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正午のドルは121円前半で上値重い、株安・原油安で(ロイター)
http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/696.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 12 月 21 日 13:03:05: igsppGRN/E9PQ
 

 12月21日、正午のドル/円は、前週末ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ同水準の121.19/21円だった。写真は都内で6月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)


正午のドルは121円前半で上値重い、株安・原油安で
http://jp.reuters.com/article/forex-mid-idJPKBN0U407I20151221
2015年 12月 21日 12:21 JST


[東京 21日 ロイター] - 正午のドル/円は、前週末ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ同水準の121.19/21円だった。米国株式が崩れたことで、日経平均株価が寄り付きから軟調に推移した。株価が300円超に下げ幅を拡大した場面ではドル/円は121円付近まで下押しされた。

朝方のドル/円は121.10─30円台で推移していたが、株価が下落幅を広げたことで、121.03円まで下げた。個人投資家の買いなどで121円割れは回避したものの、正午にかけて戻りは鈍かった。

21日のアジア時間は、米原油先物CLc1が35ドル割れで年初来安値の水準に迫ったほか、北海ブレント原油先物LCOc1が一時7年ぶりの安値をつけた。米国やイランの輸出拡大をめぐる観測を背景に過剰供給への懸念が強まった。

市場では「国際商品市況の低迷が現在のリスクオフの根底にある。ここが解決されない限りは株式市場の反転は難しい」(IG証券の石川順一マーケット・アナリスト)との声が出ていた。


 

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1. 2015年12月22日 21:33:33 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk[167]
コラム:円安、ついに終わりの始まりか=内田稔氏

三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト
[東京 22日] - 2015年の主要通貨のパフォーマンスを振り返ると上位2通貨は、ドルとスイスフランとなり、第3位に円が続く。

むろん、ドルは正常化観測から独歩高となった通貨であるし、スイスフランは1月の突然の為替介入打ち止め宣言を受け、全面高となった経緯がある。これに対し、日本では異次元緩和が続いたが、ドルとスイスフランを除く全ての主要通貨に対して円高が進んだ。

そのドルとスイスフランに対する円の下げ幅もわずか1%台と限定的だ。この事実は、金融政策の格差が、為替相場を占う上で絶対的なものではないことを示している。

いよいよ米国の利上げが始まったことで、感覚的にはドル高円安が進むとの見方に傾きがちだ。しかし、日米の金融政策、日本の国際収支構造の変化、世界的な通貨の勢力図などを勘案すると、16年はドル安円高への警戒が一段と必要になってきたと考えられる。

<金融政策はドル高円安を必ずしも示唆せず>

12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における政策金利予想分布図(ドットチャート)の中位値は、16年の利上げペースとして年4回を示唆した。一方、市場は、利上げ回数を2回かせいぜい3回としかみていない。

この12月、利上げ後にかえってドル安円高が進んだ通り、利上げ自体は必ずしもドル円上昇を意味しない。このため、一段のドル高には、市場予想も年4回ペースでの利上げ予想へと収れんする必要があろう。

ただし、景気回復が始まってからすでに7年目に入っている米国経済の勢いは鈍る可能性が高く、やはり利上げはあっても2回程度にとどまろう。金融政策面から生じるドル高は次第に勢いを失うだろう。

また、仮に市場が利上げペースの加速を織り込む場合も、2―3回の利上げしか見込んでいない米国の株式相場は軟調に推移する可能性が高い。それが円買いを通じてドル円上昇を抑制しよう。さらに、その利上げペースの加速を織り込む理由が、仮に米国のインフレ率の高進だとすれば、ドルの実質金利上昇が抑制され、やはりドルは上がりにくいだろう。

一方、日銀は18日に、「量的・質的金融緩和を補完するための諸措置の導入」を決定した。今後の円滑な資産買い入れを促す追加緩和への布石との見方も成り立とう。しかし、長期国債の買い入れの平均残存期間を伸ばしておきながら、追加緩和ではないとの説明を含め、その意図や真意のわかりにくさは否めない。

