1. 2015年12月22日 18:07:14
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禍根残した日銀補完策、「市場との対話」や企業選別に課題[東京 22日 ロイター] - 日銀の量的・質的金融緩和(QQE)補完策は、いくつかの点で禍根を残した。発表後に日本株が乱高下したことで「市場との対話」が問題視され、発表時間を固定すべきとの声も浮上。補完策で示された設備や人材に積極投資する企業を対象とした新たなETF(上場投信)買い入れ策は、企業を選別する要素があり、中央銀行の職責の範囲内に収まるのか、市場の一部では懸念する声も出始めた。 <株価反落させた「脚注」> 日経平均.N225は、日銀決定会合2日目の18日、大きく動いた。QQE補完策発表後に一時500円を超す上昇となったが、追加緩和ではないとの認識が広がると急速に軟化。終値では366円安まで下げ幅を広げた。日中値幅は886円と終値に対して約4%の変動、今年3番目の大きさとなった。 日銀の発表を受けて、市場が勝手に判断し、売買したことで起きた乱高下と言えるかもしれない。ただ、情報発信の仕方には改善の余地があるとの指摘が、一部の市場関係者から出ている。 株式市場が最初、買いで反応したのは、新たなETFの買い入れ枠設定が発表されたためだった。QQEの柱の1つであるETF購入額の増額については「追加緩和かと思った」(国内証券・株式トレーダー)との反応が多かった。 しかし、発表文をよく見ると「脚注」に、過去に日銀が買い入れた銀行保有株式の売却を再開するとある。額はともに3000億円。今回の策は日本株に対してニュートラルとの見方が広がり、株価は一気に軟化した。 発表文の構成が「緩和的なニュアンス」を出そうという日銀の演出意図があったのか不明だ。しかし、今回の株価乱高下について、株式市場からは「先進国の主要株価指数が短時間に上下で4%振れることは、健全な市場とは言えない」(岡三証券・投資戦略部シニアストラテジストの大場敬史氏)との批判の声があがっている。不必要なボラティリティの高まりは長期投資家を敬遠させかねない。 <思惑呼ぶ「終了時間」> 今後は、日銀決定会合の「終了時間」がより注目を集めるかもしれない。今回、日銀の発表は午後零時50分だったが、同30分を過ぎたころから、日経平均はじりじりと上昇を開始していた。 過去の決定会合の傾向から、追加緩和がある場合は、午後零時30分を過ぎるケースが多かったためだ。 米連邦準備理事会(FRB)は日本時間で午前4時、欧州中央銀行(ECB)は同午後10時半と、決定内容の公表時間が決まっている。 「できるだけ早く公表する」(日銀広報部)というメリットもあるが、決定時間によって、市場に思惑を呼びやすいというデメリットもある。もし、議論が白熱し発表が遅くなった場合、市場は追加緩和を期待し、もし政策据え置きであれば、失望する可能性は大きい。 期待と失望がプラスマイナスゼロになればいいが、今回の株価の動きにみられるように、金融市場ではいったん期待した後の失望は大きくなりがちだ。株価をターゲットに金融政策が行われるわけではないが、株価の動きは、人々のインフレ期待に影響を与える可能性がある。 SMBC日興証券・チーフエコノミストの牧野潤一氏によると、現在の中央銀行の考え方は、人々の期待そのものに影響を与えるニューケインジアンが主流となっており、中央銀行の金融政策に対する期待は株価に表れるという。 今回の補完策は結果的に株価を下落させ、人々の「インフレ期待を委縮させた」と指摘している。 <「選別」に踏み込んだ日銀> 今回、新たに導入されたETF買い入れ策への批判もある。対象は「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」だ。当初はJPX日経インデックス400.JPXNK400に連動するETFだが、趣旨に合致する新規のETFが組成された場合には、買い入れ対象に加えるとしている。 日銀はこれまで日経平均やTOPIX.TOPX、JPX日経400など、株価指数に連動するETFを対象に購入を進めてきた。中央銀行が株式を購入すること自体が世界で類をみないが、日銀側は、あくまで株式市場を通じた資金提供を目的とし、市場でも量的緩和策の一環と捉えてきた。 