1. 2015年12月22日 17:59:01
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中国株:上海総合、4カ月ぶり高値−景気対策拡充の方針好感 2015/12/22 17:23 JST (ブルームバーグ):22日の中国株式相場は上昇し、上海総合指数が4カ月ぶりの高値となった。中国指導部が中央経済工作会議後の声明で、景気下支え策を拡充する方針を示した。 上海総合指数 は前日比0.3%高の3651.77と、8月20日以来の高値で終了。財政支出拡大や住宅市場刺激の方針が声明に盛り込まれたことを受け、素材や不動産開発などの銘柄が買われた。CSI300指数も0.3%高。 銅生産の江西銅業(600362 CH)は1.4%高。セメントメーカーの安徽海螺水泥(600585 CH)は2.8%高。不動産開発の金地(集団、600383 CH)は上場来高値を更新した。 華西証券の魏?アナリスト(上海在勤)は「指導部が成長押し上げ策を策定した。恐らく景気安定につながるだろう。新年の休暇が近づく中で、株式相場はレンジ内の推移となる公算が大きい」と述べた。 原題:China’s Stocks Rise to Four-Month High After Economic Meeting(抜粋) 記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:上海 Zhang Shidong szhang5@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Richard Frost rfrost4@bloomberg.net 更新日時: 2015/12/22 17:23 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZQMX96JIJUR01.html 2015年アジア市場ほぼ全滅、何がまずかったか
アジア株式市場は2011年以来最低のパフォーマンスとなるもよう By WAYNE ARNOLD 2015 年 12 月 22 日 15:24 JST 今年あなたがアジア市場で稼いだとするならば、それはアジア株に投資したためではないだろう。 アジア株は2011年以来最悪の1年を終えようとしている。MSCIアジア太平洋指数は今年3.4%下がった。米ドル換算で15年を黒字で終えようとしているアジアの主要市場はわずか三つで、そのうち二つは政府のてこ入れによることはほぼ間違いない。投資家が配当を再投資したと仮定すると、上海株は中国政府が夏の急落を食い止めた後、ほぼ10%の利益をもたらした。同じ基準でみる日本株は9%超上げている。日本銀行が輸出所得を膨らませるべく大量な資金供給を行っているためだ。自国経済と企業の見通しが楽観されて上げたのは、ベトナム株の2.4%だけだった。 他はどうしようもなかった。日本を除くMSCIアジア指数は全滅で、タイとインドネシア、マレーシアのおよそ20%の下げを中心に、MSCI東南アジア指数はほぼ5分の1下落した。合計すると、アジア太平洋諸国の株は市場価値を約1兆7000億ドルも失ったことになる。債券投資家も、顔色を変えずにはいられなかった。HSBCアジア・ローカル債指数はおよそ3.5%下落し、JPモルガンのアジア・クレジット指数でみる米ドル建てアジア債の投資利回りはわずか1.8%だった。 どの市場も4月に下落した。投資家は当時、中国経済に何か本当に不愉快なことが起きているという事実に気づいたのだ。 中国政府は4月、成長が6年ぶりの低水準に減速したことを明らかにし、人民銀行(中央銀行)は年間国内総生産(GDP)の2倍以上にまで膨れあがった負債を抱える地方政府と大企業がデフォルト(債務不履行)に陥らないよう、新たな手段で金融システムに資金供給する試みを開始した。 中国の成長鈍化により、アジアの諸資源や工場の必要性が薄れたことは言うまでもない。CEICデータによると、今年1月から9月までに、中国は他のアジア諸国からの輸入が13%減り、アジア地域全体の輸出が落ち込んだ。 外国人投資家は、14年にアジア株を432億ドル買い、今年最初の4カ月でさらに390億ドル買ったが、5月に売り始めた。以降、約440億ドル相当のアジア株を売却した。なかでもタイとフィリピンでの売り圧力が目立った。 資金流出と輸出収入の減少が合わさり、アジア通貨が下落した。その結果、アジアで今年最も好調な通貨は、中央銀行が積極的かつ公然と安くしようとしている日本円だ。他の国々の中銀はひそかに自国通貨を下落させている。中国の人民元は、8月の突然の切り下げを受けて4.2%下落した。オーストラリアドルは12%以上も下落し、ニュージーランドドルはほぼ14%下がった。マレーシアリンギも19%程度下落した。 外貨建て借り入れへの依存度が低下し、外貨準備が高まったため、1997年のアジア通貨危機のような状態からは守られている。外貨建て債務が50%を超えているのは、インドネシア企業だけだ。だが、通貨安はアジア企業の収益に有利に働いてはいない。モルガン・スタンレーの資料によると、企業収益は6月から落ち込み始め、11月時点で年率6%減少している。 アジア市場が縮小した影響は、輸出が弱まるにつれ成長を維持するためにアジア諸国が借り入れ依存度を高めていることにも現れている。15年が終わろうとする今、GDPの2倍を超える債務を抱えているのは、モルガン・スタンレーによれば中国ばかりでなく、香港、シンガポール、韓国、タイも同様だ。 BNPパリバの日本を除くアジア担当チーフエコノミスト、リチャード・イリー氏は、アジアなど新興諸国の指導者が輸出依存度を低下させ自国の金融市場の回復力を高める上で必要な痛みを伴う構造改革を実行できないことが、何よりも嘆かわしいことだと言う。 アジア市場が今年弱かったのは海外の影響だと言えるだろうが、16年はその海外に救いを求めざるを得ない公算が大きい。
世界的景気後退を予想するデービッド・レビー氏に聞く By LAWRENCE C. STRAUSS 2015 年 12 月 22 日 08:42 JST ? コンセンサス予想は、新興国諸国や特に中国の抱える問題を過小評価している
