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結局また増税!自民党政権は日本の自動車産業を滅ぼすつもりか? 他国と比較してもすでに異常な高負担なのに…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46895
2015年12月15日(火) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス
■不振続きの自動車産業にさらなる鞭
消費税と軽自動車税の2つの増税によって、すっかり「高嶺の花」になってしまった「新車」が、われわれ庶民にますます縁遠いものになるかもしれない。
元凶は、先週(12月10日)自民、公明両党の税制調査会がまとめた2016年度税制改正大綱である。税率を10%に引き上げる消費増税の実施と同じ2017年4月から、廃止が決まっている自動車取得税に代わる「新税」の導入を認めたのだ。
自動車業界は長年、二重課税に異を唱えてきたが、このままでは解消に至らない懸念がある。善後策が講じられなければ、消費者の自動車離れに拍車をかけるだけにとどまらない。
何より懸念されるのは、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の大筋合意などによって、歯止めがかかると期待されていた「自動車産業の空洞化」の解消が幻に終わるリスクだ。国内の雇用や個人所得の増加に大きな打撃を与えて、経済全体の足を引っ張ることにもなりかねない。
軽自動車を含む新車販売は、株式市場のバブル崩壊が始まった1990年度に780万台(日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会の調べ)とピークを付けたが、それ以後は長期的な低落傾向が続いている。
特に、この2年間の不振は深刻だ。昨年(2014年)度は、税率8%への消費増税が響いて、530万台と前年度比で6.9%減少した。今年度も軽自動車税増税(自家用乗用車の場合、年7200円から1万800円に引き上げ)が足を引っ張って、上半期(4〜9月)の実績は前年同期比で5.8%減の233万台にとどまった。
下半期に入ってからも、10、11月と2ヵ月連続で前年割れとなり、2年連続の減少が確実とみられている。
■なんと9種類にも及ぶ日本の車税
もともと日本の税制は、自動車所有者を「税収を絞り取る対象」としかみていないのだろう。公共交通機関がなく、自動車をかけがえのない交通手段としてなけなしのおカネで購入している人が少なくないのに、そんな実態は無視して一律に贅沢品におカネをかける裕福な消費者とみなしているのである。
実際のところ、2015年度の当初予算では、取得(消費税、自動車取得税)、保有(自動車重量税、自動車税、軽自動車税)、走行(揮発油税、地方揮発油税、軽油引取税、石油ガス税、消費税)の各段階で、合計9種類に及ぶ税金をかけており、国・地方の税収全体の8.7.%に相当する8.3兆円を吸い上げる計算になっている。
国際比較をすると、その過酷さが浮き彫りになる。日本自動車工業界によると、登録車の車体課税をみても、3種類(自動車取得税、自動車重量税、自動車税)もの重くて複雑な体系の税をかけているのは、先進国で日本だけだ。
イギリス、ドイツ、フランス、アメリカなど他の自動車輸出大国は名目こそ違え、いずれも1種類しかないという。税額も、例えば車体価格180万円、排気量1800CC、車両重量1.5トン以下の自動車で比較すると、日本のそれはこれら4ヵ国の1.7倍〜34倍に達するそうだ。
一方、自動車メーカー各社はこれまで、国内経済の潜在成長力が低下して個人所得が伸び悩む中で、近くに大消費市場がある海外に製造拠点を移さざるを得ない状況に陥っていた。残った国内生産も、ほぼ半分が輸出用の自動車が占めている。
そこで、メーカー各社は海外市場に照準をあわせた車作りをすることになりがちだ。ところが、これは、デフレ経済下で所得が伸び悩む日本の消費者にとっては、以前と違い、割高感のある車ばかりがショーウインドウに並ぶ状況を意味しているのである。
しかし、自民、公明両党の税調の政治家センセイたちは、消費増税と軽自動車増税で、庶民にとって自動車が高嶺の花になっているということを知らないらしい。
■さらに消費増税の追い打ち
本来ならば、自動車取得税は、1989年に消費税を導入した際に、二重課税を避けるために廃止すべきだったが、あろうことか、政府は2009年に同税を目的税(道路特定財源)から使途制限のない普通税とした。
加えて、昨年4月に消費税の税率を8%に引き上げた時も、自動車取得税の税率を3%に引き下げただけでちゃっかり存続させた経緯がある。
昨年度の税制改正大綱で、ようやく、再来年4月に税率を10%に引きあげる際に自動車取得税を廃止することにした一方で、財源を失う地方のために自動車税に上乗せする「環境性能課税」を導入する方向を打ち出した。そして、2016年度の税制改正大綱で、正式に環境性能課税の細目を認めたのである。
政府は、この環境性能課税の税収規模を890億円程度と説明し、廃止する自動車取得税の税収規模と比べて「実質的に210億円の減税になる」とか、「ユーザーが負担の軽減を実感できるようにすることで、自動車の消費を喚起したい」などと喧伝しているが、これほどの詭弁はないだろう。
そもそも消費増税をしたうえで、二重課税になるため廃止しなければならない自動車取得税を「環境性能課税」と名前を変えて存続させ、その一部に優遇税制を適用するというのは、増税幅を少し圧縮するということに過ぎない。それを「実質減税」と言い張るのは、屁理屈としか言いようがない。
本気でユーザーに負担の軽減を実感してほしいのならば、再来年の消費増税のうち自動車にかかる部分と今回導入を決めた環境性能課税の見込み税額分を上回る減税を、自動車税や自動車重量税を対象に断行するのが筋である。
さらに言えば、環境性能課税の対象になるハイブリッド車や電気自動車は、その価格の高さ故、先進国はもちろん世界的になかなか受け入れられていない車である。日本をそういう車だらけにしょうという税制は、携帯電話市場のように自動車市場をガラパゴス化させかねない欠陥税制だ。
自動車業界では、2007年に生産台数の内外逆転が起きて以来、毎年100万台ペースで国内生産が減り続けている。昨年度は海外生産が1700万台に達したのに対し、国内生産は960万台に縮小した。しかも、その約半数の450万台は輸出用の自動車である。
メーカー各社の間では、今後5年程度の間に、残っている輸出用車両の生産ラインも海外に移さざるを得ないと囁かれているのが実情だ。
そんな中で、一筋の光明と注目されたのが、今年10月に交渉が大筋に合意に達したTPPだ。段階的とはいえ関税の撤廃にメドが付いたほか、その適用対象になる原産地規制の統一も盛り込まれ、空洞化に歯止めがかかることを期待するムードが出始めていた。
しかし、今回の大綱のような税制改革をやっているようでは、すべてが水の泡になりかねない。
日本の消費者に購買能力がないから、製造の空洞化が進み、空洞化するから雇用や所得が伸びず、さらに購買力が落ちていく……。そんな悪循環が繰り返されかねないのである。
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