しかし、今回、日銀は「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」という「選別」に踏み込んだ。 「個別企業を選択するのなら、それはQQEの域を脱している」と、マネックス証券・チーフストラテジストの広木隆氏は厳しい見方を示す。政府は賃上げや設備投資を後押ししようとしているが「日銀が政府の言いなりとなり、民間企業への行き過ぎた介入とみられても仕方ない」という。 ミョウジョウ・アセット・マネジメントCEOの菊池真氏も「中央銀行が企業を選別して買う行為は、まるで新興国に多い国家管理経済であり、米国のような自由市場経済から後退する」と指摘。「このままでは日銀の信頼性に疑問符が付き、ひいては円や日本株に対する信用力を落としかねない」と懸念を示している。 (杉山容俊 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/boj-idJPKBN0U50HQ20151222
焦点:長期金利は低下余地探る、くすぶる日銀緩和期待
[東京 22日 ロイター] - 来年の10年長期国債利回りJP10YTN=JBTCは低下余地を探る展開になりそうだ。2016年度の新規国債発行額が減少する一方で、日銀の国債買い入れは償還見合いで増額される方向にあり、需給は一段と引き締まる見込み。 原油安の長期化から物価シナリオに不確実性が強まることも想定されており、日銀の追加緩和への思惑がくすぶり続けるとの指摘も出ている。一方、流動性低下による金利上昇の懸念を示す声もあった。 市場参加者の見方と予想レンジは以下の通り。 ●需給逼迫、長期金利0.1%も <東海東京証券 チーフ債券ストラテジスト 佐野一彦氏> 財務省が国債の市中発行額を減らす一方で、来年は日銀の国債買い入れが増額されて買う年限が長くなるため、需給は逼迫する。また、米利上げが複数回にならなければ、ドル高の修正が起きる可能性があることも影響しそうだ。米国の長期金利の上昇も抑制されるだろう。欧州の景気・経済は良くならないとみている。 ただ、日本の10年債利回りレンジで0.750%の上限を見ているのは、一段と流動性が低下する可能性があるためだ。 10年長期国債の予想レンジ:0.100─0.750% ●超長期ゾーンの買入額が焦点 <みずほ証券 シニア債券ストラテジスト 丹治倫敦氏> 来年1月の日銀による国債買い入れ計画が発表されたが、これだけだと平均買い入れ年限は9年ぐらいにとどまる。まだ延ばす余地があるということだ。したがって、超長期ゾーンの買い入れ額をどこまで増やしてくるかが焦点になる。足元の超長期ゾーンは売り手も買い手も少ないので、おそらく海外投資家が売り手の候補になりそうだ。海外投資家が売っても良いと思う水準、つまり、どこまでイールドカーブがフラットニングできるかということになる。 日銀オペの「札割れ」はひとつのテーマで、仮に起きた場合は、マーケットでいろいろな思惑が錯綜するだろう。ただ、全面的なテーパリングはしないとみている。 10年長期国債の予想レンジ:0.250─0.500% ●超長期ゾーンの需給が一段とタイト化 <ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏> 日銀の国債買い入れが増えることで、超長期ゾーンの需給が一段とタイト化することになるだろう。30年債、40年債の買い入れが増えたので、後ろからカーブを潰していくような効果が想定される。また、日銀の補完措置はフレキシビリティが高まり、長い年限を買う方向のため、基本的にイールドカーブはフラット化することになりそうだ。 超長期ゾーンのリスクは、ボラティリティで、基本的にイベントリスクには弱い。何らかの政治的なショックがあった場合、超長期債の金利が下がらなくなることがあり得る。ただ、参議院選挙で自民党が負けるというシナリオは考えにくい。政治的な混乱は無縁だろう。また、米国の大統領選挙に関しても円債市場への影響は限定的とみている。 