米国経済はかなり好調だが、国外で悪化しつつあるファンダメンタルズからの悪影響を食い止めるほどの強さはないと、ジェローム・レビー・フォーキャスティング・センターのデービッド・レビー会長は考える。同社が発行する「レビー・フォーキャスト」は、強気のコンセンサス予想は米国と新興国市場とのつながりを過小評価しているとみる。また、中国は経済の移行に苦闘しており、ソフトランディング(軟着陸)は非常に厳しいものになると懸念している。 本誌:2013年8月に話をした時にも世界経済について懸念していたが、今回はどうか? レビー氏:当時は、中国やその他の新興国を大いに懸念していた。その他、例えば欧州では緊縮財政強化を検討しており、米国は急激な支出削減をもくろんでいた。もし中国で景気刺激と反対の政策が実施されたなら、世界全体が景気後退に陥ると懸念していた。あれから2年以上たち、今サイクルのバブルが見え始めた。しかも今回は新興国市場でバブルが破裂しようとしている。既に2015年初めには複数の国が景気後退に陥っていた。その他の国でも、台湾などは景気拡大の強さが衰えている。第3四半期のデータが出そろえば、景気後退あるいはその瀬戸際の国が増えていることが判明すると予想する。こういうことは経済の教科書に書かれていない、これが問題だ。 Q:どこに書いてあるのか? A:バランスシートや損益計算書などの財務面を見れば分かる。世界経済全体を一つの会社とすると、最近の増益の最大要因は新興国経済の輸出能力に対する純投資だった。しかし、現在新興国市場での純投資は徐々に鈍化しつつある。大手の資本財輸出会社からの輸出データからも明らかな上、各企業も見通しや業績の話となると、新興国市場の弱さ、あるいは軟化、悪化などという言葉を使う。10年前頃に米国で発生した住宅バブルのように、新興国市場の悪化は世界経済を転覆させる力を持っている。 Q:世界的景気後退はどの程度近づいているのか? A:エネルギーや経済制裁に関連した問題を抱えているロシアの他にブラジルも含め、既に一部の国では経済が縮小している。南米の大半は景気後退の瀬戸際で、他の地域でも鈍化が見られる。欧州は景気が上向いたが、詳しく分析してみると、経常収支の改善で全て説明でき、ユーロ安で輸出が助けられたのが明らかだ。原油価格下落という恩恵もあった。現在は欧州の勢いが弱まりつつある兆候が見られる。 Q:米国経済はどの程度の強さか? A:米国はかなり好調だ。しかし、負債の多さ、住宅価格の高さ、国内エネルギー投資の壊滅的な状況などが大幅な経済成長を阻んでいる。さらに、経済を弱めているもう一つの要因は利益の低迷だ。利益減少は景気減速を伴う。輸出減少やドル高の悪影響もあるが、新興国市場の行き詰まりの影響が大きい。 Q:米国経済は軟化しているか? A:その通り。しかし、米国そのものが危ないわけではない。海外の状況がさらに険しくなりそうだ。 Q:それで米国が景気後退に引きずり込まれるということか? A:そうだ。米国自体は調子が良いのに、海外の不調に巻き込まれるといったことは第二次世界大戦後にはなかったことだ。だからこそ、誰もそのリスクについて考えることがない。しかし、新興国市場は景気後退に入るだけでなく、長期的な調整過程を越えていかねばならない。特に中国で顕著な問題だが、過去20年間の新興国は、膨大な投資と輸出に的を絞っていた。しかし、今やそのゲームを続けるには巨大になり過ぎた。投資が落ち込むと収益性が低下する。また、例えば収入源になるはずの有料道路など、多くの事業用施設を建設した後の財務的な後始末の問題もある。これらの資産が収入を生まなければ、その資金調達のための負債が問題を引き起こすだけでなく、担保価値が減少し、純資産価値も低下する。 Q:米国はどのような影響を受けるか? A:世界的な景気後退だけでなく、全般的な資産デフレを予想している。主要国の中央銀行がこれ以上利下げできないという事実が事態を悪化させる。これは今までのサイクルと非常に大きく違う点だ。人々は利下げすればどうにかなるという選択肢に慣れ過ぎてしまっている。 Q:他にコンセンサスが見落としていることはあるか? A:問題の深刻さを見落としている。例えば中国だが、少し投資を減らし、少し消費を増やして、リバランスさえすれば万事うまく行くと考えている。しかし、中国は既に膨大な過剰設備能力を抱えている。製造設備の稼働率は恐らく50%、あるいはもっと低いかもしれない。国内総生産(GDP)の46%は投資だ。これは非常に狂気の沙汰だ。日本のバブル時代よりひどい。日本では、ピーク時だった1990年の政府や民間の投資はGDPの33%だった。対照的に米国は戦後の好景気時にハイウエーや学校などをどんどん建設したが、それでも最も高い時でGDP比25%程度だった。中国のように46%も投資すれば、それを機能させるためにはとんでもない水準の経済成長率が必要になる。こういうことを毎年やると、経済全体の財務状態が損なわれていく。中国は、徐々にではなく急速に調整を行うべきだが、それは簡単ではない。 Q:米国経済が強い理由の一つは、住宅市場が回復していることだと言われるが、間違っているのか? A:実質所得が以前ほどではない。また、住宅も過去と比較すると非常に高い。バブル時に高騰した住宅価格はその後随分下がったが、通常のバリュエーションに戻っただけだ。現在は底から30%程度上昇した辺りだが、実質所得が増加していない時期に家を買うのは困難なことかもしれない。住宅ローン金利は低く、返済額は少ないため住宅ローンに手が届きやすくなったが、頭金や不動産税、保険なども考慮しなければならない。20代になっても親元に暮らす子どもたちが、ようやく景気回復で独立してくれると喜ぶ人もいるかもしれないが、就職しても独立できるだけの収入が得られない。また、賃貸住宅も過去と比較してかなり高い。新たな住居を得るには厳しい時代だ。 Q:労働市場が逼迫(ひっぱく)しているという説は間違いか?景気後退に向かっている時の現象ではないが。 A:まず、雇用は遅行指数だということだ。もちろん雇用の調子がよければ、人々はより楽観的になるため、景気予測上は先行指数として使うこともあるが、実際雇用がピークに達するのは景気後退直前の頃だ。そして景気後退が始まると実際に雇用が減少し始めるが、これはあくまで状況悪化への反応だ。 Q:投資家がポートフォリオについて考えるべきことは? A:投資家はよく、「卵は一つの籠に盛るな」とか、インカムと元本成長のバランスを取れといった格言を基に行動している。通常これは理にかなっている。しかし、世界の多くの部分がデフレに向かっている時には考え直す必要がある。事態は以前とは異なる。利下げが不可能な場合は、いわゆる卵の籠が全て壊れるお膳立てができつつあるとみるべきだ。こういう時は空売り戦略が妥当である。少なくとも新興国市場はアンダーウエートすべきだ。資産のうちでリスクがなく、価値が維持されるのは米国債やその他少数の債券だ。われわれは米国債に長期的に強気だ。つい最近、ドイツ国債の利回りがマイナスになった。次の景気後退ではドル以外の通貨への下方圧力が強まり、全ての資産クラスも圧力を受ける中、米国債が大いに値上がりし、利回りの最低記録が更新されるだろう。 