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日銀、異次元緩和策の破綻が確定!広範囲で問題&異常事態発生、新施策で株価下落(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/761.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 12 月 24 日 00:15:15: igsppGRN/E9PQ
 

                    黒田東彦日本銀行総裁(「Wikipedia」より/Hariboneagle927)


日銀、異次元緩和策の破綻が確定!広範囲で問題&異常事態発生、新施策で株価下落
http://biz-journal.jp/2015/12/post_13014.html
2015.12.24 文=鷲尾香一/ジャーナリスト Business Journal


 日本銀行は12月18日の金融政策決定会合で、新たに「『量的・質的金融緩和』を補完するための諸措置の導入」(以下、諸措置)を発表した。この発表を受け、日経平均株価は一時急騰したが、その後、市場が日銀の発表した諸措置の内容を理解し始めると、日経平均株価は大きく下落した。

 市場では日銀の発表は予想外でサプライズだったことから、今回同様に予想外のタイミングで行われた昨年10月31日の追加金融緩和策(いわゆる黒田バズーカ2)を連想し、「黒田バズーカ3」と受け止めた。しかし、その諸措置の内容が金融緩和策にはほど遠かったことから、市場の熱は急激に冷めた。黒田バズーカ3は“不発”だっただけではなく、むしろ、日銀の金融緩和策が手詰まり状態にあることを露呈した格好だ。

 午後0時50分、日銀が金融政策決定会合の結果を発表すると、「『量的・質的金融緩和』を補完するための諸措置の導入」の発表を見て、わずか5分後の午後0時55分には前日比515円高まで急騰した。しかし、市場が諸措置の内容を理解するに従い失望感が広がり、日経平均株価は値を下げ、大引け間際の午後2時59分、この日の安値となる前日比371円安に沈んだ。

 諸措置の発表を受け、市場では当初「ETF(上場投資信託)に新たに年間約3000億円の買い入れ枠を設ける」という点に大きく反応した。しかし、「追加金融緩和策としては、3000億円はあまりにも“ショボイ”金額で、失望感が広がった」(証券関係者)という。確かに、3000億円の追加は黒田バズーカ2に比べれば、あまりにも少額の追加緩和であり、およそバズーカなどと呼べる代物ではない。しかし、問題は金額の多寡にあるのではなく、諸措置の内容とその裏側にある日銀の金融緩和の限界にある。

■日銀の金融政策は限界

 諸措置には、(1)設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業に対するサポート、(2)「量的・質的金融緩和」の円滑な遂行のための措置――という2つの大きな柱がある。

 第1の柱である設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業に対するサポートでは、新たなETF買い入れ枠の設定、成長基盤強化支援資金供給の拡充、貸出支援基金等の延長――の3つが打ち出されている。

 市場が大きく反応した新たなETF買い入れ枠の設定はここに盛り込まれているのだが、その発表文は、「設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とするETFを買い入れる。(中略)新たな枠によるETF買い入れは、日銀が銀行保有株式の売却開始に伴う市場への影響を打ち消す観点から(略)16年4月から開始する」と述べている。

 さらに、発表文の欄外には、「日本銀行が金融機関による株式保有リスクの削減努力を促すため、02年11月から金融機関が保有する株式の買い入れを実施した際に買い入れた株式を16年4月から売却する。売却の規模は15年11月末時点の時価で年間約3000億円となる見込み」である旨が付記されている。

 つまり、日銀は16年4月から保有している株式を年間約3000億円売却するが、それが市場に影響があってはいけないので、年間約3000億円のETFの買い入れを行うということで、金融緩和の増加額としては差し引きゼロなのだ。そして、日銀が売却を予定している株式の銘柄は、新たに買い入れを行う「設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とするETF」とほぼ同じものであるということ。保有株式で売却する銘柄をETFで買い入れるということにほかならない。

 問題は、これを設備投資・人材投資に積極的に取り組んでいる企業に対するサポートとして打ち出したことだ。日銀の政策目標に設備投資・人材投資は含まれない。しかし、政府が設備投資の拡大、賃金の上昇を声高に企業に要請する中で、日銀としてもこれに協力姿勢を示すべく、この措置を打ち出したのであろう。しかし、金融政策は設備投資や人材投資に効果がないということは、火を見るよりも明らかだ。それでも、こうした措置に打って出たのは、金融政策が限界に来ていることを露呈している。

■設備投資・人材投資は金融政策限界の表れか

 それは、第2の柱である「量的・質的金融緩和」の円滑な遂行のための措置により明確に表れている。同措置では、日本銀行適格担保の拡充、長期国債買い入れの平均残存期間の長期化、J-REIT(不動産投資信託)の買い入れ限度額の引き上げ――が打ち出されている。

 日本銀行適格担保の拡充の発表文には、「量的・質的金融緩和のもとで長期国債買い入れに伴って金融機関が保有する適格担保が減少していることを踏まえ」とある。また、長期国債買い入れの平均残存期間の長期化の発表文には、「長期国債のグロスベースでの買い入れ額が増大することが見込まれることから、(中略)、また、国債の市場流動性を確保する観点から」と記述されている。

 つまり、日銀が異次元緩和を進める中で市場から多額の国債を買い入れているため、金融機関が日銀に差し入れる適格担保のひとつである国債の保有が減少し、問題が起こりかけているということだ。そのため、適格担保の範囲を拡大することで、金融機関の国債保有残高の減少による日銀適格担保の減少を回避することを目的としている。

 このように、日銀は本来の政策目標である消費者物価への金融政策の効果が表れないことから、金融政策の目的ではなく、金融政策では効果がないとみられる設備投資・人材投資をお題目に含めた。その一方では、異次元緩和の影響で、市場の流動性や金融機関の国債保有減少による問題を回避するため、新たな措置を導入するということ。これは取りも直さず、「現在の日銀の金融政策である異次元緩和が限界に来ていること」を露呈している。

(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)

 

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コメント
 
1. 2015年12月24日 07:15:50 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[204]

最近は、こういうゴミみたいなのが多いな


>日銀、異次元緩和策の破綻が確定
>金融政策は設備投資や人材投資に効果がない
>日銀は本来の政策目標である消費者物価への金融政策の効果が表れない

こいつは、かなり頭がおかしいらしい

だったら緩和を止めて、引き締めても、デフレにもならず、投資にもマイナスの効果がないと言いたいのかねw


何度も言うように、そもそも金融政策が万能ではないのは当たり前

財政が引き締めに転じ、海外がデフレ化すれば、当然、その影響を受ける

だから構造改革や財政政策と一体化し、生産性を上げて

実質賃金や財政支出を効率化し、内需拡大と海外需要を取り込まねば

これだけ少子高齢化と既得権化が進んだ日本では持続的な改善が期待できないのは、

よほどバカでなければ理解できると思うが、どうもそうではないらしい



2. 2015年12月24日 10:12:57 : GxXY1NNJG6 : AGfCNFrPxks[18]
会社経営者は、株価を心配して経営はできん。

文句を言う経営に口出しする株主は、売って出て行ってくれ!と、いうような社会になりたいものだ。

すぐ売り逃げする株主に、考慮する必要はない。

強欲資本主義で、社会が狂い始めているのだ。

強欲な奴は、自滅せよ!