10年長期国債の予想レンジ:0.250─0.400% ●ドルのバランスシート縮小 <JPモルガン証券 チーフ債券ストラテジスト 山脇貴史氏> 米連邦準備理事会(FRB)が、どの程度利上げできるかにもよるが、ドル調達がグローバルで厳しくなる中で、米国以外でのドルのバランスシートの縮小が始まることが想定される。円債市場に国内勢の運用資金が回帰する可能性がある。 新興国を中心とした世界景気懸念などを背景に、原油をはじめとする商品価格の先安観が先進国にどの程度波及してくるのか見極めながらの神経質な展開になりそうだ。 日銀は国債買い入れオペの持続性を考慮に入れて、補完措置を決めたが、仮に物価シナリオが崩れるようなことがあれば、日銀の追加緩和があってもおかしくない。 10年長期国債の予想レンジ:0.200─0.350% (伊藤武文 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/frb-idJPKBN0U50KY20151222 長期金利が小幅上昇、高値警戒感で売り優勢−2年入札「弱め」との声 2015/12/22 15:46 JST
(ブルームバーグ):債券市場では長期金利が小幅上昇。前日の米国債相場が続伸した流れを引き継いで買いが先行した後、高値警戒感から売り優勢に転じた。今日実施の2年利付債入札について、市場参加者からは弱めの結果との見方が出ていた。 22日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と変わらずの0.27%で開始し、一時1ベーシスポイント(bp)高い0.28%に上昇した。その後は0.275%で推移した。 新発20年物の155回債利回りは横ばいの0.995%で始まり、いったん1.005%を付けた後、1.00%で取引された。新発30年物の49回債利回りは1bp高い1.275%で始まった後、1.265%を付けた。新発40年物の8回債利回りは横ばいの1.39%で始まり、その後は1.38%に下げている。 JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「20年債利回りが1.0%を下回り水準面から徐々に買いづらさもある」と指摘。一方、前週末に日本銀行が発表した金融緩和の補完措置は「想定された材料」としながらも、「実際の需給タイト化の効果は大きい。前週の20年債で主要な国債入札を終了し、日銀は年明けから買い入れを増やすため需給は逼迫(ひっぱく)する」と語った。 長期国債先物市場で中心限月3月物は、前日比3銭高の149円01銭で始まり、すぐに149円03銭を付けた。その後は下げに転じ、148円91銭まで下落。午後は横ばい圏で推移し、結局は1銭安の148円97銭で引けた。 モルガン・スタンレーMUFG証券の杉崎弘一債券ストラテジストは、「今週は休暇に入った外国人投資家も多いとみられ、市場は静かで流動性もだいぶ落ちているようだ」と指摘。「そうした中で日銀補完措置を受けて超長期ゾーンが買われ、イールドカーブはフラット(平たん)化している。特に30年債と40年債は今までは20年債に比べ、あまり買われていなかった面がある」と述べた。 2年債入札 財務省が今日発表した表面利率0.1%の2年利付国債(360回債)の入札結果によると、平均落札利回りがマイナス0.013%と、前回に続いて過去最低を更新した。最低落札価格は100円22銭と市場予想を5厘下回ったが、最高落札利回りはマイナス0.009%と前回に続いて最低水準となった。小さいと好調な入札を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は8厘と、3月以来の大きさ。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は4.72倍となり、前回の5.18倍から低下した。 バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、2年債入札結果について、落札利回りは過去最低水準で決まったが、応札倍率が低下し、テールも拡大したと指摘。「市場予想よりやや弱めだった。海外投資家がクリスマス休暇で閑散なことや、ドル・円ベーシスのマイナス幅が縮小したため、一時期に比べて妙味が減っていることが要因だろう」と話した。 