4. 2015年12月14日 19:38:11
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日本株が急落、「パリバ・ショック」が脳裏に [東京 14日 ロイター] - 日本株が急落するなか、市場関係者の脳裏をよぎったのは「パリバ・ショック」だ。米投資会社のジャンク社債ファンドが前週に解約停止となり、世界金融危機に至る発端となった2007年の同ショックを思い出させた。 多くの安全網が敷かれた今、危機再燃を予想する声は少ないが、米利上げや原油安の影響に対し、マーケットは神経質になっている。 <リーマンの2年前> 「解約停止」という久々の言葉に、市場関係者は身構えている。 米投資会社サード・アベニュー・マネジメント傘下のジャンク社債ファンドは10日、投資家からの解約受付を停止すると発表した。米国のミューチュアル・ファンドの破綻規模としては、08年のプライマリー・リザーブ・ファンド以降で最大となる。 ヘッジファンドも、ディストレスト債(経営危機にある企業の社債)を専門に手掛けるストーン・ライオン・キャピタル・パートナーズが11日、解約請求の受け付けを停止。2桁の損失を出して解約が殺到しているライオンアイ・キャピタルも12月末に閉鎖する予定だとみられている。 09年9月の「リーマン・ショック」は突然起きたわけではない。その2年前には、「パリバショック」があった。07年8月9日、サブプライム問題の深刻化を背景に、BNPパリバ傘下のミューチュアル・ファンドが、投資家からの解約を凍結すると発表。その後の金融危機の発端になった。 サード・アベニューのニュースが最初に飛び込んできたのは、実は前週11日(日本時間)の朝だったが、ヘッジファンドの解約停止が伝わるなど、懸念材料が相次ぐ中で欧米株が急落。広がる世界的なリスクオフが週明けの日本株市場を襲い、14日の日経平均は一時600円安となった。「解約停止が重なり、市場のメルトダウンへの警戒感が高まった」(米在住の国内証券ストラテジスト)という。 <米利上げと原油安> ジャンク債(ハイイールド債、高利回り債ともいう)市場は大きく悪化している。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの週間調査によると、9日までの1週間に高利回り債ファンドからは38億ドルの資金が流出し、流出額は過去15週間で最大となった。米国の高利回り債の実質利回りは17%と、5年ぶりの高水準に跳ね上がった。 その背景は米利上げと原油安だ。今週の米連邦市場員会(FOMC)で、金融危機後初めて米利上げ実施が予想されるなか、米国債の利回りが上昇。ジャンク債の高利回りという「魅力」が相対的に低下した。 さらに資金流出に拍車をかけたのが、原油安だ。米原油先物CLc1は前週、2009年2月以来初めて1バレル36ドルを割り込み、リーマン・ショック後の安値である32.40ドルに接近した。米国のシェール関連企業の多くがジャンク債を発行し、資金を調達していたが、原油価格の急落で経営悪化の懸念が強まっている。 「金融緩和の規模拡大や長期化で、債務不履行リスクを軽視する風潮があるように見える。リスクに対して利回りが低過ぎ、それの修正過程に入っているのかもしれない」と、りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏は指摘する。 <金融緩和で米社債は2倍に> 実は、過去の金利上昇時のジャンク債のパフォーマンスは悪くない。フィデリティ投信によると、過去3回の長期金利上昇局面(02─05年、08─09年、12─13年)における米ハイイールド債の上昇率は平均36.6%にのぼる。 デフォルト率も「ジャンク」というイメージほどではなく、PIMCOによると過去1年間で2.3%程度だ。 米国が利上げに踏み切ろうとする一方、日欧の超金融緩和は来年も続く見通し。「過剰流動性は維持されるとみられることから、市場が落ち着けば、高い利回りを求める買いも出るだろう。2016年のジャンク債市場は、ワイドとタイトを繰り返すことになりそうだ」とBNPパリバ証券・チーフクレジットアナリストの中空麻奈氏はみている。 ただ、米社債市場全体は、ここ数年で急拡大した。金融危機以降の超金融緩和で、低金利が定着。投資適格債、ハイイールド債ともに増加し、全体の発行額は08年と比べてほぼ2倍となった。 一方、リーマン後の金融規制の強化によって、プライマリー・ディーラーなどは在庫を持ちにくくなっている。残高は増加しているが取引量は低下、流動性の問題が生じている。 JPモルガン・アセット・マネジメント・グローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は「投資銀行がリスクを抱えなくなったことで、銀行間の信用不安は高まりにくくなっている。しかし、金融規制などの影響で資金の偏在は進んでいる。ドル調達コストの上昇もそれが背景だ。急激な流動性低下には依然として警戒が必要」との見方を示している。 (伊賀大記 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/cross-market-idJPKBN0TX0X020151214?sp=true アングル:ドル/円が企業想定レートに接近、日銀緩和期待の再燃も
