1. 2015年12月21日 16:42:17
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ドル・円は121円台前半、日本株が下落幅縮小で円の上値限定的 2015/12/21 15:29 JST (ブルームバーグ):東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=121円台前半で推移。前週末の海外市場で原油相場や米国株が下落したことを背景にリスク回避に伴う円買い圧力がくすぶる展開となったが、日本株が午後に下落幅を縮小したことから、円の上値は限定的となった。 21日午後3時20分現在のドル・円相場は121円30銭付近。午前に一時121円04銭と4営業日ぶりの水準までドル安・円高が進んだ後、午後に日本株が下落幅を縮小すると、121円51銭まで戻す場面が見られた。 三菱UFJ信託銀行資金為替部・為替市場グループの市河伸夫グループマネージャーは、先週末の日本銀行の金融政策を受けたショックで、ドル・円は「まだ122円近辺が重く推移しそうだ」と指摘。ただ、「週後半には徐々に底堅さを増して122円を回復する」とみる。 21日の東京株式相場は、日経平均株価が前週末終値から一時300円を超える下げとなったが、午後の取引で徐々に下落幅を縮小。結局、70円78銭安の1万8916円02銭で取引を終えた。 前週末18日のニューヨーク原油市場では、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物1月限が1バレル=34.73ドルと、終値ベースで2009年2月以来の安値で引けた。米株式相場は続落。S&P500種株価指数は前日比1.8%安の2005.55で終了し、10月14日以来の安値となった。 IG証券の石川順一マーケットアナリストは、「日米金融政策から国際商品市況に市場のテーマがシフトしている」と指摘。商品市況が低迷する中、米株に続いて日本株も下落しており、リスク回避を背景に売りポジションがたまっているユーロの買い戻しを主導としたドル売りがドル・円に波及すれば、121円を割り込んで、120円台での攻防となる可能性があるとみる。 この日は、日本時間に12月分の月例経済報告が公表されるほか、海外では、ユーロ圏で12月の消費者信頼感が発表される。 上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉氏は、「目立った経済指標の発表は予定されていない」とし、米株価の下落で日本株の下落が予想されるが、株価の下値が限定されて、ドル・円が121円近辺で下支えされれば、「121円後半まで上昇するのではないか」とみていた。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:山崎朝子 tyamazaki@bloomberg.net 青木 勝, 山中英典 更新日時: 2015/12/21 15:29 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZOIF16S972C01.html 7年にわたる米国株高、過去2番目の長期上昇局面へ−持続性に疑問符 2015/12/21 15:45 JST
(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は景気拡大が長期化のために衰えて終わることはないと述べたが、それは米国株の強気相場にも当てはまる。 S&P500種株価指数の上昇は約82カ月にわたる上昇で3倍となった。2016年を迎えてもこの基調が続けば、1950年代に約4倍に上昇した時期を抜いて過去2番目の長期上昇局面を形成することになる。過去の節目を越える相場上昇で株式市場の時価総額は15兆ドル(約1820兆円)を回復した中で、時間の経過そのものが先行きの障害になるのではと投資家が考えるのも当然だろう。 しかし、こう結論付けるのは誤りだとビリニー・アソシエーツのディレクター、ジェフ・ルービン氏は言う。価格が上昇しているとの理由で脱出するのは市場のタイミングという点では標準的エラーであり、最終的に損失を出すことになるという。ルービン氏は強気相場の長期化で2016年に株価が下落する可能性が他の年よりも高いと考える統計的根拠はないと見る。 ルービン氏は強気相場が「一定の年月を経たという理由だけで、その2倍の期間は続かないという意味にはならない」と話す。 10年超の強気相場がなかったという事実は、消滅する確率が時間とともに上昇することを暗示するだろうか。多少はそう言えるだろう。だが2016年については何も意味してはおらず、コイン投げと同じで、20回連続表が出ても次がどちらになるかの確率は常に半々だ。 イエレン議長は利上げ発表時の記者会見で景気回復局面の長さについて、景気拡大局面が長期にわたったため衰えて終了するというのは神話だと述べた。金融政策に関してこの点が取り上げられたのは、当局が景気サイクルの異例に遅い段階に利上げしたためだ。株価についても同じことが当てはまり、S&P500種株価指数が利上げや20%の下落に直面しない期間としては過去最長を記録した。 ウィスコンシン大学経営大学院のデービッド・ブラウン教授(金融)は電話インタビューで、「強気相場や景気拡大の期間が6年や7年続いたからといってそれ自体は、今後下降する可能性が高い証拠だとは言えない。投資家の今の行動はある意味では歴史によるものだ」と分析した。 原題:Yellen, Bull Markets and Extinction in a Seven-Year Stock Rally(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Oliver Renick orenick2@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Jeremy Herron jherron8@bloomberg.net Lu Wang 更新日時: 2015/12/21 15:45 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZP28G6TTDSM01.html TOPIXが終盤にプラス圏浮上、輸出や金融軟調−素材には見直し 2015/12/21 14:51 JST (ブルームバーグ):21日午後の東京株式相場は終盤にかけ一段と下げ渋り、TOPIXは一時プラス圏に浮上した。海外景気の先行き不透明感や為替の円高、日本銀行による早期の追加緩和期待の後退などを背景に、電機や精密機器など輸出関連、証券や不動産株は軟調。半面、非鉄金属や鉄鋼など素材株には見直しの買いが入っている。クリスマスや年末接近に伴い、持ち高調整の動きが出やすい。 午後2時44分時点のTOPIXは前週末比1.41ポイント(0.1%)安の1535.69、日経平均株価は31円30銭(0.2%)安の1万8955円50銭。日経平均は午前に一時335円安まであった。 