米ゼロ金利の解除、FRBは市場との対話に成功 2015年12月24日(木)門司 総一郎 12月16日、米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を0〜0.25%から0.25〜0.5%に引き上げることを決定。実質ゼロ金利政策(以下、ゼロ金利政策)を解除しました。今回はこのゼロ金利政策解除を取り上げます。 リーマン・ショックを受けて危機対応モードに突入 9年半ブリに政策金利引き上げに踏み切ったFRBのイエレン議長(写真:Abaca/アフロ ) まず、リーマン・ショック以降の米国の金融政策を振り返ってみます。ゼロ金利政策が始まったのは2008年12月、同年9月のリーマン・ショックの後です。また、米連邦準備制度理事会(FRB)はゼロ金利政策に先んじて、11月に量的緩和(QE)と呼ばれる1.7兆ドルの国債や住宅ローン担保証券(MBS)の買い取り策を開始していました。
このゼロ金利政策やQEは「100年に1度」といわれる危機の中で、通常の金利水準の操作だけでは効果が薄いと判断したFRBが危機対応のために採用したものです。「非伝統的な」金融緩和と呼ばれます。この「ゼロ金利」+「量的緩和」の組み合わせは、その後欧州中央銀行(ECB)などでも採用されました。ECBの場合は政策金利をマイナスにまで引き下げています。 2013年に転換点を迎えた非伝統的な金融緩和 非伝統的金融緩和の効果もあり、リーマン・ショックによる金融危機や景気後退は一段落しましたが、FRBは依然としてゼロ金利政策やQEを継続していました。これは米景気が本調子にはほど遠い状態だったことや欧州で債務危機と呼ばれる新たな金融危機が発生したことが理由です。しかし、2013年に入って外部環境に変化が生じ、米国の非伝統的金融緩和は転換点を迎えます。 まず欧州債務危機は、各国の財政赤字削減努力や、ECBが2012年9月に決定した国債購入措置が効果を発揮し、市場は徐々に落ち着きを取り戻しました。2013年に入ってからは、最悪期を脱したことが明らかになってきました。 また米国では「財政の崖」と呼ばれて警戒されていましたが、何とかこれをクリアします。「財政の崖」は、2013年初め予定されていた大型減税の失効や、財政再建のための歳出自動削減措置の発動が全て実行された場合、GDP(国内総生産)を下押しする効果が3%に及ぶとして懸念されたものです。減税の一部を恒久化するなどして経済への悪影響を緩和することで乗り切りました。 ここで経済の先行きについてのリスクが低下したと判断したベン・バーナンキFRB議長は、非伝統的金融緩和の縮小に向けて動き始めました。 まず2013年5月の議会証言や6月のFOMC後の記者会見で、当時実行していたQE3(量的緩和第3弾)の規模縮小に言及しました。この2回のバーナンキ議長の発言は、いずれも世界の株式市場や新興国通貨の下落を引き起こしたため、「バーナンキ・ショック」と呼ばれました。 しかしFRBが、ただちに行動を起こすことはありませんでした。2014年1月になってようやくFRBはQE3の規模縮小を開始します。その後、2014年2月にFRB議長はバーナンキ氏からジャネット・イエレン氏に代わりますが、QE3の規模縮小は継続。QE3が終了したのは14年10月のことでした。 それからしばらくFRBは行動を起こしませんでしたが、ゼロ金利政策が始まった2008年12月から丸7年が経過した2015年12月、FRBはゼロ金利政策を解除しました。 これで非伝統的な金融緩和策は全て終了したことになります。ゼロ金利政策の解除は米国の金融政策が危機対応モードから通常モードに復帰したことを示す象徴的な出来事といえます。この量的緩和の縮小開始からゼロ金利政策解除までのプロセスは「出口戦略」と呼ばれました。 以上述べたように、FRBはきわめて慎重に出口戦略を進めてきました。バーナンキ議長がQE3の縮小に言及してから実際に開始するまで8カ月、そこからQE3終了までが9カ月、さらにゼロ金利政策解除まで14カ月です。 この間、何度か株式市場や新興国通貨の下落を招き、「すわ危機か」と思わせることもありましたが、FRBはその都度慎重に市場の反応を見ながら、出口戦略を進めました。ゼロ金利政策の解除も当初は2015年9月と見られていましたが、中国株式の急落をきっかけとした世界の金融市場の混乱を受けて、12月に先送りされることとなりました。 このように市場との対話に時間をかけながら出口戦略を進めたことにより、FRBは景気の悪化や市場の混乱を招くことなく非伝統的な金融緩和を終了させることができました。バーナンキ氏、イエレン氏と2代の議長にわたるFRBの出口戦略は成功だったと評価できるでしょう。 今後の利上げは「ストップ・アンド・ゴー」 ここからは今後の金融政策やそれが経済・市場に与える影響について検討します。ゼロ金利解除で出口戦略は一段落しましたが、FFレートが異例の低水準であることに変わりはありません。FRBは緩やかに利上げを続ける見込みです。 2016年についていえば、3回ないしは4回の利上げ、合計の利上げ幅は0.75〜1%が一般的な見方です。ただ、実際にはこの見通しよりも小幅な利上げにとどまる可能性があります。