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なぜマツダだけがずっと好調なのか?〜営業利益も売り上げも過去最高。自動車業界の勢力図が変わった!?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46796
2015年12月10日(木) 井上 久男「ニュースの深層」 現代ビジネス
■伸びているのはマツダだけ
マツダのスポーツカー「ロードスター」が12月7日、「2015−2016日本カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得した。マツダ車の受賞は昨年の「デミオ」に続いて2年連続だ。
マツダ車を見ていると、車の原点とも言える「人馬一体感」を感じ取ることができ、それを顧客や世間が評価しているのだと思う。「マツダの車は『動的質感』が高い」と評する声もあるほどだ。「動的質感」とは、乗ってみていい車ということだ。
自動車産業では最近、自動運転や省エネ(エコ)の話が話題になることが多い。インターネットや人工知能(ロボット)と自動車産業が融合する時代になっていることは事実だ。新しい技術は、交通事故の減少やユーザーの利便性の向上にも貢献していくだろう。
筆者は時代の流れを否定するつもりもないし、乗り遅れないようにすべきだとも感じる。地球環境保護のため、エネルギーのセーブも重要なテーマだ。
ただ、人はなぜ車に乗るのかを考えると、それは移動手段が必要だからであり、要はかつての馬の代替である。快適に移動することが求められる。加えて、乗る喜びを求めるというか、操りたいという願望もあるだろう。
また、車は自分一人でいることができる、あるいは他人との関係を遮断して家族や大切な人たちと共有できる「空間」も提供してくれる。もし、人が運転しない自動運転の車になってしまったら、車の楽しさは半減してしまう気がしてならない。
本コラムでも何度か紹介したが、マツダは2006年から「モノ造り革新」と呼ばれる、車の設計から生産まですべての手法を抜本的に見直す経営改革を断行して、新たな車づくりを目指してきた。
その象徴のひとつが、「スカイアクティブエンジン」。内燃機関(ガソリン・ディーゼルエンジン)でハイブリッド並みの実燃費を実現させた。これは省エネの話だが、新しいマツダ車の最大の特徴は、「乗る人」を徹底的に意識した車に変身したことではないだろうか。独善的になりがちなメーカーがユーザーに最新技術を押し付けているのではない。
■2012年以来、ハズレがない
たとえば、マツダの最量販車「デミオ」では、アクセルペダルの位置にこだわった。長時間運転しても足が疲れないように、と人間工学的に配慮した設計にした。
今回受賞した「ロードスター」は4代目。1989年に発売以来、伝統を引き継ぎながらも、「スカイアクティブエンジン」などの新技術を採り入れ、10年ぶりにモデルチェンジした4代目は車体重量を100キロ軽くし、エンジンの排気量も2000tから1500tに落とした。
筆者も試乗したが、軽快感があり、乗るとコックピットが身体にフィットする感じだ。デザイナーも「ランボルギーニ・カウンタックを意識した」と語っていた。
最近のマツダ車は、機能面で乗る人を意識するだけではなく、感情面でも消費者に訴求するものがある。マツダのデザイン部門の幹部に話を聞くと、「車は走るものであり、アスリート。生き物の動きの美しさを追求した。工業製品に命を持たせるようなデザインを大切にしている」という。それがマツダの最近の「魂動(こどう)デザイン」だ。
そして、マツダ車の多くの車体は、深い絞りのプレスでシャープさを打ち出している。かつてマツダの「RX−7」は「プアマンズポルシェ」と評されたことがあるが、最近のマツダ車は「庶民のBMW」といった感もある。
「モノ造り革新」によって 2012年2月に市場投入した「CX−5」以来、「アテンザ」「アクセラ」「デミオ」「CX−3」「ロードスター」と発売してきた新車で、はずれは一つもない。
特にCX−5のディーゼルエンジン車は好調で、CX−5発売以前、日本のディーゼル乗用車販売は年間で1万台にも満たなかったが、今年の上半期だけでディーゼル乗用車市場は、約八万台にまで拡大した。このうち6割をマツダ車が占めており、マツダが、新市場を創出したと言っても過言ではない。
ちなみに、マツダのスカイアクティブのディーゼルエンジンは、これまでの業界の常識を否定するほど圧縮比率を低くするなど燃焼方法を工夫したことで、有害物質の排出が激減し、尿素を使った排ガスの後処理機能を付けていない。こうした点も、ダウンサイジングのフォルクスワーゲンのディーゼルエンジンとは似て非なる技術だ。
マツダ車を誉めすぎではないか、との指摘も受けそうだが、市場は正直だ。縮小する国内市場で販売を伸ばしているのはマツダだけなのである。
■いずれも過去最高を更新
今年1月から11月までの日本の新車販売台数(軽自動車含む)は前年比8・8%減の約467万7000台で、昨年の消費税率引き上げ後の伸び悩みをまだ引きずっているため、国内の乗用車メーカー8社のうち7社が前年同期割れの状況だ。さらに7社のうち5社が10%を超える二桁の落ち込み率だ。
こうした中で1社だけ前年同期を上回るのがマツダだ。マツダの販売台数は12%増の約23万3000台。海外販売も順調で、2015年度上半期(同年4〜9月)のグローバル販売台数は前年同期比14%増の76万4000台で、ロシアを除く全地域で販売を伸ばしている。
販売増は好決算として数字に現われ、マツダが11月5日に発表した2016年3月期の中間決算では、売上高が17%増の1兆7000億円、本業でのもうけを示す営業利益が21・1%増の1258億円を計上、いずれも過去最高を更新している。
売上高営業利益率は7・4%となり、トヨタ(11・2%)には及ばないものの、ホンダ(5・5%)や日産(6・7%)を凌ぐほど稼いでいる。
かつてマツダ車と言えば、値引き販売で有名だったが、今では営業もマツダ車の「価値」を理解してもらうことに注力し、値引きしなくても売れなくなったそうだ。これも利益率を押し上げている大きな要因の一つだ。
自動車メーカーにとって「技術」は大切だが、その「技術」に溺れず、消費者が求める「価値」を優先して提供すれば、おのずと成果はついてくるということだろう。マツダの考え方は、消費財を扱うメーカーにとって大いに参考になる。
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