午後のドル・円相場は1ドル=121円40銭台と東京株式市場の18日終値時点121円89銭に比べ円高水準ながら、午前10時半前に付けた121円4銭に比べると円高の勢いは小康状態だ。 東証1部33業種は証券・商品先物取引、金属製品、電機、精密、不動産、倉庫・運輸、その他製品、機械、建設、医薬品が下落。非鉄や鉄鋼、パルプ・紙、食料品、石油・石炭製品、空運、鉱業は上昇している。非鉄や鉄鋼、紙パなど素材セクターは、日経平均が直近高値を付けた今月1日から安値を付けた15日までの業種別騰落率で下落率上位に並んだ業種群だ。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 長谷川敏郎 thasegawa6@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎 更新日時: 2015/12/21 14:51 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZOHO36JTSE801.html 日銀新枠の設備・人材ETF、早期組成必要−個別株関与に疑問も (1) 2015/12/21 14:36 JST
(ブルームバーグ):日本銀行は量的・質的金融緩和策の補完措置として、従来の指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れに加え、設備・人材投資に積極的に取り組む企業の株式を対象にしたETFの購入方針を新たに打ち出した。しかし、新機軸に該当するファンドは現存せず、資産運用業界にとっては早期の新商品組成が課題に浮上した。 日興アセットマネジメントの今井幸英ETFセンター長は、設備・人材投資関連のETFについて「なかなか珍しい。海外でもあまりないかもしれない」と指摘。国内で関連商品は「存在していないため、こういうETFを作ってほしいという日銀からのメッセージ」と受け止める。 日本取引所グループ広報・IR部の青沼見和氏は、「現時点で設備・人材投資にフォーカスしたETFは存在しない」とし、そうした商品が開発される予定の有無についてはコメントを控えた。東京証券取引所の資料によると、上場するETFは11月時点で国内外株式、レバレッジ・インバース型、不動産投信指数、外国債券指数、商品投資型など195本ある。 日銀は18日に開いた金融政策決定会合で、マネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行うとの方針を維持するとともに、量的・質的緩和の補完措置を導入した。ETFについては、保有残高が年間約3兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行うと同時に新たに年間約3000億円の枠を設け、「設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業」の株式を対象とするETFを買い入れる。 日銀は、2010年12月からETFの買い入れを開始した。今月10日現在の営業毎旬報告によると、ETF資産残高は6兆6895億円。現在はTOPIX、日経平均株価、JPX日経インデックス400の3指数に連動するETFを対象とし、市場残高に比例し購入している。今回の設備・人材投資ETFに関しては、当初はJPX日経400のETFを買い入れ対象とし、この施策の趣旨に合致する新規のETFが組成された場合、速やかに買い入れ対象に加えるとした。 海外では、米国エルクホーン・インベストメンツがS&P500資本投資効率性指数に連動したETFの運用を5月から開始している。 設備・人材投資ETFへの約3000億円の新枠は、日銀が買い入れた銀行保有株式の売却開始に伴う市場への影響を打ち消す観点から設定されたもので、16年4月から開始する。これに関連し、07年に決めた株式処分の指針で従来は21年9月末としてきた銀行保有株式の売却完了期限について、26年3月末まで延長することを決定。現在停止中の売却は、16年4月から再開する。 選択的投資、市場ゆがめるリスクも 米資産運用会社のブラックロック・ETF運用部で日本ヘッドを務めるジェイソン・ミラー氏は、「設備投資関連指数はまだ各国市場で開発初期段階にある。ただ、われわれも調査していたことがあり、ある程度理解のある商品ではある」と言う。その上で、「マクロ環境を考慮すると、こうした質を求める方向に需要が傾いていることはサプライズではない」と述べた。 岡三オンライン証券の伊藤嘉洋チーフストラテジストは、今回の新枠設定について「設備や人材投資にのっとったものを対象にするという特別なもの。市場全体を押し上げるわけではなく、これには疑問符が付く」と話す。「個別の銘柄に日銀が関与することと同じ。そういったところの評価がマーケットで消化し切れていない面がある」との認識を示した。 SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストも、相場全体への影響について「3000億円であればマイナスではないが、ほとんどインパクトはないとみていい」と分析。今後の運用がどうなるか分からない部分はあるとしながらも、「選択的な買い方をするのはマーケットをゆがめるリスクがある。ゆがめるのは、長い意味ではネガティブ」としている。 18日の日本株は、日銀の新方針を受けて日経平均が一時515円高の1万9869円まで急騰する場面があったものの、その後は評価が交錯し、結局366円安の1万8986円と節目の1万9000円を割り込んで終えた。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 竹生悠子 ytakeo2@bloomberg.net;東京 Yuji Nakamura ynakamura56@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net 院去信太郎 更新日時: 2015/12/21 14:36 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZJKRM6JTSEB01.html 超長期債が上げ幅縮小、20年利回り1%に戻す−先物は再びマイナス圏 2015/12/21 14:09 JST (ブルームバーグ):債券市場では超長期債が上げ幅を縮小。日本銀行が前週末に発表した異次元緩和の補完措置を受けて超長期債の需給逼迫(ひっぱく)観測が強まり、新発20年債利回りは11カ月ぶりに1%を割り込んだが、高値警戒感から午後は1%台に戻している。 21日の現物債市場で新発20年物の155回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い1.005%で始まり、一時は0.99%と1月27日以来の水準まで下げた。午後は1.00%。新発30年物の49回債利回りは1.255%と3月26日以来の水準まで下げ、午後は1.265%。