[東京 14日 ロイター] - ドル/円JPY=EBSと企業の想定為替レートが近づいてきた。リスク回避の円高が進む一方、企業の想定水準が上昇。円安効果による収益の上方修正余地が縮小している。 市場では、実勢相場が日銀の「容認水準」を割り込み、下落が深まれば深まるほど、日銀の追加緩和期待が盛り上がるとの声も出ている。 <企業業績の円安効果が縮小> 14日に発表された12月日銀短観によると、2015年度の企業のドル/円想定為替レートは、大企業・製造業1091社の平均で119.40円となった。9月調査の117.39円から2円程度上昇した。 企業は期初の想定為替レートを保守的に設定し、徐々に実勢相場に寄せていくことで収益計画を上方修正するパターンが多い。4月1日発表の3月短観で111.81円だった想定レートは、6月短観で115.62円、9月短観で117.39円と切り上がってきた。 12月短観では、今年度の経常利益計画が前年比プラス6.5%と、前回9月調査から1.7%ポイント上方修正された。通常のパターンに沿った動きではあるものの、想定レートと実勢相場が近づけば、円安効果による今後の上方修正余地は限定される。 SMBC日興証券・チーフエコノミスト、牧野潤一氏は「現時点でプラス6.5%の利益計画であれば、最終的に15年度の増益率は、2桁に届かない可能性がある」とみている。 <アベノミクス開始以来、初めての状況> アベノミクスが始まった12年10─12月期以降、実勢相場が想定レートを上回る円高になったことはない。みずほ銀行・チーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏は「決算上は営業外利益が常に出ている状況であり、これが企業の株価の支えとなっていた面がある」と指摘する。 14日午前9時のドル/円スポットレートである120.90/92円を実勢レートとすると、想定レートとの差は2円未満にとどまっている。 企業の想定レートはアベノミクス開始以降、最も実勢に接近しており、2014年10月に行われた日銀ハロウィン緩和直前の状況に近い(14年7─9月期の平均レート104.01円、9月短観で示された企業の想定レートは100.73円で、その差は約3.3円)。 唐鎌氏は、両レートの接近について、米国の利上げ期待が膨らんではしぼみ、実勢相場でレンジが形成されたことが背景にあると指摘。「企業も、実勢相場からかい離した想定レートをいつまでも出すわけにはいかない。実勢が動かない中、時間が経てば両者が近づいてくるのは当たり前」と話す。 <1月緩和説も> ロイターがエコノミストやアナリストを対象にアンケートを行い、7日に発表した調査結果では、18人中13人が日銀の次の金融政策変更が資産買い入れ額の増額になると回答。その4割にあたる6人が、来年1月28─29日の決定会合での追加緩和を予想している。 15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での9年ぶりの利上げが確実視される中、原油安も相まって外為市場は神経質になっている。利上げ後のドル/円の相場展開は円高、円安と専門家でも見方が分かれる。 FOMC通過後、企業の想定レートである119.40円を割り込み、来年にかけて円高が加速した場合には、市場で日銀の追加緩和観測が膨らむ可能性がある。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券・チーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は「短観は日銀自前の調査。この想定レートは意識せざるを得ない」と指摘。「ドルが119円前半から下がれば下がるほど、反比例するかたちで追加緩和期待が盛り上がっていくだろう」とみている。 追加緩和期待が盛り上がれば「ドル/円の下落の一定の歯止めになる」(国内金融機関)との見方が多い。 (杉山健太郎 編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/forex-rate-company-idJPKBN0TX0SQ20151214?sp=true |