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日本生命保険本社(「Wikipedia」より/663highland)
業界の雄・日本生命の没落と惨状…首位陥落で焦り、セコすぎる手法で収入「かさ上げ」
http://biz-journal.jp/2015/12/post_12863.html
2015.12.14 文=鷲尾香一/ジャーナリスト Business Journal
企業の2016年3月期中間(15年9月期)決算発表が終了したが、なかでもとりわけ注目されたニュースのひとつが、保険料等収入(売上高に相当する)で日本生命保険が第一生命保険を抜き、2年ぶりに首位を奪回したというものだった。
「生保業界の巨人」といわれる日生が保険料等収入で、第一生命に首位の座を奪われたのは15年3月期中間決算(14年9月期)のこと。ちょうど1年前の出来事だ。その後、15年3月期の通期決算でも第一生命の保険料等収入が日生を約1000億円上回り、通期でも首位となった。日生が首位を明け渡すのは「戦後初めて」のこと。
この時の決算記者会見における両社の反応は対照的だった。日生の児島一裕常務執行役員が「看過できない。国内ナンバーワンにこだわる」と屈辱感を滲ませたのに対して、第一生命の川島貴志専務執行役員は「一喜一憂はしない。(保険料等収入は)ブレも大きい」と淡々としていた。
そして、16年3月期中間決算。第一生命の保険料等収入は前年同期比7.8%増の2兆7900億円。これに対して、日本生命の保険料等収入は同17.3%増の2兆8961億円。日生が約1000億円の差をつけて、首位を奪回した。日生の児島常務執行役員は「銀行での窓口販売や団体年金保険の受託業務など大口が好調だった」と喜びの笑みを浮かべた。
■「見かけ倒しの資金」
ではなぜ今回、日生は急速に保険料等収入を伸ばして首位に返り咲いたのか。
日生は14年9月期から保険料等収入を約4280億円増加させているが、その内訳をみると、個人分野が744億円(前年同期比2.6%増)、団体分野が3851億円(同47.6%増)となっている。つまり、増加分の約9割は団体分野で増加したものだ。
しかも、その団体分野の増加分のほとんどが、一企業によるものなのだ。つまり、一信託銀行に預けられていた大手企業の勘定を、そっくりそのまま手中に収めた結果なのだ。もちろん、そうしたやり方も営業努力の賜物であり、そうした剛腕な営業ができることが「生保業界の巨人」といわれるゆえんでもあろう。
ただ、単純に説明すれば、今回大きな保険料等収入の増加に寄与した団体分野の保険は、個人向け保険契約のように今後保険料残高が増加していくようなものではない。つまり、残高の大幅な増加は見込めず、逆に減少の一途を辿るということになる。たとえば、退職金支払いの準備金と似ていると思えばわかりやすいだろう。退職者が出るたびに支払いが発生して残高が減少する。そうした性格の資金なのである。
そのため、この手の資金運用は手間暇がかかる割には金融機関に入る実入りが少ないため、実は多くの生保会社をはじめとする金融機関は運用を引き受けたがらない。いってみれば「見かけ倒しの中身のない資金」といえる。日生は、こうした資金をも獲得することで、保険料等収入の“かさ上げ”を図り首位に返り咲いたのだ。
いずれ残高が減り、再び第一生命に追いつかれるのではないかとの疑問も持たれるが、そこは“深謀遠慮”に長けた日生。16年度には、三井生命の買収効果が表れるので、「労せずして保険料等収入が増加する」のだ。
生保業界は保険契約者不在の競争が加熱しそうな様相を呈している。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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