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技術革新とデフレ
最先端をいく技術や、サービスがどんな場合にでも市場を拡大させるわけではない。
なるほど最先端の医療や、革新的なサービスは、個人や社会にとって有意義なものが多いが、しかしそれらがいつも市場を拡大させるとは限らない。
特にデフレ下では、市場全体を拡大する重要な素因ではない。
日本はイノベーションを繰り返す以外に現状を打破する道はない、などという人達がたくさんいるが、本当にそうだろうか。
例えば携帯電話の普及は、社会にとっても、個人にとっても非常に有意義なものであるが、それが市場を拡大させたとは思えない。
日本の携帯電話の普及は、デフレの深刻化と共に、進んでいった。確かに携帯電話産業は、発展し隆盛を迎えている。しかしそれに連れて日本のデフレも深刻化していったのである。
携帯電話という一つの産業の隆盛は、多くの資源を費やす。労働力も、資金も流れていく。しかしデフレ下でのこのような現象は、他の産業の資源を奪い取り、労働力も、資金も、流出して行く。
デフレ下では、市場の資金が循環的に増えないため、一つの産業の勃興が多くの他の産業を衰退、荒廃させることになる。
若者や主婦層がスマホをよく使うため、それにコストがかかり他の物を買えない、あるいは買ってくれないという愚痴が聞こえてくる。
結局、日本の携帯電話の隆盛は、一つの産業の隆盛となり、全体の市場を拡大させることはできなかった。
しかも日本のガラケーと呼ばれる日本独自のものは、世界に発展していく事なく萎んでしまったのである。
もし日本が正常な市場の状態にあれば、ガラケーが世界に進出したかもしれないし、少なくとも国内需要が活発であればガラケーがなくなることもなかったであろう。
今デフレ下でも新しい技術や、研究が次々と市場に投入される。
正常な循環経済にある市場では、企業はさらなる売上拡大を目指し、あるいは利益増大を図るために、新たな技術、サービスを導入する。
しかしデフレ下では、企業は、売上の維持のため、借金返済のため、矢継ぎ早に、前倒しで新技術を投入せざる負えない。
それができなければ、規模や人員を維持できなくなるからである。
しかしその現場がデフレ市場である場合、投入した新技術や新しい商品は、消費不足のため、思ったほど売れなく、付加価値も少ないものになる。
そのため次々と新製品を投入していくことになる。それが現在の家電業界にみる惨状であり、今までの研究成果を使い果たしたのである。
逆に新商品が途方もなく売れれば、それ以外の産業の商品が割りを食うことになる。
企業の淘汰や、衰退の方が大きく、市場はほとんど拡大しないのである。一将なりて万骨枯る結果となる。
ハイブリッド車や、地デジ、なども減税までして導入を図っても、デフレの解消には至らず、家電界は低迷を続けており、車の国内販売も成長カーブを描いていない。
それどころかデフレ下の減税処置により、家電業界は窮地に陥ってしまった。地デジ化の推進のための減税や、エコ減税などは、デフレ下では、価格弾力性が高いので、減税が実施されると大きく伸長する。
しかしそのキャンペーン期間が過ぎ、また元の価格に戻ると、一気に売れなくなる。そのため再び減税しなければ売れなくなるのである。
またハイブリッドの車も、一度減税をし始めると、やめることができなくなる。その結果、他のハイブリッドでない車が、早々と市場から姿を消している。
エコカー減税はハイブリッドへの移行を促すが、そのような減税がなければ飽和するまで50年程かかるものが、2、30年で達成され、ハイブリッドの寿命が
早々と尽きることになるのが落ちである。
画期的なハイブリッド技術も市場の拡大をみることなく、政府の助成により早々と尽きることになる。
それ故、デフレ下では、政府が政策として技術革新の実現に援助をするのは、あまり効果がなく、民間の力に任せるべきである。
政府はデフレの解消のために、消費者への資金供与などにより、なによりも実体市場への資金供給を優先すべきであり、拡大再生産の循環を取り戻すことがもっとも大事なことである。
デフレ下では、イノベーションなどは、二の次、後回しでよい。