前回入札された2年物の359回債利回りは0.5bp高いマイナス0.035%で始まり、入札後にはマイナス0.06%まで低下し、その後はマイナス0.055%。360回債利回りはマイナス0.015%と、平均落札利回りを若干下回って推移している。 今週末には来年度政府予算案が閣議決定される見込み。麻生太郎財務相は、政策懇談会後に記者団に対して、2016年度予算案について、「総額96兆7000億円。新規国債発行額は34兆4000億円、税収は57兆6000億円程度。公債依存度は35.6%と、2008年(30.5%)以来の水準。一般歳出は5300億円増加に抑制する」と説明した。 21日の米国債相場は小幅続伸。10年債利回りは前週末比1bp低下の2.19%程度。米連邦公開市場委員会(FOMC)がほぼ10年ぶりに利上げを実施した後も買いが優勢になっている。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 崎浜秀磨 更新日時: 2015/12/22 15:46 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZP6156K50YD01.html
視点:日本経済の「3つの命題」=マイケル・スペンス氏 ニューヨーク大学教授/ノーベル経済学賞受賞者 [東京 22日] - ノーベル経済学賞受賞者でニューヨーク大学教授のマイケル・スペンス氏は、日本の大きな課題として、競争とイノベーションの激しい貿易財セクターに依存しすぎていること、グローバルな政策調整における影響力が経済力対比で弱まっていること、停滞する日中関係の3点を挙げる。 解決策としては、需要拡大や非貿易財セクターの生産性向上を促す改革、次世代リーダーたちによる優先順位の転換、歴史認識問題解決への本格的着手が必要と説く。 同氏の見解は以下の通り。 <非貿易財セクターの生産性向上> 日本は、明らかに競争とイノベーションが非常に激しい貿易財セクターに依存しすぎている。世界貿易が落ち込む中、このことは日本経済の成長に対して過大な影響を与えている。 日本は、需要の拡大、そして非貿易財セクターの生産性上昇率を高めるような改革に集中する必要がある。これは、多くの分野に関わる非常に大きな政策課題だ。 <次世代人材による国際影響力向上> 日本経済の規模や高い発展度に比べて、国際舞台での政策や連携に関する日本の影響力は小さくなっている。次世代のビジネスリーダーや政策決定者、外交官には、このトレンドを転換させることを優先事項としてもらいたい。 <日中関係正常化へ歴史問題解決に本腰を> 日本と中国は徐々に関係を正常化し、互いに生産的になる必要がある。これは、簡単なことではない。双方で、歴史認識問題の解決に全面的に取り組むことは、(関係正常化への)助けになろう。そうすることで、日本は、歴史問題を最重要視していることを明確にできる。防衛力の増強については、強い立場で交渉に臨むために、恐らく続けるべきなのだろうと思う。 *マイケル・スペンス氏は、米国生まれの経済学者。2001年にジョージ・アカロフ氏とジョセフ・スティグリッツ氏とともに、情報の非対称性に関する研究でノーベル経済学賞を受賞。2010年9月よりニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネス教授(経済学)。スタンフォード大学フーバー研究所のシニアフェロー兼同大学経営大学院フィリップ・H・ナイト名誉教授も務める。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。 http://jp.reuters.com/article/view-michael-spence-idJPKBN0U11ES20151222?sp=true
