人が応募した。これで4回あわせて社員の27%が退社することになった。すでに役員も2年連続して30%ずつ減らしており、まさに猛烈リストラになった。
だが、産業界全体を見ると斗山インフラコアは例外企業ではない。
■造船3社で2000人削減
韓国でも造船業界は深刻な不況が続いている (c) Can Stock Photo
不況の造船業界。現代重工業は課長級以上など1300人を一気に減らした。大宇造船海洋も部長級以上300人が退社した。サムスン重工業を含めて、つい数年前まで「空前の好況・空前のボーナス」で有名だった造船3社は、1年間で2000人以上を退社させた。
このうちの1社の役員はこう話す。
「どんどん人が減っていく。役員が減るとその何倍ものスタッフ、部下が辞める。あるフロアはがらがらになってしまった。夜、残業をしていると気味が悪いほどの静けさだ」
こうした「不況対応型人員削減」の特徴は、年齢、役職不問であることだ。役員は激減させる。さらに部長級、課長級、専門職、生産職、事務職・・・と徐々に範囲を拡大する。年齢不問で、斗山インフラコアのように新入社員を対象にすることは珍しいが、20代、30代も例外なく対象にした企業は多い。
黒字でも削減
さらに目立つのが、「黒字企業」の人員削減だ。
最近多いのが、「定年延長」に備え、中年層を狙い撃ちにしたと取られても仕方がない「希望退職」だ。
韓国では法改正があって、2016年から企業規模に応じて順次定年が60歳に引き上げられる。
これに対応して、50歳前後の社員を早期に退職させようという動きが広がっている。
特に金融機関は、退職一時金をかなり上積みすることで、40歳、45歳以上の社員を一気に減らしている。ある大手銀行は2015年に1000人以上を削減した。別の外資系銀行も1000人近くを「希望退職」で減らした。
■サムスンも例外でない
韓国を代表するサムスングループも、リストラと無縁ではない〔AFPBB News〕
人員削減の嵐は、サムスングループでも例外ではない。
サムスン重工業は200人を減らした。
2015年7〜9月期に1兆ウォン(1円=10ウォン)を超える営業赤字に陥ったサムスンエンジニアリングは、「希望退職」とグループ他社への異動で700人を減らした。
この会社は、「辞めるも残るも地獄」だ。残った全社員に対しては12月から順番で1カ月ずつの「無給休暇」を取ることになった。役員は、1か月分の報酬返上だ。ただでさえ利益連動分のボーナスが激減している上に、1カ月無給休暇または報酬返上という異例の措置になった。
サムスン物産も希望退職を実施しているほか、サムスン電子も研究職などの削減に踏み切っている。
銀行を含めて今年の特徴の1つは、「黒字企業も果敢なリストラ」の出ていることだ。
筆者は、ある黒字有名企業の幹部に、「どうして業績が良いのに人を減らすのか?」と聞いてみた。
「来年の業績見通しは不透明だ。危機管理という面でも、人減らしは当然ではないか」という答えだった。
「危機管理」で会社を辞めさせられてはかなわない気がするが、これも今の韓国の産業界の1つの風潮だ。
韓国では、1997年の「IMF危機」の際に、ほとんどの企業が大規模の人員削減を実施した。
■「名誉」でも「希望」でもない退職
このとき、「希望退職」を「名誉退職」を呼ぶようになった。最近は、以前ほど「名誉退職」という言い方はしなくなったが、今でも依然として頻繁に使う。もちろん、実態は、「希望」でも「名誉」でもないことがほとんどだ。
退社を拒否すると、執拗に説得を受ける。「待機」となって仕事が何もなくなる例もある。
ある大企業の役員は、「IMF危機の際、ほとんどの企業が『名誉退職』を実施した。人員削減という劇薬で、比較的短期間に業績を回復させることができたが、それ以来、経営者は少し業績が悪くなるとすぐにリストラに走る傾向が強まった」と説明する。
■年齢も条件も不問
以前は、「名誉退職」と言えば、比較的高給の中高年が対象だったが、最近は、条件不問になってきた。
この役員は、「企業の中長期的な競争力を考えた場合、人材への投資が重要なことは分かっている。だが、大企業CEO(最高経営責任者)と言ってもオーナーが絶大な権限を持っており、CEOは実績を残さなければすぐ更迭される。だから、早め早めにリストラに乗り出す」と嘆く。
「来年、わが国経済を取り巻く条件は厳しい。供給過剰で全般的に停滞する業種については先制的な構造調整をしなければ業界全体が危機に陥り、大きな危機に陥って大量失業時代が起きかねない」
2015年12月14日、朴槿恵(パク・クネ=1952年生)大統領は青瓦台(大統領府)で開いた首席秘書官会議でこう話した。
経済関連法の早期国会通過を求めた趣旨だったが、大統領もこれだけ経済の先行きを厳しく見ているのだ。
先制的な対策を取らなければ大失業時代になりかねない。だが、現実は、すでに大リストラが始まっているのだ。
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