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石油元売りの変遷
コスモ石油、存亡の危機…赤字垂れ流し、瀕死の業界再編に乗り遅れ為す術なし
http://biz-journal.jp/2015/12/post_12973.html
2015.12.22 文=編集部 Business Journal
国内の石油元売り業界は、若者のクルマ離れに加え、自動車の燃費向上でガソリンの需要が先細りするなか、再編へ向けて走りだした。
国内首位のJXホールディングス(HD)と3位の東燃ゼネラル石油は12月3日、経営統合で大筋合意したと発表した。2017年4月の統合に向け、製油所の統廃合を検討する。JXHDと東燃の売上高を単純合算すると約14.3兆円となり、出光興産=昭和シェル石油(約7.6兆円)の2倍近い。給油所数はJXHDのエネオス、東燃のエッソ、モービル、ゼネラルと合わせると約1万4000カ所。国内全体の約4割に達する。売り上げはトヨタ自動車に次いで2番目という、圧倒的な力を持つガリバー企業が誕生する。
両社が統合を目指すのは、政府(経済産業省)が元売り各社に生産削減を求めていることが関係している。需要減と原油安という二重苦が背中を押した。
JXHDは傘下に石油元売りのJX日鉱日石エネルギー、石油・天然ガス開発のJX日鉱日石開発、金属事業のJX日鉱日石金属の3社を持つ。統合比率は16年8月をメドに決めるが、東燃ゼネの株主にJXHD株を割り当て、その上で東燃ゼネとJXエネを合併する。近く統合準備委員会を設置、新しい社名や役員人事などを協議する。
経産省の統計によると、15年度のガソリン、軽油、重油といった石油製品の需要は1.8億キロリットルとなり、00年度に比べて2割以上減る見通しだ。今後、毎年2%ずつ減るという。国内自動車の販売台数が伸び悩み、燃費に優れた車が人気を集め、ガソリンを使わない電気自動車(EV)の普及が進むためだ。
その結果、ガソリンスタンド(GS)の数は激減した。1990年代末に5万6000店を超えていたGSはいまや3万4000店。3万店を割るのは時間の問題とされる。「GS過疎地」といった言葉も生まれた。元売り各社にとっては、規模の拡大を求めて合従連衡に動かざるを得ない条件が重なった。
■引き金は、出光と昭シェルの合併
JXHDが東燃に統合提案したきっかけは、昨年末に表面化した業界2位の出光興産と5位の昭和シェル石油の統合交渉だった。出光と昭シェルは16年10月以降に対等合併することで基本合意した。両社の売上高は約7.6兆円となり、首位のJXHD(約10.9兆円)に迫る。
出光が昭シェル株式の約33%を英オランダ石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルから16年上半期に約1700億円で取得し、昭シェルと合併する。「対等」をうたっているが、実態は出光による昭シェルの吸収合併だ。
約7000カ所のガソリンスタンドの看板は、利用者が混乱しないように当面併用する。石油会社の統合・合併の最大の難関は、ブランド名の統一である。GSはライバル会社のブランドに変更することに抵抗が強い。両社は新しいブランドを検討していくことになるとみられる。
この出光・昭シェルの動きに危機を募らせたのが東燃だ。JXHDと出光・昭シェルの2強体制になると、東燃は完全に取り残されてしまう。同社は00年にゼネラル石油と東燃が合併して誕生した。東燃は米石油最大手エクソンモービルの子会社だったが、12年にエクソンモービルの持ち株の一部を買い取って親子関係を解消。14年には三井石油を買収した。
米エクソンは東燃株式の売却を進めた。14年12月期末時点では保有比率7.41%の筆頭株主だったが、11月時点で同4.40%に下がり、筆頭株主ではなくなった。筆頭株主は6.37%保有する三井物産に代わった。エクソンのくびきから外れたことが、再編に向けて東燃の背中を押した。
統合の難問は、やはりブランド名だ。規模が3倍も大きいJXHDのエネオスに統一するのが筋だが、エッソ、モービル、ゼネラルの看板を掲げるGSの抵抗は必至。
◆置き去りにされたコスモ
業界は、JX=東燃、出光=昭シェルの2強に集約されつつある。流れに乗り遅れたのがコスモエネルギーHD(旧コスモ石油)だ。ガソリンの国内販売シェア(14年度)でみると、JX(33.3%)と東燃(19.8%)が53.1%と断トツ。昭シェル(16.3%)と出光(15.4%)は31.7%。これに対してコスモは10.7%だ(11月16日付日本経済新聞による)。コスモは2強に大きく水をあけられた格好だ。
コスモは再編に備えて、10月1日付で持ち株会社体制に移行した。コスモ石油の株式を移転する方式で、持ち株会社コスモエネルギーHDを設立。傘下に事業子会社のコスモ石油(石油精製)、コスモ石油マーケティング(販売)、コスモエネルギー開発(資源開発)を置いた。
コスモが経営統合の相手として想定していたのは、東燃だとみられている。15年1月、千葉県にある両社の製油所を共同運営する会社を設立。その先にコスモと東燃との事業統合、経営統合を視野に入れていたとしても不思議はない。それだけにJXHDが東燃にラブコールを送ったことが、コスモにとっては誤算となった。
コスモエネルギーHDの15年4〜9月期連結決算の売上高は、前年同期比25%減の1兆1704億円、最終損益は174億円の赤字(前年同期も153億円の赤字)だった。原油価格の下落による在庫評価損が125億円生じた。
16年3月期の最終損益は210億円の黒字(前期は777億円の赤字)を見込んでいる。16年1月に、事業会社から千葉製油所の土地を東燃との共同運営会社に移す。この取引で税金費用が減るため純利益を160億円押し上げる。苦肉の策で黒字転換してもコスモが単独で生き残るのが厳しい状況が続く。
■再編は最終章へ
石油元売り業界に再編の波が押し寄せたのは、80年代だ。20社ほどが群雄割拠していた石油元売り会社は70年代の2度の石油危機を経て、JXHD、出光、東燃、コスモ、昭シェルの5社に集約された。
80年代以降、再編に距離を置いていた出光が動いたことで、業界再編は最終章を迎えた。JXHD陣営と出光陣営の2強体制になる。コスモは、どちら陣営に入ることを選ぶのかが、今後の焦点となる。
JXHDと経営統合する東燃関係者や給油所経営者の間では、「JXに吸収されるだけではないか」と警戒する声が強い。東燃は効率経営で知られており、経営手法のすり合わせも今後必要になる。「経産省が国内業界では2社(グループ)あれば十分とするなか、JXHDと東燃の陣営にコスモも入るのかが、再編最終章の最大の見どころとなる」(市場筋)
(文=編集部)
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