新発40年物の8回債利回りは0.5bp低い1.40%で始まり、1.38%と4月22日以来の低水準を付け、午後は1.385%。長期金利の指標となる新発10年物国債の341回債は1bp 高い0.275%で始まり、0.265%で推移した後、0.27%を付けている。 野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、「先週末の日銀決定を受けて超長期債が堅調なのは自然。超長期ゾーンへの影響が一番大きい」と話した。一方、「先物は上値が重くなりがち。5年債利回りが下がる必要があるが、目先0.2%台に突っ込むことは微妙な感じ」と言う。 日銀は18日の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和を補完するための措置を決めた。当面の長期国債買い入れの運営方針も当初30日の予定を変更して発表し、1月4日以降の最初のオファー金額について、残存期間1年超3年以下から25年超のゾーンと物価連動債を増額する。 長期国債先物市場で中心限月3月物は前週末比6銭安の149円00銭で開始後、いったん148円98銭まで下落。午前の取引終了前に2銭高まで上昇したが、午後は再びマイナス圏での推移となっている。 日銀買いオペ 日銀が今日実施した今月7回目の長期国債買い入れオペ(総額1.08兆円)の結果によると、残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下、25年超の全てで応札倍率が前回から上昇した。 野村証の中島氏は、オペについて「日銀が来年から国債買い入れを増やすので応札するより、保有していた方が良いとの見方があった」としながらも、「想定より波乱はなかった」と言う。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、前週末に量的・質的金融緩和の補完策公表後に相場が急騰したため、市場参加者の目が慣れていない感じと指摘。「18日午後に先物は149円台に乗せ、10年債利回りは一時0.265%に低下した。原油下落や内外株安は追い風だが、0.3%割れでの戻り売りに警戒感がある」と語った。 18日の米国債相場は上昇。米10年債利回りは前日比2bp低下の2.20%程度で引けた。米国株下落に加えて、原油先物が約6年ぶりの安値を更新したことを背景にインフレ見通しが後退し、米国債の投資妙味が高まった。21日の東京株式相場は下落。日経平均株価は一時1.8%下げた。 記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝 更新日時: 2015/12/21 14:09 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZJPJT6JIJUT01.html ブラックロックにピムコ、JPモルガンも推す16年の債券取引とは 2015/12/21 12:54 JST (ブルームバーグ):欧州国債市場で最もリスクの高い領域に飛び込んでいった投資家が、今年は圧倒的な勝者となった。世界の主要な資産運用会社の間では、2016年もこの流れは変わらないとの声が聞かれる。 ブラックロックとパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、プルデンシャル・ファイナンシャルはいずれも、欧州中央銀行(ECB)が債券購入プログラムの期間を延長する中で、ポルトガルやイタリア、ギリシャなど信用力が相対的に低い欧州周辺国の債券が来年も他をしのぐパフォーマンスを示すとみる。一方、米国債については米金融当局の利上げを受けてさえない展開になると予想。ブルームバーグがまとめた市場予想(中央値)によれば、米国債のリターンは来年マイナスになる見通しだ。 欧州は景気回復の勢いが弱くデフレリスクがなおくすぶっており、ドラギECB総裁は来年追加緩和に動く必要が出てくると予想される。JPモルガン・チェースは、欧州と米国の金融政策の方向が乖離(かいり)する状況で、ECBが追加刺激策を講じることになれば、欧州債が米国債をアウトパフォームする要因になるとの見方を示した。 プルデンシャル債券部門のチーフ投資ストラテジスト、ロバート・ティップ氏は、同社のグローバルファンドが16年も周辺国の債券に対する「オーバーウエート」スタンスを維持すると述べた。 ギリシャ債の今年これまでのリターンはプラス22%。イタリアとポルトガルの債券もプラス3%を上回るリターンを記録した。より格付けの高いドイツや米国の債券のパフォーマンスは、それらを下回っている。 ブラックロックでファンダメンタル債券の副最高投資責任者(CIO)を務めるスコット・シール氏は、来年にかけてポルトガル債を選好すると説明。PIMCOのグローバル戦略アドバイザー、リチャード・クラリダ氏は「ギリシャをめぐるドラマは過去のものとなり、ドラギ総裁は適切かつ効果的な政策運営を行っている。欧州周辺国の債券にはチャンスがある」と語った。 原題:The 2016 Bond Trade That BlackRock, Pimco and JPMorgan All Back(抜粋) 記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Eshe Nelson enelson32@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先: David Goodman dgoodman28@bloomberg.net 更新日時: 2015/12/21 12:54 JST http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NZOQK16TTDS401.html ジャンク債市場「バブル状態にない」 業界最大手はこうみるJPモルガン債券部門責任者に聞く By EMILY GLAZER 2015 年 12 月 20 日 12:32 JST
ウォール街で最大のハイイールド債(ジャンク債)部門を取り仕切るJPモルガン・チェースのジム・ケイシー氏は、ジャンク債市場が「バブル状態にあるとは思わない」と述べた。ただ、短期的には業界が大きな損失を被るとも予想している。 今年に入りジャンク債市場は急落、4年ぶりの安値を付けた。投資家は流出し、主要な資産運用会社の株も売られた。買い手が見つからない債券は数十億ドルに上る。 しかし、ジャンク債取引のパイオニアで、この10年でどの金融機関より多くのジャンク債を取引してきたJPモルガン・チェースでは、こうした懸念のほとんどは行き過ぎとみる。 「市場がバブル状態にあるとは思わない」と、JPモルガンで世界の債券市場を統括するケイシー氏は語った。「市場が割高とも思わない。今でもハイイールド債でかなりの利益を上げることができる」 広告 だが、必ずしも来年が好調な1年になるとは限らない。 JPモルガンの調査によると、ハイイールド債の発行総額は今年18%減少。来年にはさらに約6%減少すると予想されている。 