その場合は「緩やか」というよりも「ストップ・アンド・ゴー」に近いといえるでしょう。そう考える理由は3つあります。 まず米国経済は、全体として拡大しているものの、過熱というほどではありません。雇用は強く、消費や住宅といった家計に関する分野は好調ですが、原油安がシェール・オイルの開発を抑制するなど設備投資は盛り上がりを欠いています。 また、原油安やドル高の効果によりインフレも抑制されており、米国内の事情から見ると、利上げを急ぐ必要はありません。これが1つ目の理由です。 次に世界全体を見渡すと、日本や欧州、豪州など先進国の経済は2016年にかけて改善すると見ていますが、新興国、特に資源への依存度が高い国の経済には不安が残ります。また原油などの商品価格や新興国通貨は不安定なままです。これが2つ目の理由です。 3番目はFRBのスタンスです。先ほど述べたようにFRBはきわめて慎重に出口戦略を進めてきました。このスタンスは今後も変わらず、市場との対話に時間をかけながら、慎重に利上げを進めることになると思われます。以上3つの理由から、今後の米国の利上げは「緩やか」というよりは、「ストップ・アンド・ゴー」に近いものになると考えています。 「良い利上げ」と「悪い利上げ」 最後に利上げが経済や市場に与える影響について考えてみます。もっとも最近、少なくとも先進国では、利上げが経済に直接影響することはほとんどありません。リーマン・ショックでも欧州債務危機でもまずバブルが破裂することによって金融危機が発生。それが実体経済の悪化に繋がるというプロセスでした。したがって、ここでは主として市場への影響について考えます。 また利上げが株式市場に与える影響を考えるにあたって、「利上げ=株安」と単純に判断するケースを多く見受けますが、これは正しいとはいえません。「良い利上げ」と「悪い利上げ」を区別する必要があります。 良い利上げとは景気が底堅く、金融市場が安定している時に行う利上げです。利上げそのものは株式市場にマイナスですが、景気が好調であることが利上げのマイナス効果を相殺するために、株式市場は下落しません。仮に下落したとしても一時的なものにとどまります。 一方、悪い利上げとは景気が弱く、金融市場が混乱している時に行う利上げです。火に油を注ぐようなもので、株価の下落に拍車をかけることになりかねません。市場参加者からすれば、「空気を読め!」と言いたくなるところです。 もしFRBが9月に利上げを実施していれば悪い利上げとなり、世界的な株価の下落を招いて危機的な状況に陥っていたかもしれません。しかし、FRBは利上げを見送りました。一方、12月16日にFRBが利上げしたにもかかわらず同日のダウ工業株30種平均が200ドル以上上昇したのは、これが良い利上げと認識されたためです。同じ利上げであっても、その効果が時々で異なるのはこうした理由によります。 今年9月に見られたように、FRBは市場との対話を通じて良い利上げか悪い利上げか判断します。今後もFRBが現在の慎重な姿勢を続けるのであれば、その利上げが悪い利上げとなる可能性は低く、利上げが景気や市場に与えるネガティブな影響も限定的なものにとどまると考えています。 問題は利上げの有無でなくバブルの有無 FRBの利上げが悪い利上げとなってしまう可能性は2つあります。1つは石油危機のように外的ショックで物価が高騰する中、景気や市場に明らかにマイナスと認識しながらも、物価を抑制するために利上げを余儀なくされるケースです。現時点でこのリスクを考える必要はないでしょう。 もう1つはどこかにバブルが発生しており、利上げがきっかけとなってそれが破裂するケースです。1987年のブラック・マンデーはこの典型例です。また2000年代初頭のITバブルの破裂もこのケースに当たるといえます。 こちらについては注意する必要があります。ただし、経済はここ数年、世界的に低成長で、株価の上昇も緩やかなものにとどまっており、バブルが膨らんでいる雰囲気はありません 新興国通貨や原油価格の低下などはバブルというよりも、破裂したバブルの残滓とでもいうべきもの。価格下落が続いても他の金融市場や経済への影響はそれほど大きくないと思われます。 このように考えて、FRBが慎重に進める限りにおいて、利上げが米国やその他の国の景気や金融市場に与える影響は限定的と見ています。2004年から2006年にかけての利上げ局面がそうでした。 今後1〜2年が経過してFRBだけでなく、日本銀行やECB、英中銀(BOE)などが出口戦略で足並みをそろえることになれば話は別ですが、それまではFRBの利上げに一喜一憂する必要はないと考えています。 このコラムについて 政治と市場の“正しい”見方 今、日本は新政権の誕生で「政治」と「金融市場」の関係がこれまで以上に強まり、複雑化しています。さらに欧州の債務危機や米国の財政の崖、中国の新執行部選出など、政治と市場を巡る動きは、海外でも大きな焦点となっています。 しかし、市場関係者がこの両者の関係を論じる場合、「アベノミクスで日本は変わる」など物事を極めて単純化した主張になりがちで、十分な分析がなされているとは言えません。