Q:最近の10年物米国債の利回りは2.21%だが、1年後はどうなるか? A:景気後退に陥ったなら、10年債の利回りは1%を切るだろうとわれわれは長い間主張している。これでもかなり保守的な方だ。もっと押し下げられる可能性もある。 Q:来年そうなるか? A:世界経済は少しずつ景気後退に向かっており、米国が最後尾にある。米連邦準備制度理事会(FRB)はついに先週利上げを発表したが、世界の経済は引き続き悪化しており、米国経済も悪化の兆候が幅広く出てきている。FRBは来年後半には方向転換するとわれわれは予想している。恐らく、徐々に広まっている世界的な景気後退が悪化し、最終的には地球全体を飲み込むだろう。2016年末に米国が景気後退に陥っている確率は2分の1とみている。 アングル:ブラジル、縮む企業設備投資が予感させる一段の景気悪化 [サンパウロ/ブラジリア 18日 ロイター] - ブラジルは今年、25年ぶりの深刻な経済の落ち込みに見舞われた。だが、主要企業の設備投資計画から判断すると、来年はさらに事態が悪化しそうだ。
小売り、建設、鉄鋼、自動車、石油といったセクターの大手企業は、国内景気が早期回復するとの希望を捨て、来年の設備投資予算を削っている。削減率を見ると鉱業のヴァーレ(VALE5.SA)は25%、国営石油のペトロブラス(PETR4.SA)は20%に上り、小売最大手GPA(PCAR4.SA)に至っては最大40%減らして投資額は7年ぶりの低水準になる見通しだ。 電力のエレトロブラス(ELET6.SA)や多額の債務を抱える通信のオイ(OIBR3.SA)はまだ投資計画を発表していないが、これらの企業も大幅に投資を減らすことを示唆する材料は増えつつある。 政策金利は現在14%で今も上昇中。このため民間セクターは多くの投資案件で資金を調達するのが困難になっている。かつては企業投資の背中を押す重要な役割を果たしてきた財政支出も急速に縮小してしまった。 先週にはフィッチがブラジルの格付けを引き下げ、これで同国を投資適格未満とする格付け会社が2社となったことで、海外投資家の資金流出が加速し、国内での借り入れコストが上昇してしまうだろう。 ただ新規投資にとって最大の妨げは、ブラジル国民自身が景気回復実現への自信を失っていることだ。 ブラジル機械工業協会(ABIMAQ)のディレクター、マリオ・ベルナルディーニ氏は「来年の見通しは惨憺たるものだ。現在のような景気後退下では、企業は手元現金を守ろうとし続ける」と話した。 実際、ブラジルの企業設備投資は9四半期連続で減少しており、エコノミストの間では来年もさらに6─12%落ち込むとの予想が広がっている。 ロイターの計算ではこれは金額にして600億─1300億レアル(170億─340億ドル)、対国内総生産(GDP)比では1─2%前後に相当する。 ここ数週間で主要企業がさらに設備投資予算を減らしたため、来年の経済成長率見通しを下方修正するエコノミストも増えており、来年は今年見込み並みのマイナス3%になるとの見方も多い。 (Brad Haynes、Silvio Cascione記者) http://jp.reuters.com/article/brazil-economy-investments-idJPKBN0U50BN20151222
中国が財政出動拡大で景気支援、金融政策より柔軟に [北京 21日 ロイター] - 中国は、景気支援に向け、金融政策に柔軟性を持たせる一方、財政出動を拡大する。2016年の経済政策の優先課題を話し合う中央経済工作会議の決定事項を国営メディアが報じた。 発表された声明は「積極的な財政政策を強化し、穏健な金融政策を一段と柔軟にすることが必要」と表明。 財政赤字の比率を緩やかに引き上げるとともに、企業の負担軽減に向けた減税を行なうとした。 来年の成長率を「妥当な範囲」に維持するとしたが、詳細には言及しなかった。 政府はまた、インフラ向け支出を拡大するほか、低迷する不動産市場を下支えるため、住宅購入に伴う規制を緩和する。 <サプライサイドの改革> 中央経済工作会議では、新たな成長のけん引役の育成を支援するため「サプライサイドの改革」を推進し、過剰生産能力の削減や不動産の在庫の調整に取り組むとした。 関係筋によると、政府はサプライサイドの改革を推進する一方、需要の押し上げに向けた措置を講じる。 「構造改革の断行には、一定の成長率の維持が必要」という。 関係筋はまた、中国、および世界経済は急激な落ち込みから低成長が長期間続く「L字型」回復となる見込みのため、「需要サイドの政策だけでは、景気支援は不可能」と語った。 また金融リスクへの対応をさらに進め、地方政府の債務リスクを効果的に抑制するとしている。 来年の経済政策ではデレバレッジを重視する方針も示した。 *写真とカテゴリーを追加して再送します。[北京 21日 ロイター] - 中国は、景気支援に向け、金融政策に柔軟性を持たせる一方、財政出動を拡大する。2016年の経済政策の優先課題を話し合う中央経済工作会議の決定事項を国営メディアが報じた。 発表された声明は「積極的な財政政策を強化し、穏健な金融政策を一段と柔軟にすることが必要」と表明。 財政赤字の比率を緩やかに引き上げるとともに、企業の負担軽減に向けた減税を行なうとした。 来年の成長率を「妥当な範囲」に維持するとしたが、詳細には言及しなかった。 政府はまた、インフラ向け支出を拡大するほか、低迷する不動産市場を下支えるため、住宅購入に伴う規制を緩和する。 <サプライサイドの改革> 中央経済工作会議では、新たな成長のけん引役の育成を支援するため「サプライサイドの改革」を推進し、過剰生産能力の削減や不動産の在庫の調整に取り組むとした。 関係筋によると、政府はサプライサイドの改革を推進する一方、需要の押し上げに向けた措置を講じる。 「構造改革の断行には、一定の成長率の維持が必要」という。 関係筋はまた、中国、および世界経済は急激な落ち込みから低成長が長期間続く「L字型」回復となる見込みのため、「需要サイドの政策だけでは、景気支援は不可能」と語った。 また金融リスクへの対応をさらに進め、地方政府の債務リスクを効果的に抑制するとしている。 来年の経済政策ではデレバレッジを重視する方針も示した。 *写真とカテゴリーを追加して再送します。 http://jp.reuters.com/article/chiha-economic-conference-idJPKBN0U415J20151221?sp=true ドイツ銀、ロシア業務に関係する100億ドルの疑わしい取引−関係者 2015/12/22 17:30 JST (ブルームバーグ):ドイツ銀行はすでに調査している「ミラートレード」60億ドル(約7300億円)相当に加えて、ロシア業務に関係する最大40億ドル相当の疑わしい取引を確認した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 これはドイツ銀が問題視する取引が合計で最大100億ドルに上ることを意味しており、ロシア国外に顧客が資金を移動させる中でマネーロンダリング(資金洗浄)の可能性が十分に調査されていなかった可能性がある。