ケイシー氏は「ハイイールド債の在庫を一掃するには市場がある程度安定することが必要だ。今は市場が安定していない」と述べた。 銀行は、企業が買収資金調達のために発行するジャンク債の買い手探しに苦労している。ケイシー氏は最近の市場の混乱を念頭に、年末に発行を決める必要があるものの、買い手が見つからないジャンク債について見通しは明るくないと語った。S&PキャピタルIQ・LCDの推計では、買い手が見つからないジャンク債は約75億ドルに上る。 JPモルガンはこうしたジャンク債は抱えていないが、事情に詳しい関係者によると、同社とゴールドマン・サックス・グループが関わったオンライン衣料小売業のフルビューティー・ブランズの買収に関連する12億ドルの融資でわずかながら損失を計上した。 JPモルガンのハイイールド債部門は、最近死去したジェームズ・リー氏が始めた。ジミーの名で親しまれたリー氏はケミカルバンク(のちにJPモルガンの1部門となる)時代の1980年代にシンジケートローンという手法の開発に関わった。シンジケートローンとは、銀行が企業に融資を行い、リスクを軽減するためにその融資を他の金融機関や投資家と分担するもので、今では幅広く行われている。 調査会社ディーロジックによると、JPモルガンが今年これまでに引き受けたハイイールド債の発行は301億ドルで、ウォール街の金融機関の中で最大だった。 関連記事 ジャンク債の警鐘を見落としている米株式市場 ジャンク債市場の混乱に警戒すべし 悲しき債券市場、魅力あせる米国債・ドイツ債 By RICHARD BARLEY 2015 年 12 月 19 日 16:21 JST
中央銀行の金融政策にとっては今年もまた異例の1年だった。米連邦準備制度理事会(FRB)が世界金融危機以降、初めて利上げに踏み切る一方、欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利と債券購入にさらに深くはまり込んだ。しかし米国でも欧州でも、10年物国債の利回りは実質的に年初から横ばい状態が続いている。 利回りの変動はごくわずかだ。調査会社ファクトセットのデータによると、年初に2.19%だった10年物米国債の利回りは今月18日午前の段階で2.21%。ドイツと英国でも、利回りの上昇幅は米国債と同様に小幅で、利回りはドイツ国債が0.56%、英国債1.82%となった。ドイツではECBが量的緩和を始めると国債利回りが急落し、その後急騰したが、ドイツ以外では10年債は狭いレンジ内で推移した。 10年物ドイツ国債の利回り ENLARGE 10年物ドイツ国債の利回り 国債の投資収益率はまったくさえない。バークレイズの指数によると、ドイツ国債0.7%、米国債は1.05%、英国債は1.3%にとどまった。 だからといって、中央銀行の影響が債券市場に及んでいないというわけではない。今年変わったのはイールドカーブの形だった。米国ではイールドカーブのフラット化(長短金利差の縮小)が進み、市場が今月の利上げを期待するなか、2年物の利回りが上昇、2010年以降で初めて1%を超えた。 一方ドイツでは、イールドカーブのスティープ化(長短金利差の拡大)が起きた。ECBが中銀預金金利を引き下げると、2年物の利回りはマイナス0.09%からマイナス0.36%に低下した。英国ではイングランド銀行(中銀)の利上げについての見解がころころと変わるため、イールドカーブの変化は小さかった。 しかし長めの国債の利回りに動きがないということは、来年の収益率見通しが明るくないことを意味する。低利回りは政府にとっては朗報だ。ドイツ財務省によると、今年1月から11月までの利払い費は前年同期比17.5%減となった。だが、投資家にとっては頭の痛い問題である。 ここ数年、債券の収益率はキャピタルゲインによって押し上げられてきたが、それも過去のものとなったようだ。低金利が長期間続き、政府は債務の大半を借り換えた。その結果、クーポン収入は微々たるものになるだろう。また深刻な危機が起きれば、利回りはさらに低下する可能性がある。しかし、そんなことがなければ、債券投資家にとって来年も実りの少ない年になりそうだ。 関連記事 【特集】米ゼロ金利解除 米利上げが投資家に残した2つの難問 http://si.wsj.net/public/resources/images/BN-LT858_bondhe_G_20151218064200.jpg 米CNBCによる2016年米市場「10の懸念」〜海運低迷、原油安etc.=矢口新 2015年12月15日 ニュース 9年半ぶりの米利上げを前に、原油をはじめとする商品や世界の株価が軟調に推移しています。そんな中、米CNBCが2016年のアメリカ市場に関する「10の懸念」を発表しました。バルチック海運指数の低迷、商品安、ドル高などがマーケットに与える影響は?元為替ディーラーの矢口新氏が解説します。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』) 米CNBCによるアメリカ市場「10の懸念」を矢口新氏が解説 バルチック指数低迷、商品安、S&P500の高PER… 米CNBCが米市場における2016年の「10の懸念」を取り上げている。 1. 海運価格と世界の商品需要の指標、バルチック(・ドライ)海運指数が1985年来の低水準になっている。世界の貿易が縮小していることを示している。 2. 世界の商品価格がリーマンショック後の安値水準にある。 3. 米連銀が利上げに踏み切った過去7回の時点の名目GDPは5%〜7%増の間だった。前回2004年第2四半期は6.6%増だった。2015年第3四半期の名目GDPは2.7%でしかない。 4. 売上が落ち、在庫が増えている。これは景気後退の前兆だ。 5. 米国債の利回り曲線がフラット化している。短期が利上げを織り込み、長期的なインフレ懸念がないからだ。短期調達・長期運用の銀行の利ザヤが減るため、貸し出しに消極的になる。景気後退の懸念となる。 6. 企業が自社株買いなどにより、1株利益を膨らませている。実際の利益は減っている。 7. ドル高が多国籍企業の利益を蝕んでいる。 8. 製造業はすでに景気後退入りしている。 9. 信用リスク・プレミアムが広がっている。 10. S&P500のPERが過去2番目に高い。 出典:10 warning signs for investors in 2016 ? CNBC 1つずつ補足してみよう。 1. バルチック海運指数の低迷について ドイツや中国の輸出減少がしばしば取沙汰されているが、両国ともに輸入も減少している。むしろ輸入の減少の方が大きく、貿易黒字は拡大している。 為替の影響を除けば、短期間で競争力が目に見えて低下することは少ないので、その国にとっては、輸出の減少よりも、実のところは輸入の減少の方が問題だ。輸出減は世界的な景気後退を暗示するが、輸入減はその国の景気後退を暗示するからだ。 とはいえ、貿易額の減少は世界的な傾向で、バルチック(・ドライ)海運指数はそのことを反映している。 貿易額の減少は価格の低下の影響もあるが、海運価格と世界の商品需要の指標の低下は、積荷そのものの減少を暗示する。