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会社四季報オンラインでは金利引き上げ時の為替や株のグラフも見られる
米国ゼロ金利解除で株、債券、ドルはどう動く?
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151211-00096144-shikiho-nb
会社四季報オンライン 2015/12/11 21:41 新見 未来
米国時間で12月15〜16日の2日間にわたって開かれるFOMC(連邦公開市場委員会)が、注目を集めている。景気や物価に関する判断や政策決定内容を記したFOMC声明文が発表されるのは、日本時間の12月17日早朝4:00頃。FOMCの定期会合は年8回開かれ、そのうち3、6、9、12月の会合ではFOMCメンバーの経済・物価・金利見通しが発表される。会合後にジャネット・イエレンFRB議長の記者会見も行われるため、もともと関心度は高いが、今回は2008年12月以来7年間続いたゼロ金利解除が予想され、世界の市場へ大きな影響を及ぼすのではないかと不安視されているのだ。
FOMCは米国の金融政策を決める会合であり、政策金利であるFF(フェデラルファンド)金利の誘導目標や量的金融緩和の方針などを決める。米国の中央銀行組織は、ワシントンで金融政策・制度の決定や地区連銀の監督などを行うFRB(米国連邦準備制度理事会)と、現場の銀行業務を行う12の地区連銀から構成される。FOMCは、イエレンFRB議長を含むFRB理事7人と、12の地区連銀のうち5つの地区連銀総裁5人、合わせて12人で構成される米国金融政策の最高意思決定機関だ。
■ 相場はイメージ通りに動かない
政策金利であるFF金利の引き上げは、理屈の上では、(1)米国長期金利を押し上げ、(2)ドル相場を上昇させ、(3)株価を下落させるが、過去の利上げ転換局面の事例をみると、この理屈通りに相場は動いていない。
過去4回の利上げ局面(1994年2月〜、1997年3月〜、1999年6月〜、2004年6月〜)で、米国10年国債利回り、ドル相場(実質実効レート、円ドル相場)、日米株価がどのように動いたかをグラフ化したのが図1、図2、図3だ。横軸のゼロ(0)を利上げ直前月とし、利上げ半年前から1年後までの各相場の動き(平均)をみたものだ。4回のうち1997年3月の利上げは1回のみだったが、それ以外の3回は連続利上げだった。
まず、米国10年国債利回りは利上げの数カ月前から上昇を始め、利上げ当月まで上昇した後、頭打ちとなる傾向がわかる。特に2004年6月からの前回利上げ局面では利上げ後、利回りは逆に低下し、当時のアラン・グリーンスパンFRB議長はこの現象を「謎」と評した。
当時、長期金利が低下した原因は、(1)金融引き締めで期待インフレ率が低下し、それが長期金利を低下させた、(2)世界的な貯蓄余剰(=投資不足)下で、中国からの米国債投資が増えたことなどが米国長期金利を低下させた、などと考えられた。
ドル相場も利上げ前まで上向きで推移したが、利上げ後は逆に反落することが多い。中でも円/ドル相場はそうした動きが際立つ。利上げ後のドル反落については、(1)為替市場では、期待に左右される度合いが強いため、米国利上げ期待でドルが上昇した後、実際の利上げ後は織り込み済みになる、(2)利上げは米国景気拡大が続いたことを意味し、景気拡大は米国貿易収支の赤字増大などの問題を生む、などの理由が考えられる。
そして株価については「最初の利上げではほとんど影響はないが2回、3回目になると、市場は金融引き締めを意識し始めて下落する」と言われる。が、実際は必ずしもそうなっていない。