3. 2015年12月24日 14:22:22 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[108]

山田厚史の「世界かわら版」
2015年12月24日 山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
財務省完敗で消費再増税に暗雲、国債暴落危機が始まる
?軽減税率をめぐる首相官邸・自民党・公明党の三角攻防は、財務省の完敗で終わった。


「消費税8%据え置き」の対象は加工食品にまで広がり、歳入に1兆円の穴が開く。財務省が考えた低所得者向けの還付案は、創価学会の横ヤリで潰れたという。だが創価学会に同調し、流れを変えたのは官邸だった。

?表向きは自民税調vs公明党・創価学会に見える攻防は、一皮むけば官邸vs財務省という権力中枢のひび割れに根源がある。首相は自民党税調を仕切る財務省OBの野田毅会長を外し、財務省がすがる谷垣禎一幹事長を降伏させることに成功した。「安倍一強体制」は一段と強化されたが、その陰で政権基盤である財政の再建シナリオが怪しくなっている。

選挙を視野に軽減税率の
次は消費増税先送りか

「税は国家なり」といわれるように、税制は政治の塊。首相は来年夏の参議院選挙に公明党・創価学会の応援が必要と考え「軽減税率」を受け入れた。というのが一般の解説だが、筆者はそれだけではない、と思っている。安倍政権は消費税10%増税を2017年4月から実施することを避けたいと思っているのではないか。

?永田町で自民党政治家の話を聞くと「選挙やるなら消費税は延期でしょう」とか「まず景気回復。アベノミクスがうまくいっていないのに消費税増税などできませんよ」という声を聞く。選挙モードに入った政界で、「消費増税先送り」への画策が与党陣営に始まっているのが現状だ。その文脈で考えると、「軽減税率が及ぼす効果」は全く違ったものに見える。

?それはさておき、なぜ軽減税率がこんなに沸騰したのか。

?淵源をたどれば、民主党政権時代の「3党合意」に行き着く。2012年6月15日、民主・自民・公明の3党は消費増税関連法案について合意、導入に当たっては低所得者向けの軽減税率を検討することが盛られた。公明党が強く求めたからだ。

?だが「低所得者対策なら軽減税率は効果的ではない」という指摘は学者から上がっていた。生活必需品の税率を安くすれば、消費税への「痛税感」を和らげることはできる。それは「低所得者」だけではない。買い物をたくさんするのは金持ちだ。消費税を安くして取りはぐれる税金のうち、低所得者が受ける恩恵は微々たるものでしかない。軽減税率は金持ちほど恩恵を受ける。

?公明党が「軽減税率」にこだわったのは、政策として分かりやすいからだろう。「この商品の税率が低いのは公明党が頑張ったから」。そう宣伝すれば確かに分かりやすい。

?それでは財政当局は飲みがたい。消費税は低所得者に負担の重い「逆進性」が問題とされる税制。税率10%になれば低所得者向けの対策は必要になる。なけなしの財源が確実に貧しい人に届く効果的な策が望まれる。

?軽減税率はカネ持ちが恩恵を受けるだけではない。税を安く据え置いてもらおうと業界が与党に画策し、制度自体が歪んでしまう。典型が「新聞」だ。自らの業界を軽減税率の対象にしてもらおうと新聞業界は与党に工作し、言論機関なのか営利企業なのか、迷走どころか政治介入までしている。それぞれの業界がそんなことを始めたら面倒、と財務省は警戒した。

還付方式はなぜ白紙に?
経産省政権vs財務省の暗闘

?財政の側に立ったのは自民党税調だった。野田会長は「消費税が日本を救う」という著作もある健全財政論者。財務省の佐藤慎一主税局長と組んで、マイナンバーカードを応用して軽減分を還付する低所得者向け対策を9月10日、与党に示した。関係者によると「公明党の斉藤鉄男税調会長は了解し、安倍首相にも案は上がっていた」という。ところが半月後の25日、公明党が「還付案反対」を表明。創価学会は「軽減税率抜きでは選挙に協力できない」と官邸に伝えた、という。

?首相が動いた。10月9日に野田会長に電話をして「名誉会長に退いていただきたい」。後任に宮沢洋一氏を据え「公明党とうまくやってほしい」と指示した。

?根回しできたはずの還付方式が白紙にされ財務省にショックが走る。

?安保法案で公明党が自民党に付き従ったことへの反発が創価学会にある。消費増税でまた「もの分かりの良さ」を示したら、組織に動揺が走る。そんな事情を創価学会は抱えていた。官邸がすんなり受け入れたのは「選挙対策」があったのは間違いないが、「官邸も財務省ペースを嫌った」と関係者はいう。

?官邸は財務省の財政再建を疎ましく感じている。摩擦は、今に始まったことではない。第二次安倍内閣がスタートしたころから不穏な空気が流れていた。発端は、経済財政諮問会議の再開。安倍首相は民間議員に竹中平蔵氏を指名しようとした。反対したのが麻生財務相だった。首相に電話して「竹中は外してくれ」と頼んだという。

?財務省が竹中を警戒した。小泉首相のころ竹中は経済財政諮問会議を舞台に経済政策を政治主導に切り替え、財務省を封じた。政権に復帰した自民党が諮問会議を復活させマクロ政策の主導権を奪うことを恐れたのである。この一件で竹中は産業競争力会議に回ったが、安倍首相は警戒し、財務省に批判的な側近が重用されるようになる。財務省で冷遇された元官僚などがブレーンになり、一方で官邸の主要ポストに経産官僚を付けた。中心が政務秘書官の今井尚哉。前職は資源エネルギー庁次長、原発政策に深く関わっていた。新日鉄で社長・会長を務め経団連会長になり、原子力産業協会会長を務める今井敬の甥である。

?安倍首相は閣僚経験が乏しく、政策に疎いばかりか官僚との交わりも少ない。欠落を補ったのが実父・安倍晋太郎の人脈だった。通産相、外務相をこなした晋太郎に秘書として仕えた晋三にも人脈はつながっていた。

?霞が関で安倍内閣は「経産省政権」と呼ばれ、財務省は冷遇されている。もとより「景気回復」を最優先に据える安倍政権にとって「財政健全化」のお題目を唱える財務省は目の上のタンコブ。アベノミクスの成果が上がらないのも、財務省の言うとおりに消費税増税を実施したからだと、安倍首相は考えている、といわれる。

橋下徹も驚愕!
軽減税率は憲法改正のテコ

?安倍にとってもっと大事なのが「憲法改正」だろう。昨年末の総選挙で公明を合わせ3分の2の議席を確保し、来年の参議院選で3分の2を確保すれば、憲法改正の発議ができる。改憲は手の届くところまで来た。

?軽減税率はこうした動きと無関係ではない。12月9日、安倍が野田を税調会長から外した日、おおさか維新の会を率いる橋下徹はツイッターで次のように発信した。

「安倍政権・官邸、恐るべしの政治。これが政治か。軽減税率でここまで妥協するとは。これで完全に憲法改正のプロセスは詰んだ。来夏の参議院選挙で参院3分の2を達成すればいよいよ憲法改正。目標達成のための妥協。凄すぎる」