そもそもすでに毎月10兆円規模の国債買い入れを行っており、国債の3割以上のシェアを占める日銀にとって、フロー(流動性)、ストック(日銀の国債保有残高)の両面で、国債の買い増し余地は無限ではない。仮に追加緩和を講じる場合も、国債の買い入れ増額は、14年10月の追加緩和時を大幅に下回るか、国債以外の資産買い入れがその柱となる可能性が高い。

そうなれば、市場は日銀の緩和拡大余地への疑念を強め、為替市場での円安効果も限定的となろう。そればかりか、大した円安が進まないという値動きを投資家が目の当たりにした後、市場の失望感が増幅され、円高圧力として跳ね返る可能性にも十分な注意が必要だ。日米の金融政策の格差は、必ずしもドル高円安を指し示しているわけではないだろう。

<じわりと増す経常黒字の円高圧力>

金融政策に次ぐ論点として、日本で急拡大した経常黒字をどのように評価するかが挙げられる。多くの通貨に対し、円高が進んだ通り、経常黒字の拡大による円高圧力はすでに着実に増したと言える。

ただし、旺盛な対外投資による円売りによって、ドル円でのドル安円高がかなり抑制されたのも事実だろう。16年を展望すると世界で突出した対外純資産を持つ日本では、配当金の集積である第1次所得収支の黒字が拡大基調を維持しよう。よほど資源価格が急騰し、貿易赤字が急拡大でもしない限り、日本の経常収支黒字は来年も今年と同程度の年間15―20兆円規模を維持すると思われる。

一方、対外投資のうち、直接投資と中長期債投資は、ある程度の規模を維持しようが、より円売りへと結びつきやすい株式・投資ファンド持分はかなり減少するだろう。公的年金は、遅かれ早かれ当初定めた目標付近へと残高を積み増し終えるとみられ、相場急変時のリバランスを除けば、様子見姿勢を強めることが考えられる。

また、多くの通貨ペアで円高が進んだことから、個人投資家が被った為替差損も小さくないとみられ、こちらも様子見姿勢を強めよう。このため、16年は経常黒字による円高圧力が、15年よりもさらにじわりと増すとみられる。為替市場全体としてみれば、日本の経常収支の黒字は決して大きくないが、金融政策同様、市場参加者の期待形成に働きかける部分も勘案すれば、やはり経常黒字は円高圧力となるだろう。

<ドル円は来年115円割り込む展開も>

もう1つの重要な論点は、中国など新興国要因だ。まず中国は、国際通貨基金(IMF)による人民元の特別引き出し権(SDR)への組み入れが決まり、16年10月頃を念頭に資本規制の緩和を進めるとみられる。このことは、これまで封じ込められてきたドル高人民元安圧力が強まる可能性を示唆する。

実際、直近では11年以来となる対ドル6.50付近へとドル高人民元安が進んだ。また、事実上の切り下げを実施したアルゼンチンが、ブラジルを含めて、周辺国の通貨安志向を刺激する可能性も高い。中東では、原油価格の低迷とドル高が進み、一段とディスインフレ(物価上昇率の鈍化)圧力が強まると見込まれ、常に通貨切り下げの可能性を念頭に置く必要がありそうだ。

これら全てのしわ寄せは、ドル高へと向かうため、米国の低インフレが助長され、米国の利上げペースを鈍化させよう。こうしたドル高は、一見するとドル円でのドル高材料ともみられがちだが、そうではないだろう。今年の夏場がそうであったように、こうした新興国通貨に対するドル高は、新興国からの資本の流出観測へとつながり、リスクオフの雰囲気を強めやすい。このため、ドル円においては、むしろ円買いが勝る傾向が強い。