焦点:日本株の強気支える業績期待、失望リスクに警戒 [東京 22日 ロイター] - 来年の日本株に対する強気を支えるのは企業業績への期待だ。他国の企業に比べて高い10%前後の増益率が予想されている。だが、中国などグローバル経済は不安定であり、為替が円高に振れれば、大きな逆風となる。 参議院選挙を控えているものの、手詰まり感が漂う金融・財政政策に対する期待も薄らいできている。頼みの企業業績が減益となれば失望リスクも大きくなるため、警戒が必要だ。 市場参加者の見方と予想レンジは以下の通り。 ●国内の株価押し上げ要因乏しく、大きな上振れ期待薄 <三井住友アセットマネジメント シニアストラテジスト 市川雅浩氏> 16年7月の参院選に向け来年初から政策期待が高まる可能性もあったが、すでに法人実効税率の引き下げや、補正予算編成など政策の概要がみえている。市場が相当に荒れない限り追加の政策は期待しにくくなった。円安効果が剥落し企業収益の押し上げも弱くなる。日本株は国内要因より海外要因に左右されやすい年になりそうだ。米景気が良好で利上げが順調に進めば、米株高から日本株上昇に波及することも考えられるが、原油安に伴うリスクオフは引き続き警戒しなければならない。年後半は17年4月の消費税引き上げも意識される。国内要因が弱く、大きな株価上振れは期待しにくい。来年末の日経平均は2万0800円程度を想定している。 日経平均の予想レンジ:1万8500円―2万1500円 ●円高圧力や慎重な会社予想で年前半は軟調、業績上振れで後半高に <SMBC日興証券 株式ストラテジスト 圷正嗣氏> 来年は前半安・後半高を見込む。年前半は、これまでのドル高基調の反動から円高圧力が強まることが日本株の重しとなる。ドル/円はすでに複数回の米利上げを織り込んでいる。加えて企業の慎重な来期予想も株価の勢いを削ぐだろう。TOPIXの予想1株利益で8.8%成長を見込んでいるが、当初の会社計画はそれを下回るとみる。ただ秋口の中間決算に向けて上方修正などが広がり、株価も水準を切り上げそうだ。PERはアベノミクス相場の平均レンジである14─15倍程度にとどまる見通し。中間決算以降は2017年4月の消費増税を警戒する形でやや伸び悩み、来年末の日経平均は2万2000円を想定している。 日経平均の予想レンジ:1万8500円―2万2500円 ●夏ごろに大幅調整局面も、96年高値更新は困難 <みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト 三浦豊氏> 2013年以降、毎年1回は高値から15%─20%近く下げる局面がある。また様々な理由はあるが、毎年夏から秋にかけて大きな調整が起きやすい。来年も同様に、8─9月にかけて15─20%程度、調整することもあり得る。ただ、今年夏は大幅調整した後、年末にかけていったん2万円を回復した。来年については、高値のタイミングは5─6月ごろとみているとみているが、年末にかけて再び戻していくイメージを持っている。今年は2000年高値を瞬間的に超えたが、実質的には抜けられなかった。来年は同高値を維持できるかというところだが、2万2600円台にある96年高値(終値ベース)を超えるのは難しい。 日経平均の予想レンジ:1万8000円―2万2000円 ●国内企業の利益成長率は優位、ガバナンス強化も押し上げ要因に <アムンディ・ジャパン 市場経済調査部長 濱崎優氏> グローバルの景気は今年よりは良くなるだろう。日本企業の業績は円安メリットがはく落してしまうとはいえ、来期も10%近い利益成長が見込まれている。ガバナンス強化の流れによる株価押し上げ効果も働くだろう。中国経済の失速などのリスクもあるが、海外投資家は基本的には日本株を積み上げる方向にある。国内企業の利益成長率も、欧米などに比べやや優位にある。米利上げについては、来年は2回と想定している。仮に年4回ならばペースは早く、拙速に上げる形となれば米景気の悪化につながる。ただ米景気が思わしくないなか、杓子定規に四半期ごとに利上げすることもあり得ない。一方、米景気が良くて年4回の利上げとなれば株価としてもポジティブだ。 日経平均の予想レンジ:1万8000円―2万3000円 (株式マーケットチーム 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/tokyo-s-idJPKBN0U50KL20151222
焦点:米利上げにらみドル/円上値試し、リスクは一段の原油安