?橋下の視野には、軽減税率を憲法改正のテコにする安倍の姿が映っている。更に橋下は「参議院選は消費増税延期を掲げて戦え」と主張する。大阪市長を卒業した橋下は東京で安倍首相、菅官房長官と会い3時間近く話し込んだ。参議院選挙での協力などが語られ、消費増税延期も話題になっただろう。

?安倍は首相として「再び延期することはない」と国会で断言しているが、真に受ける政治家はいない。「官邸が探しているのは、また増税を延期する口実です」と関係者は言う。財務官僚は気が気でない。

「軽減税率が口実にされる。準備が間に合わない、このままでは混乱が起こる、早急な導入は困る、という民意に耳を傾けたい。そんな理屈をつけて再延期を言いだすのでは」

?という見方もある。軽減税率は対象品目の仕分けが厄介だ。店で食べるのとテイクアウトで税率を分けたり、仕入れの食材と店で出す料理で税率が違ったり、線引きやシステム処理に膨大な手間と時間がかかる。2017年4月までに無事完了するのは不可能に近い。準備が整わない業者から不満が噴き出すのを見て、「民意尊重」という口実が使われる、という筋書きが描かれている。

消費増税再延期なら何が起こるか
市場の暴力を見くびるな

「税と社会保障の一体改革」という掛け声はいつのまにか「改憲の道具としての税制」へとねじ曲がった。

?政治の世界は「それもあり」かもしれない。民意は「消費増税反対」である。だが、政治家が「次はやります」「再延期はしません」と繰り返した約束が、あっさりナシとなり、またも選挙目当てに延期が決まった時、政治の信認はどうなるだろうか。政治家なんてどうせこんなもの、と人々は思うかもしれないが、「こんな政治で財政は大丈夫か」という当然の疑問がわき起こるのではないか。

?黒田日銀総裁が、異次元の金融緩和に踏み切った時、「財政健全化」を求め、政府は約束した。黒田総裁が恐れたことは、日銀がお札を刷って政府の放漫財政を支える事態だ。年間80兆円の日銀マネーを発行し、国債を買い支えている。それに胡坐をかいて政府が財政赤字の縮小に取り組まなかったら、政府は借金返済を諦めたと市場に見なされるだろう。何が起こるか。国債の暴落と円の信認崩壊である。急激なインフレで、国債は紙屑のように舞う。政府の借金は軽くなるが、債権者である国民の資産は目減りする。形を変えた大増税である。

?第一次大戦後のドイツで起きた大インフレは、少額の貯蓄に暮らしの安心を託していた中間層を崩壊させた。ナチスを生み出す土壌が形成されたのである。

?政治家が無策なら、市場の暴力によって経済矛盾は決済される。安倍一強体制のおごりが、大局を見る目を曇らせ、事態を見くびっていると、つけは思わぬところから火を噴くかもしれない。

?昨年末の総選挙で安倍政権は、公約した増税を延期した。その直後、米国の格付け機関ムーディースは日本国債を「格下げ」した。再延期となれば、国債信用は更に低下するだろう。その時、市場で何が起こるのか。
http://diamond.jp/articles/-/83745

 

原油安受けた物価の基調、価格設定行動への影響注視=日銀議事要旨

[東京 24日 ロイター] - 日銀が24日に公表した11月18─19日の金融政策決定会合の議事要旨によると、複数の委員が原油など国際消費市況の下落を受けて仕入れ価格が低下する中で、企業の価格設定行動に変化が生じてないか、注視する必要があるとの認識を示していたことが明らかになった。原油価格の下落を受けて、物価の基調の先行きを警戒する議論があったことをうかがわせる。

<賃金交渉、物価の基調反映が重要>

会合では物価動向について、需給ギャップやインフレ期待などで判断する「物価の基調的な動き」が重要との認識が共有された。この点では、原油価格など国際商品市況が軟調に推移する中でも、生鮮食品やエネルギーを除いた消費者物価(日銀版コアコアCPI)などが伸びを高めており、「物価の基調は改善を続けている」との認識で一致した。

もっとも、先行きは、原油安を受けて足元の物価(除く生鮮、コアCPI)がゼロ%程度で低迷を続けており、来年度の春闘など賃金交渉で「基調的な物価の動き」が反映されなければ「家計が食料品や日用品の値上げに抵抗感を再び強めるリスク」があると複数の委員が懸念。

さらに、国際商品市況の下落を受けて仕入れ価格が低下するもとで、「企業の価格設定行動に変化が生じないか、注視する必要がある」と複数の委員が指摘している。原油安を受けて足元の物価低迷が続く中、賃上げや企業の価格設定行動という物価の基調への影響に対するボードメンバーの警戒感がうかがえる。

複数の委員は、企業収益が高水準にあるにもかかわらず、賃金上昇の動きが鈍いことについて、「現状はまだ完全雇用に達していないことの証左」と分析。「引き続き総需要の拡大が重要」と主張した。

<ドル調達コスト上昇、邦銀資金繰りに問題出てない>

会合では、為替スワップ市場などでドル資金の調達コストが上昇していることについても議論が行われた。

背景について何人かの委員が、1)年末の資金需要という季節的要因、2)米利上げ観測の高まり、3)国際的な金融規制強化など構造的要因──などを紹介。政策委員は「市場の動きには留意が必要」としたうえで、「現状、わが国の金融機関のドル資金繰りに問題は生じていない」との見方を共有した。

(伊藤純夫)
http://jp.reuters.com/article/boj-idJPKBN0U703720151224


 

 