貿易障壁が低くなる中での世界貿易の減少は、世界の経済が停滞していることを暗示している。 もっとも、大型原油タンカーのスポット(随時契約)運賃水準を示すワールドスケール(WS、基準運賃=100)は12月9日現在、代表的航路である中東−東アジア間で95となり、この1週間で5割上がった。これが底入れの兆候となって貰いたいものだ。 Next: 2. 商品価格の下落は将来の景気後退を暗示している 2. 商品価格の下落について 商品価格の下落は供給過多によるところが多い。これは需要を先食いしたともいえ、将来の景気後退を暗示する。 原油については、下記を参照して頂きたい。 ※原油の長期需給バランスは低価格でしか安定しない。目先は反発も。[PFF] 先物市場は本来、商品の生産者がヘッジ目的のために利用するものだ。例えば、原油価格が1バレル50ドルを超えれば、採算が合う生産者がいるとする。 現状では、採算割れなので何もできない。しかし、原油先物が50ドルを超えてくれば、先物を売却することで、利益を確定することができる。 コスト45ドルの生産者が、先物価格50ドルの時、先物100万バレル相当を売ったとすれば、その後価格が60ドル、70ドルに上昇しても、40ドル以下に下落しても、500万ドルの利益が確保できる。先々の生産分までも売ることができれば、それ以下のコストのものを新規に採掘することもできる。 生産者の数と事情、埋蔵量の大きさとを鑑みれば、原油価格の上値は重い。 代替商品を含めれば、大半の商品は似た状況にあると思われるので、商品価格の上値は重いかもしれない。 3. 2015年第3四半期の名目GDPが2.7%にすぎないことについて 米連銀の現状の金融政策は、ゼロ金利と未曽有の資金供給量を維持したままという、非常事態のままのものだ。このことは、仮に米国が景気後退入りをすれば、量的緩和再開以外の手がないことを意味する。 貿易量が減り、モノ自体が動かない中で、マネーだけを刷り続けるという異常事態に陥ることになる。 4. 売上の低下と在庫の増加について モノ自体が動かなくなってきている。 5. 米国債利回り曲線のフラット化について 米国にも日本化現象が起き始めている。超低金利政策の継続、量的緩和による長期国債の買い上げでは、起きるべきして起きる現象だ。 6. 企業の自社株買いと実際の利益の減少について モノが動かず、カネが余ると、自社株買いやM&Aは自然な選択肢だ。モノが動かないと増収増益は難しくなる。 Next: 「多国籍企業の利益を蝕む」ドル高は大きな懸念ではない 7. ドル高について
各国通貨の価値はゼロサムだ。多国籍企業の利益もゼロサムに近くなるが、本国送金に関すれば、通貨安での利益を通貨高に送れば減少する。大きな懸念ではない。 8. 製造業における景気後退について モノ自体が動かなくなっているので、これは世界的な兆候だ。 9. 信用リスク・プレミアムの拡大について 信用リスク・プレミアムは本来あってしかるべきものだ。これがカネ余り、信用バブルで、異常なレベルまで縮小していた。つまり、ジャンク債を高値で買った人が多いということだ。この広がりは2016年の最大懸念の1つかもしれない。 10. 過去2番目に高いS&P500のPERについて 米連銀の現状の金融政策は、ゼロ金利と未曽有の資金供給量を維持したままだ。不況の株高を表す金融相場が継続中だといえる。金融相場でPERをアテにすることは、基本的に間違いだ。 【関連】カネの流れで考える「米国の本音」これからの中東情勢とIS問題=矢口新 【関連】「逆オイルショック」に備えよ〜原油安と米利上げ、相反する2つの材料 【関連】シラーP/Eレシオが示唆する2016年米国「自社株買いバブル」崩壊=吉田繁治 http://www.mag2.com/p/money/6731/2 焦点:来年の世界経済、全面的な強い成長はなお望み薄 [ロンドン/ブラジリア/ベンガルール 18日 ロイター] - 来年と世界経済は、今年と似たような状況になるかもしれない。つまり先進国の緩やかな成長が他の地域の弱さをカバーするが、物価上昇圧力は全体的に乏しく、低金利が継続するだろう。 米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利解除は米国経済の先行きに対する自信の表れといえる。半面、中国経済は依然として利下げによって足場を固めなければならない。 また多くの国で為替レートが政策を議論する主な判断材料となっていることからすれば、ドル相場の今後の動きは極めて重要になる。 HSBCのエコノミスト、ジャネット・ヘンリー氏とジェームズ・ポメロイ氏は、米国と世界の経済について2つの極端なシナリオを提示する。1つは米経済が最終的に自らの景気回復を維持できるだけでなく、世界全体の貿易や成長を拡大させるほどかなり力強くなり、海外からのデフレ圧力を払しょくしていまうというもの。もう1つは米経済がドル高を通じて、他の先進国同様にデフレに屈して、せっかく利上げしたFRBもすぐ利下げに追い込まれるという展開だ。 両氏は「実際に起こる事態はこの2つのシナリオの間になるとわれわれは考えている」と述べた。 ロイターが18日に120人のエコノミストを対象に実施した調査では、FRBは来年3月に再利上げするものの、来年全体の利上げペースは自身が示唆しているほど急速にはならないとみられている。 また調査では世界経済の成長率は平均3・4%程度にとどまる見通しだ。中国経済が減速し、他の新興国を取り巻く環境も厳しいため、4%に達するとの予想はほとんど見当たらない。 ドルの全面安も見込みがたく、ドル最強気派はユーロ/ドルが1ドルを割り込む可能性があるとみている。 <明るい部分も> 米経済の成長率と物価上昇率の見通しは、昨年のこの時期に予想されたよりも低調になっている。賃金は上昇したとはいえ、大方の想定よりも伸びは鈍い。 市場の動きに目を向ければ、1年前と比べて米国株はほぼ横ばい、上昇が見込まれていた米国債利回りもそれほど変わらない水準で推移している。原油価格は1年半前に1バレル=100ドル超から下がり始めて今や40ドル割れとなったが、今後反発するとの声は次第に弱まりつつある。相当の幅で上昇するよりも20ドルまでさらに下がる確率の方が大きいとの見方まで一部で出ている。 ただ、明るい部分も存在している。 欧州中央銀行(ECB)による大規模な資産買い入れを支えにユーロ圏はようやく緩やかな成長軌道に乗り、失業率は低下し始めた。 新興国の中でもインドはこれまでの利下げの効果などを背景に相応の成長を達成すると期待される。エネルギーセクターに対する最近の歴史的な改革がもたらすメリットを徐々に活用するようになってきたメキシコについても楽観ムードが強まっている。 (Ross Finley、Silvio Cascione、Rahul Karunakar記者) http://jp.reuters.com/article/global-economy-idJPKBN0U40AY20151221 コラム:クロダノミクスの限界と円高転換リスク=斉藤洋二氏
