1. 2015年12月17日 18:56:01
: jXbiWWJBCA
: zikAgAsyVVk[158]
焦点:日本株転機の経験則、米景気足取り鈍く株高継続に懸念もBusiness | 2015年 12月 17日 17:45 JST [東京 17日 ロイター] - 過去4回における初回の米利上げ局面では、短期的な日本株の転換点となったケースが多い。今回もイベント通過後に上昇基調が鮮明化するとの期待感が広がり、年末にも日経平均.N225は2万円を回復するとの見方が強まっている。 ただ、過去のケースに比べ、米経済の足取りが強くないのも事実で、ドル高/円安の天井が低く、株高の継続に懸念を示す声もくすぶっている。 <初回米利上げが目先の潮目に> 米連邦準備理事会(FRB)が利上げを開始するのは、04年6月30日以来、11年半ぶりになる。利上げ日を起点に過去30日と30日後の日経平均の動きをみると、利上げ実施前に5%上昇、実施後には6%下落した。 一方、97年3月では利上げ実施を境にV字回復し、5%下落後に4%上昇した。94年2月や99年6月には、直前の上昇に歯止めが掛かった。 97年とその他3回との違いは、利上げのペース(回数)だ。97年はアジア通貨危機もあり1回の利上げにとどまったのに対し、その他3回では6─17回、ほぼ毎回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを決定している。 連続利上げが米景気を圧迫するとの見方から「うわさで買って事実で売る」株式市場では、利上げは売りのきっかけになったとみられる。 実際、過去4回の利上げ局面では、米国内総生産(GDP)成長率が初回利上げの翌年には平均して0.6ポイント低下している。日本の対米輸出(数量ベース)も、財務省のデータが抽出可能な99年と04年の翌年には伸びが鈍化した。米経済への依存度が大きい日本の株価が米利上げをきっかけにトレンドが変わる背景には、そうした構図がある。 <97年パターンなら日経2万円へ> 今回、米利上げのペースは緩やかになるというのが、市場のコンセンサスだ。イエレン議長も会見で、利上げは「緩やかなプロセスとなる公算が大きい」と言明。金融緩和を長期化し、将来、急激な利上げを迫られるような状況は回避したいと述べた。 このため、利上げパターンとしては97年に近いものになるかもしれない。米利上げを受けた17日の日経平均は一時457円高となり、節目の1万9500円を回復。12月1日の高値2万0012円から15日安値1万8562円までの下げ幅の半値戻し(1万9287円)を達成した。 日本株は、12月初めから大きく水準を切り下げていることもあり、FOMC通過をきっかけに反転を期待する声は多い。年末にかけて新年相場への期待や節税対策売りの一巡、機関投資家のドレッシング買いなどが見込まれ、日経平均2万円との見方が広がっている。 <米景気への不安くすぶる> ただ、97年同様、ファンダメンタルズには不安もつきまとう。FRBは2016年末の政策金利見通しを9月と同様の1.375%とし、現時点から25ベーシスポイント幅で年4回の利上げを見込んだが、市場では「世界経済が下向く中で、巡航速度の利上げができるのか疑問が残る」(いちよしアセットマネジメント執行役員の秋野充成氏)と慎重な見方が多い。 原油価格など商品市況の低下などでインフレ期待が下がっているうえ、米国経済への先行きに確信が持てないとの声が多い。ISM製造業景気指数が50を割りこむ中での利上げは、史上初めてだ。FRBが見込んでいる16年の実質GDP成長率2.4%に届かない可能性も少なくない。 米利上げペースの抑制が、日本株の上昇に歯止めをかける可能性もある。「年4回の利上げなら1ドル130円が可能だが、年2回では同125円程度にとどまる」(外資系証券)との見方があるためだ。 ドルの上値が重くなれば輸出系企業の業績の伸びも限られ、日経平均をけん引する力が鈍る。 「今回の利上げは『引き締め』ではなく『正常化』への第一歩」(いちよしAMの秋野氏)であり、グレートローテーション(債券から株式への資金シフト)の巻き戻しを過度に警戒する声は少ない。 ただ、世界経済への不安を抱える中でのゼロ金利解除に対し、リスクオンムードになり切れない心理もかなり根強い。緩やかな米利上げしか許容できない米経済の腰の弱さで、果たして世界経済は順調な拡大軌道に乗ることができるのか──。投資家は依然、半身の構えを崩せないでいる。 (杉山容俊 取材協力:河口浩一、長田善行 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/us-rate-japan-stocks-idJPKBN0U00UX20151217 コラム:米ゼロ金利解除で待ち受ける不確実性 Column | 2015年 12月 17日 16:37 JST Richard Beales [ニューヨーク 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦公開市場委員会(FOMC)が2008年12月以来、初めてフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を実質ゼロから引き上げ、0.25─0.50%とした。まったく予想通りの動きだが、利上げ局面に突入することはそれでもなお、市場に新たな不透明感をもたらすかもしれない。 市場参加者全員が過去7年間、FF金利が動かない状態に慣れ切っていたため、筋肉は衰えているかもしれない。資産の所有者も運用者も、備えは万全だと思っているだろう。しかし金利リスクというものは、予想外の場所に激痛をもたらし得る。特に米国の金利サイクルが転換した時はそうで、最近のジャンク債市場の混乱ぶりにもそれは見て取れる。 将来についての想定も変わるかもしれない。イエレン議長の下で米連邦準備理事会(FRB)がついにゼロ金利を解除できたことへの安心感は広がるだろうが、ようやく次の動きに注目できるようになった、という者もいるだろう。FRBと欧州中央銀行(ECB)の金融政策が反対方向を向いていることが公式に確認された今、例えばドル高がさらに進むかもしれない。 短期金利と足並みをそろえ、長期金利も上昇する可能性がある。あるいは、FRBの利上げによってインフレ圧力が抑えられ、成長率も鈍化すると受け止められれば、長期金利は下がるかもしれない。 そしてFRBの利上げパスだ。FOMCはゆっくりと歩を進める方針だが、2016年に予定される8回のFOMCで、1回おきに0.25%ずつ上げていくのか、あるいはもっと頻繁に小刻みな利上げを繰り返すのか。FRBは、データ次第だと言うだろうが、どのデータを重視するのか。 ゼロ金利解除は予定より遅れたため、市場関係者の多くはついに実現したことを喜んでいるだろう。しかしこれを機に新たな疑問が生まれ、その答えは不確実だ。金利という階段の登り方を学び直す過程で、市場は何度かつまづくかもしれない。 ●背景となるニュース *FOMCは16日、FF金利の誘導目標を0─0.25%から0.25─0.50%に引き上げた。実質ゼロ金利政策は2008年12月から続いていた。FOMCが最後に利上げを行ったのは2006年6月だった。 *筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。 http://jp.reuters.com/article/column-fed-liftoff-uncertainty-idJPKBN0U00P620151217
Business | 2015年 12月 17日 16:19 JST
焦点:米利上げで残る新興国通貨不安、資本流出リスクが火種 [東京 17日 ロイター] - 米利上げという今年最大のイベントをこなした市場にくすぶるのは、新興国通貨への不安だ。利上げ決定直後はブラジルレアルなど高金利通貨を筆頭に買い戻されたが、ドル建ての過剰債務を抱える新興国では債務負担の増大が懸念される。 採算性が悪化したドルキャリーの巻き戻しなど投資資金の本国回帰(リパトリエーション)による打撃も予想され、国際金融市場に動揺が広がるリスクは残っている。 <決着はまだ先> 米利上げを無難にこなした新興国市場について、JPモルガン・チェース銀行のチーフFX/EMストラテジスト、棚瀬順哉氏は「今週、決着がつくわけではない」と慎重だ。 「FOMCメンバーの政策金利予想と、市場の利上げ織り込み度合いの乖離は続いており、来年いずれかの時点で市場が4回の利上げを織り込めば、米金利が急上昇し、2013年5月のバーナンキ・ショック時のように、投資家のリスク回避が広がり、新興国市場をはじめとするリスク資産が下落する可能性がある」という。 新興国の脆弱性については国際通貨基金(IMF)も強い警告を発している。 IMFは10月の「世界金融安定報告書」で、主要な新興国の企業(金融機関を除く)が抱える債務は、2014年に約18兆ドル(2200兆円)と10年前の4.5倍まで急増し、金利上昇やドル高に対する脆弱性が高まっているとした。 IMFによると、借金が膨張した原因は日米欧の中央銀行がリーマン・ショック後の不況に対応するために導入した量的緩和政策(QE)。QEがもたらした低利の資金がリターンを求めて新興国に大量に流入し、バブルを生み出したと分析している。 新興国企業が抱える債務は通貨ではドル建て、形態では社債が多く、セクター別では石油ガス・建設、地域別では中国やトルコにおいて伸びが顕著だという。 <ドル債務巻き戻し> 「米国の利上げによってドル高が進行すれば、ドルキャリーの採算性が悪化し資金が引き揚げられる可能性がある。このリスクは中国に限ったことではないが、最近の人民元安は市場の不安感を表しているとみている」と三菱UFJリサーチ&コンサルティング・調査部、主席研究員の廉了氏は言う。 ドル建て債務の巻き戻しによる国際金融市場の動揺が中国から他の新興国へ波及する可能性もある。「ロシア、ブラジル、トルコ、マレーシアなど政治的にも不安定な国については予断を許さない状況で、リスクが顕在化すれば、米国の利上げペースはかなり緩慢なものにならざるを得ないだろう」と廉氏はみている。 国際金融協会(IIF)によると、新興国への資金流入は今年、1988年以来初めてマイナスに転じる見込みで、新興国向け投資は昨年の1.07兆ドルから0.55兆ドルに急減する。一方、新興国の住民による国外への資金流出額は1.09兆ドルに達すると予想され、外貨準備や為替レート、資産価格への下押し圧力を強めている。 新興国からの投資資金の流出規模は、リーマン・ショックやバーナンキ・ショックなど過去の流出局面との比較では、初期段階にあると廉氏は言う。 グローバル・エコノミストの斎藤満氏は「これまでは、非常に弛緩した金融環境の下、信用リスクを無視して、少しでも高い金利をむさぼる投資家が多かった。そのおかげで信用リスクの高い国や企業が安価に資金を調達できていた。しかし、米利上げ以降は、投資家が信用リスクの高いところから順次、資金を引き揚げる可能性が高い」と予想。ジャンク債を運用するサード・アベニュー・フォーカスト・クレジット・ファンドの破綻は象徴的な出来事だとみる。 <チャイナ・リスク> 中国は2008年のリーマン・ショック後にGDPの10%にのぼる大規模な財政投融資を行ってきた。これにより、他の新興国が中国向け輸出を増やし、成長期待が維持されたが、中国の成長率は11年後半に財政の効果が剥落し始めたことで低迷し始める。その後、中国経済は追加財政の発動により、底割れを免れてきた。 今月に入って人民元の対ドルレートが緩やかに切り下げられているが、これは「米利上げでドル高が進んでも、人民元の名目実効レートを現行水準に抑え、実体経済への悪影響を抑制する目的がある」とBNPパリバ証券、シニア・エコノミストの白石洋氏はみている。 ただ、そうした「ファインチューニングが人民元の先安観を招き、一段の資本流出を促し、外貨準備を減少させ、さらなる切り下げ観測を招くという負のスパイラルに陥る可能性がある」という。 白石氏は、予想以上にドル高が進行すれば「一気に10%、20%という大幅な人民元切り下げに踏み切るとの思惑が市場で広がるリスクもある。いずれのケースでも、今年8月のような国際金融市場の動揺を招く」と予想している。 (森佳子 編集:伊賀大記) http://jp.reuters.com/article/imf-idJPKBN0U00NB20151217 http://jp.reuters.com/article/us-oil-stock-idJPKBN0U00YX20151217 焦点:米石油精製会社の株価、原油輸出解禁で堅調局面終了か Business | 2015年 12月 17日 18:00 JST [ニューヨーク 16日 ロイター] - 米国が長年続いた原油輸出規制を近く撤廃するとみられる中、米国の石油精製会社の株価は過去最高値近辺から大きく下げている。石油精製会社に今年、大きく投資した著名投資家ウォーレン・バフェット氏の判断が正しかったかどうかが問われている。 バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイ(BRKa.N)は今年、米石油精製会社フィリップス66(PSX.N)の株式を20億ドルほど買い増し、保有高を2倍以上に引き上げた。 フィリップス66は米国の独立系精製会社としては最大手。ここ5年間は、値下がりした原油を仕入れて一部を精製して輸出する事業が好調だったこともあり、高い利益を確保していた。石油精製製品の輸出は原油輸出規制には抵触しない。 バークシャーは第2・四半期にフィリップス66株を2220万株購入、第3・四半期にも351万株買い増し、保有高は6150万株となり、時価は50億ドルを超えた。バークシャーのポートフォリオではフィリップス66は保有高が5番目に高い銘柄になっている。 ところが今月に入りフィリップス66やPBFエナジー(PBF.N)、テソロ(TSO.N)など精製会社の株価は軒並み8─12%下落した。それまで、これらの銘柄は過去最高値近辺で推移していた。バークシャーはフィリップス66株のポジションで今月初めから6億3300万ドルを失う形になった。 