菅官房長官:金融政策は今後も「対応策できる」−日銀異次元緩和
2015/12/24 07:14 JST

    (ブルームバーグ):菅義偉官房長官は、日本銀行は今後も経済情勢に応じて「対応策ができるようになっている」との認識を示し、国債買い入れ額の膨張で限界説も出ている現在の金融緩和の持続性について「悲観的にはまったく考えてない」と語った。
23日、ブルームバーグのインタビューで、アベノミクスで掲げた「大胆な金融政策」を今後も推進していくことができるか、との質問に答えた。菅氏は、異次元緩和の補完措置を決めた先週の日銀金融政策決定会合で「米国の利上げを受けて柔軟に対応していく、緊急的な対応ということもうたわれている」と述べた上で、「そこは十分視野に入れながら、対応策はできるようになっていると思っている」と語った。
日銀の異次元緩和をめぐっては、巨額の国債買い入れをどこまで続けられるかを懸念する限界説が市場に出ている。17日に公表された資金循環統計によると、日銀が保有する国債・財融債と国庫短期証券は9月末に315兆円に達し、発行残高の30.3%を占めた。異次元緩和が始まる直前の2013年3月末時点では13.2%だった。18日には来年の国債購入額が今年より10兆円多い約120兆円になるとの見通しを明らかにした。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは18日までに、銀行・証券などの国債保有の削減余地を考えると、異次元緩和を「続けるのは、もう相当厳しい」と指摘した。来年は償還の増加で日銀の購入額が自動的に増える上、政府の発行額は減る見通しなため、国債買い入れオペは「早ければ来年後半に札割れする可能性がある」との見方も示した。
日銀の黒田東彦総裁は18日、金融政策決定会合後の記者会見で、下振れリスクが顕現化して追加緩和をしなければならない時は「当然思い切ったことをやる必要がある」と述べている。
日銀法改正
菅氏は、日本銀行法の改正については否定的な見解を示した。日銀法が日銀の理念と定める「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を引用したうえで、「『国民経済の健全な発展』の中に、雇用の安定など、実体経済に関する事柄も含まれている」と発言。その上で、日銀法を改正する「現実的な必要性はないと思っている」と話した。
本来、中央銀行の使命は「物価の安定」とされているが、米連邦準備制度理事会(FRB)は「物価の安定」に加えて「雇用の最大化」を2つの使命(デュアル・マンデート)と掲げている。自民党内でも、山本幸三衆院議員が日銀法に「雇用の安定」を明記すべきと訴えるなど、一時期は法改正を求める声もあがっていた。
設備投資
収益が上がっているのに投資が進まない背景について、経営者はデフレマインドからなかなか抜け切れていない、また政策が変わるのではないかと思っている人がたくさんいた、と分析。14年12月の衆院選以降、「今度は投資しますという人が結構出てきた」と語る。そういう人は政策が継続すると判断したため設備投資を考え始めてくれたと分析し、「昨年、選挙をやって本当に良かった」と振り返った。
今後については、設備投資に取り組む企業にインセンティブを与える政策を進めたい、と語った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 高橋舞子 mtakahashi61@bloomberg.net;東京 Isabel Reynolds ireynolds1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Andrew Davis abdavis@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 広川高史
更新日時: 2015/12/24 07:14 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZT8ST6TTDS601.html


 

視点:アベノミクスに足りないもの=ルービニ氏
ルービニ・グローバル・エコノミクス会長/ニューヨーク大学教授
[東京 24日] - 日本の財政が危うくなるとすれば、日銀の緩和政策解除や2%物価目標達成を引き金に国債の大量売却が誘発されるときかもしれないと著名経済学者のヌリエル・ルービニ氏は指摘する。

一方で、当面の取り組みとしては企業の設備投資を促すビジネス環境づくり、中期の課題としては移民政策の見直しや女性の労働参加を後押しする諸政策、非正規・正規雇用の格差是正など主に労働分野での構造改革の重要性を説く。

同氏の見解は以下の通り。

<構造改革:TPPに期待、ビジネス環境の改善が先決>

アベノミクスは女性の労働参加を推進し、(日銀による量的質的金融緩和政策の後押しを受けて)企業収益を押し上げている。しかし、高齢化や年功序列型賃金、染みついたデフレマインドは、日本経済の潜在的な成長力が今後も停滞することを意味している。

アベノミクスの構造改革の側面が、そのような状況を改善する可能性はある。だが、長期的に持続可能な成長を妨げる制度的障害を取り除くことにこれまで失敗しており、改革の履行は中途半端だと言わざるを得ない。

改革の最前線でカタリスト(けん引役)となり得るのは、(まだ批准されていないが)環太平洋連携協定(TPP)かもしれない。TPPによって日本市場の開放が進み、一部の分野では生産性が向上し、主要な貿易相手国の市場に参入しやすくなる。TPPの発効は望ましいが、米国では2016年大統領選の争点になるリスクがある。

一方、労働力不足に対する中期的対処法として、日本は高い教育を受けた労働者を引きつけるため移民政策を見直し、女性の労働をさらに促進するようヘルスケアや保育園・幼稚園の供給を増強しなければならない。そして、「終身雇用」で高賃金の正規社員と、不安定で低賃金な非正規社員の格差を縮小するための全面的な制度見直しが必要だ。

量的質的緩和はある程度、家計のインフレ期待を高めた。だが、物価目標2%を達成するには、家計の所得、ひいては消費を押し上げる改革が必要だ。まず初めに、投資、賃金、消費の好循環を生み出し、設備投資を促すより良いビジネス環境づくりから始めるのがいいのではなかろうか。

<財政再建:緩和解除・2%目標達成時に注意>

対国内総生産(GDP)比で見た日本の公的債務残高(2014年で240%)は、他のどの主要経済国のそれよりも大きい。その大部分は、資産バブルによって過熱した経済が崩れ、終わりなき低インフレに突入した1990年代に発行されたものだ。

このような莫大な債務が持続可能であるには、日本国債(JGB)の利回りが超低金利であり続ける必要がある(10年債で1%未満。それより短い償還期間の債券ではマイナス金利)。

金利が上昇する確率は当面低い。なぜなら日銀がJGB買い入れを継続し、一般家庭も外国資産よりJGBを選好し、金融機関も資産負債管理の規制によって安全かつ流動性のある長期資産をある程度保有することを求められているためだ(JGBは通常、好まれる資産だ)。

とはいえ、量的質的緩和がいずれ解除されたり、2%の物価目標が達成されることがあれば、国債の大量売却が引き起こされ、日本の財政が危うくなるかもしれない。

日本政府は経済状況に関係なく、17年には消費税率を(現在の8%から10%に)上げるとしている。また、財務省は15年度の税収が上振れたこともあり、16年度は新規国債の発行を減額する方向にある。

これらは財政健全化につながる歓迎すべき措置だと言える。だが、参院選そして総選挙が近づいていることを考えれば、財政健全化のペースはゆっくりとしたものになるのだろう。

*ヌリエル・ルービニ氏は、世界経済分析やコンサルティングなどを行うルービニ・グローバル・エコノミクスの会長兼チーフエコノミスト、共同創業者。ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネス教授。経済学博士(ハーバード大学)。米国のサブプライム危機とそれに端を発した世界的金融危機を予言した経済学者の1人として知られる。著書に「大いなる不安定」(ダイヤモンド社刊、原書はCrisis Economics: A Crash Course in the Future of Finance)など。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。
http://jp.reuters.com/article/view-nouriel-roubini-idJPKBN0U60JA20151224?sp=true


 

2015年12月24日 嶋矢志郎 [ジャーナリスト]
「第三の開国」でもやらない限り、一億総活躍社会は夢のまた夢
ジャーナリスト・嶋矢志郎

政府が掲げる「一億総活躍社会」の理想の姿は、現実離れしている。現状認識はどうなっているのか
?政府は、安倍首相が掲げる新しい政策ビジョン「一億総活躍社会」の実現へ向け、当面の緊急対策をまとめた。最大の目玉は、子育てや介護の支援強化策である。働く人が子育てや介護のために仕事を辞めなくても済むような福祉社会の実現を目指して、計100万人分の保育や介護の施設整備を打ち出すなど、大胆な絵図を描いている。しかし、その姿は現実離れした理想郷のように思え、実現への道筋は不透明である。

?最大の難題は今後、中長期にわたり恒常的に必要となる保育や介護に従事する膨大な就業者と恒久財源の安定確保を、どのように担保していくかである。安倍政権はこの難題解決へ向けて、考え得る施策を総動員してでも、この理想郷の実現に政治生命を賭けてほしいが、日本経済の実態に鑑みると実現への道程は厳しく、目標を達成するのは容易ではない。