16年もドルは新興国通貨などに対しては、まだ強さを維持する可能性は残る。ただし、ともに上位に位置するドルと円の強弱関係に変化が起こる可能性が高い。15年の円相場は、多くの主要通貨に対して円高が進み、すでに円安の終わりが始まったとも言えるのだが、16年はいよいよ本丸であるドル円についても、円が反発する可能性が高まっていると考えられる。16年のドル円は年末にかけて115円を割り込み、110円も視界に捉える展開を予想する。

*内田稔氏は、三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチのチーフアナリスト。1993年、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、国内外で一貫して外国為替業務に携わる。J-money誌の東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では2013年、14年と個人ランキング1位。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)
http://jp.reuters.com/article/column-minori-uchida-idJPKBN0U50I520151222?sp=true

EUへの難民・移民、今年100万人突破=国連
[ジュネーブ 22日 ロイター] - 国連難民高等弁務事務所(UNHCR)と国際移住機関(IOM)によると、今年、欧州連合(EU)諸国に流入した難民・移民(陸路、海路合計)が100万人を超えた。

移動の際に死亡した人や行方不明になった人は3600人という。

EUに流入した難民・移民の半数はシリアの出身。20%はアフガニスタン、7%はイラクの出身だった。

両機関によると、今月21日までに100万5504人がギリシャ、ブルガリア、イタリア、スペイン、マルタ、キプロスに到着。うち大多数の81万6752人は海路でギリシャに入った。

UNHCRは来年も同じペースで難民・移民が流入するとの前提で計画を立てているが、IOMの広報官は流入数の予測は不可能と話している。
http://jp.reuters.com/article/europe-migrants-idJPKBN0U513120151222


 


視点:2016年の日本経済、20の疑問(下)=河野龍太郎氏
BNPパリバ証券 経済調査本部長
[東京 22日] - 2016年の日本経済はどうなるのか。パート1に続き、疑問に答える形で16年のシナリオを探る。パート2は、日銀の金融政策と、日本経済の外部環境であるグローバル経済の行方を取り上げる。

<金融政策編>

Q13)2%インフレは再び先送りか。

10月のコアインフレ(生鮮食品を除く消費者物価)は前年比マイナス0.1%だったが、コアコアインフレ(生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価)は1.2%だった。

需給ギャップの物価へのタイムラグは2四半期程度だが、今後、円安による物価押し上げ効果も剥落することなどから、2015年第4四半期から需給ギャップの改善が再開しても、コアコアは16年第3四半期まで1.2%程度で足踏みする。その後、緩やかに上昇が再開、16年第4四半期は1.3%、17年第1四半期は1.5%まで上昇する。

コアインフレは、原油安のベース効果から15年第4四半期までゼロ近傍で推移する。その後、原油安効果の剥落が始まるが、今夏の原油安効果も残存するため、16年第1四半期は0.4%、第2四半期は0.4%、第3四半期は0.8%の上昇にとどまり、原油安効果が完全に剥落する16年第4四半期に1.1%と、ようやく1%を超える。

17年第1四半期は1.6%とインフレ率が加速するが、これは消費増税前の駆け込み需要によって、需給ギャップが改善、便乗値上げも行われるためだ。増税後、その反動から物価上昇はしばらく足踏みする。これらの結果、消費増税の影響を除くと、17年度中も日銀が目標とする2%インフレには到達できない。

Q14)2%インフレに到達しないのなら、日銀は追加緩和に動くか。

日銀は10月末に2%インフレの達成時期を「16年度前半頃」から「16年度後半頃」に修正したが、追加緩和に動かなかった。4月にも先送りしたが動かなかった。16年度後半も2%インフレ達成の見込みは薄く、再度の先送りは必至だが、もはや2%インフレの達成が遅れることを理由に、追加緩和に動くことはないと思われる。

日銀の政策反応関数はすでに大きく変化しており、事実上の「フレキシブル・インフレーション・ターゲット」に移行、コアコアが1%程度を超えていれば、コアインフレが早期に2%に到達しなくても、大きな問題はないというスタンスに変わってしまった。次に日銀が動くとすれば、コアコアが継続的に低下を続けることが懸念される場合であり、それは大幅な円高が進むケースか、需給ギャップの大幅な悪化の継続が予想されるケースではないだろうか。