ネクスト経済研究所代表 [東京 21日] - 2012年11月16日に民主党の野田佳彦首相(当時)が衆院を解散してから3年余りが経過した。その日を境に「株買い・円売り」のアベトレードが進んだが、15年も前年末(日経平均株価1万7450円)を上回り4年連続の株高が実現される見込みだ。 一方、円相場については前年末(119.79円)を更新し、4年連続のドル高・円安で越年する可能性が高い。 しかし、12―14年には各年とも年末比較で10―20%強の円安をたどっていたことと比べると、15年は現状と前年末比で1―2%程度の円安にとどまっているように、モメンタムが失われつつあることは明らかだ。そして、なによりもユーロや豪ドルなどクロス円についてはすでに円高が進行する1年となった。 16年の円相場は、引き続き日米の金融政策が注目され、特に日銀の追加緩和策への「期待」が市場をけん引することになるだろう。とはいえ、18日の日銀の金融緩和補完措置の発表後の乱高下に見られたように黒田東彦日銀総裁の「クロダ・マジック」もその効果は薄れてきており、これまでのように日銀頼みで円売りを行うのは要注意かもしれない。そろそろ「クロダノミクス」の賞味期限を見極めるべき時が来たのではないだろうか。 <円安地合いも曲がり角に> そもそも、これまでの株高・円安はひとえに黒田日銀により市場そして国民の「期待」が大きく膨らんだ結果だ。つまり、アベノミクスの正体は「第1の矢」とされた日銀の金融政策であり、つまりクロダノミクスと言われる質的・量的緩和策(QQE)による「期待」への働きかけだったと言ってよいだろう。 そして、その「期待」を後押ししたのが、日本の企業や投資家らによる海外への直接投資や証券投資の増大であり、貿易収支の悪化による為替需給ひっ迫が円安に追い打ちをかけた。しかし、その主役の1つとしてポートフォリオリバランスを進めた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はすでに為替ヘッジを開始したとも一部で報じられている。このように市場の一部に円安達成感が広がりつつあるのは明らかで、これまでの一直線の円安地合いも曲がり角を迎えた観は拭えない。 つまり、円安相場を支えてきた「為替需給ひっ迫」や「期待」に一巡感がある現在、市場の「期待」を再度膨らませるのは黒田総裁にとっても至難の業となるのではないか。つまり、16年はクロダノミクスの限界が露呈され円高へ転換する年となる可能性を捨てきれない。 クロダノミクスの目標はインフレを2%に引き上げることにより経済成長を実現させることにあった。それでは現在の日本経済はと言えば、17年4月の消費税率再引き上げを前にしてその準備を進めるべき重要な時期にある。しかし、14年の消費税率引き上げを境に上昇力を失い、15年4―6月期国内総生産(GDP)がマイナスへ、そして7―9月期も1次速報値でマイナスそして2次速報値でようやくプラスに転換するなど低空飛行を余儀なくされている。 特に実質賃金の低下を受けて消費の落ち込みが景気の停滞感を強めている。このような状況を打開するために、株価下支えこそ内閣支持率を引き上げるとの思いが強い政府は、景気回復と株価つり上げを目的とした好循環作りへと傾斜している。再増税時のショックを緩和するために民間企業に対して賃金の引き上げや設備投資の増大を要請し、一方で軽減税率を導入しようとしている。 しかし、現在のように国内市場が縮小し生産拠点の海外シフトが進む中で国内の設備投資意欲を高めることは難しい。さらに、これまで低福祉・低負担路線をとり「小さな政府」に徹してきた日本において、ここにきてなりふり構わず民間へ介入する現政権の姿には違和感も残る。 換言すれば、財政赤字が膨らむ一方で低成長が続く環境下、アベノミクスが目標達成に向けての舵取りが一段と難しくなっているせいとも言えよう。つまり、今後は日銀の金融政策への依存度が高まりこそすれ減じることはないだろう。 <督促相場で白川日銀時代の二の舞か> 13年4月のQQE導入以来、日銀は金融市場において年間80兆円のマネタリーベースの増加を図り、償還分を含めると年間110兆円程度の国債を買い入れてきた。その対象は新規発行分と金融機関が保有する国債であり、実体は「財政ファイナンス」と言われても仕方のない状況だ。 しかし、2年8カ月にわたる日銀の大量購入により国債価格は高騰し、年限2―3年程度まではマイナス金利に転じるなど品薄状態になっている。そして、現状のペースでQQEが進めば、17年半ば頃には市場の国債は枯渇し、量的緩和策の続行は限界に達することも懸念され始めた。 つまり、クロダノミクスの中心に位置する「国債購入」も1年半後とおぼしき量的限界が見え隠れし、イエローランプが点滅し始めたのだ。 一方、現在のインフレ状況は、原油価格下落の影響もあり、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)は8月以降、3カ月連続してマイナス圏で推移しており、2%目標の達成はほど遠い。また、達成時期も16年度後半頃へと再延長され、さらに先延ばしされる可能性も取りざたされる。 このように欧米など各国中銀と比較にならないほどに猛烈な勢いで量的緩和策を展開しているにもかかわらず、クロダノミクスは一時の神通力を失い手詰まり感が強まっている。18日の金融政策決定会合において日銀は上場投資信託(ETF)の追加購入枠設定や国債買い入れの平均残存期間の長期化などの補完措置を発表した。しかし、乱高下の後、株価が下落し、円高が進むなど市場の失望を誘うこととなった。 今後は白川方明日銀総裁時代と同様に、追加緩和策について次の一手を巡り市場から督促を受けては冷水を浴びせられる場面が増えることも懸念される。とはいえ、黒田総裁の手元にある緩和カードは少なくなり、またその規模と効果が限定されつつある。その結果、クロダノミクスの限界が露見すれば、否が応でも「期待」が収縮する可能性が高まるだろう。 すでに3年を超える円安に輸入物価上昇の影響を受けて食料品価格が上昇しつつあり、政府・日銀がこれまでのように積極的な円安政策を継続することは難しい。また、米国においてもドル高の影響を受けて製造業が低迷し消費が下押しされている。つまり、これ以上のドル高・円安を日米両国は望んでおらず、この点からも必然的にドル高(円安)の天井が形成されつつあると見てもよいだろう。 これまで述べたような状況下において、今後もドル買い・円売りの「順張り」が奏功すると考えるのは難しい。16年は過去4年間の経験にとらわれず「逆張り」、つまりドル売り・円買いへの戦略転換がよいのではないか。しょせん、相場は「上がれば下がる」ものであり、「山高ければ谷深し」を肝に銘じるのは上策ではないだろうか。 *本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら) http://jp.reuters.com/news/bank-of-japan 訂正:北海ブレント先物が7年ぶり安値、過剰供給への懸念で