関係者によれば、これまで報告されていなかった調査中の取引には、主に買い注文など一貫して同じ方向の取引が含まれているという。 関係者2人によると、ドイツ銀はこれらの調査結果について9月時点で各国当局と情報を共有した。米検察当局はドイツ銀によるミラートレードの処理が米国の資金洗浄防止規則に違反にしていなかったか調査していると報道されており、米当局は新たに特定された疑わしい取引について承知しているという。 ロシア中央銀行はドイツ銀の同国での一部取引を調査した後、小額の制裁金を科したが、米司法省の調査は続けられている。監督当局が法律や規制の違反を見つけた場合、取引総額が最終的な罰金や制裁金を決める一つの要素になる可能性がある。司法省の報道官はコメントを控えている。 原題:Deutsche Bank Tally of Suspect Russia Trades Said at $10 Billion(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:モスクワ Gregory L. White gwhite64@bloomberg.net;ロンドン Stephanie Baker stebaker@bloomberg.net;ニューヨーク Keri Geiger kgeiger4@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jeffrey D Grocott jgrocott2@bloomberg.net Evgenia Pismennaya, Greg Farrell 更新日時: 2015/12/22 17:30 JST
ニュース一覧 中国株:上海総合、4カ月ぶり高値−工作会議で景気対策拡充の方針 リクルトH:欧州人材派遣会社を買収へ、1885億円−同社M&A最大 来年度予算96.7兆円と過去最大、公債依存8年ぶり低水準−税収増で 東芝株6年9カ月ぶり安値−今期赤字過去最大の5500億円見込む 「ラストルック」めぐるバークレイズの処分、外為市場の姿変えるか http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZQX256JTSEA01.html アングル:ユーロ圏、危機一段落で16年国債発行は5年ぶり低水準に [ロンドン 18日 ロイター] - 来年のユーロ圏の各国の国債発行額は2011年以来となる9000億ユーロ割れとなる見通しだ。欧州債務危機で打撃を受けたイタリアとスペインが、超低金利の追い風もあって累積債務を徐々に減らすとみられることが主因。 この数年、スペインとイタリアは2012年の債務危機の際に受けた緊急資金支援の借り換えを進めており、現在では金利の大幅な低下を生かして平均残存期間を長期化している。結果的にユーロ圏の債務は一段落して区切りを迎えようとしている。 RBSのマイケル・ミカエリデス金利ストラテジストは「過去数年間に国債発行額が増加したといいう事実は債務危機との直接的な関係が深く、いまそれが過ぎ去ったこととして関心が薄れ始めている」と話す。 RBS、モルガン・スタンレー、コメルツ銀行の推計から、来年はイタリアとスペインのグロスの国債発行がともに約200億ユーロ程度減少し、それぞれ2200億ユーロ、1200億ユーロになるとみられる。 ユーロ圏最大のドイツは、中東からの移民対策費用を確保するため、2016年に借り入れを増やす計画だが、大半は短期金融市場での調達となり、国債発行額はごく限られた金額にとどまる見通し。 全体としてユーロ圏各国政府の国際発行額の合計は8600億─8800億ユーロが見込まれ、2011年と同様の低水準になる。欧州連合(EU)が加盟国に対して政府債務や財政赤字の水準を低く抑えるよう圧力を掛けているため、加盟国が世界の経済成長が低迷する事態が起きない限り、再び債務問題に逆戻りする可能性はほとんどないようにみえる。 イタリア財務省は年内に来年の正式な国債発行計画を発表すると見込まれており、スペイン財務省も来年早々に公表する。 欧州で経済規模3位と4位の両国が公的救済を受けるのではないかとの懸念から両国の国債利回りは2012年に急上昇し、結果的に投資家は短期債にしか手を出そうとしなくなった。 この結果、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が「ユーロを守るためなら何でもする」と公言し、債務危機の影響が薄れた後の数年間でも、借り換えが必要な債務が積み上がっていった。 来年に国債発行額が減少するのは、緊急資金供給の大半を長期債にロールオーバーする作業が現在進められているためだ。イタリアとスペインの来年の国債償還額は180億ユーロ減少すると見込まれる。 しかし、ストラテジストたちは、国債発行の減額はECBの超緩和的な金融政策が加盟国すべての金利を押し下げ、年間の金利負担が低下したことで、これらの国々が貯蓄を増やすことできたことの表れでもあると指摘する。 イタリア10年国債IT10YT=TWEBとスペイン10年国債ES10YT=TWEBの利回りは2012年の7%超から今年初めに過去最低の1%近辺まで低下した。 両国ともに今年は短期債による資金調達をマイナス利回りで行っており、これは投資家が実質的に政府に対してお金を貸すという特権に対して手数料を払う状態を意味する。 モルガン・スタンレーのストラテジスト、ジェスパー・ルース氏は「債務借り換えコストは減少し、そえゆえに全体の発行額が減少した」と指摘する。 <年限は長期化へ> 過去最低の金利水準によってユーロ導入国は長期債を発行し、今後数年間に返済が増えるのを回避できる、事実上の債務繰り延べが可能になる。 ドイツは来年、30年国債を90億ユーロ発行する計画で、2015年の発行実績である60億ユーロから増額する。コメルツ銀行は、イタリアとスペインも来年上半期中に30年債を発行すると推定しており、両国で約80億ユーロの調達が見込まれている。 イタリア財務省の統計によると、同国政府が今年発行した国債の平均残存期間を2010年以降で初めて長期化し、第3・四半期時点では約6.5年。2014年の6.4年から伸びており、2010年は7.2年と最長に達していた。 スペインは昨年の6.28年につづいてさらに年限の長期化を進める考え。2007年の危機前の平均残存年限は6.8年だった。 http://jp.reuters.com/article/euro-gov-bond-idJPKBN0U50DB20151222
