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大介護時代、到来!「ブラック視」され担い手がいない介護業界に、革命児が現れた 「介護甲子園」の挑戦
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46795
2015年12月10日(木) 伊藤 博敏「ニュースの深層」 現代ビジネス
■介護の世界を変える取り組み
「1億総活躍国民会議」が取りまとめた主な緊急対策は、@GDP600兆円、A希望出生率1.8、B介護離職ゼロの三つだ。
いずれも目標は高く、実現は困難なものばかりだ。「介護離職ゼロ」では、介護サービスの受け皿を50万人分新規整備することになり、そのために特別養護老人ホームの待機者解消やサービス付き高齢者向け住宅の整備計画を盛り込んだ。
結局、用意されるのはハコ物だけ。80万人は不足しているという介護士など介護職への配慮がなされていない。
介護報酬が削られるなか、介護士の給与は全産業平均に比べて圧倒的に低いにもかかわらず、改善する兆しが見えない。月に最大2万7000円の処遇改善加算金はあるが、キャリアアップ制度などに連動、誰にも平等に行き渡るような使われ方をされていない。
月に5回の夜勤を入れても手取りが20万円に届かない…といった給与体系が一般化している労働環境では、介護士はなかなか集まらないし、就職しても3K(きつい、汚い、給料が安い)職場の現実に音を上げて、離職する人が後をたたない。
こうした現状を、介護現場から変えようという試みが、「介護甲子園」である。
11月下旬は「1億総活躍国民会議」で議論が白熱していたが、その最中の22日、東京・日比谷公会堂で第5回の決勝大会が開かれ、今年は、愛媛県松山市の認知症対応型共同生活介護の「グループホームルンビニー」が優勝した。
その名の通り「甲子園」である。
介護職であれば、老人ホーム、グループホーム、デイサービス、障害者支援と職種を問わない。今年は全国から2771事業所がエントリーし、30事業所が2次予選に進出、各事業所の撮影・編集した動画がインターネットで公開され、視聴者による投票で全国五ブロックの代表が選ばれた。
決勝大会は、それぞれの事業所に応援団がつき、ステージに約10名のスタッフが登場、映像に演技を重ね合わせて約15分のプレゼンテーションを行った。
優勝したルンビニーの主たるテーマは「看取り」だった。
2002年の開設からこれまでに34名の入居者が亡くなったという。その際、ルンビニーで行っているのは、看取り後、家族とともにお風呂で体を丁寧に洗い、生前、お気に入りだった服を着させ、見送ること。その様子を映像で流しながら、介護職員の覚悟や夢が語られた。
■見よう見まねで始めたのに…
「介護甲子園」を運営しているのは一般社団法人「日本介護協会」である。
メンバーは、38歳の左敬真理事長をはじめ30代後半が中心。97年に介護保険法が成立、00年に介護保険制度が施行され、介護は行政の福祉サービスから民間ビジネスに解放された。その新しいうねりに飛び込み起業したベンチャー経営者が、左氏の「介護現場を元気にしよう」という呼びかけに応える形で集まった。
左理事長と斉藤副理事長(右)
左氏は、芝浦工大の大学院で子供時代からの夢である建築士を目指していたが、「要介護の老人の居宅はどうあるべきか」と、建築・設計の方面から特別養護老人ホームに行き、その悲惨な入居者の姿に衝撃を受け、ボランティア活動を始めるうちに、介護業界で働く決意を固めたという。
「見よう見まねで始めた、というのが実態です。最初のメンバーはヘルパーの学校で知り合った人や、友人知人の紹介など。一番苦労したのはやはり人の管理。02年に起業したのですが、4〜5年の間に7割の人が辞めていった。
経営者として僕が未熟だったせいもあるが、やはり『夢が持てない』という介護士という職業への不満があった。それを解消、介護士が思いや夢を共感、ともに成長するような場を持てないかと。それが介護甲子園という発想につながりました」(左氏)
01年に第1回を開催、1年数ヶ月の準備期間をかけたものの、大会自体が認知されていないうえ、「出場に何のメリットがあるのか」と、相手にされない日々が続いた。全国1000事業所内外を回り、膝詰めで説得、135事業所の参加を得て、ようやく開催にこぎ着けた。
当然、かなりの赤字である。2回目は左氏もスタッフも少し慣れ、赤字幅が減少、3回目で収支がトントンになり、4回目から支援企業も増え「なんとかやっていける」という目処が立ったという。そして、今年、5回目を迎えた。会場は満員の盛況である。
「熱い思いや感動の押し付け。介護ベンチャーの経営者たちが、介護職の悲惨な労働環境を“お祭り”で糊塗している」といった反発はあり、そう批判する記事も散見されるが、ポジティブ思考の左氏は意に介さない。
「介護職の報酬は、各事業所の領域になるし、政治マタ―の話になります。そこに介護甲子園は関与しません。介護現場を元気にしたいという最初の発想を大切にし、継続を力に変えて行きたい」
■「絵に描いた餅」を現実に
政治的な働き掛けを担うのは、斉藤正行副理事長だろう。年齢は左氏のひとつ下だが、人脈は広く経歴は多彩。大学卒業後、コンサルタント会社に3年勤務の後、メディカル・ケア・サービスに入社。27歳で役員となり、会社は06年に上場を果たすが、介護のサポート役になろうと、日本介護ベンチャー協会を立ち上げた。
お泊まりデイサービスの「茶話本舗」の運営会社で副社長を務めたこともあり、同社が不正請求などで批判されたことで攻撃されたこともあるが、現在、同社も含め、事業には関与していない。
活動の中心は介護甲子園と介護事業者と「政」「官」とを結びつけることを目的とした一般社団法人「日本介護事業者連合会」の専務理事職である。
「業界から国への働き掛けは大切ですが、190万人の介護・福祉業界は、サービスごとに団体が分かれ、統一的な活動には至っていません。そこで今年2月、連合会を立ち上げて、政策提言をしたり、政治ビジョンの実現に向けた活動を行っていきます。介護甲子園が現場の連帯を目指す催しなら、連合会は政治・政策面でのサポート役を務めたいと思ってます」(斉藤氏)
ブラック企業視されたワタミが介護事業から撤退、老人施設大手のメッセージが、アミ―ユ川崎幸町の連続転落事故死でバッシングを受けるなど、大手介護業者が批判を受け続けて元気がない。
介護甲子園を運営する日本介護協会の経営者たちは、経営者歴は長いが、年齢的にはいずれも若く、会社の規模は中堅中小といったところ。ただ、その分、バイタリティがあり、説明能力は高い。
この二つが、現在のところ融合しておらず、そこが介護業界全体のうねりになっていない原因だが、待遇面や置かれた環境など、介護職の現状に満足している人はおらず、その改善なくして「介護離職ゼロの為の50万人雇用の創生」など画に描いた餅だ。
左氏は、1万事業所がエントリーしてくるようになれば、介護甲子園の認知度は高まり、介護業界の「横の連帯」と「地位向上」と「夢をある職場」に近付けるとし、その実現がとりあえずの目標だという。
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