[シンガポール 21日 ロイター] - 21日アジア時間午前中盤の取引で北海ブレント原油先物LCOc1が一時、7年ぶり(訂正)の安値をつけた。米国やイランの輸出拡大をめぐる観測を背景に過剰供給への懸念が強まった。 北海ブレント先物は0000GMT(日本時間午前9時)に1バレル=36.32ドルをつけ2008年以来(訂正)の安値を記録した。 0203GMT時点では36.49ドルとやや戻している。 米ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物CLc1は0.20ドル安の1バレル=34.53ドル。 *英文の訂正により見出しと1段落目の「11年ぶり」を「7年ぶり」に、2段落目の「2004年以来」を「2008年以来」に訂正します。 http://jp.reuters.com/article/global-oil-idJPKBN0U406A20151221
ジェフリー・サックス、米国利上げと世界を語る 2015年12月21日(月)広野 彩子 米国では連邦準備理事会(FRB)が12月17日、9年半ぶりに政策金利の誘導目標を引き上げ、世界経済は一つの節目を迎えた。一方でフランス・パリの同時多発テロをきっかけに、移民などに対する排他的な感情論が米国などで大きく渦巻き、内政に影響を与えている。国際機関を通じて貧困撲滅や債務削減などに尽力してきた経済学者、ジェフリー・サックス米コロンビア大学地球問題研究所所長に、米国利上げ後、対テロを展望した世界の政治経済について、話を聞いた。サックス教授は、日本経済研究センターと日本国際問題研究所が11月21日から共催した第2回年次総会「富士山会合」で基調講演した。(聞き手は広野彩子。日米の安全保障問題や環太平洋経済連携協定[TPP]に関する議論は、日経ビジネス2015年12月21日号スペシャルリポート「台頭する中国 読み切れない日米」に掲載しています) 米国では連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりに利上げをしました。一方で日銀は、18日に量的・質的緩和の補強措置を打ち出しました。 FRB利上げ、ドルはさらに強くなる サックス:FRBはこれから、利上げをしていきます。しかし日本は(利上げを)すべきでないし、欧州もすべきでありません。今後、ドルはさらに強くなっていくでしょう。それでいいのです。円はドルに対して多少安くなりますが、大丈夫です。中国の元も、ドルに対して多少安くなるでしょう。 ジェフリー・サックス(Jeffrey D. Sachs) 米コロンビア大学地球研究所所長、国連事務総長特別顧問 1983年に28歳で米ハーバード大学教授に就任、開発経済学や国際貿易を担当。国連、世界銀行など国際機関を通じて貧困撲滅などに尽力してきた。英誌エコノミストが選ぶ「過去10年で最も影響力のある経済学者」の1人。主な著書に『貧困の終焉――2025年までに世界を変える』(早川書房)など多数。(写真は加藤康、以下同) 日銀の黒田東彦総裁はよくやっていると思いますよ。日本では、必要に応じたもう一段の量的・質的緩和をするのが本来なら適切だといえるのかもしれませんが、それでは米国の金融引き締めに歩調が合いません。現在の日米の経済の相対的な強さを鑑みれば、むしろ円安がもう少し進む方がいい。
私は、日本の現在の経済情勢が悪いとは思いません。利益は企業セクターに貯め込まれています。成長も多少はありました。しかし、安定していない状況です。日本が現在減速しているのは、中国の減速によるものでしょう。中国は日本の主要な市場です。もし中国が元安になりもう少し強めの経済成長を果たせば、日本の景気にもいい影響をもたらすと思います。 金融緩和と、少しずつ財政赤字を減らしていく比較的慎重な財政政策を一緒に進めていくのは、政策として適切だと思います。さらなる成長に向けて、日本はアフリカや、アジアの他の地域に開発支援プログラムや資金支援プログラムを通じて、多くの製品を海外で売ることができると思います。 この地域では、多くのインフラ整備や技術向上のニーズがありますから。日本は、多くのインフラや技術を提供できます。
円がもう少し弱くなり、日本が輸出にもっと積極的に資金を回せば、日本経済を成長する刺激策になるに違いありません。 日本の大企業、例えば三菱商事や三井物産などはアフリカ市場を良く知っていますし、アフリカは今まさにインフラに投資しようとしているタイミングです。これは、日本にとっても大きなチャンスでしょう。 米国内では内政への不満が高まっています。共和党の大統領候補に名乗りをあげ、排他的な発言を繰り返すドナルド・トランプ氏が支持を集めています。今年初めには、仏パリ経済学校トマ・ピケティ教授が格差解消の処方箋について書いた本が米国発でブームになりました。また今年のノーベル経済学賞は米プリンストン大学のアンガス・ディートン教授で、途上国の貧困の研究に力を注いできた方です。あらゆる面で「格差」に注目が集まっています。 サックス:ピケティとディートンが見ているのは違う問題です。世界中の多くの途上国で、先進国経済に追いつきたい、という強いキャッチアップ願望があります。そこには多くの理由があります。日本の方も、歴史を顧みれば心当たりがあるでしょう。 国が貧しくて、発展が遅れている時、(自分が)とてももろいと感じられます。統治にリスクを感じ、常に危険に巻き込まれ、人としての尊厳が失われる。こうした時、問題は国ごとの所得格差であって、これに対する取り組みは世界政治の中心です。最も重要な問題は、途上国がどうキャッチアップして、先進国との格差を縮めるかにあります。こちらは、ディートン教授が長年携わってきた分野です。 米国で高まる内政と格差、移民への不満 一方で、同じ国内での格差拡大の問題もあります。これがピケティ教授の研究したものです。このテーマもまた政治的緊張の高まる話題です。というのも、米国内でも他国内でも、国内の格差が拡大しているからです。 米国内では非常に大きな格差が広がってきたために、内政が不公平であるという感情が強く渦巻いています。富裕層はより多くのカネを持っているだけでなく、より強大な政治力を持っているからです。その政治力を行使して、免税や特別な便益を実現し、さらに豊かになっている。 つまり格差に対する関心の一部は、最貧困層を支援することで減らしていくべきという話でなく、システムがすべての人々に対して機能しておらず、不公平なのではないかという不満からきているのです。