【第410回】 2015年12月22日 真壁昭夫 [信州大学教授] 米国利上げで浮上する世界経済の失速リスク 米国は利上げで “パンドラの箱”を開けた
12月16日、FOMC後の記者会見時のイエレンFRB議長?Photo:federalreserve ?12月16日、米国FRBは9年半ぶりに政策金利を引上げ、7年に及ぶゼロ金利政策を解除した。
?今回のFRBの決定は大きなイベントであったが、それによって世界経済が抱える問題が解決されたわけではない。むしろ、多くの問題が詰まった箱=“パンドラの箱”のふたを開けてしまったと考えた方がよい。 ?金融緩和策によって、今まで箱の中に押し込めていた問題が逃げ出し、徐々に問題点が顕在化する可能性が高いからだ。今、世界経済が抱える問題を数え上げると、それこそ枚挙に暇がない。 ?まず、懸念されるのは米国経済だ。ドル高や原油価格の下落などの問題を考えると、米国経済の行方は必ずしも順調というわけではない。2009年7月以降、回復してきた米国経済には、そろそろ陰りの兆候が見え始めている。今後、住宅や自動車のローン金利が上がると、堅調な消費活動が落ち込む可能性もある。 ?また、わが国やEUが金融緩和を継続する中で、米国が金利を引き上げて金融政策の正常化に動き出した。主要国間の金利格差などを通して、世界の投資マネーが米国に引き寄せられることも想定される。 ?さらに、新興国、特に多額の債務を抱えた諸国の経済は心配だ。既に金融市場では、トルコなど一部の新興国に信用不安の懸念が生じている。そうした問題がさらに拡大すると、世界経済の足を引っ張ることは避けられない。 ?重要なポイントは、金融政策が変更される中で、米国経済が世界を牽引するパワーを維持できるか否かだ。それができないと、世界経済は再び下降トレンドに落ち込む可能性が高くなる。 ドル高、原油下落、ジャンク債── 最大のリスクは米国経済の先行き ?今後の世界経済が抱える、最も大きなリスク要因は米国経済の落ち込みだ。世界を牽引しているのは間違いなく米国経済であり、その減速が鮮明化すると世界全体にマイナスの影響が及ぶことは避けられない。 ?FRBの政策変更によって、今後、ローン金利が上昇すると、足元で堅調な住宅や自動車の販売にマイナスの影響が出る。それが現実のものになると、米国の消費活動全般に頭打ち傾向が出て景気の先行きに不透明感が強まる。 ?また、米国経済は三つのリスク要因を抱えている。一つ目はドル高だ。自国通貨が強含むことは輸出企業にとって大きなマイナス要因となる。足元の米国の輸出実績を見ても、悪影響が徐々に顕在化している。 ?しかも、今回のFRB利上げによって、わが国や欧米、さらには新興国との金利差が拡大する可能性が高い。金利策の拡大がさらに進むと、一段のドル高傾向が考えられる。それは、米国の輸出企業には大きな痛手になる。 ?二つ目は、原油価格の下落だ。現在、シェールオイルの開発で、米国は世界最大の産油国になっている。原油価格の落ち込みは、米国の企業業績全般にもマイナスの影響を与える。 ?また、中小のエネルギー関連企業が、低格付けの社債=いわゆる“ジャンク債”で資金調達をしていることを考えると、ジャンク債市場の落ち込みは金融市場全般にも無視できないマイナスインパクトがある。 ?そして三つ目は、循環的要因だ。2009年の年央から本格的回復に入った米国経済は、既に6年を超える上昇過程を歩んでいる。米国経済とて永久に上昇することはできない。そろそろピークを迎えることも想定される。 利払い費増、投資資金流出 ドル高に脆弱な新興国経済 ?今回のFRBの金利引き上げが、最も大きなマイナスの影響を与えるのは新興国だ。ドル金利が上昇すると、多額の債務を抱える新興国には金利支払い負担が一段と重くなる。 ?少し長い目で見ると、新興国の中には負担増に耐えられない国が出てくるだろう。既に金融市場では、トルコなど一部の国の信用状態に対する懸念が出ている。 ?米国金利の上昇によって、投資資金が一部の新興国から米国に回帰する=リパトリエーションが本格化する可能性もある。投資資金の流出で、経済活動に悪影響が及ぶことが懸念される。 ?また、新興国通貨が下落する場合には、当該国の輸入物価が上昇してインフレ率が高まることも予想される。そうした弊害を食い止めるため、メキシコやチリなどはFRBの金利引き上げに伴って自国の金利を引き上げた。 ?これらの国の景気は必ずしも良好なわけではない。むしろ、仕方なく政策金利を引き上げざるを得なかった。ただ、金利を引き上げると、当該国の経済にはブレーキがかかり景気をさらに冷え込ませることも考えられる。 ?今回のFRBの利上げで、ドルと自国通貨を連動させているサウジアラビアや香港など、ドルペッグ制度の諸国も金利の引き上げを行なわざるを得なくなっている。特に、中東諸国は原油安の影響で一段と財政状況の悪化が懸念される。 ?今後、ブラジルやコロンビアなど、中南米諸国もFRB利上げに追随する可能性がある。こうした動きがさらに拡大すると、新興国の経済は一段と下落傾向を辿ることになる。新興国経済の落ち込みは、原油など資源価格の下落などを通じて世界経済をさらに下押しすることになるはずだ。 ECB追加緩和も日銀緩和補完も効かず 金融緩和策はそろそろ限界に ?米国と並んで、景気の先行きに大きなリスクを抱える国を忘れてはならない。それは中国だ。中国経済の減速懸念はやや低下しているものの、来年以降も景気の緩やかな減速は避けられないだろう。 ?最近の共産党政権の方針は、成長率の鈍化よりも経済構造の変革を優先する姿勢が見える。李克強首相は、機能が低下したゾンビ企業を淘汰して、経済全体が抱える過剰設備を整理することを明言している。その方針には合理性はあるものの、短期的には景気の下押し材料になる。 ?中国政府が本気で経済構造の改革を断行すると、成長率はさらに鈍化して輸入にさらにブレーキがかかる。中国向けの輸出比率の高いブラジルやオーストラリアなどの資源国、IT関連部品の輸出が多い台湾や韓国などには痛手になるはずだ。 ?世界経済が抱えるリスク要因を考えると、それらを顕在化させずに順調な景気回復の過程を辿ることは難しくなるだろう。今までわが国やEUをはじめ多くの諸国が、経済活動を支えるために思い切った金融緩和策を取ってきた。 ?しかし、わが国やECB(欧州中央銀行)の緩和策にもそろそろ限界が見え始めている。その証拠に、12月3日のECBドラギ総裁の追加緩和策、同18日の日銀黒田総裁の補完策の効果はかなり限定的になっている。 ?それらの政策対応に対して、金融市場はむしろ“期待外れ”として失望感を表明している。今回のFRBの金利引き上げについても、これから米国経済がピークを打って、下落局面に入った時の政策余地を作ることが目的との指摘もある。 ?いずれにしても、今後の世界経済は米国次第で、米国景気の回復が続く間は、それなりの堅調さを維持することは可能だろう。逆に、その命綱が切れた時には、世界経済はかなり厳しい状況に追い込まれる可能性がある。その時は、わが国経済も例外ではありえない。 http://diamond.jp/articles/-/83646