デフレにおいて、ある一つの産業や企業の突出は、他の数十の企業の廃業倒産縮小を促していく。個々の企業の抵抗力が資金力だけでなく、長年のデフレによる疲弊から、設備更新さえままならず、人材の補充もできず、弱っているからである。
それに応じて、失業者だけでなくそれに使われていた製造要素、設備、それに関する業者など、大きな範囲で産業基盤が消滅する。
技術革新がゾンビ企業を淘汰するはずが、さらにゾンビ企業を養成する事になるのがデフレ市場である。
そしてゾンビ企業が倒産するにつれ、生活保護所帯、失業者が増え、政府の出費が増え、ますます財政が悪化する。
デフレは市場に出回るお金の量が減少したため、生産量または生産額に比べ消費のための資金量が著しく不足している市場である。それが原因で、循環的に不良在庫が発生している。
このことは今まで何度も述べてきた。
このようなデフレ状態では、さらに生産手段を増やしたり、生産革命を起こし、生産の増大を図ることは、市場からさらにお金を生産に回し、消費からお金を吸収することになり、ますますデフレを深めるのである。
公共投資、研究開発費や、販路開拓への助成、低金利による製造業者への貸し付け、などによる生産者への資金投入は無駄である。それどころかデフレを促進させている。
法人税を減税し、消費税を引き上げるのは、まさに生産への資金供給であり、消費から資金を奪うことである。それはデフレの促進であり、大恐慌を引き起こす
政策である。
デフレ下においてイノベーションを促すような援助を政府は行ってはいけないのである。
特に、ほんの20年前に隆盛を極めていた日本の家電メーカーが、液晶テレビ、地デジ、CD、DVD,3D、4K,ブルーレイ、など矢継ぎ早に世に出していったが、どれも十分に市場を形成することができなかった。
長年研究し次代のために開発していた多くの新製品が、投入しても十分な利益が上げられず、研究開発費も回収できずに、ポシャってしまったのである。
画期的な新製品が、デフレによる国内の消費不足のため、思ったほど売れず、値引き合戦によって他を出し抜こうとするが、さらに付加価値が減っていく。
そのため仕方なく新たに次の製品を投入するが、やはり同じように、利益が出ず、十分に市場を拡大することができない。
彼らは、この10年間に、50年分の新製品を出してしまったのである。最後には次に出すものがなくなり、倒産や、別分野に進出せざる負えないことになった。
ガラパゴスが巨大化し、一般化し、世界へ展開する前に、グローバル製品が、ガラパゴスを飲み込んでしまうのである。デフレの縮小経済が、ガラパゴス化を促し、一般化せず、外側に発展できないのである。
この辺が全くデフレと正常な拡大再生産が行われている市場との違いである。
ハイブリッドのエコカーも、減税などの恩恵を受けて伸ばしているが、デフレでなければもっと自力で拡大再生を続け大きく儲けることができたであろう。
またNHKや民間テレビなどで盛んに日本の技術をたたえたり、技術革新を促すような番組をたくさん作り、流されている。
未だにデフレとはどんなものか理解できないのである。
技術革新も生産刺激策であり、生産量の増大を促すものであるため、デフレ下の資金不足の状態では、市場を縮小させる。
デフレ下では、技術革新よりも、消費者への資金供給を優先すべきなのである。
消費税を3%から5%に引き上げてから既に20年近くの歳月が過ぎてしまった。その間日本はどれだけの額を成長戦略とかイノベーションの助成のため使ってきたであろうか。
なんら効果がなく借金が増えるばかりであり、一向にデフレ経済から脱却できないでいる。それどころか昨年平成26年4月に8%に消費税を引き上げてしまった。
そして今や2千17年の消費税10%に対する軽減税率の不毛な議論を続けている。
さらに、多くの論者は今なお生産の成長を論じ、技術革新を性懲りもなく唱え続ける有り様である。
政府や、経済専門家と言われる人達、多くの経営者が根本的な間違いを犯し続けているのだ。
一言主
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
参照のこと。
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