[東京 22日 ロイター] - 来年のドル/円JPY=は、米国の利上げペースに対する思惑で揺れそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの金利見通しから示唆される年4回に市場の予測が近づいていけばドル高、逆にペースが緩やかになるとの予測が広がればドル安になるとみられている。 国際商品市況が低迷するなか、為替市場はリスク回避姿勢を強めており、原油価格の持ち直しがみられるかどうかも注目ポイントだ。 市場参加者の見方と予想レンジは以下の通り。 ●ドルは135円視野、2回目利上げ後は緩やかな上昇に <野村証券 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏> ドル/円は135円への上昇があるだろう。3月に米国で利上げがあれば、これまで2回目の利上げはできないとみていた人々がシナリオ変更を迫られドル買いに動き、130円まで急上昇する余地がある。需給も円安を支援する。経常黒字を年間20兆円とみても、直接投資や年金、投資信託から計30兆円超の円売りが見込まれる。もっとも、2回目利上げ以降のドル/円は上昇ペースが緩やかになる。来年度は年金の円売りが和らぐほか、3月利上げで先行きまで織り込まれる結果、その後の追加利上げでも米金利は上がりにくくなる。 ドル/円予想レンジ:120─135円 ●ドル高・人民元高の構図崩れ、ドル/円の下値リスク顕在化も <三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏> リーマン・ショック後、ドル高と人民元高により日欧や新興国等を支援する構図は、8月の人民元切り下げにより中国が一抜けを図ったことで崩壊したとみている。米国は資源国以外の面倒は見きれず、為替市場ではこれまでに累積したドルロングの巻き戻しが進展し、今後ドル/円の下値リスクが高まる可能性がある。 米利上げのペースについては、今年9月に世界経済の不透明感を理由に利上げを延期したことからみても、米国単体で決められることではない。FOMCメンバーの金利予想は、外部環境が許せば、最大4回実施するとの意味で、中国や新興国・資源国のリスクが顕在化すれば、利上げの回数は減っていく。 日銀やECBは、サプライズを伴う金融緩和で株高・通貨安を演出してきたが、足元では、市場の過剰な期待が現実の政策を凌駕(りょうが)し、その後の失望を招くようになり、手詰まり感が否めない。ここ3年続いてきた為替市場の建て付けが変わることになるだろう。 ドル/円予想レンジ:110―125円 ●日米金融政策の方向性の違い意識、株価堅調ならドル130円超目指す <マネースクウェア・ジャパン シニアアナリスト 山岸永幸氏> ドル/円は日米金融政策の方向性の違いから緩やかな上昇となる公算が大きく、131円程度まで上値を伸ばす可能性がある。連動性の高い日経平均株価の方からアプローチすると、チャート上では、89年高値(終値ベース)と、09年安値(同)の半値戻しにあたる2万2985円が日経平均の次の上値めどになる。好条件が揃い、日経平均が2万3000円付近まで上昇すれば、ドル/円は131円程度までの上昇が正当化される。 一方、ドル/円の下値は120円をめどにしておきたい。安いドルを調達したい参加者が多く、下がったところではドル買いが入りやすい。突発的にリスク回避姿勢が強まれば118円付近までの下落もありそうだが、そこから円高方向に進む可能性はそれほど高くないだろう。 ドル/円予想レンジ:120─131円 ●中国配慮で米金利の上昇余地は限られる、円安にはなりづらい <SMBC日興証券 シニア金利ストラテジスト 野地慎氏> 米利上げのペースをめぐるFOMCメンバーと市場の見方にかい離が残る中、最近の為替市場では、ドル高/人民元安という新たなテーマが浮上しつつある。 中国は消費を軸とした経済回復を目指しているが、老齢化が加速する中での内需拡大は容易ではない。そこで株価維持と外需に頼る政策となり、対ドルで緩やかな人民元安を容認している。しかし、人民元安は中国を貿易相手とする新興国の株安や通貨安につながりやすく、自国通貨安を抑制するための新興国のドル売り介入は、米国債の需給を緩和し米金利低下を促す。また、人民元安は中国の購買力の低下を意味し、資源国のみならず米国経済にもマイナスとなる。 以上から、FOMCが想定するほど頻繁な利上げは実現せず、利上げにセンシティブな米5年国債利回りUS5YT=RRは、来年末も現在と同水準にとどまると予想する。日本国債の金利も横ばいと仮定すれば、日米金利差は拡大せず、円安にはなりづらいだろう。 米5年国債利回り(2016年末時点):1.6―1.7% (為替マーケットチーム 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/fomc-idJPKBN0U50JV20151222