Q15)なぜ日銀の政策反応関数は変わったのか。

まず、追加緩和のメリットが小さくなっていることがある。前述した通り、追加緩和で円安が進んでも、輸出数量が増えず経済全体のパイが一定の中で、円安は輸出企業の業績を押し上げるものの、家計の実質購買力を抑制し、家計から輸出企業への単なる所得移転となっている。輸出企業の業績改善による株高とそれがもたらす資産効果、インバウンド消費の改善まで加えれば全体ではプラスだが、いずれにせよ効果は相当小さい。

一方で、追加緩和は出口の際のコストを高める。すでに国債の市中発行額の9割を日銀は購入しているが、今後、スムーズな購入を続けるには、より残存期間の長い国債を購入する必要がある。18日の金融政策決定会合で長期国債購入の平均残存期間を拡大したのも、現行のネットで年80兆円ペースでの購入がスムーズに続けられなくなるからだが、それは、出口の際、バランスシートを圧縮するまでに相当長い期間を要することを意味する。

また、利上げを開始した際、付利の支払いが膨らむ一方、保有する長期国債の利回りが低いため、日銀の損失が膨らむ。政策のメリットが小さく、一方でコストが大きくなっているため、簡単に政策は発動されない。

さらに重要なことだが、17年4月の消費増税を控える中、16年夏の参議院選挙が近づいており、いくら株価にプラスになるとはいえ、これ以上、家計部門に負担増を強いる円安及び円安をもたらす追加緩和を政府は望ましいとは考えていない。支持率が40%程度まで低下しているため、政治的にも追加緩和は微妙である。

18日の会合で新たな指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ枠の設定が打ち出されたのも、国債購入の増額が難しくなっていることだけでなく、円安をもたらす政策をできるだけ回避したいという思いの表れだろう。

Q16)追加緩和の可能性は全く無いのか。

現段階で、さらなる円安をもたらすための追加緩和は予想されないが、大幅な円高が訪れる際には、追加緩和はあり得る。例えば中国経済がハードランディングする場合、米連邦準備理事会(FRB)の利上げは中断され、大幅な円高が訪れるリスクが高まる。

実質円レートは1973年以来の超円安水準まで低下しているため、いったん調整が始まると大幅な円高となるリスクがある。この時、輸出数量が落ち込むだけでなく、国内でも企業が設備投資や人件費を圧縮するため、日本経済は単に国内総生産(GDP)統計上マイナス成長になるだけでなく、需給ギャップが明確に悪化するという意味で、不況に陥る可能性が高い。円高を回避することのメリットが高まるため、政策発動のコストが大きいとしても、追加緩和は正当化され得る。

ただ、追加緩和が行われる場合、前述した出口の際のコストが上昇することやオペレーション上の問題から、長期国債の購入を中心とした量的ターゲットの拡大ではなく、付利引き下げを中心とした金利ターゲットへの移行になると見られる。また、こうした環境となれば、当然にして、消費増税も再度、先送りされる可能性が高い。現段階における消費増税の先送り確率は30%程度である。

<グローバル経済編>

Q17)世界経済は回復が続くか。

米欧の内需が堅調であることから、世界経済は回復が続くというのが基本シナリオだが、新興国バブル・資源バブル崩壊の後遺症が残るため、16年に世界経済の成長ペースは加速しない、むしろ鈍化する可能性が強い。

中国経済は下げ止まりつつあるが、少なくとも16年半ばまでは底ばい傾向が続く。これまでも米国の金融緩和期に資金が向かった先の新興国でブームが醸成され、米国が金融引き締めに転じると、資金流出によって新興国のブームが崩壊することは何度も観測された。

ただ、80年代、90年代は、金融面だけでなく、実物面でも世界経済を規定していたのが米国であったため、米国が最初の利上げを始める時期には、むしろ米国の内需が加速、新興国が多少ふらついても世界経済全体の成長ペースは高まっていた。しかし、今回は事態が大きく異なる。まず、米国のアグレッシブな金融緩和によって、相当大きな新興国・資源バブルが醸成され、それが現在、崩壊過程に入っている。