?安倍首相は「一億総活躍社会とは、成長と分配の好循環を生み出していく新たな経済社会システムの提案(構築:筆者注)である」と強調している。これが建前ではなく、本気の提案であるならば、これを機に、日本もターゲットを絞った、より効率的な税と社会保障の構造的な一体改革に踏み切り、貧富や世代間の格差拡大に歯止めをかけ、拡大の一途を辿る格差構造を根本的に是正しながら、保育と介護に必要な膨大な就業者と恒久財源の長期安定確保に布石を打っていくべきである。

選挙目当ての大風呂敷?
現実離れした3つの目標

?安倍政権によると、一億総活躍社会の実現は、アベノミクスの第2ステージの中心施策と位置づけられている。一億総活躍社会とは、50年後も日本の総人口1億人を維持するため、若者から女性、高齢者、身体の不自由な人といった区別なく、国民1人ひとりが生きがいを持って活躍できる全員参加型の経済社会であり、2020年頃までに道筋をつけたいとしている。

?具体的には、第2ステージの新・3本の矢である「希望を生み出す強い経済」「夢を紡ぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」と連動して、それぞれの具体的な目標に「GDP(国内総生産)600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職率ゼロ」を掲げている。

?安倍政権は「(第1の矢で)経済成長を実現し、その果実を子育て支援や社会保障の基盤強化に投じる。(第2、第3の矢で)社会基盤が強化されることで労働参加率が高まり、さらなる成長につなげる。このような持続的な成長と分配の好循環を生む」ことに期待して、来年春には「ニッポン一億総活躍プラン」を策定する方針であるが、いずれの目標も実態からほど遠く、現実感に乏しい。専門家の間では「選挙目当ての大風呂敷にしても、軽すぎる」などと、評判がよくない。

?当面の緊急対策では、その必要性が以前から指摘されながら、先立つ財源不足から先送りされてきた施策が多いが、政府はとりわけ優先度の高い施策に絞り込んで、今年度の補正予算案に盛り込み、できる施策から実施に移していく方針だ。しかし、安倍政権は来年度以降から恒常的に必要となる膨大な従業者と恒久財源の長期安定確保へ、果たして布石を打てるであろうか。安倍政権は、来年春に策定する予定の中長期プランで、実現への具体的な道筋とともに、就業者と恒久財源の実現可能な長期安定確保プランを提示する必要に迫られる。先ずはお手並み拝見である。

政策ビジョンは逆風の中の旅立ち
「中期経済予測」に見る厳しい現実

?一億総活躍社会の実現性は、専門家になればなるほど手厳しいが、益財団法人日本経済研究センターがこのほどまとめた「中期経済予測(2015‐30年度)を例に挙げながら、気になる実現度を考えてみたい。

?同予測では、日本経済は2014年度の消費増税によるマイナス成長に続いて、「対外環境の悪化などから、足踏み状態が続いている。その背景には、構造問題が何ら解決されていないことがある。人口減少をはじめ、投資効率と生産性の低迷が日本を蝕み、経済破綻の影が忍び寄っている」と警告している。一億総活躍社会への実現は、いわば逆風の中の旅立ちである。

?同予測の分析によると、政策や企業の投資行動が今のまま続くと仮定した場合の「標準シナリオ」では、東京五輪が開催される2020年以降は、成長力が低下して、20年代後半にはマイナス成長に陥る。成長力を決める労働投入量をはじめ、資本ストック(機械やソフトウエアなど)や全要素生産性(TFP=Total Factor Productivity:技術進歩やビジネス上の創意工夫など)に好転する材料が見当たらないからである。

?30年度の労働力人口は、女性の労働参加率が今の北欧並みに改善しても、14年度に比べて500万人減る。急速な高齢化の進展で、労働力人口は50年までに2000万人も減る。資本ストックの成長力への寄与は、現在すでにマイナスで、今後の伸びも期待できない。TFPに至っては就業者の高齢化の加速に伴い、改善の余地が少ない。日本の労働生産性は1994年以来、19年間にわたり主要先進国7ヵ国中、最下位を続行中で、低迷が続いている。

?超高齢化社会の到来は、生産性のより低い医療・介護分野の就業者が急増し、最低でも500万人を増強して、全就業者の4、5人に1人が医療・介護分野に従事する見通しである。労働力人口が激減する中で、就業構造に占める医療・介護分野の就業者比率の急拡大は、日本の生産性をさらに押し下げ、マイナス成長に拍車をかけることになる。かくして「標準シナリオ」では、30年度を待たずに日本経済が失速して、一億総活躍社会の実現はさらに遠のくことになる。

歴史的な大改革を断行しても
GDPと出生率の目標はこれだけ厳しい

?では、同予測の「改革シナリオ」であれば、一億総活躍社会の実現は近づくであろうか。改革シナリオは、前述の標準シナリオでは日本経済が失速し、破綻する事態を回避するため、必要となる2%成長を達成するためにはどんな施策が必要か、またそうした施策を打てば、いつ頃2%成長を実現できるかについて、シミュレーションしている。

?結論を先に言えば、26〜30年度の名目成長率を2.2%、実質成長率で2.0%を達成するには、明治維新と戦後に続く「第3の開国」と言えるほどの大改革が必要で、考え得る改革施策を総動員しても、GDPが600兆円に達するのは24年度頃、出生率は30年度でやっと1.6にとどまるという。一億総活躍社会の目標がいかに現実離れしているか、その実現への道程の厳しさを物語っている。

?アベノミクスの新・3本の矢は、2020年に「GDP600兆円、出生率1.8、介護離職ゼロ」を目指すが、GDP600兆円の実現には年率3%成長の持続が必要であり、出生率1.8の達成には子育て支援策に年額8兆円規模の財源が必要となる。介護離職ゼロを目指すには、就業者500万人の増員が必要で、総就業者のうち4、5人に1人の割合で従事しないと実現しない。これも子育て支援強化策と同様、結局は恒久財源の確保が実現、達成の鍵となる。ちなみにこの改革シナリオでは、目標の2%成長を実現、達成するにあたって、次のような施策を前提にしている。

?1つには、財源確保と財政再建を両立させるため、消費税率を30年までに徐々に引き上げて、23%にする。2つには、労働生産性の伸びを現在の約0.7%から3倍以上の2%台へ引き上げる。3つには、市場の開放度を高めて、外資や異業種からの参入を促進し、競争やイノベーション(革新)を促す。30年度までに開放度を今の英国並みにすると、30年度の対内直接投資残高は現在の6倍、120兆円になる。

?英国は今、外資が産業を先導しているが、日本経済の再生にも外資や異業種からの参入が必要である。EU域内の英国のように、日本も米国やアジア諸国との間で関税はゼロで、企業買収や就労なども自由にできる環境を整えるべきで、「第3の開国」が不可欠であるとしている。

?これだけの施策を見渡しても、新・3本の矢の3つの目標はいずれも日本経済の実態からはあまりにも大胆で、飛躍しており、実現の可能性はいずれも不可能に近い。ましてや、3%成長を持続させながら、出生率1.8や介護離職ゼロを目指すことがいかに至難の業であるか、想像に難くない。