米利上げ、ローン金利上昇も利子収入は増えず By RANDALL W. FORSYTH 2015 年 12 月 22 日 08:39 JST ? ゼロ金利政策で米国の株価は3倍になったが…
米連邦準備制度理事会(FRB)がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0〜0.25%に設定したのは金融危機のどん底にあった2008年12月のことだった。 その日から7年後の12月16日、金融政策の最高意思決定機関、米連邦公開市場委員会(FOMC)はその誘導目標のレンジを0.25%ポイント引き上げて0.25〜0.5%とすることを決め、長きにわたって予想されてきたことがついに現実のものとなった。その一方でやはり長い間聞かれた苦情があった。0%近い金利は米国の貯蓄者に不利益をもたらしているというものである。利上げはそうした人々が正当な権利だと考える利子収入を復活させることになる。 とはいえ、今のところはまだ何も変わっていない。米大手銀は最優遇貸出金利、プライムレートを直ちに引き上げた。30年前であれば、それは大手企業の借り入れコストの上昇を意味したが、消費者ローンやホームエクイティローンの金利上昇などで主に打撃を受けるのは今や一般庶民である。 預金に対して支払われる利子については、まだ引き上げられていない。マネー・マーケット・ファンド(MMF)の利回りについても大幅な上昇を期待すべきではない。ファンド会社は資金の流出を避け、よりもうかる金融商品の購入ができるように、経費を自己負担しながらMMFの利回りに0.01%ポイントを上乗せしてきたという背景があるからだ。 ゼロ金利政策(ZIRP)は投資家を株式や債券といったよりリスクが高い資産に引き寄せるために考案された。米国の株価が2009年3月の安値から3倍になったことを踏まえると、その目的は果たされたと言える。しかし、ZIRPが2015年に投資家にもたらした利益は実質的にゼロである。 モーニングスターのデータによると、米国の大型株のベンチマークと連動する上場投資信託(ETF)、SPDR S&P500 ETF(SPY)の年初から12月17日の取引終了までのトータルリターン(2%超の配当利回りを含む)は1.1%だった。同期間のSPDRダウ工業株30種平均ETF(DIA)のトータルリターンはわずか0.5%だった。 ナスダック市場に上場している時価総額が大きな銘柄に投資しているパワーシェアーズQQQ ETF(QQQ)のトータルリターンは9.6%とかなり好調だった。これは主に、36.1%上昇したフェイスブック(FB)、116%の急騰を示したアマゾン・ドット・コム(AMZN)、151%も上昇したネットフリックス(NFLX)、42.8%値上がりしたグーグルを傘下に持つ持ち株会社アルファベット(GOOGL)のおかげである。この4社(頭文字を取ってFANGと呼ばれている)に投資していなければ、これほどのリターンは上げられなかったはずだ。 海外市場への投資も不振に終わった。その主因はコモディティー価格と新興国市場に大きな打撃を与えたドルの高騰にある。米国を除く先進国市場に投資しているiシェアーズMSCI EAFE ETF(EFA)は1.4%ほど値を下げ、iシェアーズMSCI新興国市場ETF(EEM)は16%も下落した。 コモディティー価格の低迷は信用市場、特にリスクが高いハイイールド債セクターにもダメージを与えた。iシェアーズiBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF(HYG)はマイナス6.4%、SPDRバークレイズ・ハイイールド債ETF(JNK)はマイナス7.8%のリターンとなった。ジャンク債を避けて投資しているiシェアーズiBoxx投資適格級債ETF(LQD)のリターンでさえマイナス1.1%だった。 今年最も有効だったのは、米国市場だけに投資し、世界の市場を苦しめたリスクを避けるという戦略だろう。1年前、ウォール街の著名エコノミストたちのほぼ全員が米国債10年物の利回りが大幅に上昇すると予想したが、実際の利回りは昨年の大晦日とほぼ変わらずの2.19%となっている。それでもこのことは、iシェアーズ7-10年米国債ETF(IEF)の1.8%のトータルリターンに貢献した。 プエルトリコ自治連邦区、シカゴ市、イリノイ州などの財政危機が報じられたにもかかわらず、米地方債はiシェアーズ・ナショナルAMTフリー・ミュニ・ボンドETF(MUB)が2.4%のリターンを上げるなど、地味ながらも2015年のスターと呼ばれるにふさわしい実績を残した。 ? 2015年の教訓 1月のシャルリーエブド社(風刺週刊誌を発行)、先月のパリ、そしてカリフォルニア州サンバーナディーノ郡と、2015年はテロ攻撃が頻発した年としても記憶されることだろう。その一方で大統領選挙を来年に控え、米国人は既に内輪もめとなっている選挙運動で盛り上がっている。単純な解決策を次々と提示する極右、極左勢力が多くの支持者を集めているようなので、中道派が一致団結して物事を成し遂げるという可能性は残念ながら非常に低い。 そうした先行き不透明感は、投資家がキャピタルゲインを得られる可能性をより低くする。ウォール街のストラテジストたちは来年の株式リターンが約10%になると見込んでいる。彼らは昨年も同様の予想をしていた。悲観的で申し訳ないが、筆者は彼らがそうした楽観的な予想をしなかった年を思い出せない。来年の株式のリターンはプラスになるかと売り手側に聞くということは、床屋に自分には散髪が必要かと聞くようなものである。 2015年に学んだ教訓としては、市場が依然として中央銀行に依存しながらリターンを上げているということだ。FRBが2014年の終わりに量的緩和政策とバランスシートの規模の拡大に終止符を打って以来、米国株は実質的に停滞している。その他のリスク資産、特にハイイールド債は、ドル高がコモディティー価格に下げ圧力をかけたこともあり、大きく下落した。 利上げ受けた米国株、週末にかけて下落 By VITO J. RACANELLI 2015 年 12 月 22 日 08:41 JST •連邦公開市場委員会(FOMC)の後に下落 先週の株式市場は0.3%の下落だったが、数字以上の痛みを投資家に残したようだ。