さらに、この点が重要だが、世界で2番目の経済規模にまで拡大した中国経済が、潜在成長率の下方屈折問題や過剰ストック問題、ドルペッグに伴う人民高問題を抱え、足踏みを続けている。先進国の回復で新興国の減速がスムーズに吸収されるというより、新興国の減速で先進国の回復ペースが鈍化する可能性が高い。

Q18)2000年代の高成長は再現されないのか。

日本のみならず、米欧も労働力の伸びの鈍化によって、2000年代は潜在成長率が大きく低下した。2000年代に米欧で大規模バブルが生じたのは、潜在成長率の低下に伴い、収益性の高い実物投資の機会が枯渇する中、緩和マネーが株や不動産に向かったためである。

しかし、米欧の潜在成長率の低下にもかかわらず、世界経済が高い成長を遂げたのは、経済規模の大きくなった中国が高度成長を続け、世界経済をけん引したためである。中国では速いペースでの資本蓄積が続き、先進国・新興国は中国向けに輸出を増やすことができた。しかし、11年には中国の高成長も終焉、世界経済が享受した輸出の時代はすでに終わっている。

かつての中国に代わるような経済規模が大きく高い成長が可能な新興国が出現しないため、2010年代後半も世界経済は高い成長が期待できない。多くの人がフロンティアと考えていた新興国と資源のバブルが崩壊を迎え、世界経済に対する成長期待の低下から、16年は15年に続いて各国で実物投資が弱含む可能性が高い。

Q19)原油価格の低迷は続くのか。

2000年代に原油高が続いたのも、基本的には、高度成長の続いた中国の旺盛な需要が主因だ。中国の高度成長の終焉とともに、原油高の時代も終わった。本来なら、中国の高成長が終了した11年に原油安が訪れても不思議ではなかったが、その後もFRBのアグレッシブな金融緩和が生み出す過剰流動性によって、14年10月まで原油価格は高値で張り付いていた。

さらに高値が続くという思惑から、「イージーマネー」によるファイナンスによって世界中で資源開発が続けられ、過剰ストックが積み上げられてしまった。このため、地政学リスクが急激に高まらない限り、しばらく原油価格の戻りは限られたものになると思われる。

資源国は過剰ストック、過剰債務問題を抱え、苦境が続くが、さらにFRBの利上げに伴う資本コストの上昇も加わる。中国需要が高まる前の2000―04年頃の平均30ドル強を実質的な均衡レートと考えると、物価調整した場合、現状では41ドル程度の水準に対応する。原油高の時代の終焉はすべてを輸入に頼る日本にとって交易条件の改善を意味する。輸出に頼れないとしても交易条件の改善が大きなサポートとなるはずだが、前回述べた通り、問題はその大部分が企業に滞留していることである。

Q20)2016年の世界経済のリスクは、アップサイドかダウンサイドか。

明らかにリスクは、ダウンサイドに偏っている。下げ止まり傾向が観測されるといっても、中国経済はなお、下振れリスクを抱えている。2000年代の終盤に、農業部門の余剰労働力が工業化の過程で底をつく「ルイスの転換点」を迎え、潜在成長率が大きく下方屈折したが、当時、リーマンショックが低成長の原因と中国政府は誤認し、大規模財政を発動したため、それが過剰ストック問題をもたらした。

さらに、ドルに対し事実上のペッグ制を続けているため、実体経済に比して割高な人民元が景気回復の足を引っ張る。90年代の日本の置かれた状況と共通する。中国政府は財政政策で景気を下支えすると考えられるが、財政の規模を追求すれば、それは新たな過剰ストックを生む。こうした中、米国の内需が回復すれば、それはそれで望ましいのだが、それに伴いFRBの継続的な利上げ観測からドル高が進み、人民元実効レート上昇が中国経済の足を引っ張る恐れがある。