?それでも、一億総活躍社会の最大の目玉である子育てや介護の支援強化策を実行に移していくことは、喫緊かつ中長期にわたる不可避の政策課題である。短期的には人口減少社会の下で、激減していく就業者人口を確保するため、子育てや介護と仕事を両立させ得る社会環境の整備とともに、中長期的には男女を問わず、働き盛りの人たちが子育てや介護のために仕事を辞めなくても済む福祉社会の実現へ向けて、最優先すべき必須の福祉政策である。

就業者の確保には大胆な待遇改善や
外国人受け入れが必要不可欠に

?これには、すでに触れてきた就業者の確保が先決である。それも、膨大かつ中長期にわたる安定確保が必要で、実現には大胆で、飛躍した施策の導入が不可欠である。その施策とは、次の3点である。

?1つには、大胆な待遇の改善である。子育てや介護の職種は、厳しい資格試験がある上、いわゆる3K職場でもある。それにもかかわらず、関連産業の約3分の2でワーキングプアや非正規雇用者などの比率が高く、就業者の社会貢献意識に依存している面が強い。待遇の大幅改善で、新規、既卒、中途採用を問わず、就業者の参入を積極的に促し、受け入れていくことが必要である。

?厚生労働省によると、現役の保育士は今、全国で約40万人いるが、資格を持ちながら、子育てなどで離職中の潜在保育士は約70万人もいる。子育てと仕事を両立できる環境を整えて、潜在保育士の復職を促進すべきである。

?2つには、外国人労働者の積極的な受け入れである。高度な人材に限らず、保育や介護の分野でも熱意と誠意のある担い手を海外に求め、一定のOJT(職場訓練)と資格試験を義務づけて、正規雇用していく必要がある。介護離職者はすでに年間10万人を超え、増加の一途を辿っている。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者の仲間入りする2022年以降は、団塊のジュニア世代による介護離職者が急増すると予想されている。これを防ぐには、医療・介護分野への就業者を500万人増員する必要があり、外国人の受け入れなしには介護ニーズを満たすことはできない。

?3つには、IT{情報技術}をはじめ、AI(人工知能)やロボットなど、イノベーションによる業務改革の推進である。これらの技術革新はこれまで保育や介護の分野の仕事とは馴染みが薄かったが、介護・保育従事者は業務日誌の作成など、管理業務上の仕事量も多く、ITによるシステム化で煩雑な業務負担から解放される。いわゆる3Kの緩和をはじめ、子どもや非介護者との人間的な触れ合いにおいても、ソフトウエアの拡充や強化により、進化したAIやロボットで代行できる面がすでに増えてきている。保育士や介護士の離職者の中には、煩雑な業務が負担で離職する者も多く、その処理によりサービス残業を強いられる職場でもある。

?このように、人手不足の手当て・充足も結局は恒久財源の長期安定確保次第であるが、恒久財源の長期安定確保はさらなる難題である。しかし、この課題解決こそ、一億総活躍社会の実現を政策ビジョンに掲げた安倍首相の政治家としての大仕事である。突き詰めていくと、財源論には3つしかない。1つには、税金による歳入の増額である。2つには、歳出の削減である。3つには、赤字国債の発行である。このうち最も安易なのが3つ目であるが、日本の国・地方の債務残高の名目GDP比率はすでに世界最悪で、200%を超えている。子々孫々へのつけ回しをこれ以上増やしてはならないことは言うまでもない。

一億総活躍の肝は恒久財源確保
筆者が考える「財源の壁」突破法

?筆者から提案したい。1つ目の歳入の増額は、既存の税体系の改革ではもはや限界がある。そこで、既存の税体系の中でも納税の「痛み」が薄いか、あるいは「痛み」があまり届いていないであろう超富裕層に狙いを定めて、全く新しい「富裕税」(仮称)を新設、厳しく徴税することである。現行の所得階級別の実行税負担割合では、所得税の負担率は年収1億円超の所得層が最も厳しく、これを頂点に超富裕層になればなるほど、いわゆる右肩下がりのカーブを描いて、所得税の負担率が下がっている。この不公正で不平等な所得税の負担率の実態を正して、素人の目にも解かり易く、単純に右肩上がりのカーブを描く累進課税方式に改めることである。

?幸い、国民背番号(マイナンバー)制が導入され、実用の機会を迎えている。超富裕層を中心に、節税の名を借りた大口脱税の捕捉率の向上にも徹底的に取り組むことである。国税庁のある高官によると、これまでは不可能であった超富裕層の収入構造の実態把握が、国民背番号(マイナンバー)制の導入で可能になったため、国税庁の決断1つで「やろうと決めれば、できること。ただ、最終的には政治的決断が必要」ということだ。「大口脱税の捕捉率を厳しく引き上げていけば、消費税の引き上げも不要になる」との説も聞いた。

?なお、年収1億円超の所得層の所得税負担率は28%前後に達しているが、同10億円超の所得層では21%前後へ、同負担率は大幅に下がっている。これは、超富裕層になるにつれて、総所得に占める税率の低い所得の割合が大きくなるためである。税率の低い所得とは、配当所得をはじめ、預貯金・公社債利子などである。

?2つ目の歳出削減についても、提案したい。全国民が納税の「痛み」を公正に分け合い、不要不急な歳出を徹底的に洗い出し、ムダ遣いをなくす努力を重ねていくことは言うまでもないが、一方で超富裕層に対する年金の支給に対して、強制ではなく自発的に「名誉ある辞退のすすめ」を制度化することである。功成り名を遂げた超富裕層が、現在全国民のうちどのくらいの比率で存在するかは不明であるが、お上からの礼を尽くしたお願いとあれば、喜んで返上する篤志家が続出するのではないかと思うのは、筆者の甘い考えであろうか。

?それにしても、日本の租税体系はなぜ、ここまで「弱きを挫き、強きを扶ける」構造で罷り通ってきているのか。偏に政治家の怠慢の誹りを免れない。

「一億総活躍社会」の理念とその方向性に間違いはなく、実現できれば夢のような話であるが、肝心の実現性となると、日本経済の実態があまりにも脆弱で、それをいかに難しくしているか、理解していただけたであろうか。安倍政権はアベノミクスと同様、またもや経済に疎い脆さを晒しているが、皮肉にも「第三の開国」を断行し、外圧に形(なり)振り構わずに依存してでも、一億総活躍社会の実現を最優先に猪突猛進した方が、日本経済を失速や破綻の淵から救い出せるのかもしれない。いずれにしても、このままでは一億総活躍社会の実現は「夢のまた夢」で終わるのは必至である。政府は、この現実を直視すべきである。
http://diamond.jp/articles/-/83743


 

焦点:次年度予算へ波乱不可避 軽減税率財源、「薬価ボーナス」はく落

[東京 24日 ロイター] - 2016年度予算案では、2年に1度の診療報酬改定に伴う薬価引き下げで1000億円超の財源を確保し、社会保障費の伸びを今年6月に定めた財政計画の範囲に収めた。しかし、次年度予算でこうした「薬価ボーナス」は見込めない。