そこで、このコラムでは政治と市場の関係について深く考察し、読者の皆様に分かりやすく解説していきます。 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/243048/122200004/?ST=print 日本株堅調、原油続伸で資源中心買い、日水買い気配−指数伸び悩みも 2015/12/24 10:49 JST (ブルームバーグ):24日午前の東京株式相場は上昇している。海外原油市況の続伸や米国個人消費の堅調を受け、景気の先行き不透明感が後退する中、鉱業や石油、商社など資源関連、鉄鋼や非鉄金属など素材株中心に高い。海運株も買われ、複数のアナリストによる投資判断引き上げが重なった日本水産はストップ高買い気配と、水産株の上げも目立つ。 午前10時34分時点のTOPIXは前営業日比5.66ポイント(0.4%)高の1539.26、日経平均株価は105円51銭(0.6%)高の1万8992円21銭。東証1部の値上がり銘柄数は820、値下がりは945。 カブドットコム証券の河合達憲マーケットストラテジストは、「ニューヨーク原油先物は売り材料が出尽くしたところでリーマン・ショック後の安値まで瞬間的に付けた。長期的には下落方向だろうが、金融危機が起きているわけではないことを考えると、いったん底を打った感じがある」と言う。 もっとも、為替のドル安・円高推移も重しとなり、日経平均は3営業日ぶりに1万9000円台を回復した後は伸び悩み。「クリスマス休暇による参加者減少で、国内勢だけで上げるには力不足。国内勢は日経平均1万9000円を越えて買っていく主体ではない」とも河合氏は話した。 23日のニューヨーク原油先物は3.8%高の1バレル=37.50ドルと大幅続伸し、2週間ぶりの高値となった。米エネルギー情報局(EIA)の統計で先週の米原油在庫の大幅減少が明らかになり、供給超過解消への期待が広がった。 また、米商務省が23日に発表した11月個人消費支出(PCE)は、インフレ調整後で前月比0.3%増と3カ月ぶりの高い伸びとなった。個人所得は前月比0.3%増と、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値(0.2%増)を上回った。米国では、22日発表された7−9月実質国内総生産(GDP)確定値でも個人消費の拡大が成長に寄与したことが示された。 原油価格の反転や景気指標の堅調を受け、米国株のボラティリティの指標であるシカゴ・オプション取引所ボラティリティ指数(VIX)はこの2日間で急低下。こうした海外動向を受けた祝日休場明けの日本株は、直近のリスク回避の巻き戻しの動きが先行した。 東証1部の業種別33指数は水産・農林、鉱業、鉄鋼、石油・石炭製品、卸売、海運、非鉄、電気・ガス、保険、機械などが上昇。空運、情報・通信、建設、サービス、陸運、医薬品は下落。売買代金上位ではソニーや三井住友フィナンシャルグループ、ファナック、三菱商事、三井物産、新日鉄住金、コマツ、JFEホールディングス、伊藤忠商事、川崎汽船、国際石油開発帝石が高い。SMBC日興、みずほ両証券が投資判断を上げた日水はストップ高買い気配。半面、小野薬品工業やNTTドコモ、日本新薬は安い。大規模開発構想の検討期間を延長したオリエンタルランド、野村証券が投資判断を下げた協和発酵キリンも売られている。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎 更新日時: 2015/12/24 10:49 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZU1NJ6JTSEA01.html
2015年ヘッジファンド総括:群を抜くブラックストーン、全般には不調 2015/12/24 05:44 JST
(ブルームバーグ):流動性不足と市場のボラティリティ(変動性)の高さ。ヘッジファンドの運用責任者らはこの二つを挙げて、金融危機以降で最悪となった今年の成績を弁明している。 一方でこうした悪環境にもかかわらず二けた台のリターンを実現した大型ファンドも少数ながら存在する。ブラックストーン・グループやD.E.ショー、ミレニアム・パートナーズ、シタデルなどがそうだ。 ================================================================ | Assets under | Jan.-Nov. | Fund | management | Return | Strategy ================================================================ Blackstone Senfina|$792 mln | 23%|equity Citadel main funds|$15 bln | 12.6%|multistrategy Passport Special | | | Opportunities |$430 mln | 11.6%|equity Millennium | | | Partners |$33 bln | 11.1%|multistrategy D.E. Shaw Oculus |$10.1 bln | 10.2%|macro Lansdowne | | | Developed Markets | | | Master Fund |$12 bln | 16.2%|equity Marshall Wace | | | Eureka Fund |$8 bln | 11%|equity Source: fund | | | documents, people | | | familiar | | | 優秀な成績を残したヘッジファンドの多くは、運用を複数のチームに広く分散し、市場の垣根を越えてそれぞれのチームが運用総額のほんの一部を運用する方式を採用している。