このほか、懸念されるのは、リーマンショック後に強化された金融規制がFRBの金融引き締め効果を増幅することである。前述した通り、低利のドル資金を元手に資源開発を続けた経済主体はバブルの残骸を抱え、利上げ開始によってますます困難な状況となる。現在、米国で好調なのは住宅販売や自動車販売で、いずれも低金利環境によって支えられているものであり、前提も揺るがす。

世界で2番目に大きくなった中国経済が減速局面にある中で、FRBの利上げが、新興国バブル・資源バブル崩壊後の世界経済のダウンサイドリスクを高める。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。
http://jp.reuters.com/article/view-ryutaro-kono-parttwo-idJPKBN0U50D620151222


視点:対中を越えて、アジアが求む日本の構想力=寺島実郎氏
一般財団法人日本総合研究所(JRI)理事長
[東京 22日] - 中国の影響力が増すアジアで日本はいかなる役割を担うべきか。日本総合研究所の寺島実郎理事長は、成熟した民主主義国家として、実体経済の「質」を高め、技術力・産業力そしてソフトパワーで21世紀におけるアジアでの日本の展望を構想すべきと指摘する。

同氏の見解は、以下の通り。

<アジアのリーダーに必要な「浩然の気」>

日本の現状を見て、このところ改めて注目しているのが1914年から18年の「運命の5年間」だ。第1次世界大戦を挟んで、当時の日本は世界潮流から遅れて植民地主義に踏み込んでいった。それまで屈折して蓄積されてきた中国に対する劣等感を優越感に反転させた瞬間だった。

その後、第2次世界大戦での敗戦を米国に対する物量の敗戦と総括した日本人は、ひたすら経済復興と成長に力点を置いて、平和と繁栄の思想に専心した。そして、産業力を背景に、世界第2位の経済大国まで成長したことに大きな自負心を持った。

しかし、その自負心が傷つけられる事態が起きた。2010年に中国に国内総生産(GDP)で抜かれ、14年には2倍を超えた。さらに1人当たりGDPでも香港に抜かれ、アジアで第4位になった。もはやアジアで最も豊かな国ではないという状況に、「事情」を知っている人ほど心穏やかではない。そこへ中国の拡張的動きが重なって、中国に対する平常心を失っている。

このような心理に加えて米中関係を見誤ると、米国と組んで中国の脅威を抑えていくしかないという結論に行き着くのだろう。

しかし、この発想は、世界の感覚とは完全にずれている。日米で協力して中国に向き合おうというゲームを組み立てているつもりだろうが、米国の本質は異なる。

アジアでの影響力の最大化を考える米国は、日本を大事な同盟国とする一方で、中国を戦略的パートナーと言わないまでも、重要な対話の相手として認識している。

尖閣諸島(中国名・釣魚島)の問題をめぐっては、施政権が日本にあり、日本防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用対象であると米国は明言しているが、同盟責任を果たすと伝えているのであって、中国封じ込めのゲームに付き合うと言っているわけではない。

日本の過剰依存と過剰期待が、アジアの外交ゲームをおかしくしている。ウェットな日本は、中国封じ込めの「自由と繁栄の弧」のイデオロギー外交に米国を引き込めると考えているが、アジアでの影響力の最大化を目指す米国は中国も日本も大事だと言っているだけである。この微妙な認識のズレが日本外交に「複雑骨折」を引き起こしている。

日本はもっと賢くならなければいけない。中国と同じレベルでの力比べが21世紀の日本のテーマだと思っている人たちからすれば、集団的自衛権となるのだろうが、本来は21世紀のアジアでの日本の役割をどう認識するかによって、政策論も展開されるべきだ。

私が東南アジアの人たちと議論していて感じるのは、日本がアジアで期待されている役割は中国と角を突き合わせることではない。マネーゲームや株式市場の規模で中国と張り合うことより、一段上の成熟した民主国家として、技術力や産業力、あるいはソフトパワーで格上の国だと実証していくことが日本の進むべき針路なのだと覚悟する必要がある。