連邦準備制度理事会(FRB)が水曜日に市場の予想通りに利上げを発表する前に3%上昇していたが、その後の2日間の大量の売りで、前週末比マイナス圏まで下げてしまった。 投資家はFRBが示した今後の利上げペースが気に入らなかった。売りが大きくなったもう一つの理由は商品価格のさらなる下落で、世界経済の鈍化が懸念された。原油価格は週間で2.5%下落して1バレル当たり34.73ドルとなったが、3週連続の下落で52週安値となった。 主要株価指数は、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が0.8%安の1万7128ドル55セント、S&P500指数が0.3%安の2005.55となった。金曜日終値時点でS&P500指数は年初来2.6%、NYダウは4%の下落となっている。ナスダック総合指数は0.2%下落して4923.08となり、小型株のラッセル2000指数も0.2%の下落で、1121.02で週末を迎えた。 •米国経済は利上げに耐えられるか FRBは水曜日にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0〜0.25%から0.25〜0. 5%に、0.25%ポイント引き上げることを決めた。利上げは約10年ぶりである。FRBのイエレン議長は会合後の記者会見で利上げペースは「緩やか」になると明言したものの、FRBが予測する2016年末のFF金利の水準は1.375%だった。 これは4回の利上げがあることを示しており、来年の利上げは2回か3回との見方が多かった市場の予想よりも多い。ソラリス・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)であるティモシー・グリスキー氏は、FRBの会合が始まるに当たって市場にはある種の楽観論が広がっていたが、結局4回の利上げが示唆され、米国の経済指標が弱かったことも下落要因となったと語る。 アーレンス・インベストメント・パートナーズの最高経営責任者であるアンドリュー・アーレンス氏は、市場がFRBに対して米国経済は4回の利上げに耐えられるほど強くはないと言っているようだと語る。 雇用関連指標以外の米国の経済指標は横ばいか低下している。水曜日に発表された11月の鉱工業生産は前月比マイナス0.6%となり、過去3年で最も大きな下落となった。マークイットが発表した12月の製造業購買担当者景気指数(速報値)は前月の52.8から51.3に低下した。これに関してグリスキー氏は「ひどい値ということはないが、米国経済が不安定で活気がないということは示している」と付け加えた。 ウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンクのリージョナルCIOであるキャメロン・ヒンズ氏は、原油価格の下落と世界経済の成長鈍化が投資家の懸念として残っていると述べ、もし原油価格に底入れの気配が見られなければ、市場の動揺は大きくなるだろうと付け加えた。 その他のテクニカル的な理由もあり、短期的に値動きは大きくなりそうだ。機関投資家は、税金面を考慮して今年下落した銘柄を売却して損失を確定する動きに出るかもしれないと、ヒンズ氏もアーレンス氏も指摘する。来週はクリスマス休暇で取引が短縮され、多くの参加者が市場を離れるため、12月の残りは薄商いの中、上下のどちらであれ値動きが大きくなるかもしれない。 •2015年の市場のおさらい 2015年もあと数えるほどになってきたが、今年の株式市場は横ばいか下落で終わりそうだ。そう書くと、上下に大きく動いた相場を誤って伝えてしまいそうだが、今年のジェットコースターのような相場が終わって投資家は「せいせいした」と思っているかもしれない。米ドルを除いて、ほとんどの資産クラスのパフォーマンスはさえなかった。ミューチュアルファンドの大部分は市場に対してアンダーパフォームとなっており、成績が良かったのは大型グロース株ファンドぐらいだろう。 今年の株式市場の足を引っぱったのは四つの要因である。想定外に商品の下落が進んだこと(特に原油価格)、ドル高の継続、中国経済の鈍化と人民元の切り下げ、そしてFRBがやっと先週になって、米国経済が耐えられると判断して利上げに踏み切ったことである。12カ月前は、利上げが2015年の第1四半期に行われるとの見方が多かった。 ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズの調査責任者であるトーマス・リー氏は「これらの逆風が積み重なって大きな逆風となり、底流には中国の成長が壁に当たったとの懸念が残っている。市場にとってこれらの逆風全てに向かうのは困難だ」と語る。 2015年が始まった時に投資家が強気過ぎたことも一因だったようだ。エドワード・ジョーンズの投資ストラテジストであるケート・ウェーン氏は「ほとんどの投資家は、今年は昨年よりもよくなると思っていた」と述べる。実際、S&P500指数は5月に2131の史上最高値を付けた。 当時、ストラテジストは市場が10%以上上昇するとみていた。このコラムでも5〜10%の上昇を予想していた。アナリストの利益予想は2桁近い増益であり、S&P500指数の利益は、2014年の118ドルから129ドルに上昇すると予想していた。 しかしこれらは実現しなかった。7月に始まった原油価格下落の第2幕やFRBが利上げを躊躇(ちゅうちょ)したことが大きなネガティブサプライズになったからだ、とウェーン氏は語る。 原油価格の下落はエネルギー株の収益を損ない、ドル高は海外での売り上げに打撃となった。その結果、12カ月前の予想とは反対に第4四半期の決算が出そろった段階で2015年の企業収益は前年比でマイナスとなりそうだ。 投資家にとって教訓となったのは、2014年に原油価格が45%下落してもまだ足りず、2015年にまた30%下落して1バレル当たり35ドルになったことだ。バンクオブ・アメリカ・グローバル・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントのCIOであるクリス・ハイズ氏は、この「原油価格の二段下げ」がクオリティーの低い石油企業の大幅下落につながったと指摘する。その影響でそうした企業が発行するハイイールド債も急落し、非エネルギー企業のハイイールド債も連動して大幅に値下がりした。 同様のことが米ドルでも起こった。FRBによる利上げが市場の予想よりも遅れたにもかかわらず、2014年に米ドルが12%上昇した後に今年も10%以上の上昇となって投資家を驚かせた 金利について書くとすると、ある時期に投資家は低金利がより長期化すると考えて、株式市場の上昇要因となっていた。