アングル:税収上振れ分の恒久財源化、政府内に亀裂 波乱要因に [東京 22日 ロイター] - 税収上振れ分を恒久財源にできるのか──。このテーマで政府内に深刻な亀裂が生じつつある。成長戦略や社会保障の財源として使いたい諮問会議の民間議員、内閣府と安定的な財源にはなり得ないという財務省の主張は平行線。今後、諮問会議で議論される見通しだが、このまま対立が続けば、来年のマクロ経済政策の策定に向け、大きな波乱要因となりかねない。 「補正の規模をできるだけ小さくして財政再建を前倒しでやる姿勢では将来大変なことになる、と総理(安倍首相)自ら財務省(の幹部)に述べた。成長があって初めて財政再建があるというのが基本方針であると(安倍首相は)注文を付けた」──。 甘利明・経済再生相は22日の会見で、短期的な財政健全化の数値達成よりも、成長することが重要であるとの安倍晋三首相の基本姿勢を力説した。 この発言の背景には、アベノミクスの成果である税収増を名目国内総生産(GDP)600兆円目標の達成や1億総活躍政策実現に向けた財源に活用しても問題ないという甘利担当相の意図がありそうだ。 諮問会議の民間議員も、甘利担当相と同意見だ。伊藤元重・東京大学教授は「安倍政権での税収増は、消費税率引き上げを除いても7─8兆円ある。アベノミクスの成果を1億総活躍と財政健全化に還元して、600兆円経済を確実に実現していくことが重要だ」と11月末の諮問会議で主張した。 伊藤教授は、株高による資産効果で高齢者層が保有する資産所得が拡大していることを活用し、贈与・相続税の増税を実施し、少子化対策の安定財源とする案を提案している。 消費税の軽減税率導入の財源として、税収上振れ分を活用する案も浮上している。甘利再生相は「アベノミクスの成長の上振れをどう使うかという議論もある」(12月11日の会見)と述べ、税収増を恒久財源として使う選択肢も容認する考えを示している。 榊原定征・経団連会長は、アベノミクスによる税収増を活用すべきとの立場は同じだが、消費税引き上げ前の駆け込み需要対策として、住宅・大型家電取得にかかる税制上の減免措置や自動車関連税制の見直しの検討などを求めている。 こうした中で内閣府は、年明けに公表する財政の中長期試算で、名目成長率を従来よりも高めに置くことも検討中。税収は、成長率引き上げ分が上振れすることになる。 名目成長率引き上げを前提に、子育て支援や消費税10%時の対策を策定すべきだとの声もある。 一方、麻生太郎財務相は、税収増を活用することに対し「毎年1兆数千億円の(税収)上振れが確実ならいいが、毎年出ていくのが大きな問題」(1日記者会見)だと否定的だ。「安定した財源がない形で、というのはできない」あえと強調している。 財務省は、ここ数年間の税収増は景気循環や株高・円安効果による法人税収と所得税収の増加が寄与していると分析。世界的な景気循環などを無視し、このような外的な環境が永続すると仮定するには無理があるとの立場だ。 内閣府幹部は「税収増を恒久財源として位置付けるかどうかは、これからの議論になる」と話し、諮問会議関係者も「24日の諮問会議で早速、この問題を取り上げたい」と話す。 政府関係者の中には「内閣府と財務省の対立が再び始まることになるだろう」との見方を示しつつ「そもそも財務省は、この問題で議論する気すらないだろう」と予想する。 2015年度予算では、税収上振れ分のうち「一部を国債の返済に充て、残りは喫緊の課題に回る補正予算に充てる」(民間議員・高橋進・日本総研理事長)ことになったが、「今後は補正という形で追加的に使うのではなく、最初から税収増を予算として織り込むのが自然」(同氏)と指摘。この点で財務省を説得する必要があると話す。 政府内の対立構図について、池尾和人・慶応大学教授は「安倍政権は不況を体験していないが、景気循環は必ずある。景気後退時には、今度は法人税などの大幅な税収減にさらされる。財政黒字ならまだしも、赤字状態なのに税収増が財源になるという考え方に違和感がある」と述べている。 (中川泉 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/abe-amri-aso-idJPKBN0U50OP20151222