一方で成績が特に悪かったヘッジファンドはポートフォリオを一極集中させ、どれもシェニエール・エナジーやウィリアムズ、サンエジソン、バリアント・ファーマシューティカルズ・インターナショナルといった銘柄に今年後半の急落前に資金を投じていた。 ヘッジファンド向けにポートフォリオデータを分析するノーバス・パートナーズの最高調査責任者、スタン・アルトシュラー氏は「2015年の場合、標準を下回るパフォーマンスの多くは投資の一極集中で説明できる」と指摘。「これらの銘柄の一部は、その時価総額の半分ほどをヘッジファンドが占めていた」と続けた。 マルチチーム方式のファンドで成績トップだったのはブラックストーンのセンフィナ・アドバイザーズ。2014年に株式フォーカスで運用を開始した同ファンドは、今では運用チームの数が10を下るという。事情に詳しい関係者が明らかにした。ブラックストーンのトム・ヒル副会長は昨年、同ファンドが運用する資産は2016年末までに数十億ドル規模になるとの見通しを示していた。 ヘッジファンド全体に目を向けると、今年のリターンは11月まででゼロに等しく、5.2%のマイナスだった2011年以降で最悪の成績に甘んじる可能性が高い。これに比べてS&P500種株価指数は同期間に3%、中期の米国債は2%の上昇。ブルームバーグの商品指数は22%下げた。 マイナスの成績、あるいは2008年より悪い成績を残した著名運用者もいる。グリーンライト・キャピタルのデービッド・アインホーン氏は年初から11月までの成績が約21%のマイナスとなり、年間ではほぼ20年ぶりの2年連続マイナスとなりそうだ。パーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントのビル・アックマン氏は、今年の成績は過去最悪になりそうだと投資家に話している。 通貨の賭けを誤るなどで閉鎖を余儀なくされた知名度の高いヘッジファンドも複数あった。フォートレス・インベストメント・グループやベイン・キャピタル、ブラックロックが運用するマクロファンドがそれに含まれる。かつて欧州最大のヘッジファンドの一つだったブルークレスト・キャピタル・マネジメントは今年、顧客から預かった資金を全額返還すると通知。同ファンドを率いるマイケル・プラット氏と社員の資金運用に専念するという。 ヘッジファンドの成績について、担当者のコメントは得られていない。 原題:Blackstone, Citadel, Lansdowne Gain as Rivals Falter in 2015 (1)(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Katherine Burton kburton@bloomberg.net;ニューヨーク Saijel Kishan skishan@bloomberg.net;ロンドン Nishant Kumar nkumar173@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Christian Baumgaertel cbaumgaertel@bloomberg.net 更新日時: 2015/12/24 05:44 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZTR28SYF01V01.html ドルは120円台後半、米株高・金利上昇で底堅い−黒田総裁講演見極め 2015/12/24 11:17 JST (ブルームバーグ):東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=120円台後半で推移。前日の米国市場で株高・金利上昇の展開となったことを背景に、ドルが底堅い展開となっている。 24日午前11時15分現在のドル・円相場は120円78銭付近。朝方に120円98銭を付けた後、120円74銭までドルが水準を切り下げたが、下値は限定的となっている。一方、ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.0870ドルと、2営業日ぶりの水準までユーロ安・ドル高が進み、同時刻現在は1.0920ドル付近で推移している。 みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは、「原油価格の上昇はリスクオンの動きにつながる一方、下落は、米国株の下落につながり、リスクオフの動きになる」と説明。