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FRBによる利上げ
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52757733.html
2015年12月17日 在野のアナリスト
昨晩、米FOMCにおいて0.25%の利上げが決定されました。FRBのバランスシートに変更はなく、償還を迎えた債券は再投資し、流動性を維持したままで利上げだけする形です。さらに来年は4回ほど利上げを計画しており、市場予想の中央値である3回より、ややタカ派な印象です。
世界は米株をはじめ、同時株高の様相ですが、市場がこれを祭りとして扱い「anything buy」(何でも買え)と号令がかかったように、別に金融政策の正常化そのものを評価したものではありません。金融政策の正常化というイベントを買ったのであり、この祭りは1日で終わりでしょう。問題は来年以後、タカ派の利上げペースにより米経済はどうなるか? 新興国からの資金流出は? コモディティ関連は? といった経済の実体に焦点は移って行くことになります。
今回のFOMCで特徴的なのは、FRBが利上げしてもインフレ目標は達成できる、と自信を示した点です。その理由は語りませんでしたが、恐らく暗にECBや日銀への批判になることを避けたのでしょう。つまり「米国は利上げしてインフレ目標を達成する」と説明すれば、その逆をしているECB、日銀が困ることになるからです。しかも、困らせないよう配慮したのは、決して気をつかったのではなく、ECB、日銀が低金利である方が、米国にとって都合がいいためにそうしたのです。
今の経済は、金融市場が拡大、グローバル化したため、流動性を供給してもその一部しか国内にとどまらず、ほとんどが運用で海外に流れてしまう。それが通貨安を引き起こし、製造業が回復…というシナリオも、日本の失敗で起こらないと分かった。米国がそうであるように、ドル高でも景気は好調。これは流動性を集める国が経済を回復する、というお手本のようなシナリオです。即ち、中央銀行にとって必要なのは資金を供給することではなく、この流動性の波をどうつかむか? なのです。そのとき、ECBや日銀が追加緩和などの流動性を供給してくれ、またゼロ金利という債券市場が壊れている状態の方が、よりそこから逃避した資金が、金利が正常な国、米国に集まってくることにもなります。FRBは金利を正常化させ、資金が集まることで経済をさらに好調にし、インフレにする。そう宣言してみせたのが、今回のFOMCということです。
しかし副作用は勿論でてくるでしょう。新興国は、逆に資金が流入して経済が好調に推移していましたが、米FRBが利上げを匂わせてから、どうにも思わしくないのも、自身が行ったわけではないのに資金の波が押し寄せ、そして引いていく。これは自国の金融政策を難しくします。さらに香港も0.25%の利上げをしましたが、ドルペッグ、もしくはそれに近い体制をとる国は、景気動向に関わらず、経済が引き締められてしまう。9月にFRBが利上げを見送ったのも中国不安というのが大きかったですが、まさに以前と比べて拡大した新興国経済の動向が、世界経済すら揺るがすほどの変動をおこすかもしれない。その不安がいつ破裂するか、というところです。
日本の株式市場は、思っている以上に動きませんでした。昨日は秋から頑張ってきた日系、日米合弁系が久しぶりに買いを入れ、態度を転換させたかとみられましたが、今日は総じて大人しかった。先物、オプションの商いは伸びず、現物株の商いは多少増えたものの、ポジション整理の売り買いにとどまります。想定の範囲内とはいえ、熱気の全くない相場でした。理由の一つに、円安がすすみにくいこと。裁定買い残の高さや、円売りポジションの積み上がりなど、上に行っても頭を押さえられる要因が多く、安心して買える状況でない点が大きいのでしょう。市場が動揺すれば、日銀が明日の決定会合で追加緩和を打てる余地がでてくる、と考えていましたが、この株高では動けないでしょう。しかもFRBに突きつけられたダメだし。いつまでも流動性を供給する側となっても、インフレは達成できない。金融政策の不透明感も、今後の日本にとって不安要因となってきてしまうのかもしれませんね。
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