それとは別にFRBが利上げを躊躇していた時の市場は、米国の経済成長にFRBが自身を持てていないと解釈して下落した。8-9月の時期は中国が人民元を切り下げたことを受けて、中国の経済成長が壁に当たったと解釈した市場は12%の調整となった。 テクニカル指標に不透明感が大きく表れていること、特にブレス(値上がり銘柄数から値下がり銘柄数を引いた指標)の悪化に言及しないわけにはいかない。今年、読者諸氏のポートフォリオに非常に高パフォーマンスの銘柄である、アマゾン・ドット・コム(AMZN)やネットフリックス(NFLX)やフェイスブック(FB)やアルファベット(GOOGL)などの3桁の上昇を記録した銘柄が入っていなければ、最初からツーストライクで打席に入るバッターのようなハンディを背負っていたような年だったはずだと、コンバージェクスのチーフ・マーケット・ストラテジストであるニコラス・コラス氏は語る。 ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ・インベストメント・ストラテジストであるマーク・ルッシーニ氏は「今年の株式市場のパフォーマンスは数銘柄が支えていた」と指摘する。投資家の実際の肌間隔で言うと、大型株も小型株も含まれるラッセル3000指数(同指数は年初来で3.3%下落)に採用されている銘柄の65%が下落していたという事実が当てはまる。 現在、S&P500指数は史上最高値である2015年の高値から6%調整した水準にあるが、市場全体は調整局面にあるように思われる。セクター別で今年最高だったセクターは一般消費財で7.4%上昇した。ただしアマゾンやネットフリックスのおかげである。最も悪かったセクターはもちろんエネルギーで、2014年の10%下落の後に25%下落した。来週の当コラムでは、2016年について展望し、原油株が最終的には買い場となるかどうかを検証する予定だ。 ENLARGE http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LU510_ONBO72_NS_20151221032012.gif http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LU511_ONBO72_NS_20151221032114.gif http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LU512_ONBO74_NS_20151221032205.png 米国債、利上げに冷静な反応 By AMEY STONE 2015 年 12 月 22 日 08:40 JST • 利上げ後に米国債の利回りは低下 米連邦準備制度理事会(FRB)の9年ぶりの利上げを市場は当初冷静に受け止めているように見えた。先週の水曜日、FRBがフェデラルファンド(FF)金利を0.25%ポイント引き上げると発表すると株価は上昇したが、債券市場は安定していた。 利上げ発表以降、市場は大きく崩れることはなかったものの、木曜日と金曜日にコモディティー、株式、社債が売られるなど、不安定な動きを見せた。そして何より驚きだったのは、米国債の価格が上昇(利回りは低下)したことだ。 これは必ずしも投資家が予想していた動きではない。トレードウェブによると、ベンチマークの10年物米国債の利回りは米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催された水曜日の2.33%から下落して2.2%で週を終えた。通常はFF金利と連動する2年物米国債の利回りも、水曜日の1%から金曜日は0.96%に下落した。 イエレンFRB議長が水曜日に繰り返し述べたのは、利上げのペースは緩やかになる見込みであり、今後発表される経済指標次第であるということだ。しかし、イエレン議長はまた、労働市場は改善しており、インフレ率は目標の2%に向かっていると確信していると述べた(同議長は現在の低いインフレ率と米国の緩やかな経済成長は一時的なものと考えている)。水曜日に発表された、FRBメンバーの今後の利上げ見通しを示したドット・プロットは、来年中に4回程度の利上げがあることを示している。 多くの投資家はこの点に異論を唱える。ブラックロックでファンダメンタル債券担当の最高投資責任者(CIO)を務めるリック・リーダー氏は「FRBが来年4回利上げを行うと考えるのは楽観的だ」と述べた。同氏は、雇用の伸びはピークに達しており、中国の景気減速とコモディティー市場の低迷が米国経済の重しになるとみる。リーダー氏はこれまでで2016年に2回の利上げを織り込んでいる先物市場は正しいと考えている。 広告 利上げから数日が過ぎただけで市場の反応を深読みするのは時期尚早だ。また、モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャーのジム・キャロン氏は、年末のポジション形成が市場の動きを読みにくくしていると指摘する。 債券投資家は楽観的に考えることも可能だ。ウエスタン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャーのジョン・ビロウズ氏は、0.25%ポイントの利上げは景気が減速するほどのものではなく、「実体経済に関していえば、金利は上昇するどころかむしろ低下している」と述べる。 • 2015年に最も好調だったのは地方債 2015年に最もパフォーマンスが好調だった債券のセクターは、当コラムでも繰り返し推奨した地方債だった。地方債の2015年のリターンは約3%で、多くのクローズドエンド型の地方債ファンド、中でもレバレッジを利用しているものや、低格付けのハイイールド地方債を組み入れているもののパフォーマンスは特に良好だった。地方債のリターンは税引き後ベースでは特に際立っている。 ウェルズ・ファーゴ・ファンズのチーフ債券ストラテジストであるジム・コーチャン氏は「2015年は地方債にとって良い年だった」が、2016年は厳しい年になると予想する。地方債の利回りが2%を割り込めば、投資家はデュレーションを短期化すべきと提案する。同氏は、投資できる資金があれば、2016年には買いの好機が訪れるだろうと述べている。 ENLARGE • http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LU831_ONBO72_NS_20151221183653.gif •
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