「クリスマス休暇で市場参加者が少ないのではっきりとした方向感がない」と言い、米株・原油価格が回復し、米国債利回りも持ち直した割にドルの上値が重い感があると話す。 23日のニューヨーク原油市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は大幅続伸し、終値ベースで2週間ぶりの高値を付けた。これを受けて、米株式相場は続伸。主要3株価指数がそろって上昇した。米国債相場は続落し、10年債利回りは2.25%に上昇した。 この日は日本銀行の黒田東彦総裁が午後1時半に日本経団連審議員会で講演する予定。三井住友信託銀行NYマーケットビジネスユニットのマーケットメイクチーム長、海崎康宏氏(ニューヨーク在勤)は、前週末18日の日銀政策決定会合での措置に関して「解釈が分かれている」とし、「それに対して総裁がどういったコメントをするのかが注目」だと指摘。「日銀はネタ切れなのではないか、他にもう手がないのではないかといった見方も一部では出ているので、もう一度黒田総裁の考えを確認するいい機会になる」と話す。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:山崎朝子 tyamazaki@bloomberg.net 青木 勝, 山中英典 更新日時: 2015/12/24 11:17 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZU2CQ6K50XY01.html
債券は下落、原油高・株高受けた米債安で売り−需給の良さが下支え 2015/12/24 10:44 JST (ブルームバーグ):債券相場は下落。前日の米国債相場が原油高・株高を背景に続落した流れを引き継ぎ、売りが先行した。半面、日本銀行の国債買い入れオペによる需給引き締まりが下支えしている。 24日の長期国債先物市場で中心限月3月物は、前営業日の22日終値比5銭安の148円92銭で開始し、一時は148円88銭まで下げた。 現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前営業日午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い0.28%で始まり、その後も同水準で推移している。新発20年物の155回債利回りは1bp高い1.01%で取引されている。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「原油価格は週初に底入れ後に反発し、内外株高もあって債券売りが先行した。日銀が金融緩和の補完措置を決定した後、10年債利回りは一時0.265%まで低下、金利水準面からも買いづらさが強まった印象」と言う。一方、「今日も含めて日銀買い入れが年内は続くなど、需給引き締まりの構図は変わらず、持ち高調整が一巡すれば売りも限定的の公算が大きい」と話した。 23日の米国債相場は続落。10年債利回りは前日比2bp上昇の2.25%程度で引けた。原油相場の上昇を受け、2016年にインフレが加速するとの思惑が強まった。一方、米国株市場ではS&P500種株価指数が3日続伸した。 日銀は今日午前10時10分の金融調節で、今月8回目となる長期国債買い入れオペ実施を通知した。残存期間5年超10年以下と変動利付債が対象、総額は5200億円程度となる。 財務省は2016年度の国債発行計画を発表した。入札を通じて機関投資家に販売する国債の市中発行額は147兆円と3年連続で前年度を下回る。年限別では2年債を27.6兆円、5年債は28.8兆円に減額。20年物を減らす一方、40年債は発行を年5回から6回に増やす。10年債は28.8兆円、30年債は9.6兆円で据え置く。 ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、国債発行計画について、「プライマリーディーラー会合や投資家懇談会の議事要旨などでだいたい推測される範囲内。特にサプライズはない」と話した。相場への影響は限定的となっている。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝 更新日時: 2015/12/24 10:44 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZU1Q26TTDS501.html
国債市中発行は来年度147兆円に減額−中期と20年を減額、40年は増額 2015/12/24 10:12 JST