16年度予算、PB黒字化に向け改革初年度にふさわしい=麻生財務相 [東京 22日 ロイター] - 政府・与党は22日、歳出総額96兆7000億円となる2016年度一般会計予算案を固めた。税収は57兆6000億円と24年ぶりの高水準となり、新規国債発行額は34兆4000億円に抑えた。麻生太郎財務相が、同日午後の政府与党政策懇談会後、記者団に明らかにした。 16年度予算では公債依存度が35.6%に低下する。麻生財務相は、税収増が国債の減額につながったとし、「方向は間違っていない」と語った。骨太の方針で定めた経済財政再生計画の初年度にふさわしい予算になったと述べ、政府が掲げる2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標達成に自信を示した。 一方、安倍晋三首相は同懇談会で、一般歳出の実質的な増加を5300億円に抑えたことを踏まえ、経済財政再生計画を「しっかり具体化している」と評価。その上で、安倍政権発足から新規国債の発行額が10兆円減ったと指摘し、「成果は明白だ」と強調した。 http://jp.reuters.com/article/aso-pb-idJPKBN0U50G520151222
来年度予算96.7兆円と過去最大、公債依存8年ぶり低水準−税収増で 2015/12/22 16:59 JST (ブルームバーグ):麻生太郎財務相は22日、2016年度一般会計予算の総額が96兆7000億円になることを明らかにした。過去最大を更新する。税収が伸びることで公債依存度はリーマンショックが起きた年度以降の8年間で最も低い水準になる。 政府・与党が政策懇談会を官邸で開いて予算案の大枠を了承した。新規国債発行額は34兆4000億円と2年連続で40兆円台を下回る。税収は57兆6000億円と1998年度当初予算(58兆5220億円)以来の規模に膨らむ。税収は4年間で消費増税分含め約15兆円伸び、国債発行額は約8兆円減った。政府は24日に閣議決定する。 この結果、公債依存度は35.6%とリーマンショックが秋に発生した2008年度当初予算(30.5%)以来の低い水準となる。一般歳出増を5300億円と、18年度までの3年間で1.5兆円に抑制する政府の財政健全化計画の「目安」に沿って抑えたことも公債依存度低下につながった。 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、16年度予算について「着実に財政再建が進んでいる」と評価した。消費税を上げると税収が増えて消費税を除いたところも増えているとした。その上で「消費税を上げるのは財政再建の切り札なので、消費増税は確かに景気に悪影響を与えるが過度に消費増税が景気を腰折れさせるというのは出てきた数字から見ると誤りだと思う」と指摘した。 安倍晋三首相は政府与党政策懇談会でのあいさつで「少子高齢化に正面から挑戦し、地方創生も本格的に展開していく予算とする」と発言。「1日も早く成立させ、景気回復の実感、そして1億総活躍社会に向けた新たな希望を全国に届けたい」と述べた。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 下土井京子 kshimodoi@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎, 青木 勝 更新日時: 2015/12/22 16:59 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZQYCE6JIJUO01.html
[12初期非表示理由]:管理人:関連が薄い長文 |