自民、公明両党で政治決着した消費税10%時の軽減税率導入でも、必要となる1兆円の財源にメドは立っておらず、消費増税判断を伴う17年度予算編成時の波乱は避けられそうにない。埋蔵金があるじゃないか――。軽減税率の対象をどこまで認めるかの自民、公明両党の協議が詰めの段階を迎えた12月中旬、政府高官は公然とこう言いきった。株高政策を推進する安倍晋三内閣の発足で、民主党政権時と比べて一時40円超の円安となり、国が管理する外為特会の余力資金は約20兆円に増えた。しかし、外為資金の一般財源化には「間接的な為替介入」と受け止められかねないリスクも伴う。「対米外交上も厳しい選択。説明がつかない」、「円高が進めば資金は目減りする。為替相場に左右されるものが恒久財源と言えるか」と、与党内からも反対論が噴出し、合意文書では財源の明示を先送りした。

政府、与党幹部によると、外食を除く飲食料品に広く軽減措置を取るのに必要となる財源は国8000億円、地方2000億円の計1兆円に上る。与党内で浮上しているたばこ増税で4、5000億円を捻出する案には「低所得者ほど喫煙者が多く、かえって『痛税感』が強まる。低所得者対策であるはずの軽減税率の筋が通らない」と慎重な声もあり、どう着地するかは見えない。17年4月からの軽減税率導入を目指す与党は、16年度末までに「歳入、歳出の両面で対応する」(自民党の宮沢洋一税調会長)との構えを崩していないが、「現時点で限りなく白紙に近い」(政府関係者)という現状は、次年度予算の編成時に影を落としそうだ。

医療などの自己負担額に上限を設ける「総合合算制度」の見送りで4000億円を確保し、たばこ増税を実施したと仮定すれば、8、9000億円程度の財源となるが、それでも1兆円には届かない。

歳出面では、軽減税率の追加財源として、他の予算と比べて桁違いの規模をもつ社会保障に矛先が向く公算が大きい。ただ、18年度に予定される診療、介護報酬の「ダブル改定」で大幅な抑制が見込めても、17年度ではこうした改定はない。

財政健全化に向けた歳出の抑制目標(3年間で1.6兆円増)に加え、軽減税率の追加財源の模索というダブルパンチを食らえば、17年度予算編成は波乱含みとなりかねない。財政再建の旗を降ろさずに1兆円の追加財源を確保できるのか。安倍官邸の財政運営は正念場を迎える。

(梅川崇 編集:山口貴也)
http://jp.reuters.com/article/abe-idJPKBN0U702620151224

 