(ブルームバーグ):安倍晋三内閣が来年度に入札を通じて機関投資家に販売する国債の市中発行額は147兆円と、3年連続で前年度を下回る。税収増で新規財源債が約2.4兆円減るほか、借換債が約7.2兆円減少することなどが背景。中期債中心の減額で平均償還年限を延ばす一方、流動性低下への懸念も考慮し、40年債を増発する。 麻生太郎財務相が24日の臨時閣議に出した2016年度の一般会計予算案に伴う国債発行計画によると、市場の需給に影響を及ぼす市中発行額は15年度当初計画を5.6兆円、18日に閣議決定した補正予算案を5.2兆円下回る。国債市場特別参加者に対する入札後の追加発行は1.24兆円多い5.62兆円を計上した。 市中発行の年限別では、2年債を2.4兆円減らして27.6兆円、5年債は28.8兆円と1.2兆円減額。超長期ゾーンでは20年物を13.2兆円と1.2兆円減らす一方、40年債は発行を年5回から6回に増やし、0.4兆円増の2.4兆円と2年連続で増額する。40年債は来年度は5月から全ての奇数月に発行。新発債の利回りが長期金利の指標となる10年債は28.8兆円、30年債は9.6兆円で据え置く。 補正予算案で0.4兆円減額した1年割引短期国債は25.0兆円と当初比1.2兆円減るが、発行計画に含まない1年物の政府短期証券を増やし、総額は1回当たり2.5兆円を維持。平均償還年限は9年2カ月と前年度より2カ月延びる。日本銀行の異次元緩和による低金利下で、年限を長期化して将来の借り換えリスクと中長期的な資金調達コストを抑える方針だが、中短期債の流動性低下にも配慮して大幅な減額は避けた。 残存5年以下も流動性供給 国債市場の流動性を維持・向上させるため、投資家の需要が強い既発債を追加発行する流動供給入札は9.6兆円で据え置くが、市場で需給が特に逼迫(ひっぱく)している残存1年超5年以下を新設する。今年度は5年超15.5年以下が月5000億円、15.5年超39年未満は3000億円。毎月の実施額などは市場関係者との意見交換を踏まえて決める。 消費者物価が上昇すると元本・利払いが増える10年物価連動債は2.0兆円で据え置き、0.5兆円ずつ4回発行。市場環境や投資需要に応じ、発行額は柔軟に調整する。17年2月からは個人向けの新型窓販の取り扱いを開始する予定だ。 物価連動債は財務省が04年3月に発行を始めたが、その後の相場低迷で08年8月を最後に発行を中止。13年度に発行を再開した。経済活性化による将来の金利上昇を想定して昨年10月末に資産構成を見直した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は14年度から購入を始めた。 日銀は2%の物価目標を達成するため、マネタリーベースを積み増す「量的・質的金融緩和」を13年4月に導入した。昨年10月末の追加緩和で、国債保有増の目標額は年80兆円と、政府が来年度発行する新規財源債34.4兆円の2倍超に上る。資金供給手段の国債買い入れオペは、来年は120兆円と今回発表の市中発行額147兆円の8割超に及ぶ計算だ。 *T 【当初計画の国債発行額比較】(単位:億円)2015年度当初 15年度補正後 16年度当初=========================================================発行総額 1,700,241 1,667,374 1,622,028新規財源債 368,630 364,183 344,320復興債 28,625 19,463 21,564財投債 140,000 140,000 165,000借換債 1,162,986 1,143,728 1,091,144市中発行分 1,573,241 1,542,374 1,522,028カレンダーベース 1,526,000 1,522,000 1,470,000第2非価格競争入札 43,800 79,070 56,200年度間調整分 3,441 −58,696 −4,172個人向け販売(窓販も) 23,000 21,000 20,000公的部門(日銀乗換) 104,000 104,000 80,000========================================================= *T 年限別国債(市中消化)発行額・回数は次の通り 40年債 2.4兆円 0.4兆円、年6回 30年債 9.6兆円 0.8兆円、年12回 20年債 13.2兆円 1.1兆円、年12回 10年債 28.8兆円 2.4兆円、年12回 5年債 28.8兆円 2.4兆円、年12回 2年債 27.6兆円 2.3兆円、年12回 1年割引短期国債 25.0兆円 2.0兆円、年2回 2.1兆円、年10回 10年物価連動債 2.0兆円 0.5兆円、年4回 流動性供給 9.6兆円 -- -- ----------------------------------------------------- 計 147.0兆円 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 野沢茂樹 snozawa1@bloomberg.net; Tokyo Chikako Mogi cmogi@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 崎浜秀磨 更新日時: 2015/12/24 10:12 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZT9BL6K50XU01.html
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