伊藤忠 初の総合商社トップ目前で噂される“電撃社長交代”
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171495
2015年12月12日　日刊ゲンダイ

■岡藤氏は会長になっても院政

　伊藤忠が三菱商事を抜いて総合商社で初めてトップに躍り出る。２０１６年３月期の連結最終利益は、伊藤忠商事が３３００億円、三菱商事が３０００億円の予想だ。

　業績好調なだけに、伊藤忠の社長人事は安泰という見方が強かったが、岡藤正広社長（６６）は、アナリストなど１００人を集めた１１月９日の決算説明会で、「サプライズがあるかもしれへんで」と語り、ガ然、その去就に注目が集まっている。

　社長を退いて会長になるとすれば、かねて下馬評に上がっている３人の専務執行役員の中から選ばれるとみられている。

「ある役員ＯＢは『儲けている人を選ぶのが岡藤流』と言っています。そうなると、吉田朋史・住生活・情報カンパニープレジデント（５９）が筆頭でしょうが、ことはそう簡単ではありません。吉田氏は理詰めの人。ところが、岡藤社長は理詰めの人を嫌い、自分と同じ、動物的な勘が働く人を好む。そこで浮上するのが福田祐士・エネルギー・化学品カンパニープレジデント兼ＣＰ・ＣＩＴＩＣ戦略室長（５８）です。福田氏は岡藤社長と同じ東大出身。前出の役員ＯＢは、『化学品の決算で粉飾まがいのことをして、一時期、専務から常務に降格になったことがあるが、岡藤さんがすぐに元に戻した。それだけ可愛いのだろう』と言っていました」（経済ジャーナリスト）

　ＣＰ・ＣＩＴＩＣ戦略室長が伊藤忠の今後を決めると言っても過言ではない。ＣＰはタイの華人財閥、チャロン・ポカパン。ＣＩＴＩＣは中国最大の国有複合企業で６０００億円を投資しており、ＣＰの投資分６０００億円を加えると１兆２０００億円に達する、伊藤忠の命運を握るプロジェクトだ。

「ただ、福田氏の欠点は人望がないことです。『岡藤印』の印籠を高く掲げて社内外を闊歩している。岡藤社長から見れば、『よくやっている。愛い奴』ということなんでしょうが……。人望で見れば、吉田氏が一番です。岡藤社長が吉田氏を後継に選べば、『岡藤さんは社長になってずいぶん器が大きくなった、と高く評価されるだろう』と役員ＯＢは言っていました」（前出の経済ジャーナリスト）

　３人衆のもうひとりは岡本均ＣＳＯ（経営戦略責任者・５８）。岡藤氏と同じ繊維畑でツーカーの間柄だ。繊維から社長が出たのは岡藤氏が３６年ぶりで２人目。「社長の椅子を死守しよう」が大阪の繊維部隊の合言葉だ。

　もっとも、岡藤氏が会長になっても、代表権のある最高経営会議の議長として、文字通り院政を敷くだろうから、続投しても交代しても伊藤忠の権力構造は変わらないようだ。

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