【第43回】 2015年12月24日 野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
アメリカの金融正常化で先進国は「勝ち組」と「負け組」に分かれる
アメリカの金融正常化後の世界経済は一見、不透明だが、大きな方向を見通すことはできる
 アメリカが金融正常化に踏み切った。その後に開ける新しい経済均衡は、どんなものになるのだろうか? その中で、日本はどうなるのか?
 IMFの予測では、日本の低成長が続くことが予測されている。
 つまり、アベノミクスによっては、日本の低成長構造は改善されないのだ。そして、日本は、出口のない金融緩和と、止めどもない円安に引きずり込まれるおそれがある。こうした状態から脱却するには、経済政策の根本が見直されなければならない。
世界経済が4つのグループに分かれる
その中で日本が位置するのは……
 アメリカの金利引き上げに対して、世界の株式市場は激しい値動きを示した。日経平均株価も、連日、数百円単位の価格変動を記録した。
 これは、金融正常化後の世界経済がどうなるかに関して、必ずしもコンセンサスが形成されていないことの反映だ。一見したところ、世界経済は大きな不確実性に包まれている。
 しかし、大きな方向を見通すことはできる。それは、世界経済が次の4つのグループに分かれることだ。
 第1グループは、市場経済を活用する度合いが高い先進国、すなわち、アメリカ、イギリス、アイルランドである。これらが、「勝ち組」になる。
 第2グループは、経済活動への国家の介入度合が強い先進国、すなわち、大陸ヨーロッパと日本である。これらが、「負け組」になる。
 第3グループは、新興国だ。資源に依存する新興国は、資源価格の下落によって、すでに危機的な状況に直面している。
 そして、第4が中国だ。これも危機的状況にある。
 これらのうち、中国経済は、独自のメカニズムで動く側面が強く、アメリカの金融政策による影響もあまり大きくない。そこで、この問題については別の機会に論じることとする。
 以下では、先進国が2つのグループに分かれること、第1と第2グループが経済成長率と為替の両面において対照的な動きを示すこと、そして、新興国がアメリカ金融正常化によって大きな影響を受けることを指摘したい。
アベノミクスの効果はなかった
日本の成長率は今後も改善しない
 図表1には、先進諸国の実質GDP成長率の推移を示す(2015年以降は、IMFによる予測値である)。
 14年以降、アメリカ、イギリス、アイルランドは2%を超える高い成長率を示している。IMFの予測によれば、2%を超える成長率は、今後も続く。
 これに対して、ドイツは1%台の成長であり、今後も成長率が高まることはない。
 日本の実質成長率は1%以下である。14年以降の経済成長率は、図表1に示す先進諸国の中では最低であった。そして、今後も改善しない。
◆図表1:先進国の実質GDP成長率
(資料)IMF
 リーマンショック直後に、アメリカ経済が没落するとの見方が広がった。しかし、成長率がより大きく低下したのは、アメリカではなく(あるいは、第1グループの諸国ではなく)、第2グループの諸国だったのである。
 つぎに新興国を見ると、図表2のとおりだ。
 中国の実質GDP成長率は、リーマンショック以前には10%を超えていた。リーマンショック後も、需要喚起策が功を奏して、成長率が大きく落ち込むことはなかった。しかし、その後、徐々に成長率が落ちている。IMFの見通しでは、今後の成長率は6%台だ。
 ブラジル、ロシアという資源国は、リーマンショック前に5%を超える高い成長率を示していた。リーマンショックで落ち込んだが、すぐに回復した。しかし、その後、成長率は低下し、15、16年には両国ともマイナス成長になる。17年以降はプラスになるが、成長率は1〜2%という低い値にとどまる。
◆図表2:新興国の実質GDP成長率
(資料)IMF
アメリカが金融正常化するのは
実体経済が強いから
 アメリカは、今後、金融正常化を進める。これは、上で見たように実体経済が強いからだ。そうした状況下で金融緩和を続ければ、投機を煽るだけの結果になる。
 アメリカの金融緩和政策(とくにQE2とQE3)は、アメリカ経済を活性化したというよりは、世界的な投機をもたらした。資源価格も、投機によって上昇していた側面が強い。
 しかし、金融正常化は、投機資金の調達を難しくする。このため、投機がやりにくくなる。こうして、原油価格が低下した。金融正常化が原因なのだから、それは一時的なものではない。原油価格は、今後も低位安定を続けるだろう。
 イングランド銀行の基本的な政策方向も利上げである。ただし、その開始は、2016年の後半になると見られている。
 これに対して、日本とユーロは、金融緩和から脱却できない。これは、実体経済が悪いからである。
 以上で見たように金融政策の方向付けが正反対であることは、為替レートに甚大な影響を与える。図表3には、BIS(国際決済銀行)による主要通貨の名目実効レートを示す。
 日本円の減価は12年夏から始まっており、その後、最も大きく減価した。
 ユーロは14年初めまで増価し、その後、減価した。円もユーロも15年夏頃から増価している。
 これに対して、英ポンドは13年初めから一貫して増価している。米ドルは14年秋頃から増価している。
 このように、日欧は、経済が弱いために金融緩和をとらざるをえず、その結果、為替が減価する。
◆図表3:先進国通貨の名目実効レート
(注)2010年を100とする (資料)BIS
通貨安では経済は改善しない
重要なのは市場機能の活用
 重要なのは、通貨安と金融緩和に頼る第2グループ諸国の経済パフォーマンスが改善していないことである。図表1に示したのが、そのことだ。先に、第2グループを「負け組」と言ったのは、そのためだ。
 ここでドイツとアイルランドの違いに注目しよう。両国ともユーロ構成国なので、為替レートからは同じ影響を受けている。しかし、図表1に見るように、アイルランドの成長率はドイツのそれよりずっと高い(アイルランドは、住宅バブルの崩壊によって一時は経済危機に陥ったのだが、それからは完全に回復したわけだ)。アイルランドは、アメリカやイギリスと同様に、市場経済志向が強い国である。つまり、図表1が示すのは、成長にとって重要なのは、通貨安ではなく市場機能の活用だということである。
 ところで、日本にとって最大の関心事は、今後の為替レートがどうなるかである。
 常識的な見方によれば、アメリカが利上げをして日本が金融緩和を継続するので、今後も円安が続くということになる。
 ただし、今後の為替レートを考えるに当たっては、つぎの諸点に留意が必要だ。
 第1に、マーケットが上で述べたような傾向をすでに価格に反映してしまっている可能性が強い。そうであれば、日米金利差が拡大しても、円安が進むことはない。
 第2に、アメリカとの金利差が開くといっても、差はそれほど大きくはない。また、日本の金利がアメリカに引かれて上昇することもありうる。
 第3に、新興国の通貨が減価する結果、実効レートで見れば円高になる可能性がある。実際、上に述べたように、円もユーロも15年夏頃から増価している。
 資源価格の低下は、新興国経済の状況を著しく悪化させる。
 実際、新興国では、利上げと通貨安が発生している。資源国通貨の名目実効レートは、図表4に示されている。リーマンショック後、11年頃に最高値になり、そのあと下落しているのが分かる。とくに、テイパリングが示唆された13年以降の減価が顕著だ。
 15年9月にアメリカが金利引き上げを延期したのは、アメリカ経済に対する影響を考慮したというよりは、新興国経済への影響を考慮した結果であった。
◆図表4:資源国通貨の名目実効レート
(注)2010年を100とする (資料)BIS
日欧で通貨安が望まれるのは
産業構造が古いから
 30年前のプラザ合意の際には、自動車産業がアメリカの中心産業だった。だから、アメリカはドル安を望んだ。しかし、いまは違う。
 アメリカのIT関連企業は世界的な業務展開をしているので、ドル高になれば海外からの収入がドル建てで減少する。しかし、それよりは、新興国等の労働力を安く使えるようになることの利点のほうが大きい。世界的な事業を行なっているのであれば、為替レートの変化によって事業全体の数字が大きく左右されることはない。
 日本でもヨーロッパでも通貨安が望まれるのは、国内労働力によって生産し、それを輸出するという製造業が主要産業であるためだ。
 ところが、現実には、円安が進み、原油が下落したにもかかわらず、日本の貿易赤字は拡大した。世界の輸出市場の状況が非常に悪く、また日本の輸出の競争力が低下しているためである。今後、円安が進んでも、新興国経済が混乱し、中国経済が減速するため、日本の輸出は減少し続けるだろう。
 なお、円安によって海外からの旅行者が著しく増加している。しかし、円安が定着すれば、輸入物価が上昇して国内価格が上昇するため、海外旅行者にとって、とくに日本が有利ということにはならない。
 むしろ日本にとって問題なのは、円安が長期的な傾向として定着することだ。それは、日本国内の生産要素(とくに労働力)の価値が下がることを意味するのである。
緩和補完措置で歪みが拡大
ますます出口が見えない日銀
 日本の金融政策の主たる目的は、国債を買い支えて、その価格暴落を防止することだ。この目的は達成されている。しかし、その結果、膨大な残高の国債が日本銀行に蓄積されている。仮に価格が下落すれば、日銀に巨額の損失が発生する。したがって、量的緩和政策を停止することができない状態だ。
 日銀は、12月18日の金融政策決定会合で、緩和の現状維持を決め、さらに補完措置としてつぎの2つを決めた。
 第1は、長期国債買い入れの平均残存期間を拡大すること。第2に、指数連動型上場投資信託(ETF)について、現在の年間3兆円の買い入れ枠に加え、新たに年間3000億円の枠を設けること。このようにして、日銀は、将来値下がりの危険がある資産をバランスシートに積み上げていくことになる。
 ETF購入の増大は、国を買い支えるという政策から、企業を支える政策に踏み込んだことを意味する。この点で、これまでの量的・質的緩和とは性格が異なるものだ。
 さらに日銀は、設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を含むETFを対象とするとした。これは、中央銀行が個別企業の経営に口出しすることを意味するものだ。本来あるべき中央銀行の政策の範囲を大きく逸脱している。
 金融緩和政策からの出口は、ますます遠ざかっている。
本当に必要なのは社会保障制度改革
刹那的な経済政策から脱却できるか
 現在の日本で本当に必要なのは、高齢化時代に備えて社会保障制度を維持可能なものにすることである。これは、年金、医療、介護のどの分野でも必要だ。しかし、どの分野でも大変難しい課題である。
 最低限必要とされるのは、労働力と財政に関する見通しを作成することだ。
 政府の財政収支試算がいかなる社会保障政策を前提にしているのかは、明らかでない。しかし、「新しい3本の矢」で示された「介護離職ゼロ」などの新しい政策を反映していないことは明らかである。したがって、それに見合って財政収支試算を改定する必要がある。
 しかも、政府の財政収支試算には、2023年度までしか示されていない。しかし、実は、その先が問題なのだ。
 いま、一時的に税収が増え、財政収支が好転している。このため、新規国債発行が減額されて、問題が見えなくなっている。財政赤字に対する危機感がきわめて弱くなっている。
 そのため、参議院選挙目当てのばらまき政策しか行なわれていない。補正予算では、65歳以上の高齢者で住民税が非課税の人を対象に、来年春以降、1人当たり3万円が配られる。このように、何のためかがはっきりせず、長期的見通しを持たない刹那的な政策が行なわれている。
 16年は、新しい均衡に向けて世界経済が調整していく年になるだろう。そのなかで、日本が現在の状態から脱却できることを期待したい。

http://diamond.jp/articles/-/83744 



4. 2015年12月26日 00:01:30 : uErLb5emSA : 1k9foeJD9U0[1]
馬鹿が口出しするから
追加催促の下落を喰らった。
それだけだ。


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