日本の外交史を検証して見えてくることは、中国に対して平常心を失うと、迷走するということだ。前述した通り、劣等感が優越感に転じると、戦争への道を歩んだ。100年経った今、優越感を抱いていた中国にGDPで追い越されて、平常心を再び失い、一種の興奮状態に陥っている。

そうではなく、孟子の言葉でいう、「浩然の気」のごとく、広い心を持ち、アジアをどのように牽(けん)引していくのかを考え、アジアのリーダーにふさわしい風格を備える必要がある。

<新自由主義とリフレ経済学の「複雑骨折」>

経済政策についても同様に覚悟をもって臨むべきだ。7―9月期は改定値でかろうじてプラス成長となり、不況入り(2四半期連続のマイナス成長)は免れたが、期待外れの成長にとどまっていることは明らかだ。実体経済とマネーゲームとの乖(かい)離が起きていることをはっきりと認識しなければならない。

安倍政権の経済政策は、突き詰めれば、株高幻想に寄りかかっている。株高の恩恵を享受している人たちはもちろんいる。一部の大企業には追い風ともなっている。しかし、金融緩和と円安誘導によって、失っているものは相当大きい。輸入インフレはその一例だが、日本のようにエネルギーや食料を海外に依存している国にとって、為替を円安に持ってくことは非常にリスクのあることだ。

日本企業はアベノミクス以前、十数年にわたって円高圧力に耐えながら、ひたすら生産拠点の海外シフトなどグローバル化を推し進めてきた。この3年間、円安基調で推移したからといって、いきなり生産基盤を国内に戻せないだろう。

また、円安で企業収益が水膨れしても、国内で働く人たちへの分配は一向に増える様子はない。むしろ、勤労者世帯の可処分所得は、消費税増税と社会保障負担増によって、実質的には減っている。そこへインフレだ。消費者物価は目下、エネルギー価格下落によって抑えられているように見えるが、過去3年間の累計では3.5%から4%上昇している。低所得者ほど生活が厳しくなっているのは明白だ。

こうした状況を見ると、日本が陥っているのは、まさに新自由主義とリフレ経済学の「複雑骨折」だと感じる。政府は企業に賃上げを求めているが、その一方で法人税減税を進めており、分配重視なのか国際競争力重視なのか、どこを目指しているのか分からない。「新3本の矢」は社会的な困窮者への対策を強く打ち出しているが、これはアベノミクスがうまく行っていないと自ら認めているようなものだ。

では、どうすればよいのか。日本の経済構造を直視してあえて1つ挙げれば、サービス産業の高度化へ大きく踏み出すことではないだろうか。

1960年代までは生産性の低い農業セクターから生産性の高い製造業セクターへ就業が移動することでより豊かになれたが、もはや工業生産力を高め、通商国家として付加価値を創出するパターンだけでは豊かになれない就業構造になっている。長年の命題であるサービス産業の高度化に真剣に取り組まなければならない。特に観光は、パラダイムシフトの起点として、大いに期待できる。欧米あるいはシンガポール並みにポテンシャルを引き出せれば、経済活性化をもたらす中核産業となろう。

女性活躍や地方創生が大事なテーマであるのは誰も異論はない。だが、一番重要なのは実体経済のところで、日本人をより豊かにする産業論を組み立てることだ。

これほど問題が山積しているにもかかわらず、秋の臨時国会が開かれなかったことは大変残念に思う。代議制のあり方について考え直す必要があると思われる。

*本稿は、寺島実郎氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて書かれています。

*寺島実郎氏は一般財団法人日本総合研究所理事長、多摩大学学長。経済産業省・資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員として、国のエネルギー政策議論にも参加している。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの特集「2016年の視点」に掲載されたものです。
http://jp.reuters.com/article/view-jitsuro-terashima-idJPKBN0U50FJ20151222?sp=true


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