一部のディーラーは石油精製会社株が軟調に転じた理由について、原油輸出解禁に向けた動きに関連していると考えている。原油輸出規制が撤廃されれば、国内のシェールオイル調達をめぐる競争が外国の買い手との間で激化し、精製会社のコストが上昇する可能性があるためだ。 米石油精製大手6社はこの5年間で600億ドルを稼ぎ出し、一部は最高益を達成していた。 アナリストらによると、多数の米石油精製会社がここ何年も享受してきた供給面での優位性は、既に市場の力によって剥落してしまっている。2016年の業績は、今年の水準に匹敵する公算は小さいものの、米国産原油の輸出が解禁されても大きな影響を受けることはないと予想されている。 実際、フィリップス66株は精製会社の中ではパフォーマンスが最高ではないが、年初来では依然として14%上昇している。バークシャーはコメント要請に返答しなかった。 ウッド・マッケンジーのアナリスト、アラン・ヘルダー氏は「原油輸出規制がどうなろうと、米石油精製会社が短期的に大きな影響を受けるとは考えていない」と述べた。 だが米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が9月に公表したリポートによると、原油輸出の解禁により長期的には米石油精製会社に多額のコストが発生し、石油生産会社に利益がもたらされる可能性がある。 EIAの推計では、原油輸出規制が撤廃された場合、精製会社の利益は2025年に規制が据え置かれた場合と比べて227億ドル減少する一方、生産会社の利益は300億ドル程度増える見通し。 2012年には米国産標準油種(WTI)先物は平均で北海ブレント先物よりも17.50ドル低い水準だった。これにより米石油精製会社は原油を安く仕入れる空前の機会を確保できた。米東海岸やメキシコ湾岸の精製業者はノースダコタ州から低価格の原油を仕入れる優位性を生かすため、鉄道輸送ターミナルを建設した。 現在はWTIと北海ブレントの価格差は1.50ドル未満に縮小したため、精製会社は米国産原油の仕入れを控えて外国からの輸入を余儀なくされる格好となっている。大半のアナリストは、こうした傾向が来年も、そして恐らくはそれ以降も続くと予想している。 米議会指導部は15日、風力・太陽光発電の発展を促すための税控除と引き換えに、原油輸出規制の撤廃を盛り込んだ歳出法案をとりまとめた。法案は18日にも採決される見通し。原油輸出の解禁自体には反対しているオバマ大統領は16日、法案に署名する意向を示した。 ウエルズ・ファーゴのアナリスト、ロジャー・リード氏は、原油輸出解禁をめぐる報道に株式市場は「過剰反応している」と指摘。米国産原油が北海ブレントよりも著しく低い価格で取引される局面が早期に再来するとは誰も予想していない、と主張した。 ここ1、2年は原油輸出規制が続けられた状況下でさえ、ノースダコタ州バッケン地区で稼働するパイプラインは増えたが、原油価格低迷を受けて生産の伸びが鈍化したのに伴い、WTIと北海ブレントの価格差は大きく縮小してきた。 WTI先物の3月限、4月限、5月限はいずれも15日、北海ブレント先物の価格をわずかながら上回った。WTIが北海ブレントよりも高くなったのは、2010年以降で初めて。 <東海岸における問題> 原油輸出の解禁に強く反対しているPBFエナジーやフィラデルフィア・エナジー・ソリューションズ、デルタ航空傘下のモンロー・エナジーなど米東海岸の精製会社は、WTIと北海ブレントの価格差縮小で最も大きく影響を受けている。ニュージャージー州ベイウェイにあるフィリップス66最大の精製所は、WTIが北海ブレントよりも大幅に安かった時期にバッケンで生産される原油を最も多く購入している企業の1社だった。 これらの精製会社はWTIと北海ブレントの価格差が大きかった際、原油をノースダコタ州のシェール層から自社の精製所へ鉄道で輸送していた。だか価格差の縮小に伴い、東海岸の精製会社は外国からの原油輸入に依存するようになった。 今月に入ってからこれまでの各社の株価は、PBFエナジーが14.7%安、ホーリーフロンティアが14%安、テソロが約12%安、フィリップス66が約11%安。ウエスタン・リファイニング(WNR.N)は月初来では17%安、年初来でもマイナスになった。 年初来では、テソロとバレロ・エナジー(VLO.N)はいずれも40%超の上昇、PBFエナジーは31%高となっている。 トムソン・ロイターのデータによると、米石油精製会社全体では2016年は前年比16.0%の減益になると予想されている。 (Jarrett Renshaw記者) http://jp.reuters.com/article/us-oil-stock-idJPKBN0U00YX20151217 |