多くの研究が、政治の世界では超富裕層の願望や意見が政治を支配していることを示しています。米国の民主主義システムが信頼を失っているのです。これは、格差がもたらす試練の深刻な部分です。 欧米先進国の排他的な感情は、フランス・パリの同時多発テロをきっかけに一層、高まりました。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」によるテロが世界中を震撼させ、対テロ軍事介入が過熱しています。 サックス:パリのテロは社会に対する大きな衝撃でした。(ISが)世界政治を大きく変容させつつあります。国境問題や外交政策、あるいは欧州連合(EU)の将来をめぐり、欧州中に政治的な軋轢を生じさせているシリア難民問題と一緒になって、ますます緊張を生んでいます。欧州域内に大きな分断がある。米国でも、テロをきっかけに大きな論議が巻き起こっています。移民を巡る、感情的な非難が高まっているのです。 これは大きな試練だと思います。米国が今よりも一層深く中東の軍事活動に没頭していくのではないかと危惧しています。 このわずかな期間に、世界中で大変な政情不安が起こっています。しかし問題に対処するための聡明な、効果的な戦略対応はまだ見つかっていません。過去15年間の中東における対応で数多くの戦争を繰り広げ、大きな不安定をつくり出したのは米国です。しかし、次に取るべき手段についてはっきりしたアイデアがあるわけではないのです。 米国の孤立主義はかなり良くない。米国が、ある種の自己抑制を効かせるのが賢いやり方だろうと思います。私の個人的な意見では、米国だけに任せず、国際連合を通じたアプローチが必要だと思います。 米国は「有志連合」を急ぎ過ぎた 日本も来年かかわらなければいけないと思いますが、国連の安全保障理事会こそ、この問題を前進させるのにふさわしい場だと思います。米国は「有志連合(Coalition of the Willing)」と呼ばれる、国連平和維持活動(PKO)の形を取らない国際連携の道に向かって、あまりに単独で急ぎ過ぎたと思います。言い換えれば、米国は国家がグループを組織してやってきたこと、すなわち国際法や国連の枠組みから外れて単独でやってきた。それが成功しなかったということです。 確かに、以前に比べて米国が強くなくなっています。中国やインドのような新興勢力が台頭してきました。今でも米国は世界の名目GDPの17%(国際通貨基金=IMF推計)を占める最大の国家ですが、中国も17%で、数値では若干上回っている状況です。世界の政治経済の力学に大きな変化が起きています。
サックス:いくつかの論点があると思います。外交政策というのは大変複雑で、そもそも軍事的アプローチはあまり効果的ではありません。米国が最大の力を誇っていた時ですら、ベトナムに勝てませんでしたからね。これは40年前に得た教訓です。 軍事力が強くても軍事的アプローチは効かない それは決して、その当時に米国が弱かったからではありません。単に、軍事的アプローチに問題があったのです。米国は外交政策に軍事力を使い過ぎでした。他国の立場に立って問題点を理解し、解決しようという協調的なアプローチに乏しい。これが問題の一部です。 もう1つの問題はおっしゃる通りで、もちろん米国はかつてのように支配力はありません。それは、リーダーのせいではないし、自己解決できる問題でもない。だから世界で協調していくアプローチの方が、効果的に違いないのです。40年前と違い、米国が国際的な議題で問題設定をできる状況ではありません。 もちろん米国には、技術的な能力もまだあります。そして、経済も強い。しかし、だからといって、自分たちの意志を世界に押し付けることはもはやできないのです。個人主義的にではなく、集団主義的に答えを見つけ出さなければいけないのです。 米国民は、米国のグローバルな事案に対する問題解決能力に、懐疑的だと思います。恐らくそれはイラク戦争における最悪な経験が反映した民意でしょう。ベトナム戦争ほど致命的な傷にはならなかったにせよ、ある意味似ている部分もあります。米国軍が大量に派兵されたにもかかわらず、米国民が望むような「結果」が出せなかった点です。 こうした時代こそ、多国間の枠組みによる意思決定が重要です。日本は、今こそ国連安全保障理事会の常任理事国を目指すべきでしょう。安保理常任理事国に中国以外のアジアの国が名を連ねることが、安保理でアジアのプレゼンスを高めることにつながります。アジア全体にとっても戦略的に重要なアプローチだと思います。 そして、(対テロなどの行動でも)米国の同盟国としてではなく、国連のメンバー、国連軍として行動するのです。国連安保理も、連帯してテロに立ち向かっていく、と表明しています。 テロ撲滅は、1国では実現できません。米国1国で世界の安全を守ることはできないと分かったのです。世界は今、ISによる混乱を食い止めるという共通の目的があります。今回ISに対しどう対処すべきか多国間で合意を形成していくことは、今後、国際的な合意形成を実現していくためのよい訓練になるでしょう。 このコラムについて キーパーソンに聞く 日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/246215/112000130/?rt=nocnt 金相場、足元の底堅さは一時的か ENLARGE 金相場はこの1年半、他の金属相場ほど下げていない PHOTO: REUTERS By SPENCER JAKAB 2015 年 12 月 21 日 12:39 JST 金属の中で相場が最も底堅い品目は何だろうか。ここ数日はどれもひどく軟調に見えるが、その答えは意外にも「金」だ。 金相場はこの1年半の下落率が16%にとどまる。幅広く取引されている他の7種の金属に比べると小幅だ。例えば、鉄鉱石相場は57%下げている。 妙な話だが、現在の環境での金の魅力、すなわち魅力のなさがその理由だ。ゼロ金利下では現金から得られるリターンがごくわずかだったため、利子が付かない金を保有する機会コストは低かった。さらに言えば、金融緩和策が物価上昇を招くと懸念していた向きが、インフレ高進時に資産の価値を守るという金の伝統的な役割を好んだ。 広告 もっとも、米連邦準備制度理事会(FRB)が時間をかけて先週の利上げを市場に織り込ませてきたため、他の金属相場よりも金価格の下げがきつくなってもおかしくはなかった。そうならなかった理由は何だろうか。それは「用途がない」ということが金の取りえだったからだ。 ENLARGE 各種金属の過去1年半の下落率 銅、鉄鉱石、ニッケル、亜鉛は、最終需要の低迷と供給過多が重しとなっている。貴金属の中でも銀とプラチナは金ほど堅調ではない。いずれも工業用途で代替品が存在するためだ。 銀など工業用金属にとっての朗報は、需要の落ち込みは一時的ということだ。また、足元の投資削減は、将来の強気相場の種をまくことにもなる。 対照的に、古代から採掘されてきた金は、そのほぼ全てが何らかの形で地上に残っている。インフレはいずれ上昇する可能性がある。その場合、金は安全資産であるかもしれないが、工業用金属のドル建て価格も上昇するはずだ。 金相場はかなりしっかり持ちこたえてきた。だが、金属全般が弱気相場となる中で最も下落率の小さい金属、という輝きを失う日は近いかもしれない。 関連記事 • 強いドルと弱い中国統計、金属相場に打撃 • 米利上げが金属相場に与える影響 • 商品価格、資源業界の減産よそに低迷 http://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CN353_GOLDHE_16U_20151220153014.jpg
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