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SDR採用で進む人民元安。中国政府のリスキーな「実験経済」は成功するのか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46863
2015年12月14日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界」 現代ビジネス
■さらなる切り下げもありうる
12月11日、中国人民銀行(中央銀行)は、人民元(CNY)とドルとの交換に使う基準レートを1ドル=6.4358元に設定した。これは8月11日の人民元切り下げ後、最も低い基準値だ。海外のオフショア市場でも2011年8月上旬以来の人民元安が進んでいる。
今回の人民元安は、通貨の国際化を進めるための第一歩と考えられる。IMFは、人民元をSDR(特別引き出し権)の構成通貨に採用し更なる改革を求めた。中国政府は、そうした指摘を簡単には無視できない。いまのところ、市場が人民元をどう評価するのかを探ろうとしているのだろう。
ここで重要になるのが、世界経済にショックを与えることなく、中国政府が通貨制度の改革を進められるか否かだ。これまでの経緯を振り返ると、改革に伴うショックが起きる可能性は排除しきれない。
今年8月11日、中国政府は、突然、人民元を切り下げた。その行動は市場を混乱させた。一方、11月30日、IMFは人民元をSDR構成通貨として認め、引き続き通貨制度の改革を求めている。経済の実力に合った為替レートの決定のために、自由な取引制度が求められている。おそらく、さらなる人民元切り下げの可能性もある。
こうした動きを背景に市場が神経質になるなか、中国の政府・中央銀行は市場が人民元をどう評価するのかを探ろうとしている。そのために基準値を切り下げ、市場の反応を見定めようとしているのだろう。それは「リスクのある実験」というべき取り組みだ。
基準値の切り下げを受けてオフショア人民元(CNH)の下方リスクは高まりやすいだろう。それが中国への懸念を追加的に掻き立て、新興国通貨の下落など市場の混乱、リスクオフにつながるシナリオは十分に考慮した方がよさそうだ。
■改革は容易ではない。にもかかわらず・・・
では、人民元の改革はどの程度のスピードで進むのだろうか。地方債の発行など中国が進めてきた金融自由化を前提にすると、当局は相応のスピード感を持って為替レートの一本化と自由な取引制度を整備しようとするはずだ。
基本的には、中国の改革は世界経済の不安定さを増幅させやすいと考えた方がよい。この理由を、中国の政策手腕、景気動向の2点から確認しておこう。
中国の市場安定化策の手腕は未熟だ。それは市場原理を活用しながら混乱を避けようとするものではない。人為的に市場の売り圧力を封じ込めようとしている。これでは、一時的に市場が落ち着いたとしても、潜在的な売り圧力は残ってしまうだろう。
国有企業の再編に対しても、政府の指導が決定権を持つ。市場原理すら政府の考えに従うべきというのが中国流の改革の在り方だと考えた方が良いだろう。
景気は減速している。11月末の中国の外貨準備残高は3.44兆ドルに減少した。理由は、人民元の過度な下落を制御するために為替介入を行ったからだろう。先行きの景気は弱含みやすく、人民元に対する売り圧力も高まりやすい。結果的に、相場安定のための為替介入は正当化され、管理通貨制度の改革は進みづらいのかもしれない。
以上、改革は容易ではない。にもかかわらず、IMFは人民元をSDRに採用し、さらなる取り組みを求めた。そこには、中国を国際金融の檜舞台に引っ張り出した方が、市場原理の導入など、改革を進めやすいという考えがあったのだろう。
しかし、主要国の意向通りに動かないのが中国だ。APECでも海洋進出を不問にするなど、自国の考えを周りに強要しつつ、国際社会での主導権を握ろうとしている。そのため、今後もチャイナリスクが市場を混乱させることになるはずだ。
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