米国株は利上げの翌月までは若干軟化するものの、その後は上向くトレンドがうかがえる。株価への影響が短期・限定的で長い目でみて堅調に推移したのは、(1)株式との裁定が働く債券利回りが上昇しなかった、(2)利上げは米国景気の強さ(→米国企業収益の好調)が背景にあり、利上げ局面でも企業収益が好調であったことが、株価を押し上げたからだ。つまり利上げをきっかけに過剰流動性相場から業績相場へ移行し、好調な業績が株価を押し上げたと考えられる。米国に合わせ、日本も業績相場に移行したようで、実際、金融危機が起きた1997年当時は、株価は反落し、逆に業績好調だった1999年当時は、株価上昇が続いた。
■ 賃金停滞で金利低下か。ドルは反落も
では、過去の経験を念頭に、今回の利上げの影響を考えてみよう。
まず、過去、長期金利は利上げでも上昇しなかった。さらに今回はイエレン議長自身、利上げペースの緩やかさを強調しており、それが長期金利を、より上がりにくくする。過去の年平均利上げ幅は1.5ポイントで、0.25ポイントの利上げ6回分に相当する。これに対して今回はFOMCでも約4回、FF先物市場は2〜3回という小幅な利上げしか想定していない。
利上げペースは特に賃金・物価の動向に左右される。賃金は失業率の低下を受けて、上昇の兆しはあるものの、国際競争の激化やITの影響などの構造要因が上昇を抑える。物価はドル高の影響もあるため、賃金以上に上がりにくい。利上げテンポの緩やかさと物価安定に加えて、世界経済の低迷(投資不足=貯蓄過剰)が続けば、2004年当時と同様に「謎」の長期金利低下が起きる可能性もある。
次に、ドルは過去のケースでは、利上げ前に上昇し、利上げ後は織り込み済みでむしろ反落した。今回もドルは利上げを織り込んで、すでに上昇している。ドルの実質実効レートは2014年8月から15%近く上昇し、2005年以来のドル高水準にある。
確かにドル高は、日欧の金融緩和や新興国の景気低迷による円・ユーロ安、新興国通貨安が反映している部分は大きいが、ドル高で米国の製造業はかなりのダメージを受けており、米国貿易赤字も膨らんでいる。
2016年2月からは米国大統領選挙の予備選挙が始まり、米国議会ではTPPの審議も予定される。米国貿易赤字やドル高が、政治的な議論に上ることは十分ありうる。また、利上げペースが緩やかで長期金利が上昇しなければ、金利面からドルを押し上げる効果も半減する。ドル相場は経験則通り、利上げ後は、反落する可能性が高い。
■ 米国株はボックス相場へ。狙いは好業績の内需株に
株価はどうか。過去のケースから考えると、株式市場は利上げをきっかけに業績相場へ移行すると想定される。ただ、そこで心配なのは米国企業収益の動向だ。雇用コストの増加に加え、ドル高、原油安の影響もあり、実は米国企業の収益は14年以降、ほとんど伸びていない。企業収益の高成長を期待できれば、高いPERも正当化できるが、企業収益が横ばいならPERは本来、低くならなければならず、株価は下落するのが自然だ。
利上げ後も長期金利は上がらないと予想されるため、大きく調整するような場面では長期金利が株価の下支え役を果たすと考えられるが、米国株は上値も重く、おそらく今の水準を上限としたボックス相場へ入る公算が大きい。
最後にそうした中での日本株への投資スタンスを考えてみたい。
足元、国内企業の収益は原油安などによるコスト減少が効き、全体的に膨らんでいる。しかし、これはあくまでも一過性の収益増加だ。米国利上げをきっかけに国内でも業績相場へ移行が進むと考えられ、また思いがけない円高・ドル安や米国株下落にも注意が必要だ。しばらく外需株は、ボラティリティの高い展開になると考えられる。当面は、増収増益が続くような好業績の内需株へ、狙いは絞ったほうが良い。
新見未来(にいみ・みらい)/大手シンクタンクに在籍する気鋭のエコノミスト。マクロ経済のわかりやすい解説には定評がある。今後2週間の注目スケジュールと、重要な経済